「あはは。」
「まっつん、まっつん!!このﾅｽ、ﾅｲｽじゃね？」
「･･･。」
「･･･ぶ(笑)」
「あはは。」
待ちに待ったこの季節がやってきた。八千代高校３年C組の卒業旅行が。ようやく受験も一段落して皆の時間が空いたこの時期、浪人決定しているものや春から一人暮らしとい奴もいる中、推薦組の女の子が企画してくれたのだが、なんと３６人全員という快挙。なぜこんなにも集まるのだろう。これを期にもしかしたらｶｯﾌﾟﾙとか復縁があるかもと一部の男子たちはひそかに楽しみにしてくるからなのだろうか･･･。いや、単にｸﾗｽ全体の雰囲気がいいからだろう。目的地は伊豆である。電車は３年前に軍部が国有化していて、使えない状況が続いているのでﾏｲｸﾛﾊﾞｽを借りて目的地へ行くことになった。ﾊﾞｽは首都高速を颯爽と走る。それとともにみんなの会話も弾んでいく。女の子達は相変わらず最近の恋愛状況を報告しあっていて、男達はｹﾞｰﾑの話や最近ﾒｰﾙが返ってこないだの相談しあっていた。そんな中ふと誰かがこう言った。
「綺麗な景色･･･」
それは紫色の夕焼けだった
皆がみとれてしまうほどの景色。雲にまで紫色が映え神秘的な光景だった。当然のように全員が目を奪われていた。しかし皆がそろって心休められる幸せな刻(とき)を過ごせたのは、これが最後であった。
10秒後、すべての瞳から景色が消えた。
続く。
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