東海道本線沿線観光コミュの竹谷城跡

　蒲郡市指定史跡。
　三河国宝飯(ﾎｲ)郡竹谷(ﾀｹﾉﾔ)荘は、平安時代末期に歌人として名高い三河守藤原俊成が開発した荘園で、後に熊野山に寄進された。
　室町時代になると松平氏が押領し、第３代信光の長男守家を祖とする竹谷松平氏の所領となった。本来、この家が松平氏の本家だったが、後に守家の弟親忠(1431～1501)を祖とする安祥松平家の清康(1511～35)が有力となって本家の地位を奪い、竹谷松平家第３代親善(ﾁｶﾖｼ；1485～1531)は清康の家臣とされてしまった。しかし、本来の本家であるため、十八松平と呼ばれる松平氏分家の中では最高の家格とされた。
　第４代清善(ｷﾖﾖｼ；1505～87)が、天文17(1548)年に標高16ｍの丘陵端に平山城の竹谷城を築いた。城の西方300程の共同墓地内に、竹谷松平家の守家・守親・親善・清善の四代の墓である五輪塔〔蒲郡市指定文化財〕がある。
　永禄３(1560)年、清康の孫で今川義元に服属していた松平元康(徳川家康)が桶狭間合戦を機に今川氏から独立を宣言すると清善は直ちにこれを支持、第６代家清(1566～1611)は、天正18(1590)年の家康の関東移封に従い、武蔵国八幡山10000石の大名となった。
　竹谷城は吉田152000石池田輝政の属城となったが、慶長５(1600)年の関ヶ原の戦の後、輝政は播磨国姫路520000石に転じ、竹谷城は廃城となって、竹谷の地は西尾藩領や旗本領に分割された。
　なお、松平家清は30000石で輝政の後の吉田藩主となり、30000石を領したが、第７代忠清(1585～1612)に嫡子が無く改易されてしまった。
　しかし、名門の家名を残すため、忠清の弟清昌(1593～1655)が、宝飯(ﾎｲ)郡西郡(ﾆｼﾉｺｵﾘ)5000石を与えられて蒲形(ｶﾏｶﾞﾀ)に陣屋を構え、交代寄合の地位を得る事となった。清昌の死後は長男清直が蒲形4500石、次男清吉が500石を相続し、明治維新まで続いた。
　竹谷城跡の東方800ｍくらいの所には永享３(1718)年に竹谷1026石の領主となった旗本竹本正綱の竹谷陣屋があった。正綱は他国の所領も合わせると2000石を領していたが、江戸常勤だったため、竹谷の地では鈴木弥兵衛が代官を務めた。県道323号線沿いにある八幡神社の隣接地が陣屋跡で石垣の残滓がある。
　竹谷城跡には石碑が建ち、曲輪・空堀・土塁が残る。
　三河塩津駅の東北500ｍ。

＊城下町三河蒲形(西郡)
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