ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

CINEMA & MUSICコミュのマーダーボール【CINEMA】

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
車いすラグビーの世界選手権で米国代表チームが初めてカナダ代表に敗れた。カナダ代表を率いる監督は、かつて米国代表から戦力外通告を受けたジョーだった。やがて両チームの再戦の日が訪れる。

特別にカスタマイズされた高速で走れる車椅子で激しくぶつかり合う競技、ウィルチェアー(車椅子)ラグビー。本作は、この競技で世界一を目指す男たちのドキュメンタリーだ。車椅子に乗るのは、小児マヒや交通事故などで四肢マヒ障害を背負った下半身不随の人たち。つまり、これは身体障害者のドキュメンタリーである。そういう言い方をすると、痛々しいものや重いトーンで描かれたもの、あるいは、あざとい感動モノを想像するかもしれない。しかし本作は、ともすれば、そういったジャンルの作品であることを忘れてしまうほど、スポーツに情熱を燃やす健全な男性たちの姿を興奮しながら観ることができるエンターテインメント性に飛んだ作品だ。

彼らは突然の障害に苦しんだ末にウィルチェアーラグビーと出会って救われたわけだから、ちょっと不謹慎な言い方かもしれないが、この作品を観て、彼らのことをとても羨ましいと思った。とにかく、画面に映る誰もが光り輝いているのだ。障害を持つからと言って、劣等感を持っている人はひとりもいない。むしろ、それをバネに、より人生の楽しみ方を得たように見える。当人たちが“最初の2年が一番辛い”と語るように、自暴自棄になり苦しむ時期は短くはない。でも、そういう挫折を一度味わった人ほど、それを乗り越えた時には、痛みを知らない人には到底敵わない、深みと輝きを放つ。

本作の主人公は、ウィルチェアーラグビーの世界最強チーム、アメリカ代表選手たち。奇抜なタトゥーとヒゲがトレードマークのアメリカ代表チーム・キャプテン、マーク・ズパンは、11年前の交通事故で四肢マヒ障害を負った選手。彼は、体の感覚を失っても、勝気な性格はそのままに、チームをぐいぐい引っ張る。その他、ケンカによって不完全四肢マヒになった選手や、子供の頃の病気で両手足を失った選手など、生涯の車椅子生活を余儀なくされた選手たちが抱えているものは重いけれど、数奇な人生を力強く生き抜いてきた個性の強いキャラクターが揃っている。

これまでの世界大会で10年連続優勝を飾っていたアメリカだが、2002年の11回目の世界選手権でカナダに破れた。実は、カナダ代表チームの監督を務めるのは、かつてアメリカ代表選手として活躍したジョー・ソアーズだった。チームからの戦力外通告に納得できず、無断でカナダへ渡った彼は、アメリカ選手たちからは“裏切り者”と呼ばれるも、国に関わらずラグビーを愛し、ひたすら情熱を注いでいた。そんな因縁の関係であるアメリカとカナダの闘いを中心に、世界選手権からアテネ・パラリンピックまでを追いかけ、選手たちの過去や今の心境が綴られていく。

また本作は、音楽と編集のセンスがとてもいいので、ドキュメンタリーだが、ドラマチックな展開。その反面、交わされる言葉は、嘘偽りがない。輝きの裏にある加害者との確執など、影の部分もきちんと映し出している。そして、彼らを英雄的に祭り上げることもしないし、哀れんだ目線でもない。ただ、家族や恋人、友人たちとの関係に悩んだり、楽しんだり、試合の勝ち負けに一喜一憂したり、絶望と希望の狭間で揺れ動いたりといった日常にありふれた出来事を、人よりも力いっぱい体感している普通の青年たちの姿がここにはある。だから、彼らを応援したくなるというよりは、こんな風に精一杯生きている感じが、やっぱり羨ましいのである。


この映画に関してご意見・ご感想等の書き込みお待ちしております。
http://www.klockworx.com/murderball/【オフィシャルサイト】


コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

CINEMA & MUSIC 更新情報

CINEMA & MUSICのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング