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Think About 2030コミュのVol.4 『街の財産』

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地方へ旅行するとまだ珍しい地場の産物に出会えます。
しかし、数十年間でその数はうんと少なくなってきました。
つまり、日本中の食生活が均一化されてきたわけです。

食生活ばかりではありません。住宅もそうです。
かつて地方には独自の建築様式があり、その地ならではの集落景観が見られたものです。
北海道では厳寒や豪雪に耐えうる家が建ち並んでいたし、沖縄では酷暑や台風を防ぐ
伝統的な平屋屋敷が並んでいました。南部(岩手県)の曲家、武蔵野の兜造り、
北陸地方の中門造り、白川郷の合掌造り、有明海沿岸のくど造り・・・。

どこへ行ってもその土地土地の気候風土に合わせた家並みを見せており、
百年の風雪に耐えて古さびた風格の漂う集落景観を見るのが旅先での大きな愉しみでした。

しかし、今は全国どこへ行っても家はほとんど同じ。
ひと昔前、「文化住宅」という意味不明の洋式住宅(関西では2階建集合住宅)が
広がりましたが、住宅の均一化に拍車をかけたのは、なんと言っても建売住宅でしょう。
今では、根室の家と那覇の家ですら同じような建売住宅が並んでいます。
それを可能にしたのは住宅メーカーと冷暖房の発達です。

ハウスメーカーは量産体制ですから建築費が安い。
家の壁が薄かろうが窓が広かろうが冷暖房が使える。
つまり、気候風土も関係なくメーカーは存分に安くてお洒落な家を建てられる。
売れないはずはありません。特に若い世代には大人気。かくして日本全国の家が、
おしなべて都会風の簡便かつ近代的「文化住宅」へと変貌していったというわけです。

では、地元の腕利きの大工さんはどうなったのでしょう?

部材は安い外国産の木材を使って住宅会社の工場で作ります。
デザインも構造もメーカー指定、現場は経験よりもマニュアルどおり組み立てる技術が
あればいいので新米の大工でも間に合います。
熟練大工の経験や知識はかえって邪魔になる。左官屋さん指物師も仕事が少なくなりました。

最盛期に120万人いたという日本の大工さんは、平成元年頃は100万人を切り、
現在では50万人を切っているそうです。
仕事を失った大工さんの多くは都会へ出稼ぎに出るしかない。
親方の元で若い頃から修行を積み、地域の気候風土や樹木の生態まで知り尽くした
プロの大工さんも、都会へ出れば1時間いくらの単純労働ばかり。
いなくなったのは大工さんだけではありません。村の加治屋さんもいなくなって久しい。
自転車屋、電気屋、魚屋、豆腐屋、おもちゃ屋、駄菓子屋、文房具屋、本屋・・・、
どこの田舎町でも必ずあったこうした小さな店舗はほとんど廃れ、
大都市からやってきた百貨店や大手スーパー、ホームセンターなどが
巨大で華々しい広告看板を掲げています。

都市化される(都市の資本が入る)ということは、いったい地元にとって得なのでしょうか、
損なのでしょうか?

近年、地元の木材を使った地元の住宅メーカーもでてきました。
大きな拍手を送りたい気分です。

「街の財産でもある」というのは某ハウスメーカーのCMですが、大工さんも左官屋さんも、
自転車屋、電気屋、魚屋、豆腐屋、おもちゃ屋、駄菓子屋、文房具屋、本屋の皆さんも、
地元の山や川と同じく、私には全部「街の財産」だったように思えるのです。


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そう思う、そうは思わない、わからない
その理由や自由なご意見・ご感想をお待ちしてます!

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