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ピークオイルコミュの米中関係トピック(仮題)

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ここに書く内容は検討中。


世界の覇権(経済力+軍事力)を独走してきたアメリカだが、次第にその勢力にほころびを見せつつある。一方、急激に成長を見せる中国の台頭により、近い将来覇権を譲る可能性も高い。
そんな中、世界の石油生産力にかげりが見えてきた。現代国家の力の源泉でもある石油。もし、需要が供給をうわまれば、石油をいかに自国が確保し、相手に取らせないかが、国際政治のパワーゲームの重要なポイントになりうる。またかつてそうだったが、生産余力が潤沢で低価格が続いていた最近までは石油のもつ戦略性はかなり薄れていた。

石油消費によって生み出された安価な物流力と農業生産に裏付けられた経済力。それを後ろ盾とする軍事力。現在世界の軍事力の大半を持つと言われるアメリカと、毎年二桁の伸び率で軍事費を増やしている中国。中国は、潜水艦から核ミサイルをアメリカ本土に打ち込む能力を手に入れ、また石油の殆どを供給している北朝鮮という国を飼っている。アメリカが石油供給地として大切にしてきた地域や、敵対する地域にも、手を伸ばしている。

アメリカは、冷戦時代にタブーだった、ミサイル防衛システムを配備し、核抑止力を「恐怖の均衡」から「先制攻撃による基地破壊(宣言)」にシフトしつつある。


もちろん、世の中はそれほど単純でもなく、対立を妨げる大きな要因が存在しているから、現状はそれほどの脅威はない。また、予想が出来るような代物でもない。ただ、歴史を振り返ると、覇権国家が入れ替わるときは、必ずといっていいほど戦争がおきているし、資源の争いは、時に深刻だ。


アメリカ経済は、ドルペッグ制の上に成り立っているので、ユーロなどが台頭して、国際貿易上でのドル取引が減り、ドルの利便性と信頼が減少すれば、アメリカ経済の優位性は墜落する。現在は、アメリカが世界の消費国となっているが、中国は人民元の切り上げとともに、次第にその座を奪っていくだろう。そうなれば、消費国としてのアメリカの役割は軽視され、アメリカ経済の失墜を願う多くの国々は、その依存から離れ、ドルを手放し始めるだろう。

中国は、北京オリンピック、上海万博までは、世界にいい顔をし続けるだろう。日中関係、米中関係は、良好ムードをアピールし続けて、オリンピック特需、国家の威信を守りにいくに違いない。そのことは、中国が世界最大のドル保有国で、世界第二位の米証券保有国であることからも、米にとっても今は都合がいい。

コメント(66)

http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=9045

Report: U.S. Will Attack Iran
by Newsmax Staff  Newsmax http://newsmax.com/
Global Research, May 21, 2008

Israel’s Army Radio is reporting that President Bush intends to launch a military strike against Iran before the end of his term.
ぬりさん

 英語を読むのがじゃまくさいので、ぬりさんの要約にのみ反応します。

> 自前で石炭液化を行い、飛行テストをはじめたようですが、CTLで解決するとは思えませんよね。

 多分、「米軍もCTLを研究している。産油国を軍事的に押さえたので米軍はなおしばらく石油を使うが、同盟国諸兄は頑張ってCTL開発に取り組んでいただきたい」くらいのスタンスではないでしょうか?
海洋油田採掘禁止令を撤廃、ブッシュ米大統領
2008.7.15 08:21

 【ワシントン=渡辺浩生】ブッシュ大統領は14日、沿岸水域での海底油田採掘を禁止する大統領命令を廃止した。環境への影響に配慮してメキシコ湾を除く連邦大陸棚での採掘が大統領命令と議会採決で禁止されてきたが、1ガロン(3・8リットル)=4ドルを突破したガソリン価格高騰に対処するため、国内増産が不可欠と判断、議会にも同様の措置を迫った。

 海底油田採掘は1981年に議会が一時停止を採決、以来毎年更新され、先代ブッシュ大統領も90年、一時停止の大統領命令を出し、98年にクリントン大統領が10年間延長させた経緯がある。

 ブッシュ大統領は14日、「採掘容認にあらゆる必要な措置をとった。唯一の障害は議会だ」と述べ、民主党が多数を握る議会に対し、9月末に期限が切れる一時停止の延長を見送るよう要請した。

 共和党の大統領候補、マケイン上院議員も大統領の判断に支持を表明したが、民主党の指名を確実にしたオバマ上院議員ら同党議員は「エネルギー政策の後退」と反発。ブッシュ政権任期中に解禁が実現する見通しは立っていない。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080715/amr0807150820003-n1.htm

必死ですな・・・
米、台湾に哨戒機売却計画 武器供与を維持
2009.2.20 17:48
米国が台湾に対し、P3C対潜哨戒機12機を計約13億ドル(約1200億円)で売却する計画を進めていることが20日までに分かった。米軍とつながりの深い台湾軍関係筋が共同通信に明らかにした。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090220/amr0902201749007-n1.htm


台湾が米から軍用ヘリ60機購入へ
2009.3.13 00:47
台湾国防部(国防省)は米国から軍用ヘリコプター「ブラックホーク」60機を購入するため、約80億台湾元(約228億円)を予算に計上することを決めた。国防部関係者らが12日までに明らかにした。今年秋に立法院(国会)で可決する見通し。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090313/chn0903130049000-n1.htm
■台湾、偵察機12機を発注

ロッキード・マーテォン社は13日、台湾政府から12機の海軍偵察機の発注を受けたことを明らかにしました。退役した米軍機をアップグレードするもので、翼、その他装備を付加するとのことです。

以下エッセンスです。

・この契約は、米国防総省の対外有償軍事援助計画に乗っ取って行なわれる
・米国防総省によれば、2015年8月にこの計画は完了する
・ロッキードは、アビオニクス(*)と翼を新たにし、寿命を長くしたP−3C
を提供するようだ

⇒米は当初、2007年9月までに台湾に軍用機を提供するとしていました。
その後2008年10月、米が武装ヘリ、ペトリオットを台湾に提供すると
明らかにしたところ、中共の反発を受けています。

(*)アビオニクス
航空機に搭載され飛行のために使用される電子機器。航空電子装置のこと。
航空(Aviation, アビエーション、エイヴィエーション)と電子機器(electro
nics, エレクトロニクス)から合成された用語


おき軍より
■オーストラリア最大の脅威は米中戦争?

豪州の複数の報道や情報筋によれば、今月末に明らかになるとされる国防白書
の中で、ラッド政権は、海と空の軍事力増強を図る姿勢を示すようです。

具体的には、「20年計画で海軍力と空軍力の強化を図る」というもので、

・1000億ドル(約10兆円)かけて、20年計画で軍事力整備を図る
・潜水艦の数を2倍にする
・統合戦闘機を100機導入する
・新型偵察機を導入する
・新型軍艦を導入する

というものです。

背景にあるのは、シナの異常なまでの軍事力増強です。

これに対し情報当局は
・シナの軍事力増強は豪州の長期的国家戦略にとって大きな脅威ではない
としています。

両者の食い違いの根底にあるのは

・シナの長期的国家意図と能力、具体的には「原潜と空母」に対する評価の違い

です。

ラッド首相は、国防当局の主張を採用する決心をしたようですが、当然背後には
米との関係もあると推察します。

情報当局は、
・豪州の長期的国家戦略にとって最大の脅威は「米中戦争勃発」にある
と見ているようです。

⇒中東海域の安定を乱す「テロ集団」に対し、現在諸国が連合部隊で対処して
いますが、「太平洋海域の安定を乱す「中共」に対処する米主導の連合」とい
う構図が今後具体化していくかもしれませんね。豪州はそこまで視野に入れて
いる気がします。

豪州は、資源つながりでシナとそれなりの関係を培っていますね。
それを安保の柱にすべきと言うことなのかもしれません。

いずれにせよわが国にとっての問題は、南シナ海・東シナ海・日本海の安定確保
を将来的にどうするかという話になりますが・・・・

遠く太平洋を隔てた南半球にある豪州でさえ、シナの異常な軍事力増強を警戒
し、具体的な動きに出ているわけです。スグそばにある国が、このことに鈍感
であることをどう理解したらいいのでしょうね。あまりに近いとよく見えない
典型ということでしょうか。笑


