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生活保護者の集いコミュの「ひげそりの貧困」は誰のために言っているのか 男性の貧困問題は女性や老人や子供の貧困問題を貶めるための材料ではない

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https://webronza.asahi.com/national/articles/2021071600004.html?page=1

ひげそりの貧困」は誰のために言っているのか
男性の貧困問題は女性や老人や子供の貧困問題を貶めるための材料ではない

赤木智弘 フリーライター

2021年07月19日
ひげそりの貧困|生理の貧困

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 最近、その問題が認知され始めた「生理の貧困」問題。必須であるはずの生理用品が貧困で買えない女性がいることから、役所や学校の保健室や女子トイレなどで生理用品の無料配布などの動きがある。政府の男女共同参画会議でもこの問題が議題に上がり、様々な支援の形が話し合われている。

 そんな中、日本維新の会所属の梅村みずほ参議院議員が6月2日にこのようなツイートをしていたのが、7月になってTwitter上で徐々に話題になっている。

 梅村議員曰く「『生理の貧困』を入れるなら『ひげそりの貧困』も入れませんか。つい女性に支援を!の声が大きくなりがちだが男性も困ってる人はいる。貧困世帯の男子のことも考えてあげたい。」というのだ。

 確かに貧困は女性だけの問題ではないが、それにしても「ひげそりの貧困」ってなんだろうか?

拡大「ひげそりの貧困」を訴える梅村みずほ議員のツイート
https://twitter.com/mizuho_ishin/status/1400079930604494848
比べてどうなるものでもなく、比較対象になるはずがない
 自分を例に挙げてみる。

 僕個人のひげ剃りコストは、僕はメインでは両刃カミソリでひげを剃っている。それに朝ちょっと剃りたい時用に電動シェーバーも持っている。両刃カミソリのホルダーは少し高級なホルダーを使っている。だいたい8,000円程度。すでに10年ほど使っているが、まだ買い換える必要は感じない。しかしここでは10年で買い換えるということにしておこう。すると年800円。

 替刃は1枚50円程度のものを使っている。これを2週間程度使うので月100円で年1,200円。シェービングフォームが1缶で3カ月程度。1缶400円を4回だから1600円としよう。電動シェーバーは確か6,000円程度で、これも10年くらいで買い換えるので年600円。ひげ剃りのコストはこんなものだろう。これで年に4,200円程度。10年で42,000円。40年で168,000円だ。

 なおこの金額は比較的贅沢をしている。両刃カミソリを使うにしても安いホルダーであれば1,000円ほどで買えるし、電動シェーバーも2000円程度で買える。フォームだって浴用石けんで代用する人もいる。また電動シェーバーだけでひげ剃りをしている人も多く、その場合はシェービングフォーム代などもかかってこない。ただし、ある程度の頻度で外刃と内刃を買い換えれば、フォーム代と同程度か少し高い程度にはなるだろう。

 一方で女性の生理用品はプラン・インターナショナルがまとめた「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査結果」によると、自分で生理用品を購入している人のひと月当たりの生理用品購入金額は、301円〜700円あたりの層が多い。この真ん中をとって500円と考えても、年間6,000円かかる。これに40をかければ40年で240,000円だ。

 意外とひげ剃りと数字がそれほど変わらないと思う人がいるかも知れないが、そう感じた人はいくつか重要なことを忘れている。

 まず、ムダ毛を剃ることを求められているのは男性だけではなく、女性もである。しかも、男性は髭だけを整えておけば、脇毛やすね毛、腕の毛などには何も言われないことが多いが、女性はこれらの除毛をするのが当たり前であると、社会的に見られている。

 そしてもう1つ重要なのは、男性がひげを数日剃らないとしても「無精ひげ」で済まされるが、女性が生理用品を使わなければ、経血が下着を汚すのはもちろん、多ければ垂れ流しになってしまうという、対処しなかった結果の違いである。

