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生き残れ。〜災害に備えよう〜コミュの【トンデモ】防災のウソ?ホント?【オカルト】

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■■もくじ■■
【地震雲】編 4〜12番
【ケムトレイル】編 14〜26番
【HARRP】編 39〜54番
【マヤ暦】編 57〜71番

このトピでは、巷で言われている災害に関するさまざまな『うわさ、伝聞、オカルト、トンデモ科学、予言、妄想』などを採り上げて行きます。

トピの目的は、誤った情報、根拠の無い情報が引き起こす無用な不安をなくすためです。いろいろな情報に関する質問や意見は歓迎しますが、一方的に自説を主張する事は禁止し、そのような書き込みは予告無く削除します。

何らかの意見を主張されたい場合は、その件の質問者に対して、科学的で整合性を持った回答をしていただきます。

それに限らず、トピが「荒れた」と判断される場合にも、発言の中止要請や削除を行います。ここはあくまで正しい情報を共有して、防災の心得に生かす事が目的です。ご理解の程よろしくお願いします。


なお、このトピの対象となる内容の書き込みは、原則として当トピ内に限定します。「雑談トピ」を除く他トピに関連する書き込みがあった場合には、当トピへの移動または削除を行うことがあります。



トップ画像は、東京中心部で撮影された地震雲わーい(嬉しい顔)わーい(嬉しい顔)わーい(嬉しい顔)

コメント(73)

>32 マジさん

できれば私も遠慮したい(笑)

でも、垂れ流される不確実情報で不安になっている方がいるもの事実。
そういう方のために、頑張ってみます。
> てばさん

負担にならない程度でかまわないですよ〜。
というか、私も不安というよりは野次馬根性で書き込んでしまったのです。
無理はなさらないで下さいね。


書きたい事を書いてもらって、それが読み手の役にたつ。
それでいいと思います(^-^)
地震予知系のWEB情報上では、HAARP(=地震兵器?)が動いた、と騒ぎたてる人が少なくないですが、そこで引き合いに出されることの多いこの折れ線グラフ
http://137.229.36.30/cgi-bin/magnetometer/gak-mag.cgi
は、HAARP施設内にアラスカ大学地球物理学研究所が設置した磁力計が記録した地磁気の観測値を示しているに過ぎず、HAARPのIRIの発信出力とは無関係です(このWEBページをExcite翻訳にかけると、「グラフの描画」という意味の「Plot」という単語が「陰謀」と誤訳されることも、その騒ぎを広めるのに一役買っていたりするかも)。それと、肝心のIRIの発信出力に地震を起こせる能力があるのか、も今ひとつクリアになっていませんね。

HAARP=地震兵器、という陰謀説の検証目的で使うなら、HAARP自身が公開しているデータを利用しては意味がありません。HAARPの陰謀の検証を目的とした第三者が「IRIの発信出力」を収集したデータを出発点にすべきでしょうね。
>35 ぼたもちさん

まあ、ほどほどに(笑)でも、ネット上にも体系的な反論はなかなか
見当たりませんね。どうせやるなら、って気持ちはあります。

矛盾をだれも指摘せず、訳のわからない話が拡張していくのは、
私としても面白く無いですし。神戸や四川の地震がHARRPで
起こされたとか、ふざけるのもいい加減にしろと言いたいですよ。
>36 Bright-Doorさん

いやほんとおっしゃる通りです。科学的云々以前の問題なんですよね。
あのグラフ、最初は第三者が観測しているHARRPの出力かと思ったら、
単なる地磁気のグラフなんですもんね。それも「身内」の。
それこそ、その気になればいくらでも改竄できる(しないけど)
「敵」のデータを元に、「敵」の陰謀を暴こうというのだから噴飯ものです。

適当にグラフ眺めていて、振れが大きくなってから数日内にどこかで
大きめの地震があれば、「HARRPの仕業」だの「予知できた」だの、
いいかげんうんざりですが、とにかくそんなもののために不安になって
いる方がいますので、せめてその方々のために、多少は安心していただき
たいなと思っています。

翻訳の「陰謀」の話は知りませんでした(笑)ほんと笑い話ですね。
陰謀はconspiracyを使う方が一般的かと思っていますが。
それでは、あまり気乗りがしませんが(笑)
【HARRP】編、始めます。

例によって、私はどこかの政府がどんな陰謀を企てているか、いないかなどについて言及するつもりはありません。ただ、もっともらしく語られている「HARRP」の「効果」は、実際にあり得るものなのかを検証して行きたいと思います。

私は基本的にこの話を肯定するものではありませんので、「HARRP」についての解説はしません。興味のある方は、ご自分で調べて見てください。ネット上には山ほど「情報」があります。その過程で、疑問や質問がありましたら、是非ここか、雑談トピで伺いたいと思います。

まず「HARRP」を語る上で外せないのが、ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏です。私が氏の著作を読んだこともあり、その上で、私はこの人が「唯の大嘘つき」だとは思っていません。それなりに鋭い視点を感じることもありますが、そのフルフォード氏がこの「HARRP陰謀説」を提唱しているわけです。

しかしこの人の最大の問題は、事実と確認されていない事、裏付けの取れない事、想像されるだけの事を、「事実」と同列に扱うということです。特に「ネット上にしか真実は無い」と公言し、ネットに溢れる情報の中から、自説に都合の良いものをピックアップして羅列することで、読者に「なるほどそういう事もあるかな」という心証を形成するのが非常に上手だということでしょう。

そのせいかにネット住人には好評で、この「HARRP陰謀説」も、日本では「某巨大掲示板」上で盛んに語られ、拡散して来ました。しかもフルフォード氏はやたらと日本びいきで、陰謀にまみれた欧米中心の世界を救うのは日本の覚醒しかない、などとガイジンに弱い日本人心理を上手にくすぐります。

もちろん日本でも沢山の書籍を刊行しており、いろいろな意味で「上手いなあ」と感じさせますね。まあ、私も氏に印税を献上したひとりですが(笑)。氏の書籍は、正直言ってかなり面白いです。なるほどと思わせる事も多々あります。しかし、提示した情報に対してきちっとした検証が行われる事は、あまりありません。目に見える事物、そこから想像される事象が羅列されますが、「何故そうなっているのか」という部分のリサーチがほとんど無いのです。

もっとも、氏が指摘するのは「大国政府の陰謀」ですから、リサーチしてもそう簡単に情報は入手できません。そこで「ネット上にしか真実は無い」と言いつつ、ネットで拾った断片的な情報、「協力者」から提供されたという情報を羅列し、自説を展開、補強するという手法に見えます。

ですから、書いてある事を肯定することはたやすい一方、否定する材料が与えられないわけです。否定するためには、自分で調べなければならない。そんなわけでろくに検証されることも無いまま、「HARRP陰謀説」が拡散して行きました。その過程で、どんどん「新機能」が追加されているし(笑)

これから、「HARRP」の機能について、「はたしてそれが可能かどうか」という視点で、できる限り検証して行こうと思います。ご意見、ご質問などありましたら、いつでもどうぞ。

【つづく】
【39より続く】

私は大変な間違いを犯していました(笑)この「ハープ」、正しくは「HAARP」です。Aが二つです。これは「高周波活性オーロラ調査プログラム」という名前の、英文の頭文字を繋げて読んだ略称です。

ここでやはりちょっと「HAARP」について説明が必要ですね。これはアラスカの辺境に設置されたアンテナ群で、その目的は、地上から高周波を上空に向けて照射することで、電離層を人工的に活性化したり、地球の磁場に人為的な変化を起こし、その影響を観測するための研究施設です。

というのがだいたいの公式発表で、実はそれ以外の情報がほとんど「機密」扱いになっています。そして管轄しているのが米空軍というのも、妄想を引き起こす呼び水になっているようです。軍には唯でさえ機密が多いですからね。

この施設で、公式発表以外の実験や研究が行われている「かもしれない」という事は否定しません。それは「HAARP」に限らず、例えばスペースシャトルにも、内容非公開の軍事ミッションも多数ありましたし、ステルス攻撃機F-117Aにしても、開発中にたまに目撃情報などが上がっても、一切「そんなものは無い」ということにされていましたし。

ちなみにあのステルスは1991年の湾岸戦争で公式デビューしましたが、1980年代前半から存在していたんですよ。米軍の機密管理は完璧でしたね。

だからといって、軍のミッションで好き勝手な妄想をする理由にはなりません。スペースシャトルが秘密軍事ミッションを行うのも、ステルスが開発されたのも、それが「技術的に可能だった」からです。