「おき軍」より
中国海軍の増強が日米を脅かす
古森 義久
2009年6月23日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090623/162210/?ml
MD見直し:「関係発展へ寄与」…ロシア側歓迎

 【モスクワ大木俊治】オバマ米政権のMD計画見直しについて、ロシア外務省筋は17日、タス通信に「もしそうした決定が採択されたのなら、米露関係の発展に寄与する前向きな出来事だ」と述べた。

 メドベージェフ大統領は、オバマ氏が大統領に当選直後の昨年11月の年次教書演説で、MDが東欧に配備されればロシア領側に新型ミサイルを配備し対抗すると警告していた。

 今年4月の初の米露首脳会談で関係の「リセット(仕切り直し)」に合意。第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約交渉を本格化させたが、ロシア側は核削減の条件としてMD計画中止にこだわり続けた。

 ロシアでは「オバマ政権がロシアの立場を理解し始めた」(コサチョフ下院外交委員長)、「ロシアが非妥協姿勢を貫いたのが今回の決定につながった」(マルゲロフ上院外交委員長)との声が出ている。

http://mainichi.jp/select/world/news/20090918k0000m030136000c.html
米環境当局、シェルに暫定許可=アラスカでの石油掘削可能に
2010/01/08 16:52[エネルギー][時事通信社]
 【アンカレジ(米アラスカ州)ロイターES=時事】米環境保護局(EPA)は7日、英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルに対し、排気に関する暫定許可を出したことを明らかにした。
 これにより、シェルは今夏から秋にかけて、アラスカ州チュクチ海で計画している石油掘削をめぐり、船からの排気が認められる。
 ある幹部は、EPAによる今回の許可はシェルにとって重要な一歩になると述べた。同社は2008年に21億ドルで取得したチュクチ海の一部鉱区での掘削を目指している。
 今回の許可をめぐっては、アラスカ国内で、掘削作業の支持者と反対者が激しく対立していた。
Copyright (C) 2009 時事通信社 記事の無断転用を禁じます

http://members.kankyomedia.jp/news/20100108_7979.html
 昨年末のCOP15では、CO2削減の世界的枠組み合意が危ぶまれ、空中分解の瀬戸際、最終日深夜、オバマ大統領の大活躍で米中を中心とする5カ国合意ができ、最低限の政治合意(コペンハーゲン協定)はなりました。(ただし、反対国があったため合意に留意するとなった。)

=======ここから引用(登録していない人はリンク先は見られません)
中国、インド、ブラジル、南アフリカ、勢揃いの怪
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091224/211800/?P=3
 そして、米国と中国は、最後の最後の瀬戸際で、インド、ブラジル、南アフリカを加えた5カ国で政治合意に達し、次につなげる道を残した。

 ホワイトハウス高官の報道機関向けレクチャーによれば、米中の2国間協議のほかに、オバマ大統領の直々の指名で4カ国が選ばれて多国間協議の場がセットされる予定だった。18日金曜日午後4時頃のことである。インドのマンモハン・シン首相は会場を後にして既に空港にいるなどの情報が錯綜。多国間協議は困難かと思われた。

 ところが、午後7時にセットされた米中2国間協議の部屋には、温家宝首相だけでなく、いるはずのないシン首相を含む他4カ国の首脳が既に一緒に待っていた。オバマ大統領は「グッド」と言って急きょ5カ国首脳協議に臨んだという。ホワイトハウス高官は、それが中国、インド、ブラジル、南アフリカの作戦だったのかどうかは分からないと答えている。
================引用終わり

 ただ、COP15の最終日まで合意できなかったとはいえ、米国は、COP15を米中で主導すると明言していましたし、その下ごしらえは、かなりしていました。

======================
2009年
【5月】28日:米上院のケリー外交委員長が訪中。米中で主導する声明を発表
【6月】12日:中国に排出削減求めず 米が柔軟姿勢示す
【7月】16日:米中、自動車と建物に関するクリーン技術開発協力で合意
【10月】21日:米中首脳、COP15へ協調確認 温暖化対策など電話で協議
【11月】15日17日:オバマ訪中。米中がクリーンエネルギー覚書正式調印
=======================

 この米国の中国への接近は、どう解釈すればいいでしょうか?私は、今回は、EU主導の地球温暖化対策はあくまで阻止しようという米国の意思を表しているように思います。実際、COP15ではEUの思惑は外れ、法的な拘束力も、数値目標もありません。EUの排出権市場は大幅に値を下げ、EUの一人負けだったようです。
10年の米天然ガス生産は前年比3%減=LNG輸入は増加−EIA短期見通し
2010/01/13 16:45[エネルギー][時事通信社]
 【ニューヨーク・ロイターES=時事】米エネルギー情報局(EIA)は12日発表した短期見通しで、2010年の国内天然ガス生産予想を小幅上方修正した。ただ、新たに掘削したガス田からの当初生産量が大きく落ち込んでいることなどから、依然として前年比では3%(18億立方フィート)減少するとみている。
 EIAはまた、10年の米液化天然ガス(LNG)輸入については、世界的な増産を受けて日量約17億6000万立方フィートとなり、前年から同約5億立方フィート増加するとの見通しを示した。11年については「わずかに」増加する見込みという。
☆ The Globe Now:米中石油冷戦と日本の国策 ―――― 2008/06/29

石油をがぶ飲みする中国が、アメリカの石油覇権に挑戦している

―― 1.石油をめぐる国益のぶつかり合いが激しくなる

ガソリン価格が高騰している。多くのガソリン・スタンドでは1リットル17
0円台を突破し、7月には史上初の180円台が見込まれている。

国際的な原油価格の高騰と、円安のダブルパンチによるものだが、前者は中国
・インドなど新興国の需要増と、石油増産余力の少ないこと、そしてこの需給
ギャップを見込んだ投機資金流入が原因である。投機資金の流れは市場心理や
規制などで変わる可能性があるが、実態としての需給ギャップは構造的・長期
的な問題である。

原油高騰は、家電製品・包装容器等に多用されるプラスチック類、衣類に用い
られる化学繊維など、広範囲の石油化学製品の価格高騰を招く。同時に、ガソ
リン価格の高騰は、輸送費・交通費の上昇に直結し、広範囲に物価を押し上げ
る。

石油は各国経済の土台をなすだけに、石油をめぐる各国の国益のぶつかり合い
は激しさを増すだろう。その象徴が、世界の石油支配を覇権の切り札にしてき
たアメリカと、石油をがぶ飲みして経済発展を続けてきた中国の激突である。

―― 2.加速する石油消費量増加

米国エネルギー省の2005年2月3日付け発表によれば、世界の石油消費量
は現在の一日8200万バレルから、2025年には1億2500万バレルへ
と50%以上増える。

多くの地質学者は、現在の技術では1日の石油産出量は1億バレルがせいぜい
であり、1億2500万バレルを掘り出すには、新しい技術と膨大な資金が必
要だと考えている。

もちろん今後20年の間には、石油採掘技術も進むだろう。問題は、需要増大
のスピードに供給拡大のスピードが追いつくかどうかである。

石油消費量の増加ぶりは、近年加速している。1977年に一日6千万バレル
だった石油消費量が、7千万バレルに到達したのは1995年で18年かかっ
ている。それが8千万バレルになったのは2003年で、8年しかかかってい
ない。さらに9千万バレルに達するには4、5年しかかからない、と専門家は
みている。 [1,p22]

この加速する石油消費量の増加は、主にアメリカと中国によるものである。

―― 3.石油をがぶ飲みする「世界の工場」

中国の石油消費は、2004年時点で日量670万バレル=世界シェア8.3
%)と、米国に次ぐ世界第2位である。前年からの増加は約90万バレルと、
年率15%もの伸びで、同年の世界の消費量増加の36%を占めている。

