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50才代〜から何才でも男女の広場コミュの暖かくなったら短編を書きたくなりました。

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普段は日記に長編を連載しています。
最近は去年の8月から一日も休まず書いています。
最近暖かくなったので短いお話を書きたくなりました。
と言っても、昔のお話を焼き直した物ですが。
『秘密の婚礼に関する3つのお話』

お時間ある方、暇つぶしにどうぞ。



1 人類黄昏時の二人

おれはおれの女を連れて、とうとうここに辿り着いた

昔 俺のファミーリァがまだサィバーティーゲルの群れの襲撃に会う前にじいが言っていた所。

昔々は「婚礼」といって、ソロの男と女がペアールになる時は沢山のソロやペアールやファミーリァが集まって「婚礼」と言う儀式をしたそうだ。

「教会」と言う所で集まったソロやペアールやファミーリァの前でお互いに相手を守ると言う誓いを立てたそうだ

そんなに沢山ヒューが集まったりしたらたちまち匂いを嗅ぎ付けられて放射能鬼やヒュー食いクズリの襲撃を受けるんじゃないかな?

そしてそのあとで、皆で豪勢な食い物やケーキとかいうものをたらふく食べて歌ったり踊ったりしたそうだ。

…ケーキって一体なんだ?

じいは笑いながらとても甘くて白くて柔らかい食い物らしい。

どうせ じいのほら話だと思うけど(笑)

そんな話をお前にしたら、お前は目を輝かせてその「婚礼」をしたいと言った。

そして俺たちは散々やばい思いをして、じいが言っていた「教会」の跡にやって来た。

そしてそばに流れる川で交代で見張りに立って体の垢を落とした。

垢を落とした俺たちは「教会」の跡の前に立った。

用心深く周りをチェックして放射能鬼やヒュー食いクズリやサィバーティーゲルがいないかチェックしてから身につけた武装を全部はずして(信じられるか?教会には非武装で入らなきゃいけないんだそうだ!)崩れた壁に立てかけて置いた。

信じられるかい?

俺たちは今、ライフルもピストルもHGもククリナイフもバトンも持ってない、全くの丸腰なんだ。

服の襟に仕込んだ細身のダガーナイフさえ外したんだぜ!

俺はなけなしのライフルの弾100発!と交換した白い薄い布(これが本当に空の雲みたいに白いんだ!)をお前の頭にかけた。

そして俺たちは手を握り、周りを警戒しながら「教会」の奥に進んだ。

いつおっかないヒューイーター、放射能鬼やヒュー食いクズリ、サィバーティーゲルが飛び出してくるか判らないから、あの時はひやひやしたぜ。

その昔、無実の人たちの身代わりに交差した木に磔にされて死んだという髭を生やした貧相なソロの木像が斜めに壁に立てかけてある所まで行った。

あのソロはあんな目に合っているのになんで優しそうな顔をしてるんだ?

まぁ、いいか。

俺たちはじいに聞いたとおりにそのソロの木像の前に膝まづいて、じいが言ってた呪文を言った。

そして、お前の頭にかけた布をめくってキスをした。

お前は不細工な笑顔を浮かべて、先月放射能鬼に毟り取られた俺の右耳の傷に注意しながら俺の頭を抱きしめた。

「死が二人を分かつまで」

俺たちはそそくさと武器を拾うとこの時の為に取っておいた大事な缶詰を開けてお祝いをした。

そして苦労して作った俺たちの要塞に苦労して帰るのさ。

「死が二人を分かつまで」

俺たちは特別なペアールになったらしい

なんたって「婚礼」を挙げたから

「死が二人を分かつまで」

死が二人を分かつまで互いの背中を守らないとな。

北の山脈の上がうっすらと白くなってる。

本格的にセィバーティーゲルが山から下りてくる季節だ。

俺は生まれてから12回目の、お前は生まれてから10回目の冬がやっ

てくる。






2 奇跡のマリア像教会


白樺林の奥の朽ちた教会の前に男と女が佇んでいた。

男は女の手を引いて、朽ちた教会に入っていった。


クリスマス、僕はとても忙しいんだ。

その代わりに今日、君にここに来てもらったんだ

君に見せたかったところがある

ほら、ここだよ

森の中にある、もう何年も誰もこなくなった小さな教会。

屋根も抜けて

扉も壊れてる

足もとに気を付けて

中に入っても青空が見えるだろう?

意外と中は明るいんだ

ほら、僕はここにある、マリア様がキリスト様を抱いているピエタ像が大好きなんだ

マリア様、優しい顔をしているだろう?

何年か前にこの森を散歩していてたまたま見つけたんだ

それ以来、時々ここにきて

じっとこのピエタ像を見ている

僕はあいにくと信仰を持っていないけど、なんか、このマリア様の顔をみていると優しい気持ちになるんだ

そしてここに来る時は

綺麗な布を用意して

マリア様とキリスト様の顔を拭いてあげるんだ

僕はあと少しで出発する

クリスマスの頃には君に会えないんだ

ごめんね

・・・・でも、必ず帰って来るよ

そうしたら・・・

暖かくなってこの教会の裏庭に

綺麗な花が咲く頃になったら

もう一度ここに一緒に来てくれるかい?

