歌詞から妄想コミュのMr.Children/君が好き

僕が生きる意味




僕と似たように、誰にも踏み込まれたくない領域を隠し持っていた。

彼女は先天性の病気を持っていた。

いつ発病してもおかしくなく、彼女はソレを悩み、恋をする事を拒絶していた。

彼女にとって恋とは、辛い別れを作りだしてしまうもの。

だから彼女は、全ての男性を拒絶していた。

でも、彼女は決心した。

たった一度の人生。たった一度の恋をしてみたい。


彼女は友達からの合コンの誘いに乗った。

彼女にとっては何よりも冒険だったに違いない。

そして僕らは出会い、恋に落ちた。

彼女の心配をよそに、病気は影を見せず、僕らの恋はやがて愛にたどり着いた。

僕は彼女に何かしらのトラウマがあるのだと思っていた。

僕らの関係が深くなっても、彼女は何かにおびえていることに気が付いていた。

僕がどれだけ愛そうと、むしろ、愛せば愛すほど彼女は何かにおびえていた。

僕に全てをぶつけて、僕が君の涙ぬぐえたらもっと素敵な関係になれるのにと思っていた。


僕は彼女にプロポーズをした。

「君が好き。僕が生きる上でこれ以上の意味なんて無くっていい。僕と結婚してくれ。」

短い言葉だけど、これ以上僕の気持ちを表す言葉が他になかった。

彼女は静かに涙を流した。

彼女の表情は、嬉しさと悲しみ、喜びと切なさ、希望と絶望、全てが混ざって、彼女自身も混乱していた。


彼女は涙の理由を話してくれた。

彼女は僕の事を想えば想うほど結婚は出来ないと断った。


それでも、僕が食い下がらないと彼女は条件を出した。

「いつか私が死んでしまったら、私の事を忘れて、また誰かを愛して幸せになるって約束して。」

「君を死なせない。僕が君を全てから守る。」

彼女は首を振り「約束できるかどうかだけ答えて」

僕は約束をした。なぜなら僕は彼女を死なせない。彼女を死なせなければそんな約束は無効だから。


僕らは結婚し、発病の兆候に細心の注意をしていた。

それでも、防ぐことは出来なかった。


「あの約束覚えてる？私の幸せはあなたに出逢えたこと。そしてあなたが幸せな事。だから私が死んでも、悲しまないで。あなたが悲しんだら私も悲しい。素敵な女性に出会って、その人と幸せになって。あなたの幸せは、私の幸せだから。」



もしもまだ、願いが一つ叶うとしたら・・・・

アレから何年も経っているのに、そんな空想を広げ一日中ぼんやり過ごしている。

夜の淵に、同棲時代から一緒に住んでいたアパートの脇にあるくたびれた自販機であの頃と同じように、二つ缶コーヒーを買って散歩に出た。

いつもと同じように、彼女が好きだった歩道橋でプルトップを二つ分開けた。

歩道橋の上には見慣れてしまった濁った月が浮かんでいて、僕にそっとむなしく何かを訴えている。

東京の夜と同じように僕らの約束は守られず、濁って汚れていってしまう。


僕は彼女との思い出をを忘れるなんて出来やしない。

僕は彼女のことを忘れることなんて出来やしない

彼女以外の人と幸せになんてなれやしない。

彼女以上の存在なんていやしない。

彼女以外の人を考えられない。

僕には彼女しかいない。

彼女はもういない。

彼女だけが

彼女が･･･

彼女は･･

君は･

君が


君との約束を守ろうと思い悩んだのだけど、ひねり出した答えは・・

「君が好き。僕が生きる上でこれ以上の意味なんて無くっていい。・・・・・」

君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き　君が好き


僕が生きる上でこれ以上の意味なんて無くっていい

君を好きでいること。それだけでいい。

夜の淵、君を待ち、行き場のない、想いがまた夜空に浮かんで、繰り返し繰り返し、どうにもならない、どこにも到達することは無い思いを焦がして。


ごめんね。君との約束は守れそうもない。

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