アメリカの増加量シェアは20%で、二ヶ国で世界の増加量の6割近くを占め
ていることになる。 [2]

問題なのは、中国のエネルギー効率がきわめて悪いことだ。

GDP(国内総生産)100万ドルを産出するのに、中国は1600バレルを必
要としているが、これは米国の約2倍、日本の約4倍もの消費量である。しか
もこのエネルギー効率は近年、それほど改善されていない。

日本のエネルギー効率の高さは、石油ショック以来、現場のきめ細かな改善活
動や省エネ設備の導入などで営々と築き上げてきたもので、一朝一夕に中国が
コピーできるものではない。

中国はその人件費の安さから「世界の工場」として製造業を急速に発展させて
きたが、それはエネルギーをがぶ飲みする極めて効率の悪い「工場」なのであ
る。エネルギー・コストが大幅上昇するにつれて、人件費の安さは相殺され、
中国製造業の国際競争力は失われていくだろう。

それでも中国は今後も石油に頼らざるを得ない。中国のエネルギー源の三分の
二は石炭だが、煤煙を取り除く技術・設備の遅れから大気汚染は深刻な状況と
なっており、これ以上石炭には頼れない。

また、安くて公害の少ない天然ガスは、ガス化装置、輸送パイプライン、貯蔵
施設などの整備がほとんどできておらず、天然ガスへの大規模な転換には、膨
大な投資と時間がかかる。

結局、中国は、経済発展を続けるためには、高い石油のがぶ飲みを続けなけれ
ばならないのである。
―― 4.中東への侵出

その中国は、石油を求めて、世界各地でアメリカとの対決を始めている。イラ
ン、クウェート、サウジアラビアへの接近については[a] で述べたが、ここで
少し補足しておこう。

中国はイランから大量の石油を輸入している。その見返りに、イランに原子力
発電を中心とした核技術の輸出をしている。核兵器やミサイルの技術も売って
いるとCIAは疑っている。

イランの核開発疑惑に対して、2004年に国連の安全保障理事会が現地査察
を含めて干渉しようとした時には、中国は常任理事国の特権を利用してこれを
妨害し、その代償としてイランとの大量の石油取引契約を結んでいる。

中国は同時に、世界最大の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアに触手を伸ばして
いる。いつのまにかに国立石油企業サウジ・アラコムの株を20%取得し、共
同でサウジアラビア国内で製油施設を作ることになったという。さらに天然資
源開発のための共同事業を開始した。アメリカが同様な提案をした際には、サ
ウジアラビアは色よい返事をしなかった。

サウジアラビアは親米国であり、アメリカの聖域だと言われていたが、いまや
中国寄りに傾きつつある。その原因は、中国による兵器の供給であると言われ
ている。

イランはイスラム原理主義者たちによる独裁体制であり、サウジアラビアも王
家による独裁下にある。両国が、自由民主主義国家のアメリカよりも、共産党
独裁国家の中国に親しみを感じるのは、体質的にごく自然なことなのである。

アメリカの引き起こしたイラク戦争は失敗だったと言われているが、中東の石
油産出国でアメリカの覇権下にあるのは、イラクとクウェートだけである。フ
セイン体制がまだ続いていたら、中東全域が中国よりの独裁体制になっていた
はずだ。

―― 5.「アメリカの裏庭」中南米へも

南米は「アメリカの裏庭」と言われてきた。アメリカがベネズエラから輸入す
る原油は、日量120万バレル、石油輸入総額の12.4%で、カナダ、サウ
ジアラビアに次いで第3位となっている。

しかし、ベネズエラは世界最大の麻薬密輸国であり、麻薬マフィアが政治も経
済も取り仕切っている。アメリカの情報機関は、チャベス大統領自身も麻薬組
織に関係していると考えている。アメリカは麻薬コネクションを野放しにして
いるチャベス大統領を許せないと考えている。

ベネズエラ国内では、反大統領派が勢力を広げて内戦状態が長く続いているが
アメリカは反体制派を助け、軍事力で介入する姿勢をとり続けてきた。

こうしたアメリカとベネズエラとの確執を見て、中国はすかさず間に入ってき
た。2005年、中国の石油会社がベネズエラ国内で油田を開発し、製油施設
を建設するという契約をチャベス大統領と結んだ。そこから一日12万バレル
を中国へ輸出するというのである。

しかし中国のタンカーは大きすぎてパナマ運河を通れない。そこでコロンビア
の太平洋側の港まで石油パイプを敷設する契約をコロンビア政府と結んだ。

同時に、中国はもともと共産主義者であるカストロ政権と契約し、キューバで
の製油業に乗り出すことになった。また、腐敗したエクアドル政府とも契約し
て、石油採掘を行うこととした。

さらに、民主主義勢力を弾圧しているペルー政府とも覚書を締結し、石油・天
然ガス建設についての技術援助と資金提供を申し出ている。

こうして見ると、中国は中南米の腐敗した政府を支援することによって石油を
手に入れようとしているのである。
―― 6.スーダン独裁政府の陰のパトロン

中国が独裁国家に接近して石油を得ようとする動きはアフリカでも見られる。

中国が輸入する石油の7%がスーダンから来ている。中国は、積極的にスーダ
ンでの油田開発に協力し、パイプライン建設に多大な資本投下を行っている。
紅海に至る1400キロのパイプライン建設では、この工事に投資しただけで
なく、労働者を装った兵士を多数投入している。

スーダンではこの20年間、内戦が続いており、大量虐殺も起こしている。そ
のスーダン政府に中国は武器を売り、それと引き換えに石油を輸入しているの
である。

2004年9月、国連の安全保障理事会は、スーダン政府が凶悪な軍事勢力を
支援することをやめない場合には経済制裁を行うと決議した。アメリカの議会
関係者の情報によれば、中国はスーダン政府などに対して、「--常任理事国と
しての--拒否権を使って(経済制裁の)国連決議をつぶしてしまうから」と述べ
て、見返りに石油の提供を求めている、という。

スーダン政府の国民虐殺は世界中から非難されているが、その陰のパトロンに
なっているのが中国なのである。欧米諸国を中心に、北京オリンピック・ボイ
コットの声が上がっているのは、このためである。

―― 7.中央アジアを「中国のエネルギー供給基地」とする戦略

中国は中央アジアでも暗躍している。カザフスタンとウズベキスタンは石油資
源、天然ガスに恵まれた地帯である。両国にはアフガニスタンなどから潜入し
たイスラム過激派アルカイダが政府転覆を謀っているといわれ、

そのため従来、両国はアメリカのテロリストとの戦いに協力し、同時に石油や
天然ガスを輸出する約束をしていたのだが、そこに中国が介入したのである。

中国は、カザフスタンとは戦略同盟協定を結び、中国への石油と天然ガスのパ
イプラインを作る構想を推し進めている。

ウズベキスタンは、アフガニスタンへの攻撃用にアメリカの空軍基地を作らせ
ることに同意していた。だが、2005年5月、ウズベキスタンのイスラム・
カリモフ大統領が、民主選挙を求めて立ち上がった民衆数百人を虐殺した事か
ら、アメリカとの関係がこじれていく。これはアメリカ側が親米的な民主政府
を作ろうとする工作であった、と言われている。 [a]

アメリカはじめ世界各国はカリモフ大統領を非難し国際的な調査を要求した。
ところが中国は、直ちにカリモフ大統領を支持し、民衆虐殺をテロリストに対
する戦いとして、国際的な調査に反対する声明を発表した。

その数日後、ウズベキスタンから中国に、約6億ドルのエネルギーを提供する
という条約が結ばれたのである。

中央アジアからアメリカを追い出し、「中国へのエネルギー供給基地」とする
戦略は着々と成功しつつある。
―― 8.米中石油冷戦が始まっている

こうして見ると、中国が中東、南米、アフリカ、中央アジアなどの独裁政権に
接近し、武器を与え、国連常任理事国としての庇護を提供して、見返りに石油
を購入するという明確な戦略が見て取れる。それはアメリカの世界戦略へのあ
からさまな挑戦なのである。