君と結婚しよう

身分なんて下らない物が邪魔をして

世間ではとても認められない結婚だから

ここで君と秘密の婚礼を上げよう

マリア様とキリスト様の顔をきれいに拭いて

祭壇の所を少し片付けて

君の為に花冠を作ろう

知ってるかい?

僕は花冠を作れるんだぜ

裏庭で摘んだ花で花冠と草で編んだ指輪を作ってブーケを作って

君にシルクのヴェールをかぶせて

二人だけで

指輪を交換して

誓いの言葉を言って

キスをしよう

ここで誓えば

友達や家族の祝福が無くても

綺麗な音楽や

荘厳な祈りが無くても

何か、目に見えない大きな存在が

僕たちを静かに

祝福してくれるかも知れないよ

世間に隠した付き合いの僕たちには

それくらいしかできないけど

でも、君を愛する気持ちには自信があるよ

もし、僕が無事に帰ったら

またここに来て

秘密の婚礼を上げよう

今日、少し早いけど

メリークリスマス

男は女にやさしく口づけをして抱きしめた。

ところが・・・男は死んでしまいました。

結局遠い異国で死んでしまいました。

残された彼女は寂しさを紛らわすためにあの朽ちた教会に行ってマリア様の顔を拭いてあげました。

それから何十年もあの朽ちた教会に通います。

年を取って、親に進められて結婚した旦那も死んでしまった彼女は一人ぼっちで、森の中の朽ちた教会に通いました。

彼女にとっては誰一人知る者が居ない哀しい心の不倫を一人でヒッソリと続けていたました。

あるクリスマス、ちらほら雪が降って来た時にマリア様が目を開きました。

「いつも、私の顔を拭いてくれてありがとう。
 お前の願いを何か一つ叶えてあげよう。」

彼女は皺だらけの顔をくしゃくしゃにして涙を流しながら、枯れ枝の様になった手をマリア様に伸ばして、死んでしまった彼に合わせて下さいと言いました。

「それでは私の足元で眠りなさい。」

とマリア様が言いました。

年老いた女はマリア様の足元で眠りにつくと彼氏が迎えに来て、彼女も昔の若いころに戻って、二人で幸せそうに天国に行きました。

翌日、村人が半ば雪に埋もれて安らかな顔をして死んでいる彼女を見つけました。

彼女の顔はとてもとても幸せそうな顔でした。

集まった村人達は思わず膝まづいて、彼女の安らかな、見ていると心が洗われるような安らかな死に顔にお祈りをしました。

寂しい死に方だったけど、彼女の顔は思わず涙が出てしまって、お祈りしたくなる程に安らかな幸せそうな顔だったそうです。

そしてみんなでお金を出し合って「奇跡のマリア像教会」と言う教会の名前で朽ちた教会を復興させました。

彼女の墓はいまでもその教会の裏庭にあって、必ず誰かがお花を備えています。








3 石像の森


僕はある村に住んでいたんだ。

僕は人類の終焉期の時代のある小さな村に住んでいた。

その村には石化病と言う病があって人体がどんどん石化して行き、最後にはとても精密な石像と化してしまう病気なんだ。

その病気にかかって、もう終わりだという人は村の外れにある森に入ってゆくんだ。

その森は石化病に掛かった人しか入れないんだ。

年老いた僕はある日石化病の徴候が身体に出た。

右の腕が硬直してきたんだ。

僕は硬直が肩まで進んで来た時に静かに石化病の森に行った。

森の番人に硬直した腕を見せたら、彼は悲しそうな顔をして門を開けてくれた。

でも、僕は全然悲しくなかったんだ。

僕は息を切らせながら硬直を始めた足を引きずって森の中に入っていった。

しばらく歩くとあちこちに石化して死んでいった人たちの姿が見えてきたんだ。

比較的新しい死人、と言うか石像は服を着ているけど古い石像は服もぼろぼろで中にはすっかり裸になった物もあった。

若くて石化病に侵された人間ほど白いきれいな石になり、僕のような年寄りが石化病にかかると黒ずんだ大理石のようになる。

僕は息を切らせながら硬直した身体を苦労して動かしながら石像を一つ一つ顔を調べていった。

そして、見つけたんだ。

今から30年前に石化病に掛かって亡くなった僕の恋人をね。

彼女は祈るように手を胸の前で組み合わせて目を閉じて立っていた。

彼女の服は数十年の歳月がぼろぼろにして、一糸まとわぬ綺麗な裸像になっていた。

彼女は明るいアイボリー色の綺麗な石像になっていた。

僕は嬉しかった。

数十年ぶりに再会できたのだから。

そして僕はこんなジジイになってごめんね、と彼女に謝って彼女の口にキスをして。

彼女の手に自分の手を合わせて。

彼女のおでこに自分のおでこを合わせて石化していった。

僕たちは秘密の婚礼を上げた。

もう、誰も、病気も、何もかもが僕たちを引き離せない。






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