とにかく怖い話。コミュの【実】一人暮らしpart[25.5]【梟】

昔、一人暮らしを謳歌するために住んでいたｱﾊﾟｰﾄでの体験談『何かいる部屋(一人暮らし)』ｼﾘｰｽﾞもpart25に到達しました。

あのｱﾊﾟｰﾄは、色んな意味でﾈﾀの宝庫ですね〜(　´∀｀）ｱﾊﾊ…

さて、今回は

【実体験】一人暮らしpart[25.5]と銘打って、前回の投稿↓

【実体験】一人暮らしpart[25]
http://mixi.jp/view_bbs.pl?guid=ON&id=70484939&page=1&comm_id=1154462

の、後日談のようなものを書いてみようと思います。

なお、文才がないので誤字脱字乱文等があるかとは思いますが、温かい眼差しで見てくださいね。



《拒否権はないよ》



色々と酷い目に遭った。

って言うか