・因縁抄期・コミュの電池式短刀

モノは試しとはよく言うが、試すのはやはり実用前にしていただきたい。
間に合わせ的に実戦配備された短刀【錦】。
素人が扱ってもきちんと刃先に薄い霊気を灯すこの武器は、なんでもカートリッジ交換式らしく聞いている分に役に立ちそうではあるが……。
少々デリケートすぎた。
実践では霊力の省エネなんて機械式に中々出来るもんじゃない。すぐにカートリッジの予備は尽きてきて、今現在で残すところ３本。
敵さんも大分減って、やっと妖狼一匹まで落ち着いたがどうにもやりにくい。
迫り来る向こうさんのスピードにこちとらてんてこまい。カートリッジ交換もままならないといった次第だ。

コメント(1)

最初
全て
最新の40件

[1] mixiユーザー 01月02日 00:25

こうなったら仕方がない。
獲物のバッテリを換えないことには攻撃することも出来ないのだから…、
「そらよっ。」
目の前に大口開いて迫り来る狼君に一本電池を放り込む。
それを反射的に噛み砕く妖狼の顎には流石に冷や汗ものだ。
なんといっても明日は我が身。明日どころか数秒後の自分の頭部も、あんな感じにガリガリやられるかもしれないのだから。
でも、それでも退くわけにはいかない。
電池の中身の霊気がたっぷり漂う狼君の口内。
この状態は、例えて言うならガスの充満した密室。要するに…、
「弾けろ。」
なんの儀礼もなく、方向性もない火種となる呪文。
それさえあれば、この満ち足りたエネルギーはこちらに都合の良い仕事を果たしてくれるのだ。
爆発が狼の口元から巻き起こり、花火を散らした。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