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生活保護者の集いコミュの社会保障制度を教育に】 生活保護への偏見を解く

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https://www.kyobun.co.jp/close-up/cu20230508/

 生活で困り事を抱える人たちに出会い、「なぜ、必要な人が必要なタイミングで制度にアクセスできず、社会保障から排除されてしまうのか」との思いを強くしたと話す横山さん。義務教育段階から社会保障制度についての教育を提唱するのも、人生の危機を乗り越える術があることを社会に出る前に知ってほしいと思ったからだという。インタビューの第2回では著書『15歳からの社会保障』に込めた思い、制度利用に対する偏見などについて聞いた。(全3回)

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社会保障制度を教育に
ピンチを乗り越えリカバリーするエピソードを描く
――エピソード形式で社会保障制度を解説した『15歳からの社会保障』が好評です。直面する人生のピンチを「ひとごとではないな」と感じた読者も多かったのではないでしょうか。


制度を分かりやすく伝えることに苦心したと話す横山さん
 ありがとうございます。多くの方に読んでいただいてうれしい半面、こういう本が注目され、必要とされること自体が今の社会状況を表しているようにも思います。ですので複雑な気持ちもあります。
 
 本のタイトルに「15歳」と付けたのには、いくつか理由があります。一つは、15歳という年齢が中学校を卒業して高校に進学するだけでなく、就職して社会に出る人もいるタイミングだからです。社会生活を送る上で、困ったときに使える制度や相談機関を知っていれば、自分の命や生活を守ることができます。また、周囲の人が困っているときに制度の情報を教えてあげれば、家族や友人を助けてあげることもできます。

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 書籍の中のエピソードの一つに「おばあちゃんと弟のお世話をしなければならないサクラ」という話があります。ヤングケアラーの状態にある中学生のサクラが、友人や担任の先生、スクールソーシャルワーカーの助けを得てリカバリーしていくストーリーを描きました。1回読み切りで介護保険サービスや子どもに無料で勉強を教える学習支援事業、大学進学を見据えた高等教育の修学支援新制度などを理解できるような構成になっています。

 妻を亡くし「ひとりで子どもを育てることになったマサト」のエピソードでは、子どもの異変に担任の先生が気付き、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの助けを借りながら、ひとり親家庭等医療費助成制度や児童扶養手当などを申請して生活を立て直していく過程を描きました。

 注意をしたのは主人公を「弱い人」として描かないことです。社会保障制度というのは誰もが利用する可能性のある権利で、「弱いから制度を利用する」という考えは間違っています。本を読んで「自分もこの主人公かもしれない。主人公を支える先生や友人かもしれない」と感じてもらえたらうれしく思います。

制度利用への偏見や差別を減らす効果
 タイトルに「15歳」と付けたもう一つの理由は、社会への問い掛けです。社会保障制度と聞くと、医療・介護・年金を思い浮かべる人が多いと思いますが、実際にはもっと幅広いものです。私たちはさまざまな制度の内容や使い方を教わらずに大人になっているので、多くの人は当事者になって初めて知ることになります。また、制度があることを知らずにいたら、支援からは排除されてしまうことになるのです。そういう社会のままでいいのか、なぜ社会保障制度を義務教育段階で学ばないのかと、一石を投じる気持ちで書きました。


正しく知ることは偏見を減らすことにつながるという
――中学校の社会科では、社会保障には社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生の「4つの柱」は教わりますが、具体的な内容や使い方まで教えることはないかもしれません。

 義務教育段階で社会保障教育を充実させることの意義は、その人が困りごとを抱えたときの助けになるだけではありません。社会保障制度を利用する人への偏見や差別的なまなざしである「社会的スティグマ」を減らす効果もあります。

 生活保護を例にとってみましょう。生活保護制度は国の定める最低生活費に世帯収入が満たないなどの受給条件が、厳密に定められています。それを知らないと「あの家は働いている人がいるのに生活保護を受けている。それって不正受給じゃないの?」などと誤った捉え方をしてしまう可能性があります。

 そんな場合も、生活保護の仕組みや最低生活費というものを知っていれば、いらぬ偏見を持たずに済むと思うのです。そして「世帯の収入が最低生活費に満たないくらいの仕事なのだろうか…」と、正しく想像力を働かせることができます。

 制度を利用することで受ける偏見や差別が少なければ少ないほど、社会保障制度を利用することへの心の障壁は低くなり、抵抗感なく申請することができます。義務教育段階で社会保障制度を教えることはスティグマの軽減につながり、制度利用の好循環を生み出す起点となるのです。

自己責任のロジックに巻き込まれないために
 ただ、一つ気を付けなければいけないことがあります。義務教育で社会保障制度について誰もが学べるようにするということは、自己責任論を強化するロジックに使われる可能性があります。「義務教育で教えたのだから、あとは自分で申請してくださいよ」「義務教育で社会保障制度について教えているのに、ここまで困る状況になったのはあなたのせいだ」という論理に回収されてしまっては意味がありません。

 大事なのは、個人が社会保障制度を知る機会を広げるのと並行する形で、国や自治体がセーフティーネットである社会保障制度の情報を必要な人に届け、利用しやすくするための施策を積極的に行うことです。


利用を後押しする自治体の努力も必要だと指摘する
 北欧諸国では公的な仕事に就く人は「プレーンな言葉遣いをすること」が努力義務とされていると聞きます。日本では自治体がホームページなどで紹介している社会保障制度の説明は、難しい言葉で書かれていることが多く、多くの人が正しく読み取れていません。例えば、小中学校の学用品や学校給食などにかかる費用の一部を補助する就学援助制度については、自治体によって説明のし方がばらばらです。

 「お子さんが楽しく勉強できるように」という表現を用いている自治体もあれば、「支払いにお困りの方」「経済的に就学が困難なご家庭」などの表現をしている自治体もあります。申請書の配布方法も、学校経由で配布しているケースもあれば、学校に保護者がもらいに行くケース、オンライン申請ができるケースもあり、まちまちです。こうした小さなことから変えていくことが必要ではないかと思います。

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