2005年7月21日、22日にわたって、アメリカの上下両院合同で、中国
のエネルギー政策に関する公聴会が開かれた。

中国のCNOOC(中国海洋石油公司)による、アメリカの石油企業ウノカル買
収の動きが表面化し、米議会は、これを中国によるアメリカのエネルギー戦略
への挑戦と激怒して、この日の公聴会となったのである。

この公聴会では、エネルギー専門家が上述のような事実を報告した。それらの
意見をまとめると次のような結論となる。 [1,p17]
┌--------
・中国は、世界各地で石油を確保する努力を続けている。石油をめぐって世界
 のあらゆる地点でアメリカと対決を始めている。

・中国が、海軍力をはじめ、核戦力を強化しているのは、将来起きる石油危機
 に備えてアメリカと対決しても石油を確保したいと考えているからである。
└--------

石油を巡る米中の冷戦がすでに始まっているのである。

―― 9.「危機」を「好機」に変える国策

迫りくるエネルギー危機、および、それを前にした米中石油冷戦に、わが国は
いかに対応すべきか。日米同盟を基軸として、中国の膨張政策に歯止めをかけ
る事が、当面の戦略であろう。

さらに「危機」を「好機」に変え、国家の繁栄と独立、そして世界の平和と安
定を守るための国策がある。ーーー代替エネルギーの開発である。太陽光発電
・燃料電池・電気自動車など、石油に依存しないエネルギー開発で日本は世界
をリードしている。

また、日本近海に大量に存在する「燃える氷」メタン・ハイドレートは、現在
の天然ガス消費量の百年分はあるとされる。[b] さらに海藻類や糞尿・下水道
汚泥、食品廃棄物などをバイオガスとして再利用するリサイクル技術の開発も
進んでいる。 [c]

こうした代替エネルギー利用のネックは、石油対比のコスト高にあるが、技術
進歩によるコスト低下と原油価格の急騰によって、急速に実用的な水準に近づ
いていくだろう。

わが国が高価な石油に依存せず、地球環境にも優しい次世代エネルギー技術を
確立できた時、効率の悪い高価な石油エネルギーを使い、公害をまき散らしな
がら生産と消費を続けざるを得ない国々は一挙に国際競争力を失ってしまう。

米国の石油覇権、および中国が世界的に展開している原油開発投資は意味を失
い、米中石油冷戦も雲散霧消してしまうだろう。

                  (文責:伊勢雅臣) = おわり =
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┘

 関連リンク:
a.JOG(515) 石油で読み解く覇権争い
  北野幸伯著『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』を読む

b.Wing(1337) 先端技術でエネルギー安全保障

c.Wing(1124) 世界を江戸化するバイオマス活用技術

 参考書籍:(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
1.日高義樹『米中石油戦争がはじまった』★★★ PHP研究所H18

2.UFJ総合研究所「中国ビジネスレポート No.31 世界第2位の石油消
  費国・中国の石油事情」

http://aizax.fc2-rentalserver.com/repo6/61a080629.html
Eagleさんからご指摘がありまして

上記に関してですが、アラムコは国営企業のため、株式を発行していないとのことです。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog554.html

おそらく、日高義樹『米中石油戦争がはじまった』の誤りをそのまま記載したものと思われます。


ご指摘ありがとうございました。
■ 米、台湾に武器輸出再開

米政府は100129、台湾に対する総額64億ドルの武器輸出を決定し、議会に正式
通告した。国防安全保障協力庁の発表等によれば詳細は以下のとおり。

1.輸出されるのはPAC3のミサイルが114基(技術支援付き)、
武装ヘリ「ブラックホーク」60機、対艦ミサイル「ハープーン」12基、
オスプレイ級掃海艇2隻、艦艇用のMIDS(*1)25個、「MIDS-LVT- 1」(*2)
35個
1.F16本体の輸出は見送られた
1.台湾国防部は米の決定を歓迎。中共政府は「強烈な憤慨」を表明した

(*1)MIDS
Multifunctional Information Distribution System 多機能情報配布シス
テム*; 米陸軍・NATO(仏独伊スペイン)共同開発、NATO軍の通信航法識別シ
ステムの共用性・統合性を確保し秘匿性・耐妨害性に優れた多機能デジタル
通信システム; Link-16用新型端局装置、JTIDS小型廉価版多用途デジタル
戦術通信システム、端末装置容積 0.6cu.ft、@$20万、JTIDS Class-2Rに
代えて装備化の可能性大、'98現在EMD段階、108個試作、搭載予定機=EF2000,
Rafael, F/A-18, F-15

(*2)MIDS-LVT
MIDS Low Volume Terminal MIDS小型端局; 米国防総省・NATO共同開発、
JTIDS class 2相当の機能、ViaSat社製、データ/音声デジタル通信リンク
として戦域プラットフォームの主用機能を支援する小型移動端局、
'98/04・初号機出荷、その後の量産は当初計画より2年以上遅延

【出典 コモ辞書  http://homepage3.nifty.com/OKOMO/ 】
おき軍より


EU:対中武器禁輸措置解除へ協議 スペイン外相
http://mainichi.jp/select/world/news/20100127k0000e030023000c.html
戦略石油備蓄の拡大計画中止を要請=米予算教書
2010/02/02 16:49[エネルギー][時事通信社]
 【ワシントン・ロイターES=時事】オバマ米大統領は1日、議会に提出した2011財政年度(10年10月〜11年9月)予算教書の中で、同国の戦略石油備蓄(SPR)は供給途絶に対応するのに十分な水準にあるとして、備蓄拡大に向けた投資計画を打ち切る考えを表明した。
 米国のSPRは現在、備蓄能力いっぱいの7億2700万バレル。米議会はエネルギー省に対し、これを10億バレルに拡大するよう要請、ブッシュ前政権は五つ目の備蓄施設の建設を計画していた。
 チュー・エネルギー長官は記者団に対し、「現在、石油備蓄は十分だ」と述べ、建設計画中止により7100万ドルの費用を節減できると説明した。
米国、台湾武器輸出と普天間の微妙な関係
東アジアの平和と安定は、早くも崩れ始めた
鍛冶 俊樹
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100201/212533/?P=1
> ぬりさん45

 その記事読みました。
 興味深い論調なので、著書を買ってみようかと思ったところです。ただし、冷戦思考から抜け出ていないのでは?という印象。
うーむ。

冷戦思考から抜け出せないという問題と、世界がまだ冷戦構造から抜け出しきれていないという問題と両方感じます。

なんだかんだで、いろいろ調べていると、昔となんにも変わっていないこともたくさんあってがっかりしたりもします。
☆米中同盟に深い亀裂。この敵失を日本外交はなぜ利用しないのか?
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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)2月5日(金曜日)
          通巻2863号 
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 オバマ政権、対中圧力を『人民元切り上げ』に集中か
  旧正月明け、米中対決が迎える新段階
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 ダライラマ法王の訪米は17日と決まった。
 おりしも[G]「ステークホルダー」と言われ密月状態にあったはずの米中関係がこじれにこじれている。オバマ訪米は中国が旧正月明けのタイミングである。

グーグル問題が端緒となり、関連して中国のスパイ部隊の存在が暴露され、欧米の軍、政府、有力企業などへのハッカーによる攻撃が批判の的となり、つぎに浮上したのが台湾への武器供与、そしてダライラマ訪米時にオバマ大統領が面会しようとしていることなどで米中関係に鋭い軋みが生じた。

 押され気味だった米国は姿勢を防御型から攻撃型に変え、人民元を攻撃材料化しはじめた。

 人民元の為替レートを不正に操作して、輸出競争力を保つ中国の遣り方をオバマ大統領は「人工的に操作されている人民元レートは中国産品を有利に売りさばくが、米国に失業を拡大させ、産業の価格競争力が阻止され、まったく不公平である」と改めて非難した(2月3日、民主党指導者との会合で)。

