ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

歌詞から妄想コミュのPRINCESS PRINCESS / M

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
星が森へ帰るように




夢をみて目が醒めたら枕が冷たかった。

黒いジャケットを着たあなたの後ろ姿が誰かと見えなくなって行く

『またあの夢を見て泣いていたんだ』




私は春から女子大に通っている。
女子高育ちだから慣れているけど、まさか大学まで女子校とは思ってもなかった。

直前に彼と別れたショックを一年引きずって、大学受験を失敗して付属のここしか合格しなかった。

大学でも中学からの友達といつも一緒にいる。
女子校育ちと共学育ちではオーラみたいなものが違うみたいで、ひと目見てわかる。

友達は共学育ちの子とどんどん友達になっていく。
友達に付いてその輪に入ったら陰口と男の子の話しばかりだった。

「彼氏が出来たとたん付き合いが悪くなる女って最悪って言ってたのにあの子がまさにそうじゃん」とか
「合コンで知り合ってドライブ行こうと待ってたら軽自動車で現れた」とか
「彼氏の前戯が適当でHがワンパターンで次の展開が読める」とか
「彼氏は自信があるらしくて「逝った逝った?」って毎回聞いてくる」とか
私は会話に入っていけなかった。

大学の帰りに品川さんの家に寄った。
品川さんは30代後半だけど綺麗で若くて頭が良くて憧れの存在。
バイトを辞めたあとも関係が続いている。

品川さんは苗字が変わっているけど、旧姓のまま呼ばせてもらっている。
以前「結婚したのに“品川さん“って呼んだら変ですよね?」って聞いたら「全然かまわないわよ」って言ってくれた。

「シェイクスピアのロミオとジュリエットにこんなセリフがあるの“What’s in a name? that which we call a rose.By any other name would smell as sweet”訳してみて」

「名前って何?バラと呼んでいるけれど、別の名前で呼んでみても、甘い香りに変わりはないわ」

「さすが英文学科ね。あ、私がバラとかそういうことじゃないのよ?」

「わかってます。名前や呼び方自体が重要なんじゃなくて、その物自体、その人自身が重要ってことですよね?」

「うん、そういうこと。だからなんて呼ばれてもかまわないわ。」

「わかりました。でも、品川さんはバラみたいに綺麗ですよ」

「・・・紅茶御代わり飲む?」

「rose teaトゲ無しでください」

「私が入れるとトゲが入るっていうの?」

私は品川さんとこんな風に話している時間がとても好き。


家に帰って本を探した。
「ロミオとジュリエット」がどこかにあったはず。

本棚を探しているとある一冊が目に留まった。
借りたままの本。

その本を開くと、しおり代わりにしてた写真が出てきた。

彼と出会って間もない秋。
クルマの練習。
運転する彼の隣にはいつも私がいた。
途中の公園のベンチで一休み。
彼がジュースを買って帰ってくるところをカメラを構えて待っていたら、はにかんだ笑顔で応えてくれた。
たったそれだけで嬉しくて、私もはにかんでツーショットの写真を撮った。
こんな日が来ると思わずにいた。

いつも一緒にいたかった。
となりで笑ってたかった。
恋しくて、瞬きもしないで彼を胸にやきつけてた。

私は黒のパーカー
彼は黒のジャケット
彼は左側が好きだった。
私も左側が好きだった。
車に乗ってるときは私が左側にいるから、歩く時は彼が左側ってルール。
運転に慣れてなくて緊張してる顔を見るのも好きだった。
フロントガラスの景色より彼の肩の向こうに見えた景色を覚えてるくらい。

あなたのいない右側に、少しは慣れたつもりでいたのに、どうしてこんなに涙が出るの?
季節はまた変るのに、心だけ立ち止まったまま。

彼の言葉を今でも覚えている。
ドライブの帰りに今日も進展なかったなぁって信号待ちで窓の外を眺めてた。

「めぐちゃん 好きだよ」

私が驚いて聞き直したら

「めぐちゃん と一緒にドライブするの 好きだよ」

あれはきっと照れ隠しだった。
彼は自信がなくて言ってくれなかった。
彼は、私の事も彼自身も信じられなかった。
最後まで。

だから私たちは別れた。
彼は私が振ったと思ってる。
でも、私が振られたんだ。

それでも、もう一度言って欲しい。
彼の声が聞きたいけど、消せないアドレスのMのページを指でたどってるだけ。

高校生だった私は、親が厳しくて携帯電話を持っていなかった。
その癖で、今でもアドレス帳を持ち歩いている。

彼のアドレスはMのページに書いてある。
福山さんだから本来はFのページなんだけど、彼にアドレス帳を渡したら「まこと」って下の名前のMのページに書いちゃったって天然ボケを照れてた。

そんな些細な事でも覚えている。
そんな些細な事でも涙が出てくる。

彼は思い出と夢の中にしかいない。
夢の中の彼の隣にはもう誰かがいる。

涙が止まらなかった。

いつまでも引きずっていても仕方ない。
あなたの愛がない場所から出発しなくちゃ。

どうにもならない思い出なら、もう叶わない想いなら、
あなたを忘れる勇気だけ欲しいよ。
星が森へ帰るように自然に消えて!
あなたのちいさな仕草も
はしゃいだあの時の私も
いつまでもあなたしか見えない私も

http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=36915





コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

歌詞から妄想 更新情報

歌詞から妄想のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング