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「ニーベルングの指環」コミュの「ジークフリート」第1幕前半

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さて「ジークフリート」です。

第1幕:前半、
舞台はミーメの家、
ミーメは一生懸命、剣を鍛えています。
でもどうしてもノートゥングだけは鍛えられないのです。
いくら作り直してもいともアッサリ折ってしまい、
「こんなもん使えるか!」
と叩きつけるジークフリートに、
ミーメはほとほと手を焼いています。
そこへクマを連れたジークフリートが戻ってきます。
いきなりクマなんて連れてこられてもねぇ(^^;
ジークフリートは出来上がった剣を
またポッキリと折ってしまいます。
森の中に逃げ込んだジークリンデが
ここへ転がり込んできて苦しみの末に生んだ息子、
彼女が死んだ後、
こんなに愛情込めて育てた子供なのに、
お前は何と恩知らずな奴だろうと嘆くミーメ、
そのしつこさにウンザリしたジークフリートは、
ノートゥングを鍛えなおしとけ!と言い捨てて、
またどこかへ出て行ってしまいます。

ミーメがこの剣を鍛えたい理由というのは、
この剣でないと大蛇に姿を変えて指環を守っている
ファーフナーを倒せないからです。
あの指環さえあれば世界を征服できる!
と思ってはみるもののミーメには、
どうしてもノートゥングを鍛えることが出来ません。
どうしたら良いのだ?!と嘆いているところへ、
さすらい人に身をやつしているヴォータンがやってきます。
ちょいとここで休ませてもらうぞと
ずかずかと上がりこんできました
これ以上の面倒はごめんだと、
ミーメは彼を追い出そうとしますが、
さすらい人は出て行きません。
それなら謎かけ合戦をやろうじゃないか、
お前が勝ったらわしの頭をとるがいい、
だがわしが勝ったらお前の頭をいただくぞ、という事で、
3つの質問に答えねばならなくなります。
その質問とは・・・・?

長いのでここからはまた明日!

コメント(10)

第1幕:第2場、
ミーメがさすらい人に質問します。

「地底に住む種族は何か?」
大神ヴォータンには簡単なことで、
「一度はアルベリッヒが支配していたニーベルング族だ。
彼らは黄金を掘って裕福に暮らしている。」

「では地上に住む種族は何か?」
「それは巨人族だ、リーゼンハイムが彼らの住処。
ニーベルング族の富と権力を羨み、
指環を手に入れようとして、
ファーフナーがファーゾルトを殺した。
ファーフナーはドラゴンに姿を変えて、
宝物を大事に守っているぞ。」

「では天上に住むのは何か?」
「それは神々だ。ヴァルハラが彼らの住まいであり、
光の王であるヴォータンがそこの主。
ヴォータンの槍には誓いのルーン文字が刻まれていて、
それを持ってヴォータンはこの世を治めている。
これで全部答えたぞ、わしはこの頭を保っていて良いわけだな。」

もうわかったから出て行ってくれというミーメ、
ミーメはここでこの男はヴォータンらしいと薄々わかったので、
怖くなったのですが、
それじゃあフェアじゃないじゃないか、
今度はわしが質問する番だ、
答えられなかったらお前の頭をいただくからな、
ここへ入ってきたとき、歓迎してくれなかったしなぁと、
ミーメを苛めるさすらい人(^^;

ミーメもこんな事を訊かずに、
「どうやったらフリッカとの口論に勝てるか?」
「フリッカにバレないように浮気する方法は?」
「ブリュンヒルデ以外のワルキューレ達の母親は誰か?」
とか答えられない質問をすれば良いものを!(爆)

さすらい人が尋ねます。
「ヴォータンが最も愛していたが、
諦めねばならなかった種族は何か?」
「それはヴェルズング族、
ヴェルゼの双子が英雄ジークフリートの親となった。」

「おお、よく出来たではないか、
じゃあそのジークフリートに残された剣の名前は何だ?」
「それはノートゥング、
ヴォータンが樫の木に突き刺しておいたもの。
ジークムントはそれを持って戦ったが、
ヴォータンが打ち砕いてしまった。
しかしそれはジークフリートに受け継がれた。
勇気はあるが馬鹿な子供だ。」

さすらい人はここで大笑いします。
おお、お前は賢いなあと言ってはいますが、
感心して笑っているのではなく、
哄笑しているのです。
ヴォータンの笑いはいつも哄笑あるいは嘲笑であり、
愉快だから笑っていることはないのです。
嫌味な笑いですよね!

「ではその剣を鋳直すにはどうすれば良いのだ?」
ここでミーメは困ってしまいます。
世界一の鍛冶屋と自負している自分にも出来ないのですから。
このままでは頭をとられてしまうと必死で考えますが、
答えは出てきません。

さすらい人はじゃあお前の頭をもらおうかな?
などどさらに苛めていますが、
恐れを知らずに育った者だけが、
剣を鍛え直すことが出来るのだと
教えてやって、どこかへ去って行きます。

種族の名前が出てくるところで、
聴いたことのあるメロディが流れます。
これはライトモティーフといって、
テーマソングのようなものです。
だからこのオペラ(楽劇といいますが)音楽を聴いたら、
何の話をしているかすぐわかる仕組みになっています。
第1幕:第3場、
さすらい人が出て行ったあと、
ミーメは悩みすぎて錯乱状態になり、
あの剣がないとファーフナーを殺せない、
うわ〜ドラゴンが襲ってくる〜!
と床の上を転げまわっているところへ、
おーい、剣は作り直したのか〜?
とジークフリートが戻ってきます。
ミーメの様子がおかしいぞと気づいたジークフリートは、
どうしたのか尋ねます。
ミーメは暗い森の奥深くに住む
恐ろしいドラゴンの事を話します。
ミーメがいくらおどろおどろしく話しても、
「恐怖」を知らないジークフリートには、
それがどうかしたのか?でもそれって面白そうだな、
そこへ案内しろよ、で、剣が要るんだろ?
鋳直したのかい?まだやってないのかよ〜、
じれったいなぁ、かしてみろ!
その剣は何て名前なんだ?と尋ねると、
お前のお母さんがそう呼んでいたよと
ノートゥングという名を教えます。
ミーメがどんなに苦労しても鋳直せなかったその剣を、
ジークフリートは「鍛冶の歌」を歌いながら
いとも簡単に鍛え直しているのを見て
これは上手くいったわいとミーメはしめしめと思っています。
これでファーフナーの指環と自分の頭は無事だというわけです。
ジークフリートにはドラゴンと戦わせ、
疲れて何か飲み物をと言い出すだろうから、
それに眠り薬を入れておけば・・・・
などといろいろ策略を練っています。
ミーメは何をしてるのかな?お料理か?
僕の方が上手く鍛えられるから、
もう僕の親方じゃないもんな、などと言いながら、
剣を鍛え上げたジークフリートは、
出来上がった剣を勢いよく振り下ろして、
ミーメのかな床を真っ二つに割ってしまいます。
第2幕:第1場、
深い森の奥、
ここには大蛇に姿を変えたファーフナーがいて、
しっかりと指環を守っています。
アルベリッヒがやってきて様子を伺っているところへ、
さすらい人もやって来たので、
アルベリッヒは、この盗人めが何しに来やがった!
と憎々し気に毒づきますが、
さすらい人は面倒を起こしに来たわけではなく、
ただ見物に来ただけだとか言うので、
アルベリッヒは益々いきり立ちます。

そりゃあまあ、指環をぶん取られたわけですから、
怒っても当たり前なんですが(^^;
泥棒が強盗を罵っているような会話です。

しばらくアルベリッヒは文句たらたら、
しかしさすらい人はミーメに気をつけろと
教えに来たのだと言います。
ミーメはあの子供をつれて、
ファーフナーを殺しに来ようとしているぞ、
この子供はわしの事は何も知らないのだ。
それにこの子供は指環の事は何も知らないぞ。
半信半疑のアルベリッヒは、
「じゃあ今度は邪魔しないんだろうな?」
「あの指環は真の英雄しか手に出来ないのさ。
大蛇を起こしてみようか?」
さすらい人はお前に危険を教えに来たのだ。
英雄がお前を殺して宝物を奪おうとしているぞと、
ファーフナーを起こそうとしますが、
うるさそうに寝かしておいてくれと言われるだけです。

