|
|
|
|
コメント(16)
ジャポニズムの面白いところは、開国後大量に入ってきた日本文化や浮世絵を、単なる異国趣味で終わらせなかった所にあると思います。経済規模や軍事力で圧倒的に勝っている西洋に対して、極東の小さな国の文化がを契機として何故これほどに深化していったのか。その情熱は何処から来たのか考えたくなります。
ルーブル美術館や大英博物館に行くと世界各国の文化が紹介されていますが、そこには植民地主義=西洋文化優位の姿勢が見え隠れしていて、略奪品のイメージが拭い去れません。まさしく異国趣味・物珍しさです。ですが、印象派や後期印象派、ナビ派の中に「完全に溶け込んだ日本の影響」を見ると、少しだけ嬉しくなる私がいます。
ルーブル美術館や大英博物館に行くと世界各国の文化が紹介されていますが、そこには植民地主義=西洋文化優位の姿勢が見え隠れしていて、略奪品のイメージが拭い去れません。まさしく異国趣味・物珍しさです。ですが、印象派や後期印象派、ナビ派の中に「完全に溶け込んだ日本の影響」を見ると、少しだけ嬉しくなる私がいます。
浮世絵についてちょっと調べてみました。
「浮世絵」は１７世紀中頃に生まれたもので、最初はモノクロだったそうです。木版画は大量生産が可能だったので安価で庶民に普及しました。美術が一般大衆の手に渡ったのは、西洋より日本の方が早かったのですね。
浮世絵の「浮き世」とは、仏教的厭世観の「憂き世=つらいことの多い世の中。無常のこの世」から始まり、それが転じて「浮き世=定めのない、はかない世の中。はかない世なら、浮かれて暮らそうという俗世の気持ち」となったそうです。ですので浮世絵は、実際の生活や庶民感情、町や野山の風景などを、生き生きと肯定的に描いています。
庶民の要望に応えるように、しだいに色が加えられるようになっていき、最初は刷った上に筆で着色した丹絵となり、徐々に筆で着色するのではなく、変わって色刷りの版を増やしていきました。
浮世絵の技法は１７６５年、十色以上の色彩を刷ることの出来る「錦絵」の登場で確立しました。最盛期は江戸時代後期・化政文化で、１８世紀後半〜１９世紀前半・徳川１１代将軍家斉治下の文化・文政年間（1804-1830）を中心とした時代でした。幕藩体制の動揺期にさしかかりますが、表面的には平穏な状態が続き、江戸を中心に太平の享楽的風潮がみなぎり、町人文化が栄えた時代です。活躍した浮世絵師は、葛飾北斎、鈴木春信、北川歌麿、安藤広重 です。
そして、１８５４年のペリー来航で開国して以降、安価で軽くて異国情緒たっぷりの浮世絵は、来日した西洋人達の格好のお土産になったそうです。
１８６７年フランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、爆発的なブームが起こります。最初はただ単に日本的なモチーフをエキゾチックな関心として楽しむことにとどまる（ジャポネズリー）でしたが、すぐに日本美術にヒントを得て、造形の様々なレベルに於いて、新しい視覚表現を追求したもの（ジャポニズム）となっていきました。
「浮世絵」は１７世紀中頃に生まれたもので、最初はモノクロだったそうです。木版画は大量生産が可能だったので安価で庶民に普及しました。美術が一般大衆の手に渡ったのは、西洋より日本の方が早かったのですね。
浮世絵の「浮き世」とは、仏教的厭世観の「憂き世=つらいことの多い世の中。無常のこの世」から始まり、それが転じて「浮き世=定めのない、はかない世の中。はかない世なら、浮かれて暮らそうという俗世の気持ち」となったそうです。ですので浮世絵は、実際の生活や庶民感情、町や野山の風景などを、生き生きと肯定的に描いています。
庶民の要望に応えるように、しだいに色が加えられるようになっていき、最初は刷った上に筆で着色した丹絵となり、徐々に筆で着色するのではなく、変わって色刷りの版を増やしていきました。
浮世絵の技法は１７６５年、十色以上の色彩を刷ることの出来る「錦絵」の登場で確立しました。最盛期は江戸時代後期・化政文化で、１８世紀後半〜１９世紀前半・徳川１１代将軍家斉治下の文化・文政年間（1804-1830）を中心とした時代でした。幕藩体制の動揺期にさしかかりますが、表面的には平穏な状態が続き、江戸を中心に太平の享楽的風潮がみなぎり、町人文化が栄えた時代です。活躍した浮世絵師は、葛飾北斎、鈴木春信、北川歌麿、安藤広重 です。
そして、１８５４年のペリー来航で開国して以降、安価で軽くて異国情緒たっぷりの浮世絵は、来日した西洋人達の格好のお土産になったそうです。
１８６７年フランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、爆発的なブームが起こります。最初はただ単に日本的なモチーフをエキゾチックな関心として楽しむことにとどまる（ジャポネズリー）でしたが、すぐに日本美術にヒントを得て、造形の様々なレベルに於いて、新しい視覚表現を追求したもの（ジャポニズム）となっていきました。
さて、今度は１９世紀後半のフランス絵画界について調べていこうと思っています。
