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BDについてもっと知りたい!コミュのBDを知るための道具

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BDを案内した書籍はそれほど多くありませんが、取りあえず以下のものが参考になります。

■『フランスコミック・アート展 2003』カタログ
2003年に川崎市民ミュージアム、滋賀県立近代美術館、横山隆一記念まんが館(高知県)で開催されたBD展のカタログです。僕はなぜか滋賀県立近代美術館に注文して買いました…
■『色彩のアルバムBD フレンチ・コミック』印刷博物館、2003年
印刷博物館の書店(?)で購入。
■貴田奈津子、「9番目のアート バンド・デシネ案内」、『ふらんす』1998年6月から1999年3月まで連載
図書館でコピーです。
■「マンガホンコ フランス語圏のマンガ(BD)たち」、『本とコンピュータ』2002年春号
学友ガスパール氏にコピーをもらいました。ありがとう!
■『STUDIO VOICE 特集:地球コミック宣言』vol.179、1990年11月号
古本屋で購入。

フランス語が読める人は以下のものも参考になります。
■『GUIDE FNAC DE LA BANDE DESSINÉE』FNAC, 2004
これもガスパール氏に教えてもらいました。サンクス。格安で、本の内容に軽く触れていて、ジャンル分けまでしてくれていて、非常に参考になります。別冊宝島の『日本一のマンガを探せ!』みたいな感じ。
■ Moliterni/ Mellot/ Turpin『l'ABCdaire de la Bande dessinée』Flammarion, 2002
前半がバンド・デシネ小史、後半が小事典です。今のところ訳したいなあと思う本?1。バンド・デシネの歴史については『フランスコミック・アート展 2003』所収の、貴田奈津子「バンド・デシネ=その誕生と変遷」も参考になります。
■ Baron-Carvais『LA BANDE DESSINÉE』que sais-je? No. 2212, 1994
クセジュ文庫所収。たぶん翻訳はないと思います。コンパクトで安いんですが、あまり面白くありません。BDの基本的な用語を知るのに役に立ったかな。BDとかアメコミの有害論争があったということですが、そこに焦点が置かれてる感じ。

他にもこんなの知ってるよーという方、ぜひ書き込んでください。

コメント(50)

THE THEさん
土曜日また日仏に行くのでそのときちゃんとメモ持ってみてきますね。
>Kigalisoupe さん
情報ありがとうございます。引っ越しのためしばらく自粛していましたが、これからまた日仏学院でBDを借りるつもりなので、近い内に行って見てみたいと思います。

>THE THE さん
おおー、一気に来ましたね! 紹介ありがとうございます。『デザインの現場』、結構探しているんですけど、なかなか見つからないんですよね。『BRUTUS』が特集をしていたのは知りませんでした。Henri Filippini(アンリ・フィリッピニ)って人はBD研究の大家なんですかね? 1988年の時点でBDのエロティスムってどんな感じなんだろう? そもそもBDにどれだけ過激な表現があるのかわかりませんが、かなり気になります。
Henri Filippini(アンリ・フィリッピニ)は歴史家でもあり、グレナ社に籍を置いて、BD雑誌『VECU』の創始者だそうです。でもその『ヴェキュ』、休刊のようですね。
>アリスさん
ありがとうございます。アンリ・フィリッピニって歴史家でもあったんだ。『ヴェキュ』ってかなり長く続いた雑誌ですよね? 休刊って残念ですね。他の雑誌はそれなりに調子いいんでしょうか?
この間ここで話しましたラルースのBD版は
Larousse de la BD というものでした。(2004年版)
Patrick Gaumerというひとが著者(編者?)です。

http://www.amazon.fr/exec/obidos/ASIN/2035054168/

今日仏学院の図書館にかざってあります。
>Kigalisoupe さん
情報ありがとうございます! 今度日仏に行った時に見てみます。
前回のBD研究会で椿屋さんからご紹介いただいたBD関連のリファレンス本をご案内します。覚えている範囲で内容も簡単に紹介しますが、きちんとメモってなかったので、間違いがあった場合は指摘していただけると助かります。

Jean-Louis Lechat『Le Lombard 1946-1996 Un demi siècle d’aventures』t. 1, 2, Lombard, 1996(ジャン=ルイ・ルシェ『ル・ロンバール 1946-1996―半世紀の冒険』第1、2巻、ロンバール社、1996年)
* BD出版社ロンバールの出版史。1巻が 1946年から1969年まで、2巻が1970年から1996年まで。