「HAARP」に関する話を見ると、秘密の技術とか技術の進歩云々ではなく、根本的な物理法則を無視した話や、高周波の話がいつの間にか低周波に変わったりとか、完全にトンデモ話(例えばスカラー波とか)が出てきたり、とにかく無茶苦茶な話が大半です。

本来ならその時点でアウトなのですが、何か難しそうな用語を並べると妙に説得力を持ってしまうもので、私でも引き込まれそうになる(笑)

とにかく、「HAARP」において、技術的に可能な秘密ミッションが行われている可能性はありますが、「出来ないものは出来ない」のです。これから、それを細々と検証して行こうと思います。

もっとも、私は専門家でも技術者でもありませんので、不完全な部分も多々あるかと思います。そのような部分がありましたら、皆様からご遠慮なく指摘を頂戴したいと思います。

【つづく】
【40から続く】

今更ながら「HAARP」の画像を載せてみました。画像1は上空から見た施設の全景、画像2はアンテナ群のアップです。無線関係に詳しい方なら、このアンテナがどのくらいの周波数帯域に同調するものか、大体おわかりになりますよね。

ところで、私は何故このコミュで「HAARP」を採り上げようと思ったのかというと、一番の理由はこれが「地震兵器」だとされているからです。詳しくは後にしますが、とにかく電磁波によって、特定の場所に地震を起こすことができると言うのです。

そしてその他にも、とにかくやたらといろいろな事が出来るとされています。ネット上で拾った「HAARP」の「機能」について、主なものを列挙してみます。

■特定の場所に地震を起こすことができる。
■気象を操作してハリケーンなどを強大化し、その進路もコントロールできる。
■電離層を操作し、特定の場所の通信を妨害できる。
■特定の広範囲に電磁波を照射し、国家レベルで電子機器を無力化できる。
■人工的にオーロラを発生させて赤外線を発生させ(?)人工衛星からの赤外線探知を妨害できる。
■超長波(VLF)による対潜水艦通信(これは事実)を代替し、システムの小型化、高効率化ができる。
■微弱電磁波を電離層に反射させて、数十倍に増幅できる。
■電磁波を特定の場所に照射し、人間の意識を混乱させたり操作したりできる。

とまあまだまだあるのですが、この辺で。早くもトンデモ感が漂っていますが、こんな感じでSFでも滅多に見かけないような「万能兵器」とされているわけです。これが事実なら米国の世界征服も夢じゃない(笑)

ともあれ、すべての「機能」の記述に共通することは、「科学的根拠は何ひとつ示されていない」という事です。これは地震雲やケムトレイルにも共通しますが、すべて「〜だろう」、「〜に違いない」、「〜と言う」、「〜とされている」で構成された話です。

これだけ話題になっているのだから、誰かが科学的な検証をしてくれても良いと思うのですが、真っ当な科学者なら最初から関わろうとは思わないでしょうし、「信奉者」自らが科学的な視点を持てば、残念ながら「夢の世界」はあっという間に崩壊してしまいます。

さらに、上記のような「機能」の解説に出てくる話がまたややこしい。

発振される電磁波が「高周波」になったり「低周波」になったり、出力が10ギガワットとされたり、地球の地磁気程度だとされたり、しまいには「スカラー波」やら「重力波」が発振されているとか、ともかく百花繚乱雨あられ状態。

みな「HAARP」という素材を好き勝手に加工して、複雑怪奇な料理を作っているようです。でもどんな料理にも絶対に欠かせない、米国が主産地となるスパイスがありまして、その名を「陰謀」と言います(笑)

そんな状態ですから、一体どこから食ったら良いのやらというのが正直なところですが、当「防災コミュ」としては、とりあえず「人工地震」と「気象操作」をメインディッシュにしたいと思います。その他については、余裕があったらつつきたいと思います。


【つづく】
>このアンテナがどのくらいの周波数帯域に

えーと、アンテナの長さが当家のFMラジオよりも長いから…
もしかしてFMラジオの波長よりも長い波長だったりして?
つまり、MHz帯のうち低いあたりとか??
>42 マジさん

素人っぽいコメントいただきましたが、実はそっち方面もかなりお詳しいと
お察ししました(笑)

もちろんビンゴです。詳しくは本編にて。
【41から続く】

ではまず「地震兵器」とされる「HAARP」について、検証してみます。

ネット上で言われている理屈を大まかに総合すると、「HAARP」のアンテナからある種の電磁波を電離層に向けて発射して反射させる。その電磁波が地下の断層などに作用して、地震を発生させる。電磁波は地中にも浸透し、地球の反対側にも作用する。よって世界中いかなる場所を“狙い撃ち”することが可能である、という感じでしょうか。

そして阪神・淡路大震災、中国・四川大地震、ハイチ大地震など、多くの大地震が「HAARP」の仕業だと主張されています。

興味深いのは、様々な「情報」に含まれる「HAARP」の出力です。10ギガワットの大出力だとか、地球の地磁気程度の微弱電磁波だとか、いろいろ言われています。「世界中を狙い撃ち」できるのですから、大出力の方が説得力がありそうなものですが、「微弱電磁波」説は何故出てきたのでしょうか。

これはある指摘への言い訳のようです。「HAARP」による研究プロジェクトに参加しているアラスカ大学が、「HAARP」施設内で観測した地磁気の数値を、ネットで公表しています。下記URLで見ることができます。
http://137.229.36.30/cgi-bin/magnetometer/gak-mag.cgi

これはあくまで地磁気の観測結果であり、「HAARP」から発射される電磁波の出力ではありません。しかし「HAARP」と地震を関連付けたい向きとしては、これは「HAARP」の出力であって欲しいのでしょう。

何故なら、このグラフが大きく振れた後、つまり「HAARP」が出力を上げた後に大地震が起きるという、彼らが最も「信奉」している理屈の原点だからです。しかしグラフを理解するれば解るとおり、これはごく微弱な地磁気の数値です。ならばと「HAARP」の出力を地磁気程度としてしまう話が出てきたようです。

しかし微弱電磁波では、トンデモ科学の世界でもさすがに大地震を起こすには役不足だと思われたのでしょう。そこに「新理論」が登場します。「HAARP」が発射した微弱電磁波は、電離層で反射して「数十倍の強度に増幅されて」地上に降り注ぎ、地中に浸透すると言うのです。

彼らは、ついに電離層をアンプにしてしまったようです。そんな事ができるのなら、すべての物理学者はクビですね(笑)

ちなみに「HAARP」の最大出力は、3981メガワットだと公式に発表されています。そして発射する電波は「高周波」。「HAARP」のHは、「High frequency」の頭文字で、つまり高周波を表しています。

では高周波とはなんでしょうか。実ははっきりした定義はありません。様々な用途で使われる電波の周波数のうち、高いほうを高周波、低いほうを低周波と便宜的に呼んでいるにすぎません。しかし「HAARP」の発振周波数帯を推定することは可能です。

ちょっと長くなりましたので、次回へ持ち越しましょう。

【つづく】
【44から続く】

「HAARP」が発射している電磁波の周波数を考えて見ます。と言いつつ、実は「HAARP」の公式ホームページにも書いてありますけどね。

http://www.haarp.alaska.edu/

ホームページには、「HF帯」を使用と書いてあります。HFとは「HAARP」の名前にもあるHigh freqency、つまり高周波なのですが、この場合は、いわゆる「短波帯」を表しています。つまり約3〜30MHz(メガヘルツ)の周波数帯です。無線関係に詳しい方なら、アンテナアレイを見たら短波帯のワイヤーアンテナだとすぐわかるでしょう。

公式HPの記載などウソに決まっているという方も多いと思いますので(笑)、確かな理由をひとつ。「HAARP」は電磁波による電離層への影響を研究する施設ということです。30MHzより高い周波数(VHF、UHFなど)は、電離層に反射せずに、何も影響を与えずに通り抜けてしまいます。(短時間の電離層異常発生時はこの限りではありません)

つまり「HAARP」は短波帯以下を使っているということが、当然のようにわかります。一部にELF(極超長波 3Hz〜3kHz)を発射しているという話がありますが、あのような短いアンテナアレイからは、そんな低周波の発射は事実上不可能です。

実は低周波の話、「HAARP」が電磁波で人間の意識を操作をしているという話が絡むわけです。確かに、人間は強い低周波を長時間浴びると、様々な影響を受けます。とはいえ言うまでも無く「意識操作」なんてのは無理ですが、意識レベルの低下、無気力化、頭痛、不眠などの悪影響が起こるのは事実です。「信奉者」の方々は、それも「HAARP」の「機能」としたいらしいのです。

そんなわけで「HAARP」の電磁波をいつの間にか高周波から低周波にすり替えたりしているわけですね。

そんな極超長波から短波までが同じアンテナから効率よく発射できるならば、それはもうアンテナ界の革命ですよ(笑)41番で書いた「HAARP」の「機能」のうち、対潜水艦通信の効率化というのがありましたが、対潜水艦通信はVLF(超長波)を使い、そのアンテナは数十メートル以上のすごい長さになります。それを「HAARP」のようなコンパクトなシステムにできれば、それはもう革命的なんでしょうが、それは無理というものです。

詳しい事は省きますが、アンテナとは発信や受信する周波数によって、最も効率の良い長さが物理的に決まっています。簡単に言えば、その電波の波長と同じ長さのアンテナが最も効率が良く、あとはその二分の一、四分の一、八分の一〜の長さで同調しやすくなるわけです。

つまり、発信や受信する電波の周波数が低いほど(低周波になるほど)、基本的には長いアンテナが必要になるということです。

なんだか話があっちこっちに飛んでしまいましたが、「HAARP」から発射されている電波は、3〜30MHzの短波帯にあるという事は確かです。実際に7MHz帯で月面反射通信の試験を行っていることが確認されています、これはもちろん内容が公開されている実験で、各地のアマチュア無線家がその電波の受信に成功しています。

あ、ちなみに「月面反射通信」を何か陰謀だかなんとか言っている方々もいるようですが(笑)、そんなものはアマチュア無線家でもやっている、珍しくもない技術だという事を教えてあげたいですね。信じないだろうけど(笑)

【つづく】
【45から続く】

「HAARP」が発射する電磁波の種類がわかったところで、本題の人工地震の話に入りましょう。

「信奉者」の方々は、「HAARP」が地震を引き起こすメカニズムについて、こう言います。
■地殻と共振する周波数を地中に送り込むことによって、地殻の破壊を誘発し、地震を発生させる。
■「HAARP」は巨大な電子レンジのようなものであり、「マイクロウェーブ」(あれ?)を遠方に放射し、地殻そのものや地下水を加熱することで膨張させることで地殻の破壊を誘発し、地震を引き起こす。
■「HAARP」の電磁波によって地下水に含まれる水素原子の核融合を誘発し、そのエネルギー放出によって地震を引き起こす。

ここで突っ込みを入れたい貴方、ちょっと待ってくださいね。私もぐっとこらえて説明しますから(笑)

それぞれもっともらしい科学的用語をふんだんに使った、典型的な「トンデモ科学」ですね。まず地殻を「共振」させる方法について。物体には「共振周波数」というものがあるのは事実ですが、これは無茶苦茶な話です。

まず「周波数」ですが、これは簡単に言えば「一秒間に震動する回数」のことで、Hz(ヘルツ)という単位で表します。例えば、一般的な木造家屋の「共振周波数」は1〜2Hz(一秒間に1〜2回)で、地震の揺れの周期がこれに重なると、非常に大きな破壊力をもたらします。

岩のような物体では、数百〜数万ヘルツくらいでしょうか。それに対し「HAARP」の短波帯の電磁波、例えば7MHz(メガヘルツ)では、一秒間に700万回です。同じ周波数でも、全く次元が違う数値です。

それに、岩盤は超音波などで震動させることはできますが、いくら電磁波を当てても物理的な震動は起きません。そこで登場するのが(笑)「マイクロウェーブ」です。

「マイクロウェーブ」とは極超短波のことで、電子レンジで使うのがこの電磁波です。電子レンジの周波数は2.45GHZ(ギガヘルツ)で、これは一秒間に20億4500万回の震動を表します。

電子レンジはこのマイクロウェーブで物質内の水の分子を震動させ、物質自らを発熱させるわけです。どうやら「HAARP」はこの原理によって地下の岩盤や地下水を加熱、膨張させ、破壊を引き起こすということらしいです。

でも、もうお気づきの方もいらっしゃいますよね。どうやってマイクロウェーブを照射するのでしょうか。


【つづく】

【46から続く】

45番で説明した通り「HAARP」の周波数帯は、3〜30MHz(メガヘルツ)程度の間にある「短波帯」です。それ以上の高い周波数の電波は電離層で反射されません。もちろんGHz(ギガヘルツ)帯の「マイクロウェーブ」(日本語での呼称は、「超短波」もしくは「極超短波」(ごくちょうたんぱ)となります)は、電離層を突き抜けてしまいます(だから衛星通信にも使われています)。

つまり「HAARP」だろうと何だろうと、アンテナからの見通し距離外に「マイクロウェーブ」を照射することは全く不可能です。そこで「信奉者」の方々が考え出したのが、「トンデモ周波数変換」(命名、筆者)

まず「HAARP」からマイクロウェーブが発射されていることにしてしまいました。それが何故か電離層で反射され、特定の場所に降り注ぎます。そうすると「大部分のマイクロウェーブは地表で反射され」ますが、なんと「一部の電磁波は波長が変わって地中に浸透し、地殻や地下水を加熱」するというのです。

電磁波の性質を無視しただけでなく、なんと新しい電磁波まで作りはじめました(笑)

いい加減バカバカしいのですが、一応まとめて見ます。まず、電離層で反射しないマイクロウェーブを反射させてしまう。そして、物体を加熱することが出来ない、マイクロウェーブ以外の電磁波で地殻や地下水を加熱してしまうということ。もちろん、発射された電磁波の波長が途中で変わることなどありません。なんだか状況に応じてどんなウソでもつく詐欺師みたいな話ですね。

別次元の話ですが、仮に地殻や地下水が多少加熱されたとしても、それで地震が起こることなどあり得ません。なんだか火山の水蒸気爆発みたいな事が地下で起きるみたいなニュアンスで語られていますが、温度もエネルギーも全く次元が違う話です。もっとも、外部からの加熱など不可能なのですが。

ではこの辺で、これらの「HAARP」が「人工地震兵器」であるという理屈を根本から否定する事実を挙げましょう。それは、

「いかなる電磁波も、地中には浸透しない」

ということです。水中にもある程度は到達するVLF(超長波)やELF(極超長波)でも、地中へは全く到達しないのです。最初からこれだけで否定できたのですが、それでは面白く無いので(笑)

しかし「信奉者」の方々は、そんな事には負けないのです(笑)電磁波が届かないのならということで、今度は「スカラー波」を持ち出して来ました。「スカラー波」なら地中にどこまでも到達し、地球の裏側にさえ届くと。

ちなみに「スカラー波」、これはトンデモ科学もいいところで、そんなものは存在しません。妄想の産物です。天才ニコラ・テスラ博士の名を出して語られますが、博士もきっと草葉の陰で泣いているに違いありません。もしかしたら笑っているかな?

【つづく】
>「いかなる電磁波も、地中には浸透しない」

へえ、そいつは知りませんでした。
新しい知見をありがとうございます。

たしかに、AMラジオもFMラジオも、
何の設備もない長いトンネル内では聞こえませんものね。
逆に、そうであればこそ、カミオカンデとかスーパーカミオカンデが
ノイズを避けて地中深くに設置されるものかと納得がいきました。


ところで、
白装束団が宣伝して有名になった「スカラー波」なるもの。
彼らのウェブサイトには、
「文系の方にも分かるように」説明してあったものですから、
理系の私にはさっぱり理解が及びませんでした。(笑)

エネルギーや質量などはスカラー量だってのは、
私だって事前に分かっているつもりなんですがねえ…。
>48 マジさん

「地中〜」の出展は、あの大槻教授の発言です。間違いありません。

理系好き文系頭の私も、なんも理解できません(笑)

本文中に、文系ならではの記述の間違いや、理解不足の部分もあると
思います。そんな時はご遠慮なく訂正かましてください。
【47から続く】

ここでひとつ反省したいと思います。文中で、何度も(笑)を使いすぎました。いくらトンデモ話とはいえ、もうちょっと真剣にやりましょう。(笑)の使用は、できるだけ控えるようにします(笑)←!

最後に、電磁波によって水素原子の核融合を誘発するという話を検証しようかと思いましたが、もうやめます。一言、不可能です、というか、あり得ません。水素原子の核融合とは、太陽のエネルギー源です。空中を伝播する電磁波くらいのエネルギー量で核融合反応を起こしてミニ太陽が作れるなら、地球上のエネルギー問題はすべて解決するとだけ申し上げておきましょう。

「こいつは説明できないから逃げたな」とお思いの貴兄、その旨書き込んでください。いつでもリターンしますよ。この話はあまりにトンデモすぎるので、疲れただけです。

そんなわけで、巷で言われる様々な方法をもってしても、電磁波によって地震を起こすことは不可能だということです。いや、もしかしたら、未来には全く違う次元の技術で可能になるのかもしれません。しかし「HARRP」陰謀信奉者の方々が主張する方法は、実現する可能性は全く無いということはお判りいただけたでしょうか。

仮に多少は空想科学が入っている話にしろ、せめて動かぬ事実だけは正確にお考え頂きたいものです。

次回からは「HAARP」による「気象操作」を検証して行きます。

【つづく】
【51から続く】

ちょっと本題から離れますが、ここでひとつ補足です。

47番で「いかなる電磁波も地中には浸透しない」と書きました。ここで言う「地中」とは、密な状態で割れ目や隙間の無いの土砂や岩盤のことです。

ところで当トピ最初で採り上げた「地震雲」の発生メカニズムとされるものに、「地中で岩盤などに大きなストレスがかかると、圧電効果によって電荷が発生し、電磁波が放出される」というものがありました。

この場合、逆もまた真なりで「地中で発生した電磁波も、地中を透過することは無い」のです。つまり、岩盤などに地面まで到達する割れ目などが無ければ、電磁波が空中に放出されることも無いのです。

つまり、場所を選ばず「観測」されている「地震雲」も、その発生メカニズムとされる理屈のひとつを根本から否定されることになります。

以上、「地震雲」に関する補足でした。
次回からは、「HAARP」気象兵器説を検証します。

【つづく】
【51から続く】

さてこれからは「HAARP」が気象を操ることが出来るという説を検証して行きます。とりあえず、いろいろなサイトを見てまわって来たのですが、期待していた内容には行き当たりませんでした。

トンデモでもウソでもいいから、その原理を科学的っぽく解説して欲しかったのですが、そういうものがありません。ご存知の方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。

大体が「周波数を調整する」だの「電磁波の照射で○○を暖める」だの「電磁波で風を起こす」程度の記述しかありません。まあ、わざわざウェブサイトやブログで煽っている方々は、「HAARP」とはまず「陰謀」ありきで、理由なんかどうでもいいのでしょう。

「HAARP」による気象操作とは、概ねこういうことのようです。
■局地的に大雨、干ばつ、気温の変化を引き起こすことができる。
■台風やハリケーンを大型化し、その進路もコントロールできる。
くらいしか見つかりません。

地震ほど「効果」がはっきり見えないので、「信奉者」の方々も取り組みにくい様ですね。とりあえず、「電磁波によって何かを温度をコントロールすることで、気象に影響を与える」というニュアンスのようです。

「地震兵器」編でも触れましたが、物体を内部から加熱できる電磁波の周波数は、「マイクロウェーブ」や「極超短波」と呼ばれる2GHz(ギガヘルツ)近辺の電磁波で、電子レンジで使われるのがこの周波数帯です。その他の電磁波でも、至近距離から大出力で浴びせれば多少は温まったりするものもありますが、大したことはありません。

それに「マイクロウェーブ」は電離層で反射しません。そのまま突き抜けてしまいますから、アンテナからの見通し距離外には照射できません。

それ以前に「HAARP」の発振周波数は3〜30MHz(メガヘルツ)の範囲に収まる「短波」ですし(電離層で反射させられるのは、基本的に30MHz以下の低い周波数の電磁波です)、「マイクロウェーブ」が発射されていること自体が「妄想」の範囲を出ていません。せめて誰かが「HAARP」から公式発表以外の電磁波が発射されているのを確認でもしていれば面白いのですが、そんな報告も皆無です。強力な電磁波の発射は、ちょっと遠方からでもアンテナを向ければだれにでも調べられるのですが。

そんな感じで、「HAARP」気象兵器説は、「信奉者」の方々でさえ良くわかっていない様に見える、なんだかつかみ所の無い話に見えますね。

まあ、気象のメカニズムは地震ほどわかりやすくないってのが、大きく影響しているのは間違いありませんね(笑)

【つづく】
【52から続く】

「HAARP」気象兵器説を検証するにあたり、いろいろ調べています。でも、調べれば調べるほど、どんどんわからなくなって来ます。トンデモならトンデモでそれなりに理由が説明されそうなものですが、もう「地震兵器」以上に無茶苦茶で(笑)

その後見つけたいくつかの話では、「HAARP」はジェット気流の流れを変えるとか、電離層を攪乱して、その下の気象に影響を与えるとか…。あと、対極的には、一般に「地球温暖化」によるとされている世界の異常気象は、実は「HAARP」の仕業であり、温暖化の話はカムフラージュに過ぎない、なんてのも結構見かけます。そりゃまた壮大な話ですね。COP16もお芝居だったんだ(笑)

笑ってばかりもいられませんので、検証を始めましょう。

気象変動に関しては、良く「エルニーニョ現象」とか「ラニーニャ現象」という名前を聞きます。これは特定の地域の海水温が平年と変化することで、非常に広範囲の大気の流れに影響を与え、いわゆる「異常気象」を引き起こすとされる現象です。

基本的に「HAARP」気象兵器説は、この事実を無理に当てはめているようです。つまり「HAARP」の電磁波によって特定の地域の海水や大気を暖めることで「異常気象」を引き起こすという。

でもそのメカニズムを解説したものはおそらく皆無ですし、それ以前に物質を暖める事ができる「マイクロウェーブ」は、「HAARP」から発射することも、電離層で反射させて特定の地域を照射することも不可能であることは、今までにも説明してきました。

ハリケーンの大型化については、「台風やハリケーンのエネルギー源は、暖かい海面からの水蒸気である」という非常にベーシックな理屈だけを引用して、「HAARP」で海を暖めて大型化させるという、乱暴な理屈です。

とにかく「HAARP」が発射する「短波帯」の電磁波では、物体の温度を上げることなどできません。それだけで「気象兵器」説は全否定できます。

もし仮に「マイクロウェーブ」が発射できるとしても、この話ははるか遠方の物体を暖めるために必要なエネルギー量や、距離による減衰などの要素を完全無視した理屈です。どこを切ってもトンデモ話でしかありません。

あと、電離層の乱れが気象に影響するという話ですが、これも検証以前の問題です。地球の気象現象は、地上から高度約11kmまでの「対流圏」の中だけで発生します。その上に高さ約50kmまで「成層圏」があり、さらにその上は約80kmまで「中間圏」、そしてそれ以上は上層大気である「熱圏」が約800kmまで続きます。

その中で、電離層は一番低いものでも高度約60km、主なものは150km〜800kmの間に発生します。

60km以上の高さにある電離層を攪乱して、高さ11kmまでの「対流圏」内の気象に影響を与えるという理屈が、いかに無茶苦茶な話かわかるでしょうか。そんな話が得意げにあちこちに見られます。もっとも、ほとんどがどこかのネタ元の受け売りでしょうが。

検証のつもりでこの項を始めましたが、それにも及ばない程のトンデモ話に過ぎません。バカバカしいのでこれで終わりにしますが、皆様からの異論・反論・ご意見・ご希望などを、是非頂戴したいと思います。

それなくして、私はもう一歩も前に進めません(笑)

【一応、おわり】
>「熱圏」が約800kmまで続きます。
>電離層は一番低いものでも高度約60km、主なものは150km〜800kmの間に発生

わお、LEO(地球周回の低軌道)は、熱圏の中にあったんですね!
知りませんなんだ。

ぜんぜんトピズレなところで勉強になりました。(笑)
お疲れさまです。

ところで、
このトンデモ話に「磁気圏」は絡んでこないんですか?
>54 マジさん

言われて見ればそうですね。あの高度は完全な真空じゃないんだなと。

磁気圏を引っ張り出した理屈は、ほとんどありませんね。
たまに太陽風やらフレアやら、バン・アレン帯がどうちゃらこうちゃら
とか言っているのを見かけますが、そんなのを羅列してもっともらしく
見せかけているだけで、何の説明にもなってませんね。

電離層とは太陽風の影響で出来るものですから、磁気圏はとても密接な
関係があるはずですが、わかりやすい地震から、ちょっと難解な気象の
メカニズムに行くとトンデモ理論説明が極端に減るように、この手の
方々の大半には荷が重いようですね(笑)
さて「HAARP」編、いかがだったでしょうか。正直、最後の方はあまりの
トンデモぶりに心が折れました(笑)

次は何をやろうかなと考えていますが、やはりアレかなと。

「マヤ暦」です。でも私はそれ自体に興味はありませんし、詳しく知ろう
とは思いません。何故なら「予言」自体をいくら詳細に検証も、何も真実は
出てこないからです。

その代わり「マヤ暦」も含めた数多くの「終末論」が、何故こんなに
数多く存在するのか、そして何故こんなに人の気持ちを掴むのか、
そのメカニズムから検証してみたいと思います。
それでは【マヤ暦】編を始めたいと思います。

まず最初に、基本的なスタンスから。
ここでは一応、今最も話題に上っている「終末論」である「マヤ暦」をタイトルとしていますが、内容は特に「マヤ暦」に拘らず、巷で噂されるレベルでの「終末論」全体を対象として行きたいと思います。

そして今回は「終末論」の内容を検証するのではなく、「終末論」とはどのようなものであって、それが何故「人類滅亡」を示すものだとして拡散して行くのか、そのプロセスを検証して行きたいと思います。

基本的に、いかなる「終末論」も本来は「人類滅亡」など予言していませんが、様々な理由で、秩序と生命の完全破壊をイメージするものに変えられてしまっています。その変化の過程を考えて行くことで、「終末論」は、少なくとも恐怖と滅亡の代名詞ではなく、心配するに値しないことだという事を明らかにしたいと思っています。

なお、本文の内容に様々な宗教に関する記述や、宗教団体の思考や行動についての記述が含まれる事になりますが、筆者のスタンスは宗教的には全くニュートラルであることを、ここに宣言しておきます。

例によってご意見、ご感想などは歓迎しますが、宗教論争的なコメントには一切お答えしませんし、そのようなコメントは削除対象とさせていただきます。
【57より続く】

はるか過去から、多くの「終末論」が世間を騒がせて来ました。それは現世の不安や不満が高まった時期に、世の人々が様々な宗教で語られる終末と現世を重ね合わせ、滅亡の時が近いと言う不安心理に捉われたものだと言って良いでしょう。

その根拠とされた「終末論」は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの教えにあるものです。仏教においても、「終末論」とはだいぶニュアンスが異なりますが、「末法思想」という考えがあり、過去の我が国でもそれを拠り所とした社会不安が広まったこともあります。

ここで重要なことは、そのような社会不安では、各宗教における本来の「終末論」とは異なり、大概が「世界、または人類の滅亡」を示唆するものであったことです。

つまりある宗教における終末の時期や理由によって、他の宗教の地域や人々をも巻き込んだ「大災厄」が起こると。そこには自分達が信じる神の力は、他のいかなる神をも超越する、この世の唯一神であるという超越思想が見て取れます。

今流行りの「マヤ暦」は、言うまでも無く過去のマヤ人が「世界の終わりが来る」といった記録を残したものではないのですが、「なぜマヤ人の暦だけが世界全体の終末を言い当てているのか」という疑問に答えられる人はいないでしょう。

マヤ文明が非常に高度だったから信憑性があるという意見が出てきそうですが、では同時期に終末を予言していない他の文明は、すべてマヤ文明より劣る、世界の真実を見通せなかった「欠陥文明」だとでも言うのでしょうか。

世界の一地域で生まれたある文明や宗教だけが世界全体を巻き込む真実を予言しているとされる、根本的な矛盾がそこにあります。

もっとも「終末論」は古代宗教の時代から存在するものであり、その時代の「世界」とは、その時の治世が及ぶ範囲でしかありません。例えばマヤ文明ならば、南米大陸の一部に存在したマヤ人のコミュニティだけが「世界」なわけです。

世界最大宗教のキリスト教にしても、いわゆる「アルマゲドン」についての記述がある「ヨハネ福音書」が記されたとされる時代の「世界」とは、主にローマ帝国の支配地域とその周辺、具体的にはヨーロッパから地中海、北アフリカ、中東くらいまでの範囲だと言うことができましょう。

そのような前提で記された「終末論」を、現代の全地球規模に当てはめる事自体に無理があります。

このことから、世界的宗教における「終末論」とは、地球全体の終末、全人類の滅亡を予言するものでは無いという事がわかります。つまり「世界の終わり」を示唆するとされるものは、すべて何らかの拡大解釈や曲解をされているものと考えなければなりません。

あの「ノストラダムスの予言」にしても、一般には星の運行を調べることによる、西洋占星術による予言とされていますが、その根底にはキリスト教的思想があったわけです。もっとも、例の「恐怖の大王」に関しては、宗教的な終末論は登場しないばかりか、一言も世界の終わりが来るとは言っていないのですが。ただ、世の中に恐怖がもたらされ、新しい秩序による支配が行われるというニュアンスに、キリスト教の「アルマゲドン」思想の影響を見ることはできると言えましょう。

というか、天才ノストラダムスは、自分の詩篇が「アルマゲドン」と結び付けられて語られる事を狙いすましていたのではないかと、個人的には思っています。

【つづく】
【58より続く】

では、宗教における「終末論」とは、本来はどのようなものなのでしょうか。ここはその意味合いなどを議論する場では無いので、その基本的骨格のみをまとめたいと思います。

その源流が非常に近いユダヤ教、キリスト教、イスラム教や、仏教、ゾロアスター教などにも見られる「終末論」に共通する内容は、「破壊と再生」と言って良いでしょう。

何らかの理由で現世の終末が訪れ、「神」(本文ではすべての宗教の精神を、便宜的に「神」と呼びます)の力で新しい秩序の世が訪れる。そして「神」を信じ、その教えを実践したものだけが、新しい秩序の世に導かれるというものです。

つまり、多くの宗教における「終末論」とは、単純に滅亡を意味するものではありません。あくまで「神」の時代への再生するための前段階という意味合いで語られています。しかし実際には、現実の秩序を破壊しつくし、人々に恐怖と死をもたらす時がやってくると解釈されている事が多いのです。

それは一体、どのような理由によるものなのでしょうか。

【つづく】
【59より続く】

お待たせしました。「マヤ暦」編、再開します。


今まで述べて来たように、多くの宗教や文明における「終末論」とは、単純に世界の滅亡を予言しているものではありません。もちろん「マヤ暦」もです。基本的には、それぞれの「神」を信仰しその教えを実践した者だけが、「世界の終末」を生き残り、新たな「神の時代」を迎えることができる、というものです。

そこには「選民思想」が見て取れます。「神」を信じた者だけが、選ばれし者として生きながらえると。「選民思想」は、その出自が近いユダヤ教、キリスト教、イスラム教において、特に強く現われています。それは、これらの宗教が迫害された民から生まれたからだと言って良いでしょう。

ユダヤ教はエジプトの、キリスト教はローマ帝国の圧政に苦しんだ人々の中から生まれ、イスラム教は創始者ムハンマドと信奉者がメッカで迫害されたことから、それぞれ宗教としての支持を集めて行ったのです。つまり「神」の前にはすべての人々は平等であり、権力に圧迫された弱い民でも、「神」を信じれば希望に満ちた時代に生きながらえる事ができる、そのような教えが、民衆の支持を集めたわけです。

そしてその教えには、権力や武力を振りかざして人々を苦しめる者、つまり「神」の教えに背くものは「神」の怒りに触れて滅ぼされるという、「悪」の存在が必須であったと言えましょう。その「悪」の概念が拡大解釈され、「終末論=世界の滅亡」という流れとなって、現代に至っているわけです。奢り高ぶって地球を破壊する人類は、すべからく「悪」であるというように。

さらに、宗教はいつの時代でも政治的に利用されて来ました。あるコミュニティや国家を統治する方法として宗教が利用される時、その宗教をなるべく多くの人に信仰させなければなりません。そのために、誰もがわかりやすく、誰もが恐れる「死、滅亡」を回避する手段としての信仰をアピールするために、積極的に「終末論」が利用されたという背景もありましょう。