ここでまたさすらい人は哄笑します。
ほらね、お前ではダメなんだ。
人を悪者扱いするのは止めにして、
忠告を聞いたらどうだい?
こう言いながらさすらい人はまた去っていきます。

ああ、笑うがいいさ、
光の子だか何だか知らんがこのギャングめが!
あとで目にもの見せてやる!!
アルベリッヒが怒っているところへ、
ミーメとジークフリートがやってきて、
ここから先は第2場になります。
この場面はまた長いので、
(いつだって長いが・笑)
2回に分けますね。

第2幕:第2場前半
アルベリッヒが身を隠した後、
ミーメとジークフリートがやってきました。
「さあ、着いたぞ!ここが大蛇の住処だ。」
「じゃあここで恐怖とやら言うものを教えてもらえるんだな?
えらく遠くまで来たもんだ。
ここからは僕一人で良い。もうお前に用はないから、
とっととどこかへ行けよ!」
「ここで恐怖を学べなかったら
他の場所では学べないよ、お前。
あの洞窟が見えるか?
あの奥に恐ろしい大蛇が住んでいて、
お前を見たとたんにぱくりと飲み込んでしまうんだぞ!」
「ノートゥングで退治するさ。」

他にも毒を吐くぞといえば身をかわせば良い、
尻尾に巻かれたら粉々だぞといえば、
撒かれないように避けるさ、
とああ言えばこう言うですが、
ミーメが心臓は他の動物と同じように
左側にあると教えられたときだけはさすがに感謝します。

「お前は夢みたいなことを言ってるが、
本当に大蛇を目にした時、
恐怖で心臓がバクバクしてな、
そのときこそこのミーメが
どんなにお前を愛していたか思い出すよ。」
「愛しているだとぉ!
またそんな鬱陶しいことを言うのか!
さっさとどこかへ行けってば!
お前なんかもう目にするのも嫌なんだからな!。」

そだての親に対して酷い言い様ですね。
ジークフリートは醜い小人のミーメが、
とにかく嫌いだったのです。
ミーメは泉の方へ行くといって去ってしまいましたが、
その心の中は相討ちになれば良いと思っていますから、
そんな感情を察知したジークフリートが、
ミーメに嫌悪感を抱いても無理はありません。

あんなのが父親じゃなくて良かったな〜、
でも本当のお父さんやお母さんはどんな風だったんだろう?
お母さんはきっと綺麗な女性だったんだろうなあ!
でも子供を産んだら死なねばならないなんて、
人間は何と悲しい生き物だろう、
などどセンチメンタルになっているところへ、
森の小鳥達の歌声が聴こえてきます。
君達の話していることがわかったら良いだろうなぁ、
僕のお母さんの事だって知っているかもしれないし、
あ、葦がある!これで葦笛を作ってみよう!
そうしたら小鳥達の言葉がわかるかも知れないぞ。

笛を作って吹いてみたものの、
音は調子っぱずれでどうにもなりません。
やっぱり僕にはいつもの角笛が良いやと
高らかに吹き鳴らしていると、
大蛇が目を覚ましてしまいました。
ちょいと私事で立て込んでいたので今になりました。
済みませんm(_)m

第2幕:第2場の続き、
僕が角笛を吹くとロクなものが出て来ないんだよな〜、
大蛇が起きちゃった!
でも「恐怖」というものを知らないジークフリートには、
どうということもありません。
それどころか、
「お前なら恐怖というものを教えてくれるかも知れないな。
でもそれにはお前と喧嘩しなきゃいけないらしい。」
ファーフナーは、
「水を飲もうと思って起きてきたら、
食い物まで見つかったらしいぞ。」
と大きな口をあけ、鋭い歯を剥き出しました。
ジークフリートはおおきれいな歯並びだなぁ、
などと歯医者みたいなことを言ってから、
ちょっと口を開け過ぎだからさ、
閉めた方が良くないかい?(笑)
「お前を食うにはちょうど良いぞ。」
ファーフナーが脅してもジークフリートはどこ吹く風です。
本気で怒ったファーフナーが毒液を吐けば、
さっと身をかわしてしまうし、
尻尾で打ち倒そうとすればその尻尾を刺されてしまいます。
では胴体で押しつぶしてやろうとしたところ、
ジークフリートはその心臓めがけて、
ノートングを深々と突き刺しました。
倒れるファーフナーをうまくかわして、
「どうだ!ノートゥングがお前を倒したぞ!!」

