妄想空間 -for Reina-コミュの【Detective Syndrome】1-1

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　――峰岸総合事務所の一日は、依頼の確認作業から始まる。

「恵さん、今日は何件ほど来ていますか？確認をお願いします。」
　ちなみに平常時依頼は月20～30件ほど来る。多いように見えるが実は結構簡単に解決するため、もう少し多く来て欲しいと切実に願っている。
「ん～～、今日はですねぇ～…」
　カチャカチャと恵がメ―ルボックス、依頼掲示板を確認している。その間に香折が郵送・投函物のチェックをし、小林が種別ごとに整理をする。
　大体この処理が終わるのに30分ほどかかる。
　私はその間、解決した依頼の書類整理及び未解決の依頼の調査に当たる。
　「今日は…うん、未解決の案件はないようね…」
　ということは書類整理をしなければならないということだ。
　先週は解決に導いた案件が多いため、すこし時間がかかるだろう。ゴソゴソと書類を引っ張り出してくる。
　書類整理の際に私が行う作業はそんなに多くはない。依頼を受けた日、解決した日、解決するまでに使用したものや手段を時系列にしてまとめればよいだけだ。その後の統計に関してはすべて恵がしてくれるからだ。

　（う～ん…そういえばこれは少しややこしかった案件だったな…。手帳、手帳…っと。ああ、そういえばそこで使ったんだった…）
　と、書類と闘っているうちに恵がニコニコしながらこちらにやってくる。どうやら整理が終わったらしい。
「みう所長♪…今日はこんな感じですぅ♪」
　相変わらず嬉しそうに報告しに来る。私も思わずニヤついてしまう。
「ふふ。恵さん、ありがとうございます。」

　――さて、いつものことだが確認する際はドキドキしてしまう。
　書類に目を通す。几帳面に並べられた小林の綺麗な字が、紙の上で踊るように並んでいる。そそっかしい割にかなり字は綺麗だから少し驚きものだ。

　（今日は2件ですか…。えぇと、ペットの捜索が1に浮気の調査が1…と。）
　早速依頼内容に目を通す。今日はまずペット捜索から行うことにする。依頼内容はその名の通りペットが行方不明になったので探して見つけて欲しいとのこと。お嬢様が飼っている猫が逃げ出したみたいね。
　まずは依頼人から聞き取りを行うべきかしら…。うん、この調査は恵と小林に任せよう。
「恵さん、小林君」
　名を呼ぶと、すぐに二人とも作業の手を止め、こちらにやってくる。
「二人とも、今日はこのペット捜索について調べてもらえるかしら。…そうね、まずは――、――他は二人に任せるわ。」
　いつものように簡単に手順を説明し、後は任せる。香折くらいになると安心して任せられるんだけど。

　少しやっかいなのは浮気調査の方だ。内容を詳しく見てみる。
（――どうやらよくあるケ―スみたいね。）
　浮気現場を押さえることと、相手の確認…意外と大変なのよね。
「香折さん、この案件なんだけど一緒にやりましょう」
　こういう調査は香折が得意である。…もしかして彼にも浮気の経験が…？少し香折を見つめてみる。すると香折は眉間に皺を寄せて、
「…所長殿、私は妻以外の女性には興味ありませぬぞ。浮気など言語道断です」
　――しまった、顔に出ていたみたいだ。まぁ、彼の家族を見ていれば浮気な気持ちが出ることがないのは明らかだが。
「失礼、では早速調査を行いましょうか。」
　了解した、と香折が頷く。まずは身辺調査から入ることにしましょう…

TO BE CONTINUED...