Patrick Gaumer『Les années Pilote 1959-1989 Autour de la Bande Dessinée』Dargaud, 2002(パトリック・ゴメール『ピロットの時代 1959-1989―バンド・デシネの周辺』ダルゴー社、2002年)
* BD史において重要な役割を果たした『ピロット』誌の歴史。

Hervé Cannet『Angoulême, le grand vingtième』Charente Libre, 1993(エルヴェ・カネ『アングレーム―偉大なる20世紀』チャラント・リーブル社、1993年)

Michel-Édouart Leclerc『Itinéraires dans l’univers de la bande dessinée』Flammarion, 2003(ミッシェル=エドゥアール・ルクレール『バンド・デシネの世界を歩くための道標』フラマリオン、2003年)

Hugues Dayez『La nouvelle bande dessinée』Niffle Profession, 2002(ユーグ・デイエ『ヌーヴェル・バンド・デシネ』ニッフル・プロフェッション、2002年)
* 新しいBD作家たち―ブラン、ブリュッチ、ダヴィッド・B、ド・クレシー、デュピュイ‐ベルベリアン、ギベール、ラバテ、スファール―へのインタヴュー。

John A. Lent『Comic Art of Europe, An International, Comprehensive Bibliography』Greenwood Pub Groupe, 1994(ジョン=A・レント『ヨーロッパのコミック・アート―全世界的書誌』グリーンウッド・パブ・グループ、1994年)
* 全世界の漫画研究を概観する書誌。改題書誌ではなかったような記憶が… 現在は『Comic Art of Europe through 2000: An International Bibliography』(Preager Publishers, 2003)という名前の2巻本で改訂版が出ているようです。

Hervé Bruhat (photo)/ Jean-Luc Fromental (texte)『Figures de la BD』hoëbeke, 1993(エルヴェ・ブリュア[写真]/ジャン=リュック・フロマンタル[文]『BDの顔』ヒューベック、1993年)
* BD作家を肖像写真入りで紹介した本。インタヴューだったような気も… 出版社の発音が自信ありません…
4番目に紹介してあるムッシュー・ルクレールの本ですが、彼が、BD好きの大手スーパーの社長です。
アングレームのフェスティバルでもスポンサーしていますね。
作家の写真はもちろん、プロンシュや、秘蔵のデッサンも満載で、とても充実した一冊ですね。
おお! そうだったんですかー。大手スーパーってひょっとしてカルフール? そんな人がBD研究してるってのがすごいですね。
カルフールと同じ規模のハイパーマルシェ、その名も「ルクレール」です。
ほんとにBDのファンみたいですよ。
お店の中のBD売り場も大きいし。売れてるってことでしょうね。
『Bande Dessinée Apprendre et Comprendre』
Lewis Trondheim – Sergio Gracia
Delcourt, 2006
『バンド・デシネ - 学習と理解』、ルイス・トロンダイム&セルジオ・ガルシア
デルクール社、2006年

ルイス・トロンダイム&セルジオ・ガルシアによる、BDについてのBDです。

トロンダイムとガルシアの二人が、自らを実験台にして、
コマ、ショット、俯瞰、吹き出し、吹き出し内の文字、オノマトペ、絵のタッチ、色の使い方、場面のつなぎ方、シナリオのジャンル、時間の扱い方・・・など
BDの様々な技法やコードについて説明していきます。

かなりギッシリした感じですが、分かりやすく説明されていて、とてもためになります。おもしろいのは、本の最初と最後に、内容に関連した練習問題が用意されていること。
例えば、
B.1:お気に入りの人物を用いて4コマ漫画*を描きなさい。吹き出しの中には、絵を描いてセリフを作ること。
I.1:異なるアルバムの中から様々なコマを選び、それらのコマ内でどのように時間が流れているかを分析しなさい。
などなど・・・
(* えっと、4コマとは限らず、いわゆる「Strip」または「Bande」というやつです。)

BDについてのBDで有名なのは、スコット・マクラウドの「マンガ学―マンガによるマンガのためのマンガ理論」がありますが、残念ながら、私はマクラウドの本はまだ読んでいません・・・
セルジオ・ガルシアのBDによるBDの本には、もう一つ「L'Aventure d'une BD」というのがあります。
nessさんが紹介してくださってる本、すごいですね。
とても興味あります。
それこそBD研究会の教材になりそうな感じてすね>ショードヴァルさん?
おお! これ面白そうですね! ness さん、ありがとうございます。値段も安いし、買っちゃおうかな。『L'Aventure d'une BD(あるBDの冒険)』ってのも面白そうですね。人間(作者?)のセルジオとネズミのサンチェスがある物語の中に紛れ込んで、BDってどういうものか説明するって感じなんですかね? これもぜひ読みたいなー。Kigalisoupe さんがおっしゃるようにいい教材になりそうですね。何よりも具体例が絵で示されているのが良さそうです。マクラウドは僕もまだ読めてないので、これも読まねば…