当時の西洋は、１７８９年のフランス革命のように、１８世紀末の革命で貴族から市民に政権が移行しましたが、芸術の分野は１９世紀中頃を過ぎても依然として貴族や教会の支配下にありました。その中心が「官制サロン」です。美術書をひっくり返しても印象派や後期印象派のことばかりで、あまりサロンのことは載っていないのですが、実のところ当時の美術界の中心はこのサロンでした。官制サロンの歴史は古く、ルイ１４世の時代、１６４８年の王立アカデミーに伴って１６６７年に開かれた展覧会が第一回でした。以降中断はあるものの、毎年か隔年で開かれ、非情に権威の強いものだったそうです。事実、ナビ派を設立したメンバー達は、ゴーギャンに出会うまでサロンにばかりに関心があり、印象派のことは知らなかったそうです。今では美術書を見ると、印象派が大々的に取り上げられていて、美術の中心だった様な印象を受けますが、本当は弱小の無名に近い団体だったというわけです。
当時の西洋は、１７８９年のフランス革命のように、１８世紀末の革命で貴族から市民に政権が移行しましたが、芸術の分野は１９世紀中頃を過ぎても依然として貴族や教会の支配下にありました。その中心が「官制サロン」です。美術書をひっくり返しても印象派や後期印象派のことばかりで、あまりサロンのことは載っていないのですが、実のところ当時の美術界の中心はこのサロンでした。官制サロンの歴史は古く、ルイ１４世の時代、１６４８年の王立アカデミーに伴って１６６７年に開かれた展覧会が第一回でした。以降中断はあるものの、毎年か隔年で開かれ、非情に権威の強いものだったそうです。事実、ナビ派を設立したメンバー達は、ゴーギャンに出会うまでサロンにばかりに関心があり、印象派のことは知らなかったそうです。今では美術書を見ると、印象派が大々的に取り上げられていて、美術の中心だった様な印象を受けますが、本当は弱小の無名に近い団体だったというわけです。
この完成度を基準にする限り、印象派の絵画はそりゃ「塗りかけの壁紙」に見えますよね。
「それが何であるのか？」を踏まえるならば、これはこれで十分凄いし、楽しめます。
話は違いますが、最近の韓流ブーム＆『嫌韓流』の大売れを見ていると、「頽廃芸術展」が開かれた当時のドイツの状況に酷似していて驚きます。
当時のドイツは、絵画的には後進国。勢い、知識人や一部の前衛的な画家たちはフランス文化に傾倒していくわけですが、これが一般の人からするとおもしろくありません。
「なんで、ドイツの税金使ってフランスの絵画を購入せにゃならんのだ？ ドイツ人はドイツ人の描いた絵画を楽しむべきだ」というわけで、そのあたりの不満をうまくすくい取ったのがナチス・ドイツの「頽廃芸術展」だったわけです。
つまり、そこには前衛←→古典の諍いだけでなく、国家戦略も絡んでいたわけで、現在の韓流ブームの裏表にいろいろ類似を見てしまう次第です。
「それが何であるのか？」を踏まえるならば、これはこれで十分凄いし、楽しめます。
話は違いますが、最近の韓流ブーム＆『嫌韓流』の大売れを見ていると、「頽廃芸術展」が開かれた当時のドイツの状況に酷似していて驚きます。
当時のドイツは、絵画的には後進国。勢い、知識人や一部の前衛的な画家たちはフランス文化に傾倒していくわけですが、これが一般の人からするとおもしろくありません。
「なんで、ドイツの税金使ってフランスの絵画を購入せにゃならんのだ？ ドイツ人はドイツ人の描いた絵画を楽しむべきだ」というわけで、そのあたりの不満をうまくすくい取ったのがナチス・ドイツの「頽廃芸術展」だったわけです。
つまり、そこには前衛←→古典の諍いだけでなく、国家戦略も絡んでいたわけで、現在の韓流ブームの裏表にいろいろ類似を見てしまう次第です。
＞最近の韓流ブーム＆『嫌韓流』の大売れを見ていると、「頽廃芸術展」が開かれた当時のドイツの状況に酷似していて驚きます。
この二つを比較するあたり流石です。面白いです。
そもそも自然発生的に生じるブームなど、まず無いでしょう。必ず仕掛けがあると思います。仕掛ける事自体は悪いこととは思わないのですが、実際の事柄と、ブームの内容が乖離しているとき、そこに悪意を感じますね。
火種はあったにせよ、それを非情に単純化した形で解りやすく表現し、一部であるはずの出来事を大々的に伝達することで、それが全体の価値観だと人々に誤認させる。
そう言えば、今度の日曜は選挙ですね。小泉流だと郵政民営化選挙です。
この二つを比較するあたり流石です。面白いです。
そもそも自然発生的に生じるブームなど、まず無いでしょう。必ず仕掛けがあると思います。仕掛ける事自体は悪いこととは思わないのですが、実際の事柄と、ブームの内容が乖離しているとき、そこに悪意を感じますね。
火種はあったにせよ、それを非情に単純化した形で解りやすく表現し、一部であるはずの出来事を大々的に伝達することで、それが全体の価値観だと人々に誤認させる。
そう言えば、今度の日曜は選挙ですね。小泉流だと郵政民営化選挙です。
さて、「官制サロン」のことをちょっとかじりませしたが、本題はここからです。０８でサロン展出品者のずば抜けた描写力を取り上げましたが、負（現在のところ負となっている）の特徴を考えると以下のようなことがあげられます。
・絵の善し悪しの基準が技術的な側面に偏っていて、
描写方法がみんな同じ。
（滑らかに仕上げられている。タッチや色彩に、個性を持ち込まない）
・扱われている主題が歴史画、神話画が中心で現実味が無い。
（つまり、世俗的な物を主題にした絵は論外）
・理想美を追求するあまり、人間が美しすぎるほどの描写で描かれている。
（現実の人間を見ているわけではない）
等が、あげられると思います。つまり「非常に表面的だが、ずば抜けた技法で丹念に虚構を美しく描いている」と言うことです。
さて、サロンに対抗する動きが、どの様に始まり拡がっていったかを考える上でとても良い記事を見つけました。
