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世界の中心で怖い話を叫ぶコミュの時を飛ぶオリ(1/5)【火曜でびペンス劇場〜8〜】

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 今週から、毎週火曜日に掲載します、この『時を飛ぶオリ』は、

全部で五部編成となっております。

予定では六月23日に終了予定です。


少し長くなるかもしれませんが、どうぞお付き合いよろしくお願いします。


それではどうぞ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜^





チリーン…。





 チリーン…。






「…ん」



風鈴の音で、僕は目を覚ました。




「…まだ三時か…」



僕の名は【材刻 紀夫(ざいこく のりお)】



26歳のいわゆるニート。





昼の三時。

六月の少し蒸し暑い気候。


汗を拭って僕は部屋を出た。





冷蔵庫を開け、オレンジジュースの1リットル紙パックを口をつけずに飲む。





父さんと母さんは、この時間仕事で家には居ない。




近所にうるさい人も居ない為、この時間は静かなものだ。






部屋に戻る途中、おじいちゃんの遺影が目に止まった。



「…おじいちゃん…」






おじいちゃんは、先月の暮に亡くなった。



5月26日の火曜日。



今でも僕は覚えている。




あの時間、


今日の今と同じ、午後三時頃。



ずっと寝たきりだったおじいちゃんは大きな声で僕を呼んだ。





「…紀夫!紀夫!!」




「何?」




僕は慌てておじいちゃんの元へ駆け寄った。





おじいちゃんがあんなに大きな声を出したのは、僕の記憶の中では始めてだった。





部屋に入るとおじいちゃんは口をぱくぱくさせて、ベッドを這い出ていた。



「ダメじゃないか!おじいちゃん!」



僕が慌てておじいちゃんの体をベッドに戻そうとすると、おじいちゃんは僕を力一杯払いのけた。



「山!山に行かないと!」




おじいちゃんは窓から見える山を指さしてそう叫んだ。



「…山?」





僕はおじいちゃんが指さす山を少し見ていた。



緑が鮮やかな山。









「…さ、おじいちゃん、とりあえず今日は寝よう」




山を見た後、僕はおじいちゃんをまたベッドに戻そうとした。



…そこで僕は驚いた。





おじいちゃんの呼吸が止まっていたからだ。



「おじいちゃん!!!」



僕はあわてて、父さんの会社に電話した。





父さんは「救急車を呼べ!すぐに帰る!」と言った。




僕は父さんの言う通りにした。




父さんも、すぐに病院に駆けつけてくれた。



…でも…おじいちゃんはそのまま帰らぬ人となってしまった。











…あれからもう一ヶ月。






ニートの僕の唯一の仕事といえば、おじいちゃんの介護だったのかもしれない。





…でも、おじいちゃんはもう居ない。



…あれから僕は…なんだか心に物凄く大きな穴が開いた感覚に見舞われている…。











ピンポーン…。







…誰だろう?





ガチャッ。

インターフォンの受話器を取る。


「…はい、材刻です」




『よお!紀夫ちゃん!オレだよ!オレ!』



「…あぁ、木上さん…」




家を訪ねて来たのは【木上(きがみ)】さんだった。




木上さんは36歳のニート。



僕とは二年前ネットの掲示板で知り合った。




なんとなく気が合い、ネットで会話しているうちに家が近い事が判明し、


それからたま〜に会って話したり、木上さんの【実験】に付き合ったりしている。





「ふう。今日は暑いねぇ」


汗を拭いながら、木上さんは大きな体で僕の部屋に入ってきた。




「…で、木上さん、今日はまた何か作ってきたの?」




「おぉ!そうそう紀夫ちゃん!見て」





木上さんの趣味はいわゆる【ロボット作り】。



元々は電気配線関係の仕事をしていたらしいが、オタクすぎて仕事に関係のないものばかり作っていた為にクビになったらしい。




「じゃ〜ん!どうこれ!三足歩行ロボット!!」



木上さんは三本足のロボットを紙袋から取り出した。




「これ、すごいんだぜ紀夫ちゃん!



このスイッチ入れるとさ、


光センサーで障害物をかわしながら歩くんだよ!」




木上さんはとても嬉しそうな顔でロボットを床に置いた。



「…す、すごいですね」



僕は(一足余分だろ)とか思いながらも相槌をうった。






木上さんが無邪気にロボットを走らせてる間、


僕は窓からぼーっと山を眺めていた。




『山!山に行かないと!!』


おじいちゃんの最後の言葉。





…あのキレイな山。


…なんとなく、おじいちゃんの最後の言葉が気になった。






「紀夫ちゃ〜ん!見て!ほら、ここ、


ウデのところさ、ジェルが飛び出すんだぜ!」






「や、辞めてよ!部屋がベタベタになるじゃないか!」




木上さんの暴走を止めようとした時だった。





シュルルル…。



窓の外、遠くの方から音が聞えてきた。



「…ん?」




思わず窓の外を見る。






シュルルルルル…



     …ボンっ!




「…!!?」



「…!!?」





僕と木上さんは顔を見合わせた。





隕石?


ミサイル?





何かは解らないが、空から何かが降ってきて、窓から見える山に落ちたのだ。




落ちた場所からは、もくもくと煙が上がっている。





「み…みみみ…見た?紀夫ちゃん今の?」



「み…見た…」




「あ…あれ…な、なんだろう」



「な…なんでしょう…」






「と、とにかく、オレ行くよ紀夫ちゃん!



アレは絶対宇宙とかそういうのだ!」





木上さんは勢いよく部屋を飛び出した。


「あっ、待ってよ木上さんっ!」


僕も木上さんに続こうと慌てて追いかけた。



ガシャッ!




その際、木上さんの三足歩行ロボットを蹴っ飛ばしてしまい、ジェルをぶちまけたのはとてもショックだった。





(来週の火曜日につづきます)




コメント(3)

山に何があったのか気になりますね…。寝たきりだったお爺さんが言うのだから、よっぽど重大な何かだったんでしょう。

また、何が落ちてきたのかも気になります。
木上さん凄い人なのに・・・・・・。
(2/5)です↓
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43226201&comment_count=0&comm_id=2664235

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