* 画像は『L'Aventure d'une BD(あるBDの冒険)』です。
面白かったです!
「フムフムなるほど」という感じで読み進んで行けます。

たぶんフランスでは、高校や大学などで、BDのプロを呼んで「BDセミナー」のようなものが開かれる機会があるのではないかと思います。

『学校の先生方と話していると、彼らはBDをどう読んだらいいのか、また、生徒にどのようにBDについて教えたらいいのか分かってないので、それがこのBDを作るきっかけになった』、と著者自身がどこかの書評欄で言っていました。
早速注文しちゃいましたー。到着するのが楽しみです。普段は Fnac を使ってるんですが、今回は Amazon.fr を使ってみました。Amazon.fr だと、速達(?)と普通の速度で届くやつの2種類から選べるみたいですね。サイト的には画像があんまり整っていないのが物足りませんが…
いずれもそのうち書き込もうと思っていたら先を越されてしまいましたネ…。
それはともかく、『L'Aventure d'une BD』の方が、専門用語や印刷工程を分かりやすく図解していて、より実務的で「使える」感じです。ページをスキャンしてみたけど、重くて載せらなかたです…。
今度お会いするときどちらも持って行きますね。
といっても、ショードヴァルさん、もう注文したんですね。
>takatakata さん
はい、注文しました! と言っても、いつ届くのかわかりません。7月の頭くらいには届くのかな… 次のBD研究会前に読めるといいんですが… お話をうかがってると非常に面白そうですね。
『l'Aventure d'une BD』もおもしろそうですね!
こちらのほうは、私はまだ未読です。
是非とも読んでみようと思います。

ところでショードヴァルさん、amazon.frでデルクール社のBDを三冊以上注文したら、薄いイラスト集が「おまけ」で送られてきました。
日本まで配送してくれるのか、詳細は分からないのですが・・・
>ness さん
お! そうなんですか? 僕も3冊買ったんですけど、1冊はカステルマンなんですよね… おまけはなしかな…
おお、デルクール!
では、「ドンジョン」シリーズでもまとめ買いしよう!
『L'Aventure d'une BD(あるBDの冒険)』、『Bande Dessinée Apprendre et Comprendre(バンド・デシネ - 学習と理解)』、届きましたー。BD研究会までに読む余裕はなさそうですが、とりあえず当日持っていきます。パラパラめくってみると、たしかに『あるBDの冒険』の方が説明的で、なんか図解マンガみたいです。コマになってないところも多々あるし。『バンド・デシネ - 学習と理解』は、たまたま開いたページにバナナの皮ですべるシーンがあって、笑いました。このギャグって世界的なものなんですかね? 上記2冊と一緒に Schiten & Peeters(シュイテン&ペータース)『La Fièvre d’Urbicande(ユルビカンドの熱病)* 訳ちょっと違うかも…』(Casterman)を買ったんですが、中身が白黒でショック… おそらく色がついたヴァージョンがあるんですよね? 安いの買ったのがまずかったか… ちなみにデルクールのおまけはもらえませんでした(笑)。
Harry Morgan/ Manuel Hirtz(ハリー・モーガン/マニュエル・ヒルツ)『Le Petit Critique Illustré – Guide des ouvrages consacrés à la bande dessinée(図解小批評―バンド・デシネ研究ガイド)』P. L. G.、2004年刊

前回のBD研究会の際に takatakata さんから教えていただきました。バンド・デシネの研究書を紹介した解題書誌だそうです。辛口とのこと。フナックの解説によると、1000冊の仏語文献、200冊の英語文献を網羅しているとか。タイトルの訳はちょっと自信なしです。「Illustré」は「挿し絵に関する」という意味で、BDと同義かなと思ってみたり…
Claude Moliterni(クロード・モリテルニ)『30 héros de toujours – Chefs-d’oeuvre de la BD 1830-1930(30人の永遠のヒーロー―1830‐1930年の傑作BD)』Omnibus(オムニビュs)、2005年刊

という本があるそうです。takatakata さんに教えていただきました。takatakata さん、ありがとうございます! 「ヒーロー」って訳は誤解を招いてしまいそうですね。「代表的な主人公」って感じですかね。欧米の傑作漫画を図版を豊富に引用しつつ解説しています。漫画史の本などでは、漫画を1ページまるまる載せるということはなかなかできなかったりするんですが、この本はふんだんに図版を用いています。値段は30ユーロぐらい。
Jacques Sadoul(ジャック・サドゥール)『93 ans de B-D(BDの93年)』J'ai lu(ジェ・リュ), 1989年刊