美術情報のホームページartscape で村田 真氏
が書かれたものを紹介させていただきます。文章の主題はジャポニズムと異なりますが、一読するとその時代の美術の動きを知ることが出来ます。
http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/serial/0109/murata.html
・絵の善し悪しの基準が技術的な側面に偏っていて、
描写方法がみんな同じ。
（滑らかに仕上げられている。タッチや色彩に、個性を持ち込まない）
・扱われている主題が歴史画、神話画が中心で現実味が無い。
（つまり、世俗的な物を主題にした絵は論外）
・理想美を追求するあまり、人間が美しすぎるほどの描写で描かれている。
（現実の人間を見ているわけではない）
等が、あげられると思います。つまり「非常に表面的だが、ずば抜けた技法で丹念に虚構を美しく描いている」と言うことです。
さて、サロンに対抗する動きが、どの様に始まり拡がっていったかを考える上でとても良い記事を見つけました。
美術情報のホームページartscape で村田 真氏
が書かれたものを紹介させていただきます。文章の主題はジャポニズムと異なりますが、一読するとその時代の美術の動きを知ることが出来ます。
http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/serial/0109/murata.html
サロンに対抗する動きとして、１９世紀後半にその後の美術界に大きな影響を及ぼす大きな２つの出来事がありました。
一つ目が1863年に開かれた「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」です。
サロンに対する反発や不満がきっかけとなって組織されたもので、クールベの個展以上の反響を呼び、近代美術史の指標となっている展覧会です。
この年のサロンはいつになく審査が厳しかったようで、５０００点のうち３０００点が落選しました。その結果、落選者たちから不満や抗議の声が上がり、まもなく時の皇帝ナポレオン3世の耳にも届きます。皇帝は、審査が妥当であったかどうかの判断を一般の人々にゆだねるため、サロン会場と同じ産業館の下の階で落選作1200点ほど展示して入選作と比べられるよう取り計らったのでした。これが前代未聞の「落選者展」です。
そして皮肉にもこの「落選者展」は人々の好奇心をくすぐり、正規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのでした。マネ「草上の食事」をはじめピサ ロ・ホイッスラー「白い服の女」の作品が出品されスキャンダルを巻き起こしました。今でさえ美術の教科書に載っているような有名な絵が、当時は非難中傷の的でした。がしかし、官制サロンの絵しか見たことのない人々にとってインパクトの強いものであったに違いありません。
こうした「未視感」に挑む姿勢こそアヴァンギャルドたるゆえんであり、それは印象派に受け継がれていくのです。
二つ目が1874年に開催された「第1回印象派展」です。
繁華街のカピュシーヌ大通りに面した写真家ナダールのアトリエ２階で「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社の第1回印象派展」が開かれました。参加したのは、モネ、ルノワール、ドガ、ピサロ、セザンヌ、シスレー、ベルト・モリゾら30人で、出品点数は計165点。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継いでいました。
モネが港での日の出の情景を描いた「印象−日の出」は、朝もやに溶け込ませるように物事の輪郭をぼかしたためとらえどころがなく、人々の不興を買いました。この作品の題名を借用して、批評家のルイ・ルロワが彼らを侮蔑的に「印象派」と呼んだのが、それが彼らの通り名となりました。以後「印象派展」は1876、77、79、80、81、82、86年と7回おこなわれることになります。
そして、この間にサロンは政府から離れサロン・デ・ザルティスト・フランセ（フランス芸術協会）となります。サロンも世の流れにさからえず、政府の管轄から離れて民間組織として独立し、国家が庇護するアカデミズムの牙城としての役割を終えるのでした。
また、印象派展を堺に数々のグループ展が、催されるようになります。
一つ目が1863年に開かれた「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」です。
サロンに対する反発や不満がきっかけとなって組織されたもので、クールベの個展以上の反響を呼び、近代美術史の指標となっている展覧会です。
この年のサロンはいつになく審査が厳しかったようで、５０００点のうち３０００点が落選しました。その結果、落選者たちから不満や抗議の声が上がり、まもなく時の皇帝ナポレオン3世の耳にも届きます。皇帝は、審査が妥当であったかどうかの判断を一般の人々にゆだねるため、サロン会場と同じ産業館の下の階で落選作1200点ほど展示して入選作と比べられるよう取り計らったのでした。これが前代未聞の「落選者展」です。
