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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 随想65:神奈川県立美術館・葉山館

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2021-10-04 08:384


 私は旅行をすると、比較的多く美術館を訪れています。もっとも日本国内での旅行はそう多くなく、地方の美術館訪問は多くありません。
こうした中で、外国人が来ると、連れて行くのは根津美術館です。難点は素晴らしいコレクションがあるのに、展示品はそう多くないことでしょう。建て替え前より展示品の数が減ったのは寂しい限りです。でも根津美術館は素晴らしい美術館だと思います。
 コレクションには、国宝の尾形光琳作「燕子花図」や同じく国宝の「那智瀧図」がある。陶磁器では、重要文化財の青井戸茶碗 銘 柴田、雨漏茶碗、鼠志野茶碗 銘 山の端、青磁筍花生(中国・南宋時代 12世紀)がある。彫刻では弥勒菩薩立像(クシャーン時代 3世紀)、十一面観音立像龕(中国・唐時代 7世紀)等がある。つまり、日本のみならずアジアの芸術の名作があります。
 かつこの美術館の庭が素晴らしい。美術館自体の解説で「ここは、その起伏に富んだ土地を気に入った初代根津嘉一郎が明治39年に求めた場所です。深山幽谷の趣のある庭園を造り、田舎家風の建物や茶席を配し」とあります。
 最高級の美術品を味わい、最高級の庭を散策する、こういう贅沢な美術館はないのでないでしょうか。ということで、繰り返しますが外国からの訪問客にはここを勧めます。
 話変わって2021年秋、私は神奈川県立美術館葉山館を訪れました。「生誕110年 香月泰男展」を見るためです。『香月康男 凍土の断層』は私が最も好きな画集です。
 香月泰男(1911年- 1974年)は、1942年兵として満州へ。1945年、ソ連に抑留され、シベリア、クラスノヤルスク地区のセーヤ収容所で強制労働に従事、1947年、シベリア抑留から引き揚げという経歴を持ちます。彼は、1959年「北へ西へ」(つまりどんどんソ連の奥地へ連れていかれる)、「ダモイ」(注、作品の背景、香月の言葉「スコーラダモイ(近い内に帰国)は幾度もぬか喜びに終わっていた。半裸のまま毛布に身をつつみ、所持品を前に検査を待つ。喜びと不安が混じった複雑な気持ちだった」)等の「シベリア・シリーズ57点を描きます。これらは山口県立美術館に所蔵されていますが、ここでの展示は数点で、一堂に見られるのはこうした企画展しかないのです。
 私は香月泰男展覧会にも感動しましたが、それ以上に、神奈川県立美術館葉山館に魅了されました。ゆったりと敷地をとり、庭園を散策路に沿って下っていくと柵があり、その向こうが、一色海岸です。海の見えるレストランで食事をしていると、波音が聞こえます。まさに「潮騒」です。そして、散策していると、海を越えて富士山が大きく見えるのです。
 ほぼ隣に「葉山御用邸」があります。富士山を眺め、潮騒を聞く。御用邸があるのもむべなるかなです。
 世界には様々な美術館があります。コレクションは別として、ロケーションでは世界のどの美術館にも負けないのでないでしょうか。私は今まで潮騒の聞けるホテルに泊まったことはありません。美術館の敷地の中でザーザーという潮騒を聞く時、一度でいいから潮騒の聞けるホテルで泊まりたいと思いました。そういう思いを抱かせる美術館でした。

コメント(1)

私は、孫崎さんとちがって、貧乏な老人ですから、旅をすると、潮騒の聞こえる民宿みたいなところによく泊まります。笑

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