読み終わりました。BDと言っていますが、『l'ABCdaire』と同じく欧米の漫画を全般的に扱っています。ただ、250ページほどあるので、だいぶ詳しいです。とは言いつつ、やはり漫画史なんで、それほど踏み込んだ話にはなりませんが… 章構成は以下のとおり。

■Introduction(序論)
■Les comic strips(コミック・ストリップ)
■La bande dessinée d’expression française(フランスの漫画)
■B-D européenne: quelques repères(ヨーロッパのBD)
■Les comic-books(コミック・ブック)
■Underground comix(アンダーグラウンド・コミックス)
■Conclusion provisoire(暫定的な結論)

コミック・ストリップというのはいわゆる新聞漫画ですね。アメリカの話ばっかです。フランスのBDの話には60ページほどが割かれていて、かなり勉強になります。知らない作家がまだまだ多い… この本が出たのは1989年みたいですが、80年代半ばくらいまでの作家、作品はきちんと押さえています。シュイテン(スクイテン)にも1段落与えられていました。このジャック・サドゥールさんという人は、もともと1968年に『L'enfer des bulles(吹き出しの地獄?)』というBDにおけるエロティシズムを扱った本を書いていたそうで、コミック・ブック(雑誌形式の主としてヒーローもののアメリカ漫画)の章を除く残りの章はその辺の話がわりかし多くなっています。「アンダーグラウンド・コミックス」の章では、いわゆるオルタナティヴ・コミックスの歴史も語っていて、個人的には多いに関心があります。結論部で、前々回のBD研究会で話題になった80年代におけるBD売り上げの落ち込みが話題になっています。作品の粗製濫造と値上げも原因だったとか。そういう状況の中でポッシュ版のBDが持つ意味は大きいということで、何気に同文庫(J'ai lu)の宣伝めいたことをしているのがかわいい(笑)。でも、最終的にはポッシュ版のBDって、それなりの数が出版されているにもかかわらず、それほど普及しなかったみたいですね。せっかくなんでこの本と他の本を参照しつつ、年表でも作ってみようかと思います。
Tierry Groensteen(ティエリ・グロンステン?)『La bande dessinée – une littérature graphique(バンド・デシネ―絵による文学)』Éditions Milan(エディション・ミラン)、2005年刊

読了しました。本と呼ぶのがためらわれるわずか50ページそこそこの小冊子です。著者名はなんと発音されるのかわかりません… 副題ももうちょっとうまい訳がありそうですが、とりあえずこれで勘弁してください… 見開きを1単位として全部で26のトピックがあり、それが大きく5章に分けられています。構成は以下のとおり。

■Le domaine français(フランス漫画)
■Les comics(コミック)
■Aujourd’hui(今日のBD)
■L’art de la BD(BDの芸術/技術)
■Le phénomène BD(BDの周辺)