そして皮肉にもこの「落選者展」は人々の好奇心をくすぐり、正規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのでした。マネ「草上の食事」をはじめピサ ロ・ホイッスラー「白い服の女」の作品が出品されスキャンダルを巻き起こしました。今でさえ美術の教科書に載っているような有名な絵が、当時は非難中傷の的でした。がしかし、官制サロンの絵しか見たことのない人々にとってインパクトの強いものであったに違いありません。
こうした「未視感」に挑む姿勢こそアヴァンギャルドたるゆえんであり、それは印象派に受け継がれていくのです。
二つ目が1874年に開催された「第1回印象派展」です。
繁華街のカピュシーヌ大通りに面した写真家ナダールのアトリエ２階で「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社の第1回印象派展」が開かれました。参加したのは、モネ、ルノワール、ドガ、ピサロ、セザンヌ、シスレー、ベルト・モリゾら30人で、出品点数は計165点。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継いでいました。
モネが港での日の出の情景を描いた「印象−日の出」は、朝もやに溶け込ませるように物事の輪郭をぼかしたためとらえどころがなく、人々の不興を買いました。この作品の題名を借用して、批評家のルイ・ルロワが彼らを侮蔑的に「印象派」と呼んだのが、それが彼らの通り名となりました。以後「印象派展」は1876、77、79、80、81、82、86年と7回おこなわれることになります。
そして、この間にサロンは政府から離れサロン・デ・ザルティスト・フランセ（フランス芸術協会）となります。サロンも世の流れにさからえず、政府の管轄から離れて民間組織として独立し、国家が庇護するアカデミズムの牙城としての役割を終えるのでした。
また、印象派展を堺に数々のグループ展が、催されるようになります。
先の書き込みで、１８６７年フランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、爆発的なブームが起こったと書きましたが、注目すべき点として、1863年に開かれた「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」と、1874年に開催された「第1回印象派展」の間に、それが調度位置することです。
浮世絵の特徴を先にあげました
・「極端な平面性」（多彩な中間色の色面・木版画のため陰影が無い）
・「流れるような描線」（デフォルメ）
・「意表をついた構図」（人が変なところで切れたりする・鳥瞰図
・手前を何かが思い切り突っ切る 等々）
・「描かれた対象は、庶民の生活や風俗・風景」（権威性が全くない）
・「版画なので大量生産が可能」（比較的短期間で情報が伝わる）
いったいこれらの事柄が、どの様に活かされて行ったのでしょうか？
「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」は人々の好奇心をくすぐり、正規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのでしたが、それは非難中傷・笑いの的になりました。が、裏を返せば、それは、すました顔で物知り風にサロンの作品を見ているときよりずっと下品でリアルな状態であり、作品が実際に機能していると捉えることが出来ます。人々はサロンの権威から離れた自由な目を持つことの面白さを体験したとも言えます。
「第1回印象派展」この展覧会に出品した画家達は、サロンに出品していたにもかかわらず、その旧套的な体質に不満を感じていた点では意見が一致していました。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継いでいます。
ここで、クールベが1855年に行った世界初の「個展」の会場で売られた目録に載せられていたレアリスム宣言を紹介します。「私の時代の風俗、思想、外観を自分自身の判断にしたがって翻訳すること、画家であるだけでなくひとりの人間であること、要するに生きた芸術をつくること、それが私の目的である」
印象派の画家達はこの宣言に多かれ少なかれ影響を受けています。
さてここで再びさて、「官制サロン」の負（現在のところ負となっている）の特徴を思い出して下さい
・絵の善し悪しの基準が技術的な側面に偏っていて、
描写方法がみんな同じ。
（滑らかに仕上げられている。タッチや色彩に、個性を持ち込まない）
・扱われている主題が歴史画、神話画が中心で現実味が無い。
（つまり、世俗的な物を主題にした絵は論外）
・理想美を追求するあまり、人間が美しすぎるほどの描写で描かれている。
（現実の人間を見ているわけではない）
等をあげました。
これを裏返すと
・様々な描画方法を個々の信念で探求する（タッチや色彩に個々の感性を持ち込む）
・現実的な対象を絵の主題にする。人物中心の主題ばかりではなく、
町並みや自然も対象とする
・活気ある人間の営みを対象とする
・画家の美意識の探求
「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」「第1回印象派展」「官制サロンの負の特徴」を「浮世絵の特徴」と比較するとするといかがでしょうか？奇妙なほど一致しています。
フランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、日本の美術がこの時期にフランスに紹介されたことは偶然の出来事です。それにも関わらずジャポネズリーに留まらず、ジャポニズムとなっていったのは、既にこのような条件が準備されていたからなのです。
浮世絵の特徴を先にあげました
・「極端な平面性」（多彩な中間色の色面・木版画のため陰影が無い）
・「流れるような描線」（デフォルメ）
・「意表をついた構図」（人が変なところで切れたりする・鳥瞰図
・手前を何かが思い切り突っ切る 等々）
・「描かれた対象は、庶民の生活や風俗・風景」（権威性が全くない）
・「版画なので大量生産が可能」（比較的短期間で情報が伝わる）
いったいこれらの事柄が、どの様に活かされて行ったのでしょうか？
「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」は人々の好奇心をくすぐり、正規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのでしたが、それは非難中傷・笑いの的になりました。が、裏を返せば、それは、すました顔で物知り風にサロンの作品を見ているときよりずっと下品でリアルな状態であり、作品が実際に機能していると捉えることが出来ます。人々はサロンの権威から離れた自由な目を持つことの面白さを体験したとも言えます。
「第1回印象派展」この展覧会に出品した画家達は、サロンに出品していたにもかかわらず、その旧套的な体質に不満を感じていた点では意見が一致していました。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継いでいます。
ここで、クールベが1855年に行った世界初の「個展」の会場で売られた目録に載せられていたレアリスム宣言を紹介します。「私の時代の風俗、思想、外観を自分自身の判断にしたがって翻訳すること、画家であるだけでなくひとりの人間であること、要するに生きた芸術をつくること、それが私の目的である」
印象派の画家達はこの宣言に多かれ少なかれ影響を受けています。
さてここで再びさて、「官制サロン」の負（現在のところ負となっている）の特徴を思い出して下さい
・絵の善し悪しの基準が技術的な側面に偏っていて、
描写方法がみんな同じ。
（滑らかに仕上げられている。タッチや色彩に、個性を持ち込まない）
・扱われている主題が歴史画、神話画が中心で現実味が無い。
（つまり、世俗的な物を主題にした絵は論外）
・理想美を追求するあまり、人間が美しすぎるほどの描写で描かれている。
（現実の人間を見ているわけではない）
等をあげました。
これを裏返すと
・様々な描画方法を個々の信念で探求する（タッチや色彩に個々の感性を持ち込む）
・現実的な対象を絵の主題にする。人物中心の主題ばかりではなく、
町並みや自然も対象とする
・活気ある人間の営みを対象とする
・画家の美意識の探求
「サロン-デルフュゼ 〔落選者展〕」「第1回印象派展」「官制サロンの負の特徴」を「浮世絵の特徴」と比較するとするといかがでしょうか？奇妙なほど一致しています。
フランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、日本の美術がこの時期にフランスに紹介されたことは偶然の出来事です。それにも関わらずジャポネズリーに留まらず、ジャポニズムとなっていったのは、既にこのような条件が準備されていたからなのです。
最後に１９世紀フランスの絵画史の年表をのせておきます。
この年表は今回のトッピックを書くために、あちこちの文献や画集、解説書をより抜粋したもので著作権侵害するものばかりですが、とりあえず全体の見通しがきくものですのでのせておきます。
フランスは革命（1789年）以後、大激動を続ける
1814年、ブルボン王朝が復活し、ルイ18世が王位につく
1824年、シャルル10世は権力を行使し、出版統制、選挙資格制限を行い、
議会を解散したので、その反動が強まる
1830年、7月革命 民衆が再び蜂起シ、再びブルボン王朝は倒された。
1830年、オルレアン公ルイ・フィリップが7月王政を始める。この時期、
フランスの産業革命が進行し資本主義が進展する。7月王政は
1848年の2月革命まで、18年間続く。
1841年、クールベは、最初はほかの画家と同様サロンへの入選をめざして
いた。初出品したが落選。1844年に初入選以後1846年まで3年連
続で入選を果たす。
1848年、強圧政治のため2月革命が起き、ルイ・ナポレオンの第二帝政が
始まる。彼はナポレオン３世となり、パリを近代的な都市に整え
て行った。それにともなって美術制度が改変。とりあえず クー
ルベに有利な情勢となった。第2共和制下の美術行政はその年の
サロンを無審査とし、彼の送った10点すべてが展示されたから
だ。
1849年、クールベ「オルナンの食後」が国家買い上げとなり、2等賞を受
賞。これによって彼は以後のサロンに無審査で出品できる権利を
得る
1855年、サロンはこの年パリで初めて開かれる万国博覧会に吸収合併され
る（1851年に開催された第1回ロンドン万博。1855年以降はパリ
が主導権を奪い、1900年までほぼ11年ごとに開かれていく）1855
年以来、サロンはパリ万博のパビリオンとして建てられた産業館
（パレ・ド・ランデュストリー）を舞台に隔年開催
クールベ個展開催
クールベはここに新旧の自信作13点を出品。ところが「オルナン