ファーフナーは死ぬ前に知りたいからと問いかけます。
「お前は、この若い英雄は誰なのだ?
誰がお前をそそのかしたのだ?」
ジークフリートはそれに答えて、
「僕は自分が誰だか知らないんだ、
お前が僕を脅したからこんなことになったんだぞ。」
「では若者よ、教えてやろう。お前が殺した相手の事を。
この地上を支配していた巨人族の兄弟ファーフナーとファーゾルトは、
これで死に絶えるのだ。これも呪われた指環のせいなのだ。
その指環のために俺はファーゾルトを殺した、
そして今やこのファーフナーは若い英雄に殺され死にかけている。
お前も身を守るが良い!お前をそそのかした奴は、
今度はお前の事を殺そうとしているぞ!忘れるな!」
「大蛇よ、お前は賢そうだ。僕の父の事を知らないか?
僕はジークフリートという名前なんだ。何か知らないか?」
ファーフナーはジークフリート・・・・とつぶやいて
そのまま死んでしまいました。

死んだものは何も教えてくれないもんなと
剣を心臓から引き抜いたジークフリートは、
大蛇の血をその手に浴びます。
「うわっ、何て熱いんだ!」
その手を口にやって血をすすったジークフリートに、
突然、森の小鳥達の声が聞こえてきました。
小鳥達の話していることが突然わかるようになったのです!
第2幕:まだ2幕の続き、
ジークフリートの頭の上の木から
森の小鳥の声が聞こえて来ました。
「ニーベルングの宝物はジークフリートのものになった!
大蛇の洞窟の中には隠れ兜もある。
これで素晴らしい仕事が出来るし、
指環が見つかればジークフリートは世界の王様!」
ジークフリートは魅せられたように
その言葉に聞き入っていました。
「もっと教えてくれ、小鳥よ!
君の言うとおりにするよ。」
ジークフリートは洞窟の中に入って行きました。

ミーメが抜き足差し足で戻ってきました。
しめしめ、ファーフナーは死んでいるぞ、
あの小僧はうまくやったんだな!
洞窟へ近付こうとするミーメの様子を伺っていたのはアルベリッヒです。
「こら待て!どこへ行くんだ、ずる賢い奴!」
「なんだ、兄貴じゃないか!
あんたに用なんかない。何しに来たんだ?」
「俺様の黄金を盗みに来たのか?俺の宝物が欲しいんだな!」
「ここはミーメの縄張りだ。とっととどこかへ失せろ!」
「お前の盗みの仕事の邪魔というわけか?」
「長いこと苦労した挙句、やっとその時が来たのだ!
このチャンスを逃すものか!」
「ラインの乙女達から黄金を盗んだのはお前だったとでも言うのか?
指環に魔法をかけたのもお前だと?」
「隠れ兜を欲しがったから作ってやったじゃないか!
あれはこのミーメさまが作ったんだぞ!!」
「何を言うか!指環が兜の作り方を教えてくれたんだぞ!」
「あのガキを苦労して育てたのは俺だぞ!」
エンエンと口論が続きますが、
これではキリがないと思ったか、
ミーメはそれじゃあ指環は兄貴にやるから、
兜は俺にくれよね、などと言い出しますが、
もうこうなってはアルベリッヒは信用しません。

