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真夜中のお茶会コミュの短歌集「東京植物誌」

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東京にいた頃の思い出です。
コンクリートジャングルとは手垢のついた言い回しですが、
ここでは都会を大きな植物園に喩えてみました。

ヒントになったのは、なぜか桐野夏生の『グロテスク』。
テーマは、有機物、しぶとさ、危険地帯。
薔薇もあれば、蔦も苔も、肉食の植物もいる植物園へようこそ。

コメント(31)

「東京は 植物だらけの森である 誰が言ったではない 今そう決めただけ」









最初に来た時の意外な感想です。森の中に街があるんですね、と言ったら「街の中に森があるんだ」と言われましたけど、そもそも森を切り拓いて造った街でしょうに。
「花束のように 抱かれたいのではない 植物として 生きたいだけ」









決してアンチ俵万智なのではないです。多分、根を張っていけないとかそういうこと。
「かと言って 花束持ったいいオトコには そうされてもいいと 言えなくもなし」









でも中央線の某駅で見たのは、どうもホストみたいですねぇ。
「今日もまた 被子植物らが 踊ってる 偽物の 花びらと匂いで」









香水の、なんかわざとらしいのってあんまり好きじゃないんですよね。
「かといって 水ももらえぬものたちの 剥き出しの根は 美しくない」









水がないから剥き出しなのか、美しくないから水がないのか…。この場合は根など断ち切って自ら求めに行くべきですね。
「あのひとと 同じ花びら持っていた この街ならば よくある話で」









花びらが何の比喩かは、読んだ人の自由ですね…。
「唇を 噛んだようなキス それは あなたの国の 梅の実の味」









梅干しを食べていて思いついた歌です。因みに蜂蜜梅干しが好きです。ほんのり甘くて。
「ヒゲモノが パフェ食べている 瞬間を 拝めるのも 奇遇なことなり」









髭の男の人が甘党だった、って別にそれだけですが。実際のヒゲモノはどうやら魚類だったようです。
「満員電車の中で しなだれかかってくる彼には 何の養分が 欠けているのか」









昔、ガラガラの座席で寝た振りしてのしかかってくる不届き者を見たことがあります。これも、全然関係ない他人でした。
「蕾から ドライフラワーだったなら そのうち誰も 枯れるだろうし」









つまり老け顔の方が将来は老けて見えないとか、そういうことでしょうね。こないだも似たような記事が載ってましたね。
「いつの間にか 傍に来ていた 黒いコートの男は やがて総てを 刈り取るつもりか」









大鎌まで隠すことも出来そうな長いのを着ている人が都会は多いですよね…。
「この季節 いつも寒いだけなのに 淋しがり屋の オナモミたちは」









人恋しいと人肌恋しいの混同は言語道断ですよ。
「誰もみな 押し花になるのは 平気らしい 朝の篩官と 夜の道官」









このシリーズ中ではかなり人気作。生物用語は本当に面白いですね。因みに「篩」は“ふるい”のことです。
「花も嵐も 踏み越えなかった連中が 老いらくのうたかたに 沈んでいくね」









まあ生きていればいろんなこともあるでしょう。
「雨の匂い 土の匂いが 好きと言う 可愛い虫も やっぱりいる」









雨は空気も良くなるし私も好きな匂いです。
「カメレオンの君が 虫に舌を伸ばす 原稿用紙は ジャングルとなり」
(「舌伸ばし 虫を捕る カメレオンになった君の ジャングルは 原稿用紙」)








子どもの作文を見ていたらそんな詩を書いていました。自分を動物に例えてみて、と言ったらカメレオンを選んだそうです。色が変わるところより舌が伸びるのが面白いのでしょうか。
「無弁でも 花を愛する人はいた 君は あの花がいいってだけだね」









「無弁」とは花弁、つまり花びらがないことです。
「活けてある 小さな向日葵 支えてくれる君と 重なるイメージ」









いつも花は向日葵ばかりでてくる気がします。
「追い付けないでいるのは 君か 夢なのか 立ち尽くす 草原の向こう」









歌の歌詞にありそうですね。これも歌と言えば歌ですが。
「ばりばりと 水菜サラダを 食むうちに いつしか彼女は 敵じゃなくなる」









人気があって自分でもお気に入りの作品。ストレス発散方法というのでしょうか、あの歯応えはなんとなく闘志が湧いてくるので好きですね。
「今はもう 盛りならむや 夜桜の 薄くれないに 空染めるとは」









百人一首、「唐紅に 水くくるとは」の本歌取り?
「酔うほどの 桜隧道 抜けきれず 未だ霞んだ夢に 残れる」









なんか、桜の木の下って魂抜かれそうですよねえ…。
「梔子の香りくすぶる 初夏(はつなつ)は 花の命の恋かとぞ思う」









甘くって頼りないこの香りが結構好きです。
「一粒の苺 黴にまみれゐて 小さな秘密も 思い出の中」









それだけでストーリーになる、すべてを語れるような歌が目標です。
「方言丸出し? いえいえそれは 思い出と 憂さ晴らしの花 咲かせてるの」









東京ならではの?一コマ。
「モノクロの 冬のジャングル その中を 極楽鳥花が まかり行くなり」









これは元々派手なオバサンの比喩だったのですが、花そのままでもどちらでもいいですね。
「他人には 綺麗な花に 見えようが 怪物が化けていたりするかも」









そんな風に自分のことを言ってはいけないと言われたことがあるのですが、
怪物性というものは意外と誰にでもある気がしてきました。
「紫陽花の 好む種類を 口々に 心が染まる わけでもないのに」









6月の梅雨時に日本に行くという奇特なフランス人に、
とりあえず紫陽花寺をおすすめしておきました。
江ノ電から見てみたい〜。
「菖蒲園 蝶の飛び交う 彼岸より 何を手がかりに 君に帰ろう」









「菖蒲園 蝶の飛び交う 彼岸かな」
という句と、
「紫陽花の 迷宮よりは 何をかや 手がかりにして 君に帰らむ」
を合わせたものです。「迷宮」はミノタウロスのイメージがあったので最後まで使いたかったのですが、菖蒲園をメインにするなら彼岸は捨てがたく…。どれもよく使ってしまう言葉たちなのですが。
「情報も 噂話も 伸びていく 蔦の速さに 搦め取られて」









実はこれが最後の作品なのですが、収まりが良い気がして。本当に、都会のくせに驚くほど蔦の多い街です。
「約束の木の下に たどり着いたなら 変わっていく僕を どうか笑って」









『卒業写真』みたいになってしまいました。そしてその木は何処にあるのでしょうか。

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