 対して中国は馬朝旭・外交部スポークスマンが反論『人民元は安定しており、中国はいかなる圧力にも屈しない』(2月4日)と対決姿勢を示す。

 人民元の対ドルレートは2005年7月1日から変動相場制に移行したものの、極めて狭いレンジに限定され、08年までの三年間で21%の切り上げになっただけ。しかも08年以後は、ほぼ固定相場をとってきたため、リーマンショック以後も短時日裡に、中国は輸出力を回復し、世界経済復元の牽引車などと賞賛された。
 
 09年の経済成長目標を8%とし、同年三月の全人代で「保八」を謳った。結果は8・7%と公表され、胡―温執行部は胸を撫で下ろす。この背伸びした経済成長が次にバブル破綻をまねくことになるだろうが、いまは論じない。


▲米中関係の亀裂は日本外交にとって稀なチャンスなのだが

 ここへきて人民元への批判の高まりは秋の中間線窮緒を控えるオバマ政権が中国へのスタンスが甘いという非難をかわす目的もある。
 米国の要求は「30−40%の人民元レートの切り上げ」である。

とりわけ民主党内の人権擁護派、言論の自由派が対中姿勢の強硬なスタンス替えにも起因している。
 米国の保守派は「民主、自由の価値観を共有する日本などの同盟関係をおろそかにして、価値観を共有できない潜在的敵対国家に軟化しすぎた」として、オバマ外交を正面から批判している。

 日本にとって、この米中関係の亀裂はチャンスではないのか?
 この敵失状況を積極的に利用して日米同盟を深化させるチャンスとするのが普通の国の外交だが「普通の国になろう」と主張した張本人が反米姿勢に転じて中国礼讃では、貧困な日本外交は、やはり北京にいいように利用される懸念が拡がる。

 ゴールドマンサックスのエコノミスト等は『年内に5%の切り上げがあるだろう』と予測している(NYタイムズ、2月5日付け)。
 米国は、対中対決のカードを全部切ってきました。↓

 ・・・President Obama signaled the tougher line on Wednesday, telling
Democratic senators that the United States needed “to make sure our
goods are not artificially inflated in price and their goods are not
artificially deflated in price; that puts us at a huge competitive
disadvantage.”・・・
 Economists estimate that China’s currency, the renminbi, is
undervalued by at least 25 percent and as much as 40 percent, relative
to the dollar and other currencies.・・・
http://www.nytimes.com/2010/02/04/world/asia/04diplo.html?ref=world&
pagewanted=print

 ドイツのシュピーゲル誌も、米中の決別は避けられないとの記事を載せました。↓

 ・・・What will happen to "Chimerica," that economic marriage of
convenience? The sense that it would be better to dissolve the forced
union sooner rather than later is growing within China's Communist
Party. Financial managers within the party are already exchanging
long-term US Treasury securities for more short-term securities.
 Sooner or later, Chimerica will come to an end. The real question is
whether the former partners will be able to live peacefully with one
another -- or if the divorce proceedings will turn acrimonious.
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,674848,00.html 

太田述正コラム#3809(2010.2.4)より
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2010年2月10日
米国の運命を握らされる中国
http://tanakanews.com/100210china.htm


米国が民主党政権になれば、米中は近づき蜜月になるという話がありましたが、私はその逆が一番怖いなと常々感じており、このコミュの開設モチベーションの一つでした。

要注意ですね。
ぬりさん

 田中宇さんは、主張それ自体に関してはいろいろあると思いますが、重要な問題を的確に突く嗅覚、という意味では高く評価すべきと思っています。

 そして、「米中」という枠組みよりは、「多極化」という形で問題を立てた方が間違いにくい、と判断しています。

 難しくてよくわからないけど。
私は、自分がフォローし切れない米英系ニュースをブリーフィングしてくれるという意味でとても役に立っています。

他に、ドイツ系なら原田武夫氏とか、ロシア・ドイツ・北朝鮮系なら佐藤優氏とか、英系なら太田述正氏、中国なら宮崎正弘氏など、他のアルファブロガーを含めて、優れたウォッチャーが日本にもたくさんいますよね。


米国の覇権が弱体化し、欧州は横ばいから崩壊危機、日本は滑落、新興国は急成長、という意味では、多極化は間違いありません。ただし、依然として米国の影響力は最大です。
2度の世界大戦は2国間の戦いではありませんでしたが、対立軸のようなものは存在したわけで。

「多極化」という事実に拘泥してしまうと、さらにその先に収斂していくかもしれない対立軸を見誤ってしまうのではないかと私は思っています。トップが入れ替わるときというのは、いろいろあるものです。
米中対立という見立ては、「覇権交代時に石油の争奪が致命的な米中の対立を生むのでは」という、私の”直感”なので、じつは議論のしようがなかったりします(笑)
【いわゆる「地球温暖化問題」について劣勢となってきた一部米国勢が大幅に
 巻き返しを画策する展開。ヒラリー・クリントン国務長官の動きがカギ】

(IISIAの分析)

●いわゆる「地球温暖化問題」に関して、その人為性に対する明らかな
 疑念が国際社会全体で語られる中、アル・ゴア元米大統領が「反論」を
 開始したとの情報あり。国連において本件が取り上げられるとの声明
 が出された直後の「反論」であり、今後の展開が激烈になる“潮目”
 の予兆として要注意:
(参考: http://www.buenosairesherald.com/BreakingNews/View/26550)

●米国勢全体としては、最終的に次世代技術としてのトリウム原子力
 発電への世界的な転換を図るという意味ではコンセンサスがあるものの、 
 そこに至る道程については立場が分かれている可能性大。これまでは
 地球温暖化に対する処方箋として原子力発電への誘導が図られてきた
 ものの、去る1月27日に行われたオバマ大統領による一般教書演説
 では、むしろ「雇用対策」としてこれが取り上げられるといった形で
 文脈の転換が図られている点がポイント。
 ……つづく


(「IISIAデイリー・レポート」(2010年3月2日号スタンダード版)より)
 トリウム原発、結局のところどうなのでしょう?
 知識が不足していて、私には技術評価ができませんが。
手間がとてもかかるので、ウランが有るうちは誰も商用化までせんでしょうね。

一番本気のインドでさえ、2050年ごろの計画です。

日本だと京大の先生とかでマジな人いましたが、高速増殖炉のことがあるので、なかなかメインストリームにはならないかと。。
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 国際戦略コラム NO.3572       ???
             発行部数 4000部    ???
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/ ???
         2010.03.14        ???
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        米海軍力減少で地政学が変化へ
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月曜日有料版の0章をお送りします。

フリードバーグはアジアが米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に
分裂すると指摘したが、この観点はスパイクスマンの地政学を前提
条件としている。シーパワー対ランドパワーの戦いという視点であ
る。

しかし、スパイクスマンの冷戦構造的な地政学は、米海軍が600隻も
あり、その他の諸国が米海軍に対抗できないことを大前提にしてい
る。この構造が崩壊しているために、スパイクスマンの地政学が役
立たない。そのため、フリードバーグも間違えている。
            Fより

0.米海軍力減少と中国・インド海軍力増強で
ロバート・カプラン氏は、米海軍艦船は600隻から250隻に近々大幅
な削減がされるという。これは衝撃的である。スパイクスマンの大
前提が崩壊していることになる。日本でさえ123隻の艦艇があり、中
国海軍は日本以上の900隻程度の艦艇を持っている。反対に日本周辺
にいる米艦艇は40隻以下になることを意味する。しかし、中国海軍
の近代化、大型化が進み、空母2隻も持とうとしている。中国海軍力
の増強で、世界的な規模で中国海軍は行動が出来るようになってい
るのだ。

中国の軍部Zhu Chenghu少将が「空母を開発するから、太平洋のハワ
イから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」──。
米太平洋軍のキーティング司令官は11日の上院軍事委員会で、中
国軍幹部からこんな「提案」があったことを明らかにした。キーテ
ィング氏は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している
」と語った。 2008年03月12日18時58分asahi
と言ったが、中国は着実に軍拡を進めて、その実現を目の前にして
いる。

これでは米海軍は単独では世界の海上覇権を維持できない。インド
も同様にインド洋に多数存在する中国海軍艦艇や海軍基地の中国海
軍に対抗して増強している。インド海軍艦艇は140隻で2隻の空母を
所有するが、単独では中国海軍に対抗できない。このため、中国海
軍力に対抗する勢力と中国同盟国とに2分され始めているように感
じる。この国際情勢を構築する理論形成にはスパイクスマンの地政
学では無理がある。

このようにモデルスキーの覇権循環説を裏付けているような傾向に
米国も中国もなっている。しかし、スパイクスマンは、戦前ユーラ
シア大陸を非民主的な国家が占めると、その非民主的な国家が支配
する圏内には自由民主など人権が確立されないことになり、その心
配から自由民主諸国連合でソ連に対抗したのである。しかし、この
非民主的な国家が世界の覇権を取る心配が再度、出てきている。

しかし、ランドパワーと思われていた中国がシーパワーでも強大に
なり、マハンから始まった米国地政学のスパイクスマン理論である
海上権力を確立する勢力と陸上権力を確立する勢力の攻防というシ
ナリオが成り立たなくなっている。

これに代わる理論として、中国からは中国の軍拡を正当化するよう
な新しい地政学である「海陸和合論」が提案されているが、海上権
力の増強で、この理論も中国は修正することになる。中国一国で世
界の広範な安全保障を行うことができる海軍力になり、和合理論で
はおかしいことになっている。

このため、ランドパワーであるドイツが戦前構築した地政学を代表
するハウスホーファーの生存圏理論を拡大して、理論化する必要が
あると見る。「パン・リージョン」に似た自国権益範囲を確立する
動きを中国はしていると見える。

以後は有料版で読んでください。
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「海陸和合論」─ 新地政学への模索
             清華大学国際問題研究所教授 劉江永
http://www.peopleschina.com/maindoc/html/fangtan/200607.htm

1.時代遅れの地政学戦略思想
 西側の伝統的な地政学戦略の学説は、その多くが、歴史と地理的
観点から、いかにして世界に覇を称えるかを論じている。19世紀末
の「海の覇権論」も、20世紀初めの「陸の覇権論」も、人類の歴史
を、陸と海の勢力の争う歴史とみなしている。

 しかし、その後の世界の歴史はそうではなかった。例えば2回の世
界大戦においては、「陸の国家」間の戦争もあれば、「海洋国家」
間の戦争もあったのである。戦争の禍機は、帝国主義国家の植民地
と世界の覇権をめぐる争奪から始まり、戦争の結果は、侵略者の徹
底的な失敗に終わった。

 1930年代のドイツ地政学は、ヒットラーがいわゆる「生存空間論
」を提起したように、ただ戦争の発動の口実として利用されたに過
ぎない。そのころ、日本の地政学は「皇道」と「八紘一宇」を「指
導理念」として、大日本帝国の侵略戦争を正当化しようとしたもの
であった。戦後、平和主義が優勢だった日本では、経済地理学の研
究はあるが、伝統的な地政学は、国際政治学界で、いかなる地位も
占めることができなかった。
 
 しかし、現在、伝統的な地政学戦略論は、依然として、米国のグ
ローバルな戦略を策定する上で、重要な拠り所となっている。米国
の一部の人はいまも、米国、日本、オーストラリアなど「海洋国家
」が手を結んで、中国を抑えこむべきだと主張している。
 
 日本でも最近、自国が「海洋国家」であることをあまりにも強調
して、国家戦略を論ずる人が増えているようである。その中には、
日本は「海洋国家」として、日米同盟を強化すると同時に、アジア
太平洋地域の海の国々と緩やかな「海洋連邦」を結成して、「大陸
国家」である中国を牽制し、それによって、日本は「太平洋統合体
のリーダー」になるベきだと主張している人もいるほどである。
 
 これは、時代遅れの「海陸対立論」から来るのであり、中米、中
日の間に地政学的戦略的対抗を生み出すだけで、有害無益である。
したがって、国家の政策決定を誤らず、時代の潮流に順応するため
に、「海洋国家」と「大陸国家」が平和的に協力する「海陸和合論
」を提起することは、特に重要な現実的意義と理論的価値がある。
その理由は、次の通りである。
 
 第1に、「地は政の本なり」と管子が言うように、21世紀の経済の
グローバル化と地域経済統合という趨勢の下で、正しい地政学の樹
立は、まず植民地主義時代の発想の束縛から、脱却しなければなら
ないからである。
 
 第2に、21世紀においては、「海陸対立」より「海陸和合」こそ、
時代の流れである。統計によれば、17世紀から19世紀にかけて商業
のシーレーンなどを巡る戦争は、当時の戦争全体の36%以上を占め
たのに対して、それが20世紀から現在にいたるまで、3%にもなって
いないのである。
 
 第3に、東アジアは、「海洋国家」と「大陸国家」からなってい
るので、「海陸和合」がなければ、いわゆる「東アジア共同体」の
設立は、机上の空論になってしまうからである。実際に、「海陸対
立論」の視点から、「東アジア共同体」構想に反対する人も、日本
国内にいる。だが、このような方々が、「海陸和合」の必要性に少
しでも耳を傾けて下されば幸いである。
 
 第4に、「海陸和合」は、主観的願望や理念であるばかりでなく、
海と陸の国家間に客観的に存在する地理的な経済の相互補完性にも
合致するからである。21世紀においては、平和と協力があってこそ
はじめて、海と陸の国家に持続可能な共同繁栄と共同発展をもたら
すことができるのである。
2.「海陸和合」のあり方と役割
 「海陸和合論」の実質は、平和的なやり方で、海と陸の国家間の
地政学的関係をうまく管理し、利用し、それによってその国や、そ
の地域、また世界の恒久平和と安全、発展と繁栄を促進することに
ある。
 
 その基本的な内容と、追求する基本的な目標は、次のことを含む
ベきであると思う。
 
 第1に、海と陸の国は、互いに侵犯せず、相互に武力行使や武力に
よる威嚇をせず、相互に内政干渉せずに、平和共存を目指すこと。
 
 第2に、海と陸の国は、それぞれ、それ自身の持つ地理的な経済の
優位性を発揮し、平等互恵の経済協力と相互信頼の安全協力を展開
すること。
 
 第3に、海と陸の国は、相互に開放し合い、相手側の発展と相互協
力のために、地理的に有利な条件を提供し、政治対話と話し合いを
通じて、両者の間に存在する矛盾や問題を解決すること。
 
 第4に、海の国と陸の国は、海と陸で線を引いて敵や味方を作るこ
とをせず、平和と協力を共同の目標として、「海陸の調和」の実現
を目指すこと。
 
 第5に、海と陸の国は、「海陸和合」の実現に努力するだけでなく
、さらに「海洋国家」間の「海海和合」も、「大陸国家」間の「陸
陸和合」も、同時に追求しなければならないこと。
 
 「海陸和合」は、アジアの地理的経済関係によって決定されるもの
である。アジア諸国は、山河が相連なり、海洋の島国もあれば内陸国も
あり、また海と陸の両方の特徴を持つ国もある。関係諸国は、互いに隣
り合う地理的な経済の優位性を利用し、海運や空輸、鉄道、高速道路網
を通じて、いくつかの地域経済圏をつなぐアジア広域経済圏を形成す
ることができる。
 
 報道によれば、中韓両国の地方政府は、中国の山東省煙台市と韓
国の仁川との間に、列車を乗せて海を渡るフェリーを就航させよう
と計画している。これによって、オランダのロッテルダムから来た
列車が、海を渡って直接、日本の東京に到着できるようになる。た
だ、この計画の実現は、もし「海陸和合」の国際環境がなければ、
想像することもできない。
 
 「海陸和合」は、海と陸の国の共通利益と相互補完性を体現してい
る。アジアには、中国、日本、韓国などの石油・天然ガスの輸入国もあ
れば、ロシアや中東、中央アジアの多くの産油国もあり、海運やパイプ
ラインの設置で、エネルギーを安定的に輸送して、相互利益をもたら
すエネルギー需給ネットワークが形成できる。
 
 「海陸和合」は、安全保障の分野で、海と陸のエネルギールート
の安全を確保するために、これまでになかった各種の新な脅威と挑
戦に対応するうえで必要である。現在は、アジアの「大陸国家」も
、マラッカ海峡やペルシャ湾を通過して、 原油を輸入し、海運を利
用して、国際貿易に従事しているので、シーレーンの安全保障は、
すでに、海の国家と陸の国家の共同の利益となっている。
 
 安全保障の概念は、すでに伝統的な安全保障の概念を超えている。
海の国でも、陸の国でも単独でテロや海賊を含む国境を越えた犯罪
、生態環境の破壊など、非伝統的な安全保障分野での挑戦に対応し
きれない。国境を越えた協力によってのみ、それに有効に備え、対
処することができるのであろう。
 
 「海陸和合」は、「良好な二国間関係プラス平和的多国間主義」
の道を避けて通れないと思う。アジアにおける「海陸和合」のモデ
ルの一つは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10の成功した実践である。
それに、ASEANと中国(10+1)、ASEANと中日韓(10+3)の協力
メカニズムの発展も、「平和的多国間主義」の流れにつながってい
る。それと同時に、なお困難があるにもかかわらず、「6者協議」は
、平和的対話を通して朝鮮半島の非核化を実現する唯一の道であろ
う。
 
 今年4月、中国の温家宝総理がオーストラリア、フィジー、ニュー
ジーランド、カンボジアを訪問し、さらに第1回「中国─太平洋島嶼
国の経済発展協力フォーラム」に出席したことは、「海陸和合」の
新たな一ページを開くものとなった。これに引き続き、中国の胡錦
涛国家主席の米国訪問も、太平洋両岸の2つの大国間の「海陸和合」
を増進した。
3.「海陸和合」と中日米の関係
 「海陸和合」は、「海陸対立」を避け、「海陸のウィン・ウィン
」を実現するうえで必然的な選択であり、中日関係がとるべき方向
でもある。歴史の経験が繰り返し証明しているように、平和と協力
があってこそ、それぞれの国にとって有利である。海と陸で線を引
いて敵や味方をつくり、人為的に「脅威」と「対抗」を作り出すよ
うなやり方では、結局、その国にとって不利になる。
 
 中日両国は、「海陸和合」を追求してこそはじめて、アジアの地
理的経済の巨大な潜在能力を十分に発揮し、中日両国の子孫に幸せ
をもたらすことができる。現在、統計から見る香港を含む中国は、
すでに日本の最大の貿易相手国となっている。日本は「海洋国家」
としても、そのエネルギー、資源、市場は、中国、ロシア、中東国
家などを含む「陸の国家」と切り離すことはできない。したがって
、「海陸和合」の実現は、日本の国益にもっとも合致するのである。
 
 中日両国が、もし交渉を通じて東中国海の係争海域にある石油・
天然ガス資源の共同開発を実現できれば、中日関係史上、初めての
事業となるであろう。両国政府が『国連海洋法条約』の精神に基づ
いて、対立を協力に変え、係争海域で共同開発を実現することを、
私は心から期待している。
 
 現在、日米の一部の人が「中国脅威論」を持っている。それは、
中国の軍事力の増強について、大袈裟な話を真に受けていることか
ら来ている。しかし、中国の経済の速い成長に伴う物価上昇幅がか
なり大きい状況の下で、名目上、毎年2桁の国防費の支出増加率は、
隣国に対する脅威にはまったくならない。実際には、1955年から
1980年までの25年間で、日本の防衛費は17倍に増加し、年平均の増
加率は、2桁以上になった経緯もある。
 
 中日両国が「海陸和合」を実現することは、日米関係を損なうど
ころか、かえって、中日米の3カ国関係の協調的な発展にとって一筋
の活路となることができるであろう。「海陸和合論」は、日米間の
「海海和合」をも提唱しているからである。
 
 米国はいまもなお、中ロを地政学的な戦略競争と警戒の相手とし
ている。しかしもう一方では、「9・11 」(米国の同時多発テロ事
件)以来、かつてなかった安全保障分野から来る圧力などによって
、米国政府は、中ロがテロなど安全保障面での挑戦に、共同対応す
るパートナーとなるよう、促すようになった。
 
 中国の台湾問題について、米国当局は、それを中米関係の戦略的
枠組みの中で、利害をはかりながら、処理しているように思われる。
要するに、未来を展望すれば、中米、中日の間で、長期にわたり、
平和共存と協力拡大ができるかどうかは、アジア太平洋における
「海陸和合」の成敗に関わるキーポイントとなるであろう。
(2006年7月号より)

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国際戦略コラムHPは、
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/
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 国際戦略コラム NO.3591       ???
             発行部数 4000部    ???
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/ ???
         2010.04.03        ???
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         当面の米中衝突を回避へ
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
中国と米国の人民元切り上げ交渉が決着した。その報告。
                     Fより

米中交渉は3月25日から始まり、対米交渉を担当する中国商務省
鐘山次官が渡米して行っていた。この交渉で、米国は財務省の報告
書で中国を為替操作国としない代わりに、中国は人民元を徐々に切
り上げて、自由化し国際通貨とするというものであるようだ。

また、米国が進めるイラン核での制裁問題でも同一歩調を取ること
が決まった。このことで米ライス国連大使は「イランへの制裁強化
に反対してきた中国が協議に加わることは前進だ」と述べている。

国内産業育成重視する中国商務省が米国との交渉をすることで、国
内強硬派を押さえ込み、米中の一致点を探ることで、まだ軍事的な
弱点を持つ中国は米国との対立を抑えた。

いつも強硬派の発言をするzu少将の発言がないので分からないが、
あと10年で中国は米国を圧倒して世界覇権を取るので、それまでは
中国は米国と譲歩することもあると発言していた。今回は、その方
向になったようである。この少将の発言は過激であるが昇進して少
将になっている。中国軍部の意向が分かる。

米中で交渉がまとまり、オバマ米大統領と胡錦濤国家主席の両首脳
は予定を大幅に超えた一時間にもわたる電話会議で米中関係の改善
を協議したようである。

そして、12〜13日にワシントンで開かれる核安全保障サミット
に胡主席が出席し、イランや北朝鮮から核兵器関連物資が流出して
核テロになることを防止するなどを共同で取り組むとした。

その代わり、米財務省が15日までに議会に提出する為替報告で、
中国を為替操作国に認定するとしたが、胡主席の訪米に配慮し認定
についての決定を延期することにしたようだ。

中国人民銀行の金融政策委員に任命された夏斌氏や李稲葵氏は、「
人民元相場に対する圧力を緩和する1つの方法は、中国が自分から
進んで調整することだ」と述べている。

この発言を裏付けるように、人民元の為替制度改革を4月に実施す
る案が、中国政府内で話し合われているようだ。「米国の圧力によ
る切り上げは受け入れられない」ものの、「国内のインフレ圧力や
資産バブルを考慮すれば、相場自体の調整は必要」という見方が共
通認識になりつつある、という。中国人民銀行の周小川総裁の国内
、米国への働きかけが功を奏した結果になっている。

また、中国人民銀行上海総部は人民元建て貿易決済について試験対
象となる海外の取引地域と企業数を拡大させるという。これは人民
元を国際通貨化することであり、日本企業も中国との貿易決済を人
民元にできることになる。これにより、為替リスクが軽減されるこ
とになる。

米中の対決は当面、一服することになるが、中国の人民元の自由化
等の進捗が進まないと、また米中は対決色になると見る。

さあ、どうなりますか??
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 国際戦略コラム NO.3738       ???
             発行部数 4000部    ???
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/ ???
         2010.09.04        ???
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        米中通貨戦争はどうなるか?
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米国財務省は、10月に中国を為替操作国に認定するかを決定する。
            Fより

