佐々木:プラトンの対話編『クラテュロス』では、ソクラテスがこう言っています。「“人間(anthropos)”という名前が何を意味するのかと言うと、他の動物たちが、自分の見るものを何ひとつ考察せず、検討もせず、観察もしないのに反して、人間は見た−つまり視た(opope)−だけでなく、同時に視たものを観察し(anathrei)、考量するということなのだ。まさにこのことからして、動物たちのうちでひとり人間だけが、正しくも“人間(anthropos)”、つまり“視たものを観察するもの”(anathron ha opope)と呼ばれたわけなのだ」と。