「マヤ暦」の話でもそうですが、何故か古代の人々はみな純真無垢で常に真実しか語らず、悪意や欲望とは無縁だと決めつけてしまうきらいがありますが、それはとんでも無い間違いです。いつの時代でも人間は欲望に捉われ、下世話な享楽にふけり、ウソもついたのです。「マヤ暦」にしても、マヤ人の王が民衆の心を纏めるために、必死で考え出した理屈かもしれないのです。古代のものはなんでも「真実」であると決め付けると、とんでもない思考の落とし穴にはまってしまいます。

とか、なんだか理屈っぽくなってしまったので、次回からは「後世に作られた悪の話」の実例を挙げてみます。
【61より続く】

旧約聖書の「創世記」に記述のある、「ソドムとゴモラ」の話をご存知でしょうか。簡単に言えば、ソドムとゴモラという街の人々が、何か悪しき行為をしていたため、神の怒りに触れて、天から降った火と硫黄によって滅ぼされたという話です。

余談ながら、この悪しき行為については具体的な記述が無く、悪どい商売をやっていたから、旅人をもてなさなかったから、同性愛にふけっていたから(英語の「ソドミー」はここから来ています)など諸説あります。

とにかく二つの街が、神が降らせた火と硫黄によって全滅したとされているのですが、これは近年まで不道徳を戒める完全な創作だと思われていました。

しかしそこに画期的な発見がもたらされました。旧約聖書の舞台である現イスラエルの近く、メソポタミア地方にあったシュメール人が、この惨劇当日の天体観測をしており、それが記録された粘土板が発見されました。

シュメール人は非常に精密な天体観測技術を持っており、その記録は現代の技術でも年月日レベルで解析できる精度です。その粘土板に、天空を横切る謎の直線が書かれていました。

それは他の記録には無い、不思議な線でした。ところが、それを隕石または小惑星の軌道だとして計算すると、驚くべき事実が浮かび上がりました。シュメール人は、天を横切る巨大な流れ星を、それが何かはわからないまま、とにかく記録に残したのです。

とりあえずこの辺で。次回に続きます。

【62より続く】

シュメール人の粘土板が記された日付は、記録された惑星などの位置関係から、紀元前3129年6月29日と特定されています。その日に、巨大な火の玉が死海付近上空を横切ったのです。

この軌道を延長すると、ヨーロッパアルプスに到達します。落下地点と思しき付近の氷床の解析から、紀元前3100年頃に小惑星が落下したと思われる痕跡も発見されています。

仮に直径1km程度の小惑星が大気圏に突入し、ヨーロッパアルプス上空で空中爆発したとした場合、大気圏外にまで吹き上げられた灼熱の破片が、通過してきた軌道方面に吹き戻されるようにばら撒かれることは、現代のコンピュータシミュレーションによって証明されています。

このことにより、その日にソドムとゴモラの街が全滅したのが歴史上の事実であることは、間違い無さそうです。ちなみに通説ではソドムとゴモラの街は死海南部に沈んだとされていますが、その付近には小惑星の破片はあまり落下しなかったと計算されています。

しかし破片が激しく降ったとされる地域を調査した結果、それまで未発見だった都市遺跡がいくつも発見され、それがソドムやゴモラの街であったという可能性が出て来ました。しかしまだこれは発掘史料などによる確実な証明はされていません。

次回へ続きます。
【63より続く】

紀元前3129年6月29日、ソドムとゴモラの街と人々が、大気圏外から降り注ぐ、灼熱の隕石群によって焼き払われたのは事実と言えそうです。

つまり実際に起きた未曾有の災厄が、後年に旧約聖書として編纂される際に、神の怒りによる行いとして「脚色」されたと考えることができます。当時の人々が、実際にその痕跡が残る大災厄を神の行いだと信じることで、神を恐れ、崇める気持ちを非常に強めたのは想像に難くありません。

同じく旧約聖書の「創世記」にある「ノアの方舟」の逸話も、現実に起きた大洪水を題材に、神の教えを効果的に広めるために記されたものだと言うことができましょう。

人々の意識を「神」の意思に向かわせるには、対極的恐怖としての死、滅亡をイメージさせるのが最も効果的であったことは、紀元前も現代も何ら変わっていないと言うことであり、そのような手法はその後も様々な形で繰り返されました。

現代人が「マヤ暦」による滅亡の時を恐れているのと同じことを、紀元前の人々も考えていたのです。人間の本質は、いつの時代も変わりありません。

念のため申し添えますと、聖書の逸話が事実を元にした「脚色」であったとしても、その意味と聖性はまったく損なわれる事は無いと考えています。

次回へ続きます。
【64より続く】

最も旧い宗教経典と言える旧約聖書の段階で、死と滅亡をイメージさせることで民衆の誤った考えや行動を戒める訓話が存在したわけです。そしてそれは、意識的に「脚色」された物語でした。

そのような話には、必ず「救済」が描かれています。ソドムとゴモラの話の場合は、街を訪ねた賢者ロト(もちろんあのゲームの主人公名はここから来ています)とその一行は、神の教えをよく守っていたため、火と硫黄の雨が降る直前にそれを避けられる洞窟を教えられ、そこで難を逃れたというものです。

前にも述べた様に、宗教的「終末論」とは滅亡を予言だけするものでは無く、例外なく、旧い秩序が崩壊した後に、神によって新しい秩序の時代が来る、「神」を信じてそれに備えよ、そのようなニュアンスです。「神」を信じ、その教えを行ったものだけが「救済」を受けられるというのです。

しかし世間で取り沙汰される、つまりウケるのは「死と滅亡」の部分だけなのは、いつの時代でも同じ。それは人間の根源的恐怖に訴えかけます。特に宗教的な多くの謎がちりばめられていたりすると、その恐怖は倍増します。

敢えて名前は書きませんが、某新興宗教団体が、様々な宗教経典や社会的事象から死と滅亡をイメージさせる話を抜き出して再構築し、徹底的に恐怖を煽ることで信者を増やしていた事は、記憶に新しいところです。ちなみに、このトピで前出した「ケムトレイル」や「HAARP」、そして恐らく「マヤ暦」も、最初に世に出たのは、その団体のプロモーションによってだったと思います。

そうでなくても、「滅亡モノ」はメディアで定番です。多くの滅亡モノ書籍、映画、番組が、とにかく「数字が取れる」コンテンツとして、メディアに重宝がられているのは確かですね。そして大抵、そこに描かれるのは、科学的根拠はおろか、本来の宗教的意味をも歪曲した、とにかくひたすら「恐ろしい話」なわけです。

その手の宗教的終末論を題材とした「メディア上の恐怖」は、口伝の時代から紙媒体、映像媒体に至るまであまねく時代と分野に存在し、我々を惑わせるのです。

過去には大地震、大洪水、巨大嵐、気候変動、氷河期、火山大噴火、地殻変動、核戦争、そして宇宙生命体の襲来など、様々なパターンの「滅亡」が描かれて来ました。でも、それを見た多くの方は、素朴な疑問を抱かれたと思います。
「本当にそれで人類が滅亡するの?」と。

次回からは、短期間で人類が滅亡または大打撃を受けるのには、どのような要素が必要かを考えて見ます。

次回へつづきます。
【65から続く】

地球上の人類が短時間のうちに滅亡する、またはそのほとんどが死滅するような現象とは、一体どんなものなのでしょう。

本編の最初の方に書いた通り、「終末論」を持つ主要宗教が生まれた時代の「世界」とは非常に限定された範囲であり、全地球を指しているわけではありません。一定範囲内の街や人々が死滅するような災厄が起これば、それはすなわち「世界の終末」だったのです。

ですから、宗教的「終末論」で全人類の終末を予言していると考える事自体がナンセンスであると、前に述べました。

しかし現実には、地球上の生物の多くが短時間で甚大なダメージを受ける可能性も存在するのです。これは「終末論」に関わらず、非常に科学的な可能性です。

まず、映画などで良くある自然災害、つまり地震、大嵐、大洪水、大噴火辺りで全地球が影響を受ける可能性が少ないことは、だれでも想像できます。あれはあくまで映像的なインパクトを狙った結果と言えましょう。例えば、地球上には地震や火山がある地域より、それが無い地域の方が広いわけです。大嵐も、内陸部ではあまり影響がありませんし、大洪水も高台には襲ってきません。

火山噴火も、人類が経験したようなレベルでは、人類の滅亡を招くほどのインパクトはありません。しかし、遠く過去まで遡ると、話は違って来ます。

例えば米国北西部の有名な観光地「イエローストーン国立公園」は、そのほぼ全域が、約210万年前に起きたとされる破局的大噴火によって形成された、巨大なカルデラです。もしまた同規模の噴火が起きたと仮定した場合、大量の火山噴出物が成層圏に吹き上げられて地球全体を厚く覆い、極端な寒冷化をもたらします。「火山の冬(ボルケーノ・ウィンター)」という現象です。

噴出物の量は、1980年に大噴火を起こして山体が崩壊した、米国のセントへレンズ火山の噴出物の6000倍と推定されています。

そのイエローストーン大噴火によって、その当時地球上に存在した動植物の90%が死滅したというのが定説になっています。このような規模の噴火をする可能性がある火山は、アイスランド、インドネシアなど世界にいくつか点在していますが、人類はいまだそのような規模の噴火を経験していません。

とりあえず差し迫った危険は無いのですが、当分起きないとも言い切れないのも事実です。超巨大火山噴火は、自然災害系では全地球に最も強大なインパクトを与える可能性があると言えます。

次回へ続きます。
【65より続く】

話を宇宙規模にまで拡大すると、いくつかの可能性が出てきます。

まずは天体の衝突です。巨大彗星、小惑星などが地球に衝突した場合には、想像を絶する被害となります。もちろん衝突点付近は全滅、さらに大量の砂塵が上空に吹き上げられ「火山の冬」と同様に、極端な寒冷化をもたらします。

一番有名な例が、約6500年前に、メキシコのユカタン半島付近に衝突した、直径10km程度の小惑星です。この衝突の影響で、2億5000万年間も生きながらえて来た恐竜が絶滅したとされています。この時、やはり地球上の動植物の95%が死滅したとされています。

現代においては、2004年に発見された小惑星アポフィスが良く知られています。この小惑星は、2029年に地球の軌道と交錯し、当初のシミュレーションでは地球に衝突する確率が30分の一と、非常に高い数値になり、注目を集めました。

しかしその後の精密な観測の結果、2029年の接近での衝突確率は数億分の一、つまり可能性は無いとされており、心配する必要は無さそうです。

しかし、もし巨大な彗星や小惑星が地球に接近してきても、少なくとも現代の科学では効果的な対応策はありません。衝突したときの影響も、その天体の大きさにもよりますが、最大級のものとなるでしょう。その接近は何年も前から予測できますので、いきなり危機に陥ることはありません。

次回に続きます。
【67から続く】

ひとつ訂正があります。67番の小惑星の衝突についての記述で、恐竜を絶滅させた小惑星衝突を6500年前と書いてしまいましたが、「万」が抜けています。正しくは6500万年前です。お詫びして訂正します。

さて、宇宙からはまた別の「殺戮者」がやってくる事があります。
それは「ガンマ線バースト」という現象です。

実はこの現象、発生のメカニズムは未だに良くわかっていません。超新星爆発に関係があるようですが、大抵は遠距離の天体で、ごく短時間のうちに終わってしまうので、専用の観測衛星も打ち上げられており、バーストによる放射線は多数観測されているものの、それが放射された天体さえもまだ見つかっていません。

メカニズムはともかく、この現象は放射線の一種である「ガンマ線」が、天体の両極から細いビームとなって、千分の数秒から数分程度の時間に渡って放射されるというものです。ガンマ線とは核爆発の際に放射され、生物の遺伝子を破壊する、生物にとって非常に影響の大きい放射線です。

しかし、通常は地球上で宇宙からのガンマ線を直接浴びることはありません。地球はオゾン層によって、守られているからです。ガンマ線は、オゾン層を通過することはできないのです。

では何が地球に危機をもたらすかというと、オゾン層の破壊です。もし地球から数十光年程度の距離の天体でガンマ線バーストが起き、そのビームの方向が地球を向いていた場合、強烈なガンマ線によって地球を取り巻くオゾン層が大きく破壊されます。

オゾン層は太陽からの紫外線からも地球を守っています。それが破壊されると強烈な紫外線が地球上に降り注ぎ、地表や浅い水中の動植物が死滅し、食物連鎖が破壊されることによって、大量の生命が失われることになります。

一説では、約4億5000万年前に地球は強いガンマ線バーストを浴びた可能性があり、その際には地球上の生物の大部分が死滅したとされています。

さらに、地球45億年の歴史の中で最低一回は、地表に直接ガンマ線が到達するほどの至近距離からの放射を受けた可能性もあるといいます。原始地球にはオゾン層は存在しなかったので、その時代のことかもしれませんが、至近距離から浴びる確率的にはその程度ということもできます。

ガンマ線バーストとは、宇宙全体で見れば非常にありふれた現象です。観測衛星は、宇宙各方面からのバーストを日常的に捉えています。しかし距離が非常に遠い場合がほとんどのため、地球に影響を及ぼすことはありません。

その反面、ガンマ線バーストがいつどこで発生するかも、現時点では全くわかりません。数十光年程度の距離の星で強いガンマ線バーストが発生し、そのビームの方向が地球を向いていたとしたら、オゾン層の破壊による大災厄が起こる可能性はあります。

しかしその確率はあくまで「ゼロではない」というレベルなので、それを心配する前に、地震や台風などへの備えを進め、交通安全に努める方が、はるかに現実的に「生き残れる」というものです。


次回へ続きます。
【68より続く】

短期間に地球上の人類を絶滅またはそれに近い状態にする可能性のある現象は、それほど多くありません。自然現象としては、前出の「破局的大噴火」、「天体衝突」、「ガンマ線バースト」くらいです。でも現代の「予言者」と呼ばれる人たちは、あまりこの辺にフォーカスしてませんね(笑)

やはり地震、津波、大嵐、大洪水のようなものの方が恐怖を煽る=信じさせやすい、という方程式があるのでしょう。火山噴火も天体衝突もかなり前から予知できますし、ガンマ線バーストに至っては威力は最大級でも、ビジュアル的な恐怖感に欠けますしね。何せガンマ線もオゾン層も紫外線も目に見えない。

一方で、人為的な影響による「人類絶滅」の可能性はどうでしょうか。

ごく短期間に、という条件を考えると、とりあえず「地球温暖化」は除外できます。となると、最もインパクトが大きいのは、やはり「核戦争」でしょう。

良く、地球上の核兵器の総量は、人類を何回も絶滅させることができる量(4回とか7回とか諸説あります)だと言われますが、まあそのような使い方をされる可能性は全くありません。

かつての米ソ冷戦時代はお互いに大量の核兵器を保有し、一触即発の状態でした。実際に1950年に開戦した朝鮮戦争や、1963年のキューバ危機においては、実際に核兵器が使用される直前まで行きました。

当時想定された核戦争は、米ソがお互いの主要都市や海外の軍事拠点に向かって数百発のICBM(大陸間弾道弾)を撃ち合い、さらに潜水艦搭載のSLBM(潜水艦発射型弾道弾)で止めを刺しあうという凄まじいものでした。それでも核兵器の直接の威力だけでは、人類の絶滅までは達しません。

例えばアフリカ大陸、インドや東南アジア地域などは核ミサイルで狙われる目標も少ないためです。核爆発によって吹き上げられた放射線を帯びたチリがジェット気流にのって広範囲に拡散し、雨などに混じって地上に降り注ぐ「フォールアウト」(放射性降下物)によって、放射線の影響は全地球規模に広がる可能性はありますが、短期間での絶滅には繋がらないでしょう。

さらに大量の核爆発が起きると「火山の冬」と同じような現象が起きます。成層圏にまで吹き上げられた大量のチリが太陽光を遮り、全地球的にそうとうな寒冷化をもたらします。これを「核の冬」(ニュークリア・ウィンター)と言います。

というのが米ソ冷戦時代に想定された、大規模核戦争後の地球の姿です。しかし現代では、米ソが核ミサイルを撃ち合う可能性はほとんどありません。中国も含めて、全面核戦争の恐怖は過去のものと言って良いでしょう。

一方最近になって核兵器の保有を始めた諸国では、核兵器の絶対量が少ないので、仮にそれらの国同士で核ミサイルを撃ち合う状況になっても、地球全体への影響は限定的なものでしかありません。

大国間の全面核戦争の可能性がほとんど無くなった今、核戦争による人類絶滅の可能性は除外しても良いと思います。ただし、限定的核戦争の可能性はまだまだありますので、ある地域においてはカタストロフィが発生するかもしれません。

次回へ続きます。
【69より続く】

69番の文中、「現代では米ソが核ミサイルを〜」と書いてしまいました。もちろん「米露」の誤りです。お詫びして訂正します。


これまで宇宙も含めた自然現象と、核戦争による人類滅亡の可能性を考察して来ましたが、もうひとつ忘れてはいけない可能性があります。「病気」です。

人類は、過去になんども病気によって大きなダメージを受けて来ました。14世紀には、ペストの流行でヨーロッパの人口の三分の一が死んだと言われ、1918年のスペイン風邪大流行では、感染者6億人、死者は4000〜5000万人とされています。

その他にも、他民族との接触によって免疫を持たない病原体に感染し、事実上絶滅した小民族の例も少なくありません。彼らにしてみれば、それは正に世界の滅亡そのものでした。しかし、病気だけで世界中の全人類が滅亡の危機に晒された事が無いもの事実です。

ではここで、既知のウイルスのうちで最も致死率が高いと言われる「エボラ出血熱」のパンデミックが起きたら、という最悪のシミュレーションをして見ましょう。「エボラ出血熱」ウイルスは、致死率90%以上とされており、治療の方法は見つかっていない恐怖のウイルスです。前提として、これは人為的な拡散ではなく、あくまで自然発生的な感染とします。

まずヨーロッパもしくは北米大陸に、アフリカから感染者が飛行機で渡航しました。感染から3〜4日は潜伏期間であり、その間に接触した人に感染が拡大して行きます。さらに初期症状は風邪に良く似ているので、風邪薬を飲んで様子を見たりしている間にも、次々に感染が広がって行きます。

最初の感染者(ペイシェント・ゼロ)が発病し、エボラ出血熱と診断される頃には、感染者はほぼ全欧、全米に拡散しており、さらに海外にも拡散している可能性もあります。

世界中に感染者が拡がり、さらに連鎖的に感染が拡がって行きます。恐らく、その病気がエボラ出血熱であるという事が判明し、世界的に警報が発せられるまでに、最低一週間程度はかかると思われます。この段階で、最悪の場合数千万人単位、場合によっては億単位での感染者が出ている可能性があります。

人類がこの状況に対して取れる手段はたった一つです。それは「移動禁止」。鳥インフルエンザ対策と全く同じです。鳥インフルエンザは現時点では人間に感染する可能性がほとんど無いので、鶏肉や卵の移動禁止だけですが、人間に感染するようになったら、人間も同じ扱いになります。

それが世界各地で同時多発的に発生します。当然、人間が動けないと社会活動がマヒし、それによる二次的被害も深刻となります。感染者以外でも、特に社会的弱者の犠牲が大量に出るでしょう。感染者一人が移動するだけで、膨大な数の感染者を増やすことになってしまいますから、移動禁止は徹底されるでしょう。

しかしエボラ出血熱のような非常に致死性が高いウイルスは、根本的なパラドックスを抱えています。ウイルスは「生きるため」に新たな宿主へ感染して行くわけですが、その宿主の大半を殺してしまうことになるので、さらに新たな宿主を探さなければ生きて行けません。細菌と違って、ウイルスは生体の中でしか生きられないのです。

徹底した移動制限によって新たな宿主への感染ができなければ、ウイルスは次々に死滅して行きます。現在の人類ができることは、ひたすらその時を待つことだけなのです。その時期はパンデミックの規模にもよりますが、数週間から数ヶ月に及ぶ事になるでしょう。

その間に病死する数と二次的被害によって、人類がどれだけのダメージを受けるかを正確に算出することは困難です。しかし、現在約69億人とされる全人類が滅亡することは無いでしょう。

しかし特に先進国の社会機構は深刻なダメージを受けることになり、世界的な勢力図の変化が起きるかもしれません。そう言った意味では、伝染病によるダメージが一番恐ろしいものかもしれません。

ひとつ確実なことは、パンデミックを起こしたのが致死率が低い病気の場合は多くの感染者が生存し、致死率が高い病気の場合は、感染拡大を防止できれば、比較的早い段階でパンデミックが終息するということです。ですから、最悪の病気が拡散した場合でも、すぐに人類全体が危機に陥るという可能性はそれほど大きく無いということです。

次回へ続きます。
【70から続く】

とはいえ、感染者の移動禁止が徹底されなかった場合など、悪い方向に考えればいくらでも病気が拡散する可能性も考えられます。古くから小説や映画で描かれて来たように、疫病が人類を滅ぼす事が無いとは言えませんね。

エボラ出血熱のような致死率が非常に高い病気や、世界の大部分の人が免疫を持たなくなった天然痘などが一度流行すれば、短時間のうちに世界の広い範囲に拡散してしまう事は、豚インフルエンザ由来の新型インフルエンザ(H1N1型)が急速に拡散した事実を見れば明らかです。

エボラや天然痘は、あれよりはるかに感染力も致死性も高いのですから、想像するだに恐ろしいことです。そんな場合、人類は必死に戦うでしょうが、その結果は文字通り「神のみぞ知る」ということかもしれません。

とりあえず現代において、短期間に全人類を生命の脅威にさらすような事象は、これまで挙げて来たものくらいでは無いでしょうか。


これらの事象は、終末論もマヤ暦も関係なく、いつでも起こる可能性があります。もちろんその可能性は、数値的には無視できるレベルの話ではありますが。そして、もし仮にそれが「予言された」時期に起きたとしても、それは「単なる偶然」に過ぎないのです。

次回で最終回です。
【72番から続く】

今回で「マヤ暦」編を終わりにします。なんだか「マヤ暦」はほとんど出て来なかったのですが(笑)

最後は、我々の心理について考えて見ます。

何故我々は「世界の終末」を恐れるのでしょうか。あなたは本当に「世界の終末」を恐れていますか?突き詰めて考えて見てください。

海外では戦争、テロ、大災害などで連日多くの人命が失われています。それらに「世界の終末」に対するものと同じ恐怖を感じますか?

答えは結構単純なことだと思います。多くの人が恐れているのは、実は「世界の終末」そのものでは無く、自分の死、自分の大切な人の死、自分の子孫の死、では無いでしょうか。

良く映画で描かれているように、大混乱の中で周りの人が次々と苦しみながら死んで行き、ついには自分にもその時が訪れる、そのイメージを恐れているのでは無いでしょうか。

遭遇する可能性がはるかに可能性が高い交通事故による死よりも、世界の終末の阿鼻叫喚の方がずっと恐ろしいイメージですね。何故なら、それが「理不尽」であり「不可避」だからです。人としての尊厳が一切省みられない死だからです。

少し乱暴に言ってしまえば、人類は古来から、そんな死に対する根源的恐怖を利用して日々の行動を戒めたり、集団を統治したりして来ました。そしてその恐怖は、商売にもなりました。「怖いもの見たさ」はいつの世も変わりません。

古代から続く宗教における「終末論」はその原点であり、かつ普遍的なものになっています。しかし人類の歴史の中で何度も「世界の終末」が「予言」されましたが、それが実際に起きた事はありません。

それが事の本質だと思います。これは「神」の教えが間違えているとかそういう事ではなく、そこに何らかの目的のための「人間の意志」によるバイアスがかかっているから、ということです。



超自然的な力の存在を完全否定することはできません。しかし、こと「予言による世界の終末」に関しては、全く恐れる必要など無いのです。「マヤ暦」も然りです。それが本来持つ意味から乖離させされて、恐怖の象徴の様にはやし立てる事自体が、宗教や古代文明に対する冒涜だと思うのですが。

私個人的には、その手の話が盛り上がって、仕掛けた誰かがどこかで儲けていると考えるだけで虫酸が走ります(笑)

そんな事より、私達の周りの「今そこにある危機」への備えを固める方が先、というのがこのコミュの主旨です(笑)


【「マヤ暦」編おわり】
根拠の無い情報に振り回されている方々に、是非読んでいただきたいなと。世の中、そんなに不思議な事は無いんですよ。たまにはあるけど。

上げときます。

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