H・G・ウェルズコミュの神々の糧

むかーし、子供のころに読んだウェルズの長編『神々の糧』を再読了しました。
数人の科学者たちが、生物を巨大に生長させる「神々の糧」を開発し実験を進め、その結果、既成の世界が崩れ去り、新旧の衝突を起こしながらも、新たな世界へと変貌していく。
歴史に関心を強く持ち、また１９世紀末から２０世紀初頭のロンドンにおける、科学技術が引き起こした劇的な社会変化を体験してきたウェルズならではの作品と思いました。
ほんとこの人はすごい！
今読んでも輝きを失わない面白さ！
小説のラストあたりの巨人の若者の台詞を書いておこう。
この世界の意思そのものが語られているような気になる。

「我々は自分自身のためではなく、成長のため…永久に続く成長のために戦うのだ。あした、われわれは生きるにせよ死ぬにせよ、成長がわれわれを通して征服するだろう。それが魂の永遠の法則なのだ。神の思召にしたがって成長していくのだ！この割れ目や隙き間から…この影や暗闇から出て、偉大なものと光明とへ成長していくのだ！さらに偉大なものへ…さらに偉大なものへだ！みんな！」彼はゆっくり言葉に力を入れて言った。「そして…さらに偉大なものへ成長するのだ…そしてまた成長する。そうやって成長して行ったあかつきに、はじめて神の子としての友情と理解に達するのだ。成長し続け…やがてはこの地球など一つの足音にすぎなくなる…魂は恐怖などけしとばしてしまうだろう。そしてひろがって行くのだ…」彼は天に向かって腕を振った。「あそこまで！」