BDのことを大まかに把握しようとしていきなり読むのには向いていないかもしれません。ページ数の関係で、ほとんど固有名詞の羅列になっており、それほど面白く感じない可能性大です。クセジュ文庫を読んでる感じですかね(笑)。ただ、何か別のBD史なんかを読んでいて、そのおさらいとして使うには格好の本だと思います。最後の3章はBDを描かれているテーマや他のジャンルとの関わりで考えてみたり、あるいはBDと社会との関わりを扱ったりしていて、なかなか面白かったです。ごくごく簡単なものですが、絵画的なBDの系譜とか、無声BD(って言うのか…?)の系譜とか… 
ショードヴァルさん、
Groensteen → グルーンステーン
です。
つづりからしてオランダ系の名前なので(ベルギーにはオランダ系の名前が多いです)
>Kigalisoupe さん
ありがとうございます! こりゃあ、わからんわ…という感じですね(笑)。
 日下翠編著『漫画研究への扉』(梓書院、2005年刊)ようやく買いました… cu39 さんに教えてもらってから1年越し、りんちゃんさんがこのトピに書き込んでくださってから早半年以上が経っています… BDとはとりあえず関係ありませんが、伊藤剛さんの『テヅカ イズ デッド』(NTT出版)もようやく読み始めました… うーん、もっとちゃんと読まねば… 
 さて、りんちゃんさんが以前紹介してくださったように阿尾安泰(あお やすよし)さんという方が「フランスの漫画事情」という論考を寄せています。「?.歴史の流れの中で―漫画という文化」、「?.現状からの考察」という大きく2つの章から成っていて、第?章では、フランスのBD史を大まかに辿り、第?章では、BDの現在を主としてマンガとの関係という観点から眺めています。実質16ページの中でBDを語らなくてはならないという制約があるにしても、ちょっとがっかりというのが正直な感想です… 専門が18世紀のフランス文学・思想だということなので、仕方がないということもあるのでしょう。それにしたって… 
 まずBD(Bande Dessinée[バンド・デシネ])という言葉がたった1回しか出てきません。表記は、日本のものもフランスのものも一貫して「漫画」。やはりフォーマットにしろ出版形態にしろ相当違うのだから、日本のマンガとフランス語圏のBDの違いを語るべきなんじゃないでしょうか。第?章でどうやらこの2つが違うらしいという見当がつけられる記述がありますが、具体的にどう違うのかが全くわからん… 第?章のBD史にしたって簡潔すぎ。これは驚くべきことですが、登場する固有名詞は、(ギュスターヴ・)ドレ、『ジュルナル・ド・ミケ』、『タンタン』、『スピルー』、エルジェ、『アラキリ』、『ヴェ・マガジーヌ』、フォレスト、『バーバレラ』、『ピロット』、ゴシニー、『アステリックス』、『エコー・デ・サヴァンヌ』、『メタル・ウーラン(ママ)』、メビウス、ドルイエ、『フリュイド・グラシアル』、ゴドリブ、『ア・スィヴル』、ボードワン、ビラルだけ… その割に90年代の表現と受容における「過剰」と「稀薄」なーんていう哲学的(?)な考察には字数が費やされています。具体的な情報についてはほとんど常に参考文献の参照が求められていて、よく言やストイック、悪く言えば無責任という印象を受けてしまいました。もちろん書誌情報は貴重です。しかしね、そもそも、日本の著作の中でBDの歴史を語るに当たって、日本におけるBD紹介の現状に触れていないところが気にいりません。翻訳されているBDだってあるし、2003年に川崎市民ミュージアム他で行なわれた「フランスコミック・アート展」だってあるわけだし… 『フランスコミック・アート展 2003』のカタログなんて読みどころ満載でめちゃくちゃ勉強になるのに… まあ、それもこれもページの制約があるから仕方ないんでしょうけど…
 第?章にしても、具体的な話になっておらず、ほとんど得るものがありません。これに比べると、マンガの話ではありませんが、清谷信一著『ル・オタク』(KKベストセラーズ)がいかに労作かということがわかります。『ル・オタク2―マンガ編』とか出ないんでしょうか? 
 まあ、それはさておき、自分自身何を書いてるわけでもない人間が文句ばかり言っても仕方がないので、良い点を挙げておくと、1930年代以降のフランスのBDの方向性を決定する上で『ジュルナル・ド・ミケ』が果たした役割というのが、わずかながら述べられていて、これはへーと思いました。これってひょっとしたら常識の部類に入ることなのかもしれませんが、僕は全くこの辺のことを知らないので…(以前、BD研究会のりんちゃんさんの発表でこの辺の話が出ましたよね?) 要は『ジュルナル・ド・ミケ』の影響でBDがいかにアメリカナイズされていったかという話なんですが、具体例を交えつつこの辺の話をしていったらめちゃくちゃ面白いんじゃないでしょうか?
 ということで、文句が多くなりましたが、こんな本を読みましたよということで…
部屋を掃除していたらこんな絵葉書が本に挟まっていたので、スキャンしてUPします。1991年に日仏のコミックの展覧会が開催されていた模様です。繊細な絵なのでスキャンが難しい…この絵の出典のお分かりになる方はいらっしゃいますか?(シュイッテンかな?)

絵葉書の裏面には、展覧会の案内文が書いてありました。
===(引用ここから)=================
パリ−東京−コミックス
1991年7月31日(水)→8月26日(月)

フランスを中心として活発な展開を見せている「コミック・ストリップ」は、80年代初頭、世界のアート・シーンに取り残されたかのように沈黙を守っていたパリの不毛な美術状況の中に、極めて独創的でラディカルな姿をとってたち現れました。ヌーヴェル・ヴァーグやフィルム・ノワールの映画、前衛ファッションやパンク・ミュージック、SFファンタジーなどの影響下で、グロテスクでポルノグラフィックなイメージを多用した独特の虚構世界をつくりあげ、メビウスをはじめ何人ものスターを生み出しています。
一方東京ではテレビ、歌謡曲、漫画といった無限に膨張を続けるサブ・カルチャーのかたわらで、破壊の衝動や冷静な社会の証言者的視線、そしてノスタルジックなタッチを合わせ持った新しいタイプのコミックスが自然発生的に誕生しました。文化的混沌を映し出す多様な語り口は、昭和初期のモダニズム絵画、文学、大衆映画まで、あらゆる社会現象に起源を辿ることができます。
大衆芸術と美術の互換性を探る大規模な展覧会がパリとニューヨークであいついで開催され、大衆芸術を美術史の一つの側面としてとらえ直す試みの中で、コミックスの新しい可能性がますますひろがりつつあります。パリ、そして東京という20世紀末の文化発信都市を舞台にくりひろげられる「パリ−東京−コミックス」、どうぞご期待ください。
===(引用ここまで)=================

