近代文学の同人は7人の侍と呼ばれたことも。
同人は、本多秋五、平野謙、埴谷雄高、荒正人、山室静、佐々木基一、(小田切秀雄)。
写真向かって左から、荒、本多、山室、平野、埴谷、佐々木。
小田切は、他の文学団体とのかね合いで、途中脱退の形をとっていると思われる。
なお、同人雑誌『近代文学』がたどった経緯については、埴谷雄高が詳しく書いている。参照ください。
『近代文学』は二度程、同人の拡大を行っている。その際、政治的主義がどのようなものであれ、広く参加してもらおうとする取り決めがあった。が、同人参加を依頼するかどうか、議論になった評論家もいるらしい。
近代文学について書いた文章の中で、武田泰淳のものが特にユーモアにとんで面白いように思われる。筑摩書房の『武田泰淳全集』第15巻p.326にある「忠勇なる諸氏よ」と題した、近代文学終刊号に寄せられた文章は読んでついついニヤリとしてしまう。また、同巻p.165に「原稿料ゼロ」という文章もあって、それを読むと、近代文学の同人たちが、情熱をもって、根気よく、無私に活動したことが痛感される。