世界の中心で怖い話を叫ぶコミュの時を飛ぶオリ（2/5）【火曜でびペンス劇場～8～】

(1/5)はこちら↓
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43001609&comment_count=2&comm_id=2664235

～～～～～～～～～～～～～～～

「ハァハァ…」

「ゼェゼェ…」

家を出てから2時間。

何度も諦めかけたが、なんとか僕と木上さんは山の中ほどまで辿りついた。

「ハァハァ…の、紀夫ちゃん、アレ、見て。煙でてるところ…」

「う…うん」

木上さんが声をかける前に、僕もソレを見ていた。

煙の出ている方向…。

さっき何かが落ちてきたところ…。

そこに転がる銀色の大きな物体を…。

「ゴクリ」

木上さんが唾を飲み込む音が聞える。

「あ…あれ絶対UFOだよ！！すげーよこれ…」

木上さんの目が異様に血走っている。

「ま、まってよ木上さん！」

僕は空から落ちてきたであろう物体に歩み寄る木上さんの腕を掴んだ。

「な、何するんだよ紀夫ちゃん！」

「木上さん！だって…危険だよ！何が出てくるか解ったもんじゃない！」

「だ、大丈夫だよきっと！きっとかわいい頭のデッカイのが指立てて出てくんだよ！」

（…ETか…）

僕が制す手を振り払い、木上さんは物体に近付く。

「あ…熱いなコレ…」

木上さんは物体に触ろうとするも、その表面の金属が熱くて触れない様子だった。

「ちょっと木上さん…危ないよ。離れようよ」

正直、この物体に近付くのは怖かったが、僕は木上さんを一人にするのも気が引けたので物体の前にやってきた。

「こ、これ…すごいよ紀夫ちゃん。

な、なんて金属だろうこれ…。

アルミかな？

いや、アルミにしては硬いから違うか…これだけ高温になってるのに、全然表面が酸化してないんだ…。

すごいよ。これはすごいよ！」

木上さんは物凄く興奮しているようだ。

「き、木上さん。

それがすごいのは解ったけど…一旦離れよ。

ね？

何か出てきたら絶対に危ないよ」

「紀夫ちゃん！！

もしここからすごい生物とか出てきて友達になれたらすっごいステキじゃないか！！

君はそんな大チャンスを逃すつもりなのかい！？？？」

「そ、そのロマンの気持ちはわかるけど…やっぱり怖いよ。

それに…そんな宇宙人とかETとか、

絶対ありえないよ」

「紀夫ちゃん！！！

ありえないとかなんで言い切れるの！！！

宇宙人が居ない可能性は100パーセントなのかい？

ん！？？？

100パーセントまで突き詰めて居ないんならそんな事言っちゃんだめだよ！！！

かの名曲の詩でも歌われてるじゃないか！

【アニメじゃない　アニメじゃない　現実なのさ】…って！」

（ZZか…）

その後5分ほど、

木上さんは何とかこの金属をこじ開けようとその辺の木とかでつついたりしていたが、

金属は恐ろしく熱いらしく、触れた瞬間に木は発火したりしていた。

「す、すごい熱さだ…。

こんだけ熱持ちつづけるなんて…これは銅か？

…いや、銅ならこんな色にはならないし、そもそもこの温度になれば表面が酸化するはず…

…ぶつぶつ…」

僕はそんな木上さんの姿を身構えながら眺めていた。

いつでも逃げれる態勢を整えながら。

…と、その時だった。

ガタガタッ！！！

「う、うわっ！！！」

突然その物体が小刻みに震えだした。

驚いて倒れこむ木上さん。

瞬時に100メートルは逃げた僕。

100メートル離れたところから、僕は見た。

その物体のトビラらしきものが、ゆっくりと開くところを…。

木上さんは腰が抜けたようで、立ち上がれないようだった。

僕も、恐ろしさのあまりここから動く事が出来なかった。

…そして…。

　ドサッ。

何かが…。

茶色い何かが、物体の中から出てきて木上さんにかぶさるのが見えた。

「うわあああああああああああああああああああああああああ！！！」

木上さんの叫び声が山に木霊した。

（来週の火曜日につづきます）