2人が喧嘩している間に
ジークフリートは指環と兜を持って、
洞窟から出てきました。
「こんなものがあったぞ。何だか知らないけどなぁ。
まあ戦いの記念品にでもするさ。
結局、“恐怖”は学べなかったけど。」
ジークフリートは指環をはめ、兜は帯につけました。
また森の小鳥が話しかけます。
「嘘つきのミーメを信じてはダメ!
でもあなたにはミーメが本当に考えていることがわかるわ!
大蛇の血を舐めたんですからね」
ミーメが近付いてきてジークフリートを褒め称え始めます。
「何と天晴れな若者だ!どうだ、恐怖というものはわかったかい?」
「そんなものはわからなかった。
それより僕は悲しい。
あの賢かった大蛇と僕を戦わせた酷い奴は生きている。」
「まあ、そう怒るもんじゃないよ。
もうじきお前の眼も永久に閉じられるのだ。
お前は俺の望みを果たしてくれた。あとはその宝物だけだ。」
「僕を騙して殺そうというんだな!」
「そんなこと言ってないぞ!お前は息子も同然じゃないか。
宝物を奪うために嫌々ながら育てたんだからな。
さあ、さっさとそれをよこせ!」
ジークフリートには、
ミーメの下心が話していることとは裏腹に、
全部わかるのです。
水筒に入っているのは眠り薬入りの飲み物だということも、
ジークフリートにはわかってしまいました。
彼を眠らせたら殺してしまおうと考えていることもです。
ミーメは飲み物を注いだ時、
「くたばってしまうがいい!もう永遠に何も飲まなくていいぞ!」
「お前こそ、剣の切れ味を味わえばいい!
この嫌らしい奴め!!」
ミーメはジークフリートに切り殺されてしまいました。

ジークフリートはミーメの死体をファーフナーと一緒に洞窟に入れ、
やっと身体を休めます。
「森の小鳥よ、戻ってきてくれたのか。
これから僕はどうしたら良い?
僕には両親も兄弟姉妹もいない。
僕を欲得ずくで育てた奴は殺してしまった。
どこへ行けば友達が見つかるんだ?教えておくれ!」
「ジークフリートを待っているのは花嫁!
英雄だけが通り抜けられる高い火の山の頂上に眠っています。」
「恐れを知らぬものだけがその花嫁ブリュンヒルデを起こすことが出来るわ!」
「君は僕をそこへ案内してくれるんだね!
なんて素晴らしいことなんだ!
僕の胸は火のように燃えている!
さあ、連れて行ってくれ、小鳥よ!」
ジークフリートは小鳥のあとを追って駆け出しました。
第3幕:第1場、
やっと私の大好きな場面に辿り着きました!
勇ましい音楽で始まるこの3幕を聴くと
いつもゾクゾクします。
この場面はヴォータンが一番神様らしい
威厳に満ちた態度をとるところでもあります。

荒涼とした岩山の麓、
稲妻が走り、雷鳴が鳴り響いている中、
力強い足取りでやってきたのはさすらい人です。
つばの広い帽子をかぶり、
長い槍を手にしているその姿で、
さすらい人とはヴォータンであると知れます。

地面には深い穴が開いています。
その穴に向かってさすらい人は大きな声で、
「起きろ!ヴァラ、永い眠りから目覚めよ。
大地の母、エルダよ、起きるのだ!」
すると岩穴は青く輝き始め、
白い靄に覆われた女性の姿が見え始めました。
「力強く抗いがたい声で私を起こすのは誰?」
「私は知恵と知識を求めて世界をさ迷い歩く者だ。
お前の知恵を借りたい。
その眠りから目覚めて欲しいのだ。」
「私の眠りは夢、私の夢は瞑想、
瞑想が知恵をもたらす。
私が眠っている間はノルンたちが運命の糸を紡ぎ、
私の思いをつづれ織る。
だからあなたの知りたいことはノルンたちにお訊きなさい。」
「ノルンたちは運命を紡いでいるが、
その運命を変えることは出来ない。
だかあなたなら運命をどうやって変えるのか知っているだろう。」
「私の想いは人間によってかき乱された。
知恵ある私もかつて力ある者に征服された。
そのヴォータンの子を身ごもった私は、
勇敢な娘を産み落とした。
その娘があなたの答えてくれるでしょう。」

さすらい人ヴォータンは今までのいきさつを話します。
ブリュンヒルデは眠らされていると知らされて、
エルダはヴォータンがこうしろとけしかけたくせに、
その通りしたからと娘を罰するとは何ということ!
正義を守るべきものがそれを守らず、
姑息な手段で世界を治めるのなら、
私は暗闇に戻り、知恵を閉ざします!と怒り始めます。
始めはなだめていたヴォータンも説得を諦め、
では地底に戻るが良い、もう助けは要らない。
ブリュンヒルデは恐れを知らぬ若者、
ジークフリートが目覚めさせる。
ジークフリートはいまやあの指環を手にしたが、
妬みの心がないから呪いも及ばないのだ。
この神は喜んで世界の支配をあの若者に委ねるだろう。
エルダよ、神々の没落の夢を見るが良い。
もう二度と目覚めることはない眠りへ戻るのだ。

さすらい人が話している間に、
エルダは地中へ沈んで行きます。
エルダの姿が見えなくなるとあの青い光も消え、
月の光だけが辺りを照らし出しているのでした。


しかしヴォータンって出てくるたびに、
女性に文句を言われてばっかりですね(笑)
昨日の場面を書くのに5回くらい続けて、
3幕の始めを聴いていたら、
今日も一日中頭の中で
ヴォータンとエルダのやり取りが鳴り響いてました。
いくら好きだからとはいえ、
ええいヴォータン、やかましいぞ!
早く次に進みましょう!(笑)


第3幕:第2場、
さすらい人はエルダが地底に消え去ったあと、
岩壁にもたれていましたが、
ジークフリートがやってきたのに気がつきました。

森の小鳥を追いかけてやってきたジークフリートは、
この荒涼とした岩山のふもとで小鳥を見失ってしまいました。
「しょうがないなぁ、今からは自分で、
ブリュンヒルデの岩山とやらを見つけなきゃな。」
そこへさすらい人が問いかけます。
「お若い方、どちらへ行かれるのかな?」
「あれ、人がいたのか!
僕は炎に包まれた岩山を探しているんですよ。
それがどこにあるか教えてくれたら有り難いなぁ。
素晴らしい女性が眠っているそうだから、
僕はその人を起こすんだ!」
「誰がそんなことを教えたのかな?」
「森の小鳥だよ。」
「小鳥などただ気ままに喋りまくっているだけだ。
どうして人間に小鳥の歌などわかるというのかね?」
「僕が殺したドラゴンの血をすすったんだ。
そうしたらわかるようになったんですよ。」
「そんな怪物と戦えなどといったのは誰です?」
「ミーメという奴さ、僕に恐怖を教えようとしたんですけどね。」
「ドラゴンを倒せるほどのすごい剣を誰が作ったのかね?」
「僕ですよ、剣の破片を溶かしてね。
これは他の誰にも出来なかったし、
剣がなきゃ戦えないでしょう?」
「その破片を作ったのは誰だか知っているかな?」
「知りませんよ!でも破片だけじゃどうにもならないでしょ。
だからつなぎ合わせたんですよ。」
これを聞いてさすらい人は楽しそうに笑いました。
「そりゃそうだね!」
さすらい人にとっては孫に当たるジークフリートですから、
この若者を彼はいとおしく思っています。
でもジークフリートのほうは、
そんなことは全く知らないのです。

「人が説明したのに笑うなんて失礼な人だな!
さあ炎の山への道順を教えてくれるんですか?
そうでないならもう黙っていてくださいよ!
質問ばっかりしてうるさい人だなぁ!」
「まあまあそう怒るものではないよ、お若い方。
年長者にはそれなりの敬意を払うものだと思わんかね?」
「僕はず〜っとその年長者とやらに騙されてきたんだ!
そいつをやっと追っ払ったってのに、
また爺さんが僕の邪魔をするのか!
ミーメと同じ目に遭いたいのか?!」
さすらい人をやっとこさ
しげしげと見つめたジークフリートは、
「変な人だなぁ、片目は抉り出されてないし、
けったいな帽子をかぶってるし。
もういい加減にそこをどかないと
もう片一方の眼もなくしちまうぞ!」

こうまで言われても自分の孫であるジークフリートには、
怒りもせず忠告しようとするさすらい人ですが、
ジークフリートはお構いなしに進もうとします。
それとなく自分の正体を知らそうとしても、
ジークフリートには所詮わけがわからないのですから、
埒が開きません。
あまり馬鹿にされたものだから、
少々頭にきたさすらい人は自分に逆らうとどうなるか話し、
槍で行方を遮って、
「この槍がその剣を打ち砕いたのだ!
また同じ目に遭いたいのか?」
「何だとぉ!じゃあお前は父の仇だったんだな!
ちょうど良い!仇を討ってやる!!」
ジークフリートが鍛えたノートゥングは、
大神ヴォータンの槍を真っ二つに折ってしまいました!
槍から稲妻が飛び、炎の岩山の頂上に届いたその途端、
炎は明るく辺りを包み始めました。