 男性のひげは必ずしも確実に対処する必要はないが、女性の生理は確実に対処しなければならないのである。

 確かに、ひげと生理だけを切り出してかかるコストを比べれば大きな金額差はないのかも知れないが、化粧などを含めた身体全体のメンテナンスコストを考えれば、圧倒的に女性の方がかかる金額が大きいことは言うまでもないだろう。

 ハッキリ言って、女性の生理用品にかかる費用と、男性のひげ処理にかかる費用など、比べてどうなるものでもなく、比較対象になるはずがない。実際、梅村議員の主張に賛同する声はほとんど見られず、この発言はスベった感がある。

女性の貧困問題を相対化、矮小化
 ではなぜ、わざわざ議員はこのような無理筋な主張をしたのだろうか。

 それはアメリカで発生した「Black Lives Matter」に対して「すべての人の命が大事だ」とする「All Lives Matter」を叫ぶ人が出てきたのと同じ意味合いであると考えられる。

 黒人男性が白人警察官による過剰な制圧によって死亡したことに端を発する「Black Lives Matter」運動は全米各地で大きな賛同を生んだが、一方でそれを批判する人たちもいた。その1つが「すべての人の命が大事だ」とする「All Lives Matter」を叫ぶ人たちである。

拡大Shutterstock.com
 一見、黒人の命の大切さだけを叫ぶBLMよりも、すべての人の命の大切さを叫ぶALMのほうが正しいように見える。しかしこうした運動は日本語で言えば「なあなあ」の立場に立つものである。

 BLMの運動は現実問題として黒人の命が大切にされていない現状から発生している。これに対してALMは「弱者だけが保護されること」を批判的に扱い、その言い訳として「大切なのは弱者の命だけではない」と主張する。

 しかしそれは詭弁である。

 BLMは黒人が差別的に扱われているという現実に発生している問題を訴えているが、ALMは「みんなの命が大切にされていない」という具体的な現実の提起がないために、何を言おうと、実質的には何も訴えていないのと一緒なのだ。

 当然ALMはなんの問題提起をもできないまま、ただBLMに対するカウンターとしてだけ存在した。

 そうして事実として存在する「黒人の命が大切にされない社会」を「すべての命は大事である」というふんわりとしたヴェールで包み、黒人差別の実態を少しでも隠そうとするのがALMの目的であった。

 梅村議員の主張も意図するところは同じであろう。

 「生理の貧困」という女性の身体機能に関わる問題に、男性の問題である「ひげそり」を持ち込み、相対化することで女性の貧困問題を、さも小さな問題であるかのように歪曲しようとしたのである。

 ただ対比させる対象が「ひげそり」というナンセンスな選択であったために、その異様さだけが目にとまり、相対化という目的は果たせなかったようだ。

本当に男性の貧困問題を語りたいなら
 僕自身はもちろん男性の貧困問題に対して強い問題意識を持っている。だから「男性の貧困」を意識してくれる国会議員がひとりでも多く出てくるのはありがたい。日本では「女性」「老人」「子供」「外国人」の貧困問題は人気でも、「男性」の貧困問題は自己責任として粗雑に扱われることが多いからだ。

 しかしだからといって、男性の貧困問題が存在することは女性や老人や子供の貧困問題を貶めてまで主張することではないし、ましてや貶めるための材料ではない。

 貧困は「誰かが貧困で苦しんでるのだから、別の誰かも貧困でもいい」などと相対化できるものではなく、すべての貧困はそれぞれの事情に沿って解決されなければならないのである。

 本当に男性の貧困問題を語りたければ社会資本の問題や、学歴問題、そして就職氷河期問題を始めとした就職問題など、多くの論者によって語られている貧困問題をちゃんと語ればいいのである。

 あてつけのために「ひげそりの貧困」などという意味不明な問題を持ち込むのは、実際の男性の貧困問題に興味がないことの証明であると言えるのである。

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
赤木智弘
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

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