の埋葬」と「画家のアトリエ」の2大作が審査で拒否憤慨した彼
は万博会場の向かい側に仮設の特設会場をしつらえ、この2大作
を含む40点を集めて個展を開いたのだった。レアリスムの画家
クールベが開いた個展は、その最初の試みとして記憶される。み
ずからの主義主張をアピールするため会場を借り、まとまった数
の作品を展示し、目録まで用意したのはクールベの個展が初めて
といっていい。入口には「レアリスム」と書いた看板を掲げ、会
場で売られた目録には、「私の時代の風俗、思想、外観を自分自
身の判断にしたがって翻訳すること、画家であるだけでなくひと
りの人間であること、要するに生きた芸術をつくること、それが
私の目的である」と謳った。いわゆるレアリスム宣言である。
1859年、マネ、サロンに初挑戦したものの落選。1861年に初入選し、1点
が佳作賞を受けた。だがそれで満足するような画家ではなかった
1863年、マネ、サロンで決定的な評価を得ようと、より野心的な「草上の
昼食」（当初は「水浴」と呼ばれていた）を含む3点を送り込
む。それだけでなく、サロンの直前に当時としては珍しく画廊で
個展を開き、批評家や審査員の目を引きつけようとした。ところ
がそんな努力も空しく、3点とも落選してしまう。
サロン-デルフュゼ 〔落選者展の意〕が行われる
画家たちが一致団結して組み立てたグループ展ではないが、サ
ロンに対する反発や不満がきっかけとなって組織されたもので、
クールベの個展以上の反響を呼び、近代美術史の指標となってい
る。
この年のサロンはいつになく審査が厳しかったようで、マネだ
けでなくほかの落選者たちからも不満や抗議の声が上がり、まも
なく時の皇帝ナポレオン3世の耳にも届く。皇帝は落選作を何点
か見たうえ、審査が妥当であったかどうかの判断を一般の人々に
ゆだねるため、これらを同じ産業館の下の階で1200点ほど展示し
て入選作と比べられるよう取り計らったのだ。これが前代未聞の
「落選者展」である。したがって「落選者展」の発案者はサロン
の落選者でもなければアカデミーでもなく、ナポレオン3世だっ
た。
そして皮肉にもこの「落選者展」は人々の好奇心をくすぐり、正
規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのである。マネ「草上の
食事」をはじめピサ ロ・ホイッスラー「白い服の女」の作品が
出品されスキャンダルを巻き起こす。こうした「未視感」に挑む
姿勢こそアヴァンギャルドたるゆえんであり、それはのちの印象
派に受け継がれていくのである。
しかし、その主役を務めたのはずのマネは、皮肉なことにサロ
ンへの熱心な応募者もであり、たとえサロンが敵視しようと彼
自身は入選・入賞にこだわり続けたのだった。
1860年代中期、マネはカフェ・ゲルボワで、ゾラ、ドガ、バジールらと交
流を深め、やがてセザンヌ、モネ、ルノワールらも合流して画家
たちのサークルが生まれる。彼らはしばしば激論を交わし、とき
に衝突したが、いずれもサロンに出品していたにもかかわらず、
その旧套的な体質に不満を感じていた点では意見が一致した。
1865年、「落選者展」の開かれた次の回のサロンにマネは「オランピア」
を入選させ、はからずも「草上の昼食」以上のスキャンダルを
引き起こす。
1867年、第2回パリ万博に際し、マネはクールベにならって個展を開催し
たものの、客が入らず失敗に終わり、再びサロンをめざすことに
なる。
このフランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、爆発的
な日本美術ブームが起こル。最初はただ単に日本的なモチーフを
エキゾチックな関心として楽しむことにとどまる（ジャポネズ
リー）だったが、すぐに日本美術にヒントを得て、造形の様々な
レベルに於いて、新しい視覚表現を追求したもの（ジャポニズ
ム）となっていった。
1870年〜1871年にかけてのプロイセン・フランス戦争（普仏戦争）での敗
北、続くパリコミューンの混乱は、画家たちにさまざまな体験を
強いた。モネとピサロはロンドンへ渡ったが、バジールは戦死、
ルノワールは騎兵隊に、ドガは砲兵隊、マネは国防参謀本部へ、
などである。1870年、プロイセン･フランス戦争で敗れ、ドイツ
軍がパリへ入城。1871年、プロイセン･フランス戦争での講和条
約があまりにもフランスに不利だったので、市民自治のパリコ
ミューン誕生となる。しかし、３月に誕生したパリコミューンは
２ヶ月後の５月に市街戦となり、粉砕される。第3共和制の成立
と社会は揺れ動く。第2帝政下の自由放任主義への反動からサロ
ンは保守的傾向を強め、審査も厳しさを増していく。
1873年、サロンには多数の落選者を出したため、10年ぶりに「落選者展」
が開かれる。
1873年、カフェ・ゲルボワに集う画家たちは、サロンにかわる自由な作品
発表の場として、リスクの大きい個展ではなく、メンバーを募っ
て資金を分担するグループ展を計画。
1874年、繁華街のカピュシーヌ大通りに面した写真家ナダールのアトリエ
２階で「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社第1回
展」が開かれる。これがすなわち「第1回印象派展」である。会
期は「落選者展」との違いを強調するため、サロンの開幕より2
週間あまり早めたという。参加したのは、モネ、ルノワール、ド
ガ、ピサロ、セザンヌ、シスレー、ベルト・モリゾら30人で、出
品点数は計165点。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風
景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継
いでいる。
モネが港での日の出の情景を描いた「印象−日の出」は、朝も
やに溶け込ませるように物事の輪郭をぼかしたためとらえどころ
がなく、人々の不興を買った。観衆は、なにが描かれているかさ
えわかればとりあえず納得するものなのだ。この作品の題名を借
用して、批評家のルイ・ルロワが彼らを侮蔑的に「印象派」と呼
んだのは有名な話だが、それが彼らの通り名となり、第3回展か
らみずから「印象派展」と称するようになる。
以後「印象派展」は1876、77、79、80、81、82、86年と7回おこ
なわれることになる。
1875年、フランスは、共和国憲法を発布し、市民社会を実現させて行く。
1881年、サロン・デ・ザルティスト・フランセ（フランス芸術協会）とな
る。
サロンは政府から離れフランス芸術協会となる。サロンも世の流
れにさからえず、政府の管轄から離れて民間組織として独立し、
国家が庇護するアカデミズムの牙城としての役割を終えるのであ
る。
1884年、マネ遺作展
「アンデパンダン展」（独立展）始まる
1888年、「ナビ派」結成
1890年、サロン・ナショナル（サロン・デ・ザルティスト・フランセより
国民美術協会が分離
1893年、サロン・ドートンヌ（秘展）始まる
この年表は今回のトッピックを書くために、あちこちの文献や画集、解説書をより抜粋したもので著作権侵害するものばかりですが、とりあえず全体の見通しがきくものですのでのせておきます。
フランスは革命（1789年）以後、大激動を続ける
1814年、ブルボン王朝が復活し、ルイ18世が王位につく
1824年、シャルル10世は権力を行使し、出版統制、選挙資格制限を行い、
議会を解散したので、その反動が強まる
1830年、7月革命 民衆が再び蜂起シ、再びブルボン王朝は倒された。
1830年、オルレアン公ルイ・フィリップが7月王政を始める。この時期、
フランスの産業革命が進行し資本主義が進展する。7月王政は
1848年の2月革命まで、18年間続く。
1841年、クールベは、最初はほかの画家と同様サロンへの入選をめざして
いた。初出品したが落選。1844年に初入選以後1846年まで3年連
続で入選を果たす。
1848年、強圧政治のため2月革命が起き、ルイ・ナポレオンの第二帝政が
始まる。彼はナポレオン３世となり、パリを近代的な都市に整え
て行った。それにともなって美術制度が改変。とりあえず クー
ルベに有利な情勢となった。第2共和制下の美術行政はその年の
サロンを無審査とし、彼の送った10点すべてが展示されたから
だ。
1849年、クールベ「オルナンの食後」が国家買い上げとなり、2等賞を受
賞。これによって彼は以後のサロンに無審査で出品できる権利を
得る
1855年、サロンはこの年パリで初めて開かれる万国博覧会に吸収合併され
る（1851年に開催された第1回ロンドン万博。1855年以降はパリ
が主導権を奪い、1900年までほぼ11年ごとに開かれていく）1855
年以来、サロンはパリ万博のパビリオンとして建てられた産業館
（パレ・ド・ランデュストリー）を舞台に隔年開催
クールベ個展開催
クールベはここに新旧の自信作13点を出品。ところが「オルナン
の埋葬」と「画家のアトリエ」の2大作が審査で拒否憤慨した彼
は万博会場の向かい側に仮設の特設会場をしつらえ、この2大作
を含む40点を集めて個展を開いたのだった。レアリスムの画家
クールベが開いた個展は、その最初の試みとして記憶される。み
ずからの主義主張をアピールするため会場を借り、まとまった数
の作品を展示し、目録まで用意したのはクールベの個展が初めて
といっていい。入口には「レアリスム」と書いた看板を掲げ、会
場で売られた目録には、「私の時代の風俗、思想、外観を自分自
身の判断にしたがって翻訳すること、画家であるだけでなくひと
りの人間であること、要するに生きた芸術をつくること、それが
私の目的である」と謳った。いわゆるレアリスム宣言である。
1859年、マネ、サロンに初挑戦したものの落選。1861年に初入選し、1点
が佳作賞を受けた。だがそれで満足するような画家ではなかった
1863年、マネ、サロンで決定的な評価を得ようと、より野心的な「草上の
昼食」（当初は「水浴」と呼ばれていた）を含む3点を送り込
む。それだけでなく、サロンの直前に当時としては珍しく画廊で
個展を開き、批評家や審査員の目を引きつけようとした。ところ
がそんな努力も空しく、3点とも落選してしまう。
サロン-デルフュゼ 〔落選者展の意〕が行われる
画家たちが一致団結して組み立てたグループ展ではないが、サ
ロンに対する反発や不満がきっかけとなって組織されたもので、
クールベの個展以上の反響を呼び、近代美術史の指標となってい
る。
この年のサロンはいつになく審査が厳しかったようで、マネだ
けでなくほかの落選者たちからも不満や抗議の声が上がり、まも
なく時の皇帝ナポレオン3世の耳にも届く。皇帝は落選作を何点
か見たうえ、審査が妥当であったかどうかの判断を一般の人々に
ゆだねるため、これらを同じ産業館の下の階で1200点ほど展示し