前回7月の米財務省の為替政策報告書では、6月19日から始めた人民
元相場の弾力化方針を評価した上で、中国の為替操作国への認定は
見送った。

これに対して、米共和党のグラム上院議員は、中国が示した人民元
弾力化方針を単なるジェスチャーに過ぎず、実質的な改革ではない
との認識を示した。

このため、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」
とし、10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見た上
で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定するとオバマ
大統領は言っていた。

しかし、6月19日から直近までの上昇率は0.4%しか上昇せず、対ユ
ーロで3%下落、対円で6.4%下落となり、中国は貿易輸出量を増や
した。このように現状の状況を見ると、グラム上院議員の見解が正
しかったことになる。中国はうまくやったことになるが、しかし、
世界第2位の経済大国が自国経済のための通貨安維持は世界経済に大
きな歪さをもたらしている。

もう1つ、中国は通貨安維持のために大量の介入をして溜め込んだ
ドルで米国債を買っているので、米国は容認しているとの見解があ
るが、6月時点で、中国の米国債保有額が240億ドル減の8437
億ドルとなり、かなり米国債を市場で売っていることがわかる。

この中国の大量な米国債売りの金利上昇分を相殺するために、ニュ
ーヨーク連邦準備銀行は米国債を買い取った。このように中国は米
国と経済戦争に突入する寸前の様相である。

これは今まで、このコラムで述べたことであるが、その経済的な衝
突の上に南シナ海や東シナ海での軍事的な問題がからみ、米中関係
はかなり悪化していた。このため、中国の胡主席は訪米を延期した。
このことで、米中間の経済・軍事面の対立が表面化した。

このような状態で、今年第2四半期(4-6月)の米GDPは1.6%増と
急減し、非農業部門の就業者数も前月より5万4千人減り、3カ月
連続で減少した。

このため、バーナンキ議長FRBは8月27日、「長期証券の追加
的な購入は、さらなる金融緩和に効果的だ」などと追加緩和に向け
た具体策を述べている。また、オバマ大統領も包括的な経済対策案
への取り組みを表明した。このように米国経済は二番底に向かう可
能性もある。

しかし、過度な金融緩和を行うと通貨供給量が増えて、通貨の希釈
化で、高水準での失業が続くなかでインフレが加速し、2004年に見
られたような予測モデルから逸脱した物価上昇が再び起こる可能性
もある。

このため、金融緩和だけでは経済活性化は無理で、どうしても米国
内の雇用を創造することが必要であり、このためには、中国に逃げ
た工場を呼び戻して、雇用を作ることが必要になっている。

また、貿易赤字の多くは中国からの輸入である。この面からも人民
元の30%程度の切上げは必要であると米国経済専門家は見ている。

このような中で、サマーズNEC議長が訪中することになり、中国
に人民元の切り上げを求めるものとみられるが、不調であると、今
度こそ、為替操作国の認定になると見る。

さあ、どうなりますか??
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)12月28日(火曜日)
       通巻3176号
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 米国外交官が「アフリカ外交において中国は悪質なライバル」と酷評
  「モラルなき国連の票集めが二番目の目的だ」
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 ウィキリークスが暴露した公電のなかに、現在までに中国関係のものがすくないが、ジョニー・カーソン国務次官が、ナイジェリアで開催された石油戦略会議で、以下の発言をしていたことがわかった。

 「中国のアフリカ進出は侵略的かつ悪質である。モラルが見あたらない。そのうえ、アフリカ諸国を国連に於ける票集めを目的としており、次々と台湾と断交させてきた」
 
 なにしろダルフールの虐殺でしられるスーダンのバシル政権やジンバブエの独裁者ムガベに夥しい武器を供与してきたことはウィキリークスが暴かなくても公知の事実である。
米国、中国の風力発電製造業の補助を提訴
http://japanese.cri.cn/881/2010/12/23/141s168544.htm


米のWTO提訴、中国が反論 風力発電巡る補助金
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0E1E2E0EB8DE0E1E3E0E0E2E3E29494E0E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

「中国の風力発電補助金は障壁」米政府がWTO提訴
http://www.asahi.com/international/update/1223/TKY201012230311.html

米、風力発電の補助金めぐり中国を提訴
http://www.afpbb.com/article/economy/2780564/6606293?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成23年(2011)5月9日(月曜日)弐
 通巻第3323号
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 戦略に一貫性を見失った中国の誤謬
  拙速に軍事大国をみせつけ、周囲を敵対させてしまった
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 中国は戦略に整合性を欠如し始めていると指摘するのは米国シンクタンクで戦略研究をするエドワード・ルトワック博士である。
 彼は「中国はナチス・ドイツと同じ誤りを繰り返すのか?」と疑問を呈する。彼が来日した折、数人でルトワック博士を囲んだ。

 第一に中国は現在、「総合戦略」を欠いている。一部の指導層にはあるかもしれないが大半は自己の狭い利益のために動いている。

 第二に中国はそのあまりに拙速で迅速な軍事力の拡充に、世界を早く警戒させすぎた。自己の力を誇示して英国を警戒させ露仏との同盟に向かわせ、結局包囲されて失敗した第一次大戦前のドイツと同様に中国は失敗の途上にある。

 となれば中国は軍事力を削減し、領土紛争を一方的に解決するという自己犠牲的な方針を取らない限り、米側陣営(米、日、印、アジア諸国)の警戒を解くことはできない。だから失敗する。中国側が米側陣営と対抗できる蓋然性は例外的にロシアと同盟できるか、どうか。しかしロシアが中国と同盟するだろうかとルトワックは続ける。

 1890年末にドイツの産業システムは英国より優れていたうえ、科学でもギリシャ文学でもドイツ語の知識なしに研究ができない有様であり、英国の凋落は明らかだった。

 しかしドイツが英国より優れていたのは軍事力ではなく、産業・金融、科学・学術の分野におけるシステムだった。30年後にはドイツが世界のナンバーワンになることは誰の目にも明らかに思われた。だがドイツは第一次世界大戦に敗北し、英国はその後も数十年の世界覇権を維持できた。この文脈から言えば、現在の中国は当時のドイツと同じ危険な道を走っている。

 英国はフランスと植民地争奪戦を演じていたもの、モロッコの帰属ほかで妥協し、フランスを同盟国とした。
他方、日英同盟を締結し、ロシア帝国を牽制し、はたまたロシアとも同盟関係を結び、米国とイタリアも英国の陣営に引っ張り込んだ。こうして英国はドイツ包囲網を形成し、囲まれてしまったドイツは敗北した。


 ▲GDP世界三位までの中国は比較的おとなしかった

 中国はGDP三位だった2008年あたりまでは適切な戦略を行使してきた。
 2008年九月からの「世界金融危機」で欧米、日本の衰退と反比例して中国の台頭に自信を得るや、唐突に傲慢になり、「ドル基軸は過去の遺物、ドルに変わる貨幣を」などと発言し、南シナ海や東シナ海で軍事行動を展開し、日米両国、アセアンからインドまでに中国脅威感を与え、究極的には中国脅威に対抗できる連合機関を造った。

 ルトワックは次のように結論する。
 「人口でもGDPでも軍事力でも中国のかなうところではない。第三次世界大戦が起こると思っているわけではないが、戦火を交えないレベルでの様々な「闘争」において、中国は米国陣営により包囲され、究極的に敗北へ到る。これは現在の趨勢がつづく限り確実なコースである。

中国は余りにも早く世界を警戒させすぎたのだ。台頭する国家がやってはならない誤りである」

 それゆえに日米両国は今後、ロシアを取り込む外交を展開することが極めて重要になり、ルトワックは「そのために日本は北方四島問題を「棚上げ」してロシアと戦略的関係を築くべきである。ベトナムやインドと連携を深めているのは良いセンスだが、ロシアが鍵であるなどと言っている。

 この大胆な問題提議、じつは『フォーリン・アフェーズ』に掲載される前に、人民日報系『環球時報』に抄訳され、中国の知識人が先に読んだという。
 
 (この拙文は『共同ウィークリー』、2011年4月11日号からの転載です)
米中の衝突は、台湾海峡ではなく、ベトナムを挟んで行われるのかもしれないな。

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