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歌詞から妄想コミュのBUMP OF CHICKEN/スノースマイル

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僕の行く道



季節が秋から冬になって、下手だったクルマの運転にもやっと慣れてきて、高速道路を使った遠出のドライブも出来るようになった。

助手席は相変わらず彼女の指定席だ。
けれど二人の関係は進展して居ない。

毎回ドライブの帰り道で助手席から窓の外を眺めている彼女に伝えたいことは沢山あるのに、季節が秋から冬になっても、相変わらず僕は臆病で、大切に思えば思うほど気持ちを伝えられないまま信号は何度も青に変わった。

「もう少し早く運転に慣れてたら、この辺の紅葉見れたのにね」って僕が彼女に言うと「紅葉は来年のお楽しみにすればいいんじゃない?」って微笑んだ。

僕は「そうだね」って言いながら“来年も彼女とこれるのだろうか?”って不安がよぎった。僕はどうしようもない臆病者で心配性で自信のない男だから。

「そういえば本当に良いの?試験前にスノボに来て滑って?」彼女は英検のテストが控えている。

「今のうちガンガン滑っておけば、試験は滑らないで済むかなって!」

僕が受験した時なんて、不安で不安で小さなことでも気になってジンクスとか気になったけど、彼女は僕と違ってとてもポジティブだ。

僕が高速道路で遠出にチャレンジしようかなって話した時、彼女は真っ先に「スノボに行きたい」と言ってきた。僕はいきなり雪道の運転なんてできないから無理だって言ったら「富士山にある人工スキー場なら道路に雪ないし、距離も丁度いいんじゃない?」

そういう訳で僕らは富士山の人工スキー場に着いた。
標高が高いこともありかなり寒い。

僕らは駐車場で準備をしてリフト券を買いに向かった。
彼女は落ち葉を蹴りながら「せっかくスキー場来てるんだから落ち葉じゃなくて雪が降れば気分出て良いのに」って口を尖らせていた。

「そんなに思い通りにはいかないよ、ほら蹴るの辞めないと今にまた転ぶぞ」って注意した。

「手がかじかむくらい寒いのに雪降らないなんておかしいよ!」って相変わらず落ち葉を蹴りながら歩いているから、手が冷えてるのを口実に彼女の左手を僕の右ポケットに入れて手を繋いだ。
手を繋ぎながら彼女と歩くには少しコツがいる。彼女の歩幅は狭い。

彼女は相変わらず怒ってるけど楽しそうだった。

利き腕が右腕の場合、右側を歩くひとは支配力が強くて、相手をリードしたい傾向にある。利き腕をフリーにして相手を守るといわれている。

僕は左側を好んで歩く。順応性がある人で、ムード作りが上手で、その場の雰囲気を大事にするって言われてるけど、僕の場合は自信がなくて相手に任せている受身タイプだからかもしれない。

彼女はスノボ初心者なので誰も居ないゲレンデで練習することにした。

人工雪だけど、まだ誰にも踏まれて居ないキレイなままの雪の絨毯が二人だけの宝物のようで、僕はもったいなくてなかなか一歩目を踏み出せないけど、彼女は「足跡第1号」ってはしゃいで先に行った。

僕はできるだけ時間をかけて景色を目に焼き付けた。彼女のいる景色を。

彼女に追いつきしばらく歩き、後ろを振り返ると足跡の平行線が出来ていて、共に歩んだ形が見れて嬉しかった。

一歩一歩踏みしめる雪の音が静かに僕の心に奏でるオーケストラのようだ。

彼女は思ったよりセンスがあって、なかなか上達が早かった。
それでも調子に乗るとこけてしまう。僕が腰に腕を回して起こそうとすると、彼女は僕の首の後ろに両腕を回して顔が接近した。

彼女は目を閉じた。

僕はそれに気がつかない振りをして抱え起こした。
僕は彼女を大切にしすぎて手を出せない。
大切に思えば思うほど失うのが怖くて気持ちを伝えられない。

それから彼女はどこかおかしかった。
僕らは帰ってからもギクシャクしていた。

そんな状況を変えようと親友の信二と3人で会ってみた。

真紀さんを彼に奪われても彼との関係は変わらない。
彼はある人との出会いで角が取れたらしく、今の彼になら彼女を紹介しても大丈夫だと思った。

「こいつは阿部信二。前のバイト先で知り合ったひとつ下の親友。ミュージシャンを目指してる。」

「こっちはめぐみちゃん。今のバイト先のガールフレンド」

信二はめぐみちゃんにいろんな質問をして、僕らの関係を遠慮なく突っ込んできた。

夜に信二から電話がかかってきてこう忠告された「お前のことだから自信なくて煮え切らないんだろうけど、もっと自信もって告白しろよ!夢でも語って、ムード作って告白すれば大丈夫!俺が保障する!めぐみちゃんはお前からの告白を待ってるぞ。」

僕には夢がある。でも熱く語れるほどの自信がなくて、以前冗談のように話したことがある。
彼女は「すごいいいじゃない?がんばって!」って微笑んでくれた。

夢が叶う前に彼女が笑ってくれているのを見るだけで、告白しなくても満たされてしまう。




彼女と信二が二人でいるのを見かけたのはそれから数日後のことだった。



浮気が発覚した時「女はパートナーの浮気相手に怒り、男はパートナーに怒る」

僕はどちらでもない。
ただ諦めるだけだ。

僕は彼女からの連絡すべてを無視した。
めぐみちゃんから連絡が取れないと相談された信二に呼び出され、事実を聞いて僕は彼女に会う事にした。

僕は信二と二人でいためぐみちゃんを見て『またか・・』と思い、すべてを諦めて連絡を絶った事を話し謝罪した。

「私、バイトの品川さんに相談したんだ。どうしたら福山さんから告白してもらえるか。そうしたら福山さんはきっと奥手だから、旅行にでも行ってきっかけを与えればいいんじゃない?って言われたの。けどスキー場で何もなくて落ち込んだの。私のことなんとも思ってなかったんだって。でも信二さんに私のこと“ガールフレンド”って紹介したからどういう意味の“ガールフレンド”なんだろうって信二さんに会って聞いてみたの。福山さんが見たのはそれなの。信二さんは福山さんなりの告白だと思うよってアドバイスしてくれたの。ただそれだけなの。だから信二さんの言ってたことが本当かどうか、福山さんが私のことどう思っていうのかどうか聞きたくて連絡とろうとしたのに・・・」

僕はこんな風に彼女からの気持ちを知るとは思いもよらなかった。

「どうして私に直接聞いてくれなかったの?スキー場で何もなかったことより、何より一番ショックなのは私を信じないで、勝手に諦めて、連絡を絶ったことだよ?もし、福山さんの気持ちを聞いて断られてもこんなにショックじゃなかったと思う。」

信じられなかったのは彼女のことじゃなくて”僕自身”だった。
彼女にそう伝えると
「お願いだから、これからは自分に自信を持って」と泣き出した。






同じ季節は巡る
君と出逢えてホントに良かった。
僕の右ポケットにしまってた思い出はやっぱりしまって歩くよ。
笑顔が教えてくれた
僕の行く道を


君の居ない道を


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