第1会場がアール・ヴィヴァン・リブロ(池袋)、第2会場がストアデイズ(六本木)だったとのことで、当時の私はこの絵葉書を本にはさんだまま、すっかり忘れていたのでした。一体どんなものが展示されていたのか、パンフレット等は作られていたのかが気になります。それにしても、当時は「バンド・デシネ」という言葉はまだ一般的ではなかったのでしょうか。
うりぼうさん、ありがとうございます! これが先日おっしゃってた奴ですね。1991年って言ったら僕はまだ高校生でしたよ。こんな展覧会のことなど全く知らず… 画像は明らかにシュイテン(スクイテン)っぽいですね。どんなものが展示されていたんでしょうか。気になりますねー。どなたか行かれた方とかいらっしゃらないのでしょうか? それにしてもこの「コミック・ストリップ」って言葉の使い方はおかしいですよね…? やはり他にうまい言葉がなかったということでしょうか?
■宇田川岳夫『マンガゾンビ』太田出版、1997年

という本で、フランスSF漫画の巨匠フィリップ・ドリュイエが3ページにわたって紹介されています。元々カメラマンであったとか、マイケル・ムアコックの小説『エルリック・サーガ』の挿絵で脚光を浴びたといった伝記的なところから始まって、レコード・ジャケットのイラスト(ジミヘン!)を務めているといったところまで、参考になる情報が載せられています。とりわけおおっ!と思ったのは日本のマンガ家風忍に与えた影響に言及していることで、掲載された絵を見ると、たしかにとうなづかされます。海外漫画関係ではアメコミのリチャード・コーベンにも1節割かれています。これらの作家を除いても、かつて日本に存在した(場合によっては今も存在している)強烈なマンガ家が紹介されていて圧倒的。曰く「マンガが本来持っていた「ヤバさ」「いかがわしさ」を蘇らせる試み。これまで黙殺され、あるいは不当に無視されていた名作・怪作・奇作の完全カタログ!!」。たしかにふくしま政美とか宮谷一彦とか榊まさるとかヤバいです(笑)。

ちなみにドリュイエは以前コミュでも取り上げました。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=8641441&comm_id=424387
Henri Filippini のEncyclopédie de la bande dessinée érotique(nouvelle édition mise à jour et augmentée)La Musardine 1999とJaques Sadoulのl'enfer des bulles 20 ans après(Albin Michel 1990)を持っていますが、これはどういう評価を得ているのでしょうか?
あまり読んでいないので分かりませんので教えてください。また、この類書はありますか?
自分で書いていてまた書くのもなんですが、この二つの本、それぞれ改訂版が出てますね。すみません。でもフランスでBD関係というと、Henri Filippini とJaques Sadoulはよく出てきますね。BD Guide 2005の内容もそうなんですが、「世界マンガ」という観点からとらえようとする視点を持った筆者が出てきているようなんですが。でもBD Guide 2005では日本のマンガについては、手塚、松本、大友、白土と最近のオタク系作家の紹介ばかりで、白土については、Hakudoなどと紹介されていて、最初は何のことかと思ってしまいました。
Father U さん、ご紹介ありがとうございます。サドゥールの『l'enfer des bulles(吹き出しの地獄)』は、同著者の『93 ans de B-D(BDの93年)』の中でも言及されていて、興味を持っているんですが、残念ながら未読です。ネットで書評的なものがないかちょっと探してみましたが、それらしいものは見つかりませんでした。関連記事としてはこんなものがありますが…↓
「mémoires de Jacques Sadoul(ジャック・サドゥール回想録)」
http://www.special.sudouest.com/bd/index.php?/archives/80-Les-memoires-de-Sadoul.html

http://www.bodoi.info/livres-a-decouvrir/2006-05-26/les-du-blog-memoires-de-jacques-sadoul-27_/#more-297

ウィキペディア「Jacques Sadoul(ジャック・サドゥール)」
http://fr.wikipedia.org/wiki/Jacques_Sadoul_(auteur)

上の2つはどうも『C’est dans la poche !(ポケットの中に[訳しにく… 慣用表現でしょうか…])』という2006年にBragelonne(ブラジュロンヌ)という出版社から出たジャック・サドゥールの回想録に関係した記事のようですね。この人、BDプロパーじゃなく、SFにも相当造詣が深い人のようです。このコミュでも何度か名前が出てますが、「J'ai lu(ジェ・リュ)」という文庫の監修をしていたとか。で、この辺の記事を読むと、『l'enfer des bulles(吹き出しの地獄)』はポルノグラフィックなBD(要するにエロ漫画ですな)の百科事典ということですね。「l'enfer(地獄)」というのはフランスの国立図書館にある(あった?)発禁本を収めた書架のことで、エロ漫画を扱うに当たってぴったりだということでこの語を採用したというこの場合どうでもいいエピソードは書いてあった利します…(笑) 「bulles」は吹き出しのことですが、同じ意味の「ballons(バロン)」や「phylacteres(フィラクテール)」と比較して語感で選んだとのことです。と、結局実のある話はできないんですが、このトピの34の書き込みで紹介したHarry Morgan/ Manuel Hirtz(ハリー・モーガン/マニュエル・ヒルツ)『Le Petit Critique Illustré – Guide des ouvrages consacrés à la bande dessinée(図解小批評―バンド・デシネ研究ガイド)』(P. L. G.、2004年刊)のような解題書誌にはこの本の位置づけとか載ってるのかもしれませんね。ちなみに『93 ans de B-D(BDの93年)』にもエロ漫画を扱った章はあって、『ポパイ』や『ベティ・ブープ』のエロ二次創作が戦前に既にあったという興味深い事実が述べられていたりします。
それにしても「Hakudo」はひどいですね(笑)。まあ、こういう間違いは僕らもフランスの漫画に対して犯しかねないわけですが…
『l'enfer des bulles(吹き出しの地獄)』と、『93 ans de B-D(BDの93年)』にもエロ漫画を扱った章はあって、『ポパイ』や『ベティ・ブープ』のエロ二次創作が戦前に既にあったという興味深い事実が述べられていたりしますの箇所についてなのですが…
アメリカにはセールスマンが売り歩いたパロディ・エロマンガ同人誌(あるいはブートレグ)といったジャンルがあって、メキシコのティファナ(サンディエゴからバスに乗って観光する、アメリカと国境を接している町)で作っているということになっているので、Tijuana Biblesとも言いますが、一般にダーティ・コミックというジャンルが1930年代から1950年代にかけてあったそうです。二次創作がほとんどで、作画も素人臭いものなのですが、日本の80年代以降のパロディ同人誌、ヤオイ同人誌作家からプロマンガ家への流れのさきがけではないかと、また妄想してしまいました。
こんな本も出てます。『Tijuana Bibles』 Bob Adelman (Simons and Schuster Editions)。エロマンガやエロ同人誌的な流れはアメリカにもあったとすれば、フランスではどうだったかと考えたのですが、BDではSerpieriがもっとあからさまに表現していますね。この流れの分岐点は68年から70年代以降だと思うのですが…
35の書き込みで紹介した Claude Moliterni(クロード・モリテルニ)著『30 héros de toujours – Chefs-d’oeuvre de la BD 1830-1930(30人の永遠のヒーロー―1830‐1930年の傑作BD)』(Omnibus[オムニビュス]、2005年刊)読了しました。takatakata さんに貸していただきました。takatakata さん、ありがとうございます! これ、非常に素晴らしい本です。世界の漫画黎明期の代表作が、作家のプロフィールおよび作品の簡単な紹介文とともに載せられているんですが、何が素晴らしいかと言うと、特定の作品の1エピソード(場合によってはそれ以上)が丸まる載せられています! 普通、漫画史の本なんかだと1ページか2ページが小さく載せられてるだけで、作品の内容なんてさっぱりわからないんですが、この本の場合そんなことはありません。多くの作品が新聞に掲載された漫画なので、1ページあるいは見開き1ページ分で終わってることも多いですが、中にはテュプファー(トップフェール)の作品のように、複数ページに及んでいるものもあり、ありがたいことこの上ない。この本で取り上げられている作家は以下のとおり。Töpffer(テュップファー/トップフェール)、Nadar(ナダール)、Busch(ブッシュ)、Caran d’Ache(カラン・ダッシュ)、Christophe(クリストフ)、Outcault(アウトコールト)、Tom Browne(トム・ブラウン)、Dirks(ダークス)、Verbeek(ヴェルビーク? 発音不明…)、Pinchon et Caumery(パンション&コーメリー)、McCay(マッケイ)、Forton(フォルトン)、Attilio Mussino(アッティリオ・ムッシーノ)、Antonio Rubino(アントニオ・ルビーノ)、Feininger(ファイニンガー)、Herriman(ヘリマン)、McManus(マクマナス)、Sto(スト? 発音不明…)、Branner(ブラナー)、Messmer et Sullivan(メッツマー&サリヴァン)、Segar(シーガー)、Mary Tourtel(メアリー・ターテル? 発音不明…)、Alain Saint-Ogan(アラン・サン=トガン)、Walt Disney(ウォルト・ディズニー)。24作家の代表作30、厳密には33作品が載せられています。どれも新鮮で面白かったんですが、ナダールの作品(ちゃんと漫画の形をしていてびっくり)、カラン・ダッシュ、アッティリオ・ムッシーノ、ブラナー、メアリー・ターテル(?)が意想外に面白く、ブッシュ(勝手にモーリス・センダックの源泉だと思ってるんですけど、どうなんだろう?)、マッケイ(『Petit Sammy éternue(原題は Little Sammy Sneeze[リトル・サミーのくしゃみ])』って作品も載ってて、初めて知りました)、ファイニンガー、ヘリマン、アラン・サン=トガンは予想通りの面白さでした。シーガーの『ポパイ』とか、サリヴァンの『猫のフェリックス』とか、ディズニーの『ミッキー・マウス』とか、よく知られてるんだけど読んだことがなかったもの(いずれも予想以上に面白い!)も読めてよかったです。8月に出た雑誌『Pen』の「『Manga』の原点を探して、世界のコミック大研究。」特集を読んで、この本を読めばいっぱしの世界漫画通になること間違いなしです(笑)!
がすぱあるさんに教えていただいたのですが、早稲田大学文学部フランス文学研究室が出している『ETUDES FRANÇAISES(エチュード・フランセーズ)』という論集がありまして、この雑誌の2007年3月号、通算で14号になるんでしょうか、その号にBD関係の論文が2つ載せられています。

