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「日本近代文学」研究コミュの僕のお気に入り

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 「日本近代文学」に掲載された論文で、僕のお気に入りのものは、山口直孝「志賀直哉『范の犯罪』―「范」の形象と舞台設定とをめぐって―」(第51集/1994年10月)と大久保健治「文学的欲望の行方―日露戦争期における〈未亡人小説〉の消長―」(第60集/1998年10月)です。
 
 前者は、作品の「舞台設定」を〈非現実〉的なものから〈現実〉的なものへ読み換えるために作品発表当時の裁判制度(「予審判事」制)を洗い直す作業を導入として、「事件の発生から予審終結までを、「范」が強度の狂人に転落していく過程として捉える視点を加えることで、『范の犯罪』はアイロニカルなテクストになるのである」と結論付ける、アクロバチックな読解が試みられた論文です。

 後者は、日露戦争期前後の「戦争未亡人」に関する言説を、「読売新聞」「東京朝日新聞」「都新聞」「帝国文学」「明星」「新声」「時事新報」「萬朝報」「文芸倶楽部」「新公論」「新潮」「太陽」「時代思潮」「女学世界」「新小説」等の文献を駆使し、「理想的な(戦争)未亡人像を形成する画一的な言説」が、「『名誉の戦死』へと回収される類型化された物語」として「一時の間に、爆発的に消費されてしまい」、「未亡人再婚説」という「未亡人の再婚を許容する」言説へと「反転」していく「言説空間」および「未亡人の表象を語る上でのレトリック」の「政治性」を描き出した論文です。
 
 どちらの論文も、コピーがボロボロになるまで読んだ思い出深いものです。

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