さすらい人は折れた槍を拾い上げ、
「行くが良い、私にはもうお前を止めることは出来ぬ。」
と告げて、森の奥へ去って行きました。

これで自分の計画は上手くいったわけですが、
こんな形で孫に道を譲ることになったヴォータンは、
悲喜こもごもだったことでしょう。

「うるさい爺さんは行っちまった!
さあ、花嫁を見つけに行くぞ〜!」
とジークフリートは岩山を登って行きました。
第3幕:第3場、
岩山の天辺に登りついたジークフリートは、
辺りを見回します。
まだ靄がたなびき、炎は見えていますが、
それももう足元に見えるだけです。
「あれ?あそこに誰か眠っている!
まだ炎で目がくらんでいるのかな?
馬も眠っているじゃないか。
あ、輝いているのは鎧か!
そばへ行ってみよう。」

そこには鎧兜に包まれ、
盾で覆われた人がいましたが、
顔は兜のために見えません。
「鎧を着けた男か。
兜で締め付けられた頭がきつそうに見えるから、
僕が緩めてあげよう。」
兜を脱がした途端、
輝く金髪がこぼれだし、
そこには見たこともない
美しい気高い姿が現れました
鎧を脱がしたジークフリートは、
「これは男じゃない!」
ここでジークフリートは胸のときめきと、
それに対する恐れを感じます。
「お母さん!僕はどうしたら良いのですか?
誰に助けを求めたら良いのです?
お母さん!僕のことを思い出してください!」

しばらく気を失ったように倒れていたジークフリートは、
「どうやってこの美しい人を起こせば良いのだろう?
彼女の眼が開けばきっとその美しさで、
僕の眼はつぶれてしまうかもしれない。
これが憧れと恐れか?
この見知らぬ女性が僕に恐怖を教えるのか!?
どうしたらこの恐れに打ち勝てるのだろう?」
今まで全く知らなかった感情に畏れためらいながらも、
ブリュンヒルデを見つめているうちに、
「何と愛らしい唇だろう!
起きてください!どうか眼を覚まして!」
まだ眠ったままのブリュンヒルデに、
このまま死んでも良い!と唇を重ねるジークフリート、
すると・・・・、

ブリュンヒルデは眼を開け、
ゆっくりと身体を起こし始めました。
「おはよう太陽!おはよう光よ!
やっと訪れた目覚め、
私を起こした英雄は誰?」
ジークフリートは感動に震えながら、
その場に立ちつくしています。
「恐ろしい魔の炎の山を登り、突き破って、
あなたの兜を脱がせたのは僕、
ジークフリートです!」
「神々よ、ご覧ください!
私の永い眠りは終わりました。
私を目覚めさせたのはジークフリート!」
「僕を生んでくれた母に祝福を!
大地に祝福を!」
2人はお互いに見つめあい恍惚としていました。
ブリュンヒルデはジークフリートが生まれる前から、
既に愛していたと話します。
これこそが父ヴォータンの密かな願いであったことも。

ブリュンヒルデの馬グラーネも一緒に目覚めていました。
ブリュンヒルデはまわりを見渡し、
かつて多くの英雄を守って来た盾と剣を眼にします。
そして悲しそうにもうそれらには何の力もないと悟り、
自分を守るすべもない哀れな女になってしまったと嘆きます。
ジークフリートは自分の愛で守りぬくと誓い、
「笑いながら愛し、死にましょう!」と互いに叫んで抱き合うのでした。


ブリュンヒルデが目覚めてから、
長い長いデュエットがあります。
ここに至るまでほぼ出ずっぱりで歌い続けている
ジークフリート役の歌手は、
それまで寝ていて元気いっぱいの
ブリュンヒルデと歌うことになり、
かな〜りヨレヨレになるのです(笑)
このデュエットだけジークフリート・イェルザレム、
レオニー・リザネックで生を聴いたことがあります。
最後の方はイェルさんの声が、
コケそうでハラハラしました(^^;

やっと「ジークフリート」終了でーす!
読者の方々、お疲れ様!(笑)
 拍手***そして、ライターのふくろう様、
おつかれ様です。(^▽~)***

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