古永真一「バンドデシネ・アヴァンギャルド研究―マルタン・ヴォーン=ジェイムズの『檻』について」
中島万紀子「日常と非日常のあわいに―ルイス・トロンダイムとレーモン・クノー―」

の2編で、どちらも本格的な論文で面白いです。古永さんの論文はマルタン・ヴォーン=ジェイムズというイギリス出身、後にベルギーに移住したヌーヴォー・ロマンの影響を受けた漫画作家の主要作品『檻』の紹介で、僕はこの作家のことを全く知らなかったので、非常に勉強になりました。驚いたことに、この作家、スキュイテン&ペータースの「傾いた少女」および「デゾンブル事件」で、デゾンブルの役をやってる人なんですって! いやあ、『闇の都市』好きを自認しておきながら、知らなかったなんて恥ずかしい… それはさておき、古永さんの論文によれば、この人、作家としても超一流の様子です。いずれ読んでみたい。

中島さんの論文はトロンダイムの紹介と小説家レーモン・クノーとトロンダイムの比較を兼ねていて、クノーとの比較は個人的には関心ありませんが、トロンダイムの紹介は非常に勉強になりました。特に焦点を当てているのは「ラピノ」シリーズで、こりゃあぜひ読まねばならんと思いましたね。トロンダイムについてはつい最近、来年のアングレームにノミネートされたアポロとの共著『Ile Bourbon 1730(ブルボン島、1730年)』を読んで感銘を受けたところなので、ナイス・タイミングでもありました。

この2つの論考はいずれも文学寄りなところがありますが、いずれにせよ、こんな感じでBDを論ずるものが増えてくるといいですね。
上で触れた中島さんと古永さん、他にもBD関係の論文を書いてらっしゃいます。

■中島万紀子「ウリポ(潜在文学工房)からウバポ(潜在マンガ工房)へ―ルイス・トロンダイムにおける潜在性―」、『フランス文学語学研究 第23号』(早稲田大学大学院「フランス文学語学研究」刊行会、2004年)

■古永真一「ジョルジュ・バタイユとバンドデシネ」、『ETUDES FRANÇAISES(エチュード・フランセーズ) 13号』(早稲田大学文学部フランス文学研究室、2006年)

中島さんの論文は L'Association(ラソシアシオン)周辺の作家たちが、小説家レーモン・クノーらが推進した文学運動ウリポに影響を受けて行なったウバポというBDの実験的運動に焦点を当てたもの。古永さんの論考は、ジョルジュ・バタイユが唯一論じたBD作品『Pieds NIckelés(ピエ・ニックレ)』 を扱ったもので、『ピエ・ニックレ』自体の詳しい解説を含みます。どちらも非常に勉強になります。

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