て入選作と比べられるよう取り計らったのだ。これが前代未聞の
「落選者展」である。したがって「落選者展」の発案者はサロン
の落選者でもなければアカデミーでもなく、ナポレオン3世だっ
た。
そして皮肉にもこの「落選者展」は人々の好奇心をくすぐり、正
規のサロンに勝るとも劣らぬ人気を博すのである。マネ「草上の
食事」をはじめピサ ロ・ホイッスラー「白い服の女」の作品が
出品されスキャンダルを巻き起こす。こうした「未視感」に挑む
姿勢こそアヴァンギャルドたるゆえんであり、それはのちの印象
派に受け継がれていくのである。
しかし、その主役を務めたのはずのマネは、皮肉なことにサロ
ンへの熱心な応募者もであり、たとえサロンが敵視しようと彼
自身は入選・入賞にこだわり続けたのだった。
1860年代中期、マネはカフェ・ゲルボワで、ゾラ、ドガ、バジールらと交
流を深め、やがてセザンヌ、モネ、ルノワールらも合流して画家
たちのサークルが生まれる。彼らはしばしば激論を交わし、とき
に衝突したが、いずれもサロンに出品していたにもかかわらず、
その旧套的な体質に不満を感じていた点では意見が一致した。
1865年、「落選者展」の開かれた次の回のサロンにマネは「オランピア」
を入選させ、はからずも「草上の昼食」以上のスキャンダルを
引き起こす。
1867年、第2回パリ万博に際し、マネはクールベにならって個展を開催し
たものの、客が入らず失敗に終わり、再びサロンをめざすことに
なる。
このフランス万博に、江戸幕府・薩摩・長州が出展し、爆発的
な日本美術ブームが起こル。最初はただ単に日本的なモチーフを
エキゾチックな関心として楽しむことにとどまる（ジャポネズ
リー）だったが、すぐに日本美術にヒントを得て、造形の様々な
レベルに於いて、新しい視覚表現を追求したもの（ジャポニズ
ム）となっていった。
1870年〜1871年にかけてのプロイセン・フランス戦争（普仏戦争）での敗
北、続くパリコミューンの混乱は、画家たちにさまざまな体験を
強いた。モネとピサロはロンドンへ渡ったが、バジールは戦死、
ルノワールは騎兵隊に、ドガは砲兵隊、マネは国防参謀本部へ、
などである。1870年、プロイセン･フランス戦争で敗れ、ドイツ
軍がパリへ入城。1871年、プロイセン･フランス戦争での講和条
約があまりにもフランスに不利だったので、市民自治のパリコ
ミューン誕生となる。しかし、３月に誕生したパリコミューンは
２ヶ月後の５月に市街戦となり、粉砕される。第3共和制の成立
と社会は揺れ動く。第2帝政下の自由放任主義への反動からサロ
ンは保守的傾向を強め、審査も厳しさを増していく。
1873年、サロンには多数の落選者を出したため、10年ぶりに「落選者展」
が開かれる。
1873年、カフェ・ゲルボワに集う画家たちは、サロンにかわる自由な作品
発表の場として、リスクの大きい個展ではなく、メンバーを募っ
て資金を分担するグループ展を計画。
1874年、繁華街のカピュシーヌ大通りに面した写真家ナダールのアトリエ
２階で「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社第1回
展」が開かれる。これがすなわち「第1回印象派展」である。会
期は「落選者展」との違いを強調するため、サロンの開幕より2
週間あまり早めたという。参加したのは、モネ、ルノワール、ド
ガ、ピサロ、セザンヌ、シスレー、ベルト・モリゾら30人で、出
品点数は計165点。日常的な主題を明るい色彩で素早く描いた風
景画が多く、クールベやマネの推し進めてきた「改革」を受け継
いでいる。
モネが港での日の出の情景を描いた「印象−日の出」は、朝も
やに溶け込ませるように物事の輪郭をぼかしたためとらえどころ
がなく、人々の不興を買った。観衆は、なにが描かれているかさ
えわかればとりあえず納得するものなのだ。この作品の題名を借
用して、批評家のルイ・ルロワが彼らを侮蔑的に「印象派」と呼
んだのは有名な話だが、それが彼らの通り名となり、第3回展か
らみずから「印象派展」と称するようになる。
以後「印象派展」は1876、77、79、80、81、82、86年と7回おこ
なわれることになる。
1875年、フランスは、共和国憲法を発布し、市民社会を実現させて行く。
1881年、サロン・デ・ザルティスト・フランセ（フランス芸術協会）とな
る。
サロンは政府から離れフランス芸術協会となる。サロンも世の流
れにさからえず、政府の管轄から離れて民間組織として独立し、
国家が庇護するアカデミズムの牙城としての役割を終えるのであ
る。
1884年、マネ遺作展
「アンデパンダン展」（独立展）始まる
1888年、「ナビ派」結成
1890年、サロン・ナショナル（サロン・デ・ザルティスト・フランセより
国民美術協会が分離
1893年、サロン・ドートンヌ（秘展）始まる
- mixiユーザー
- ログインしてコメントしよう！
|
|
|
|
「ボナールとナビ派」考 更新情報
-
最新のイベント
-
まだ何もありません
-
-
最新のアンケート
-
まだ何もありません
-
「ボナールとナビ派」考のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています
人気コミュニティランキング
- 1位
- ハレプロ セッション♪
- 453人
- 2位
- 一行で笑わせろ！
- 82526人
- 3位
- 手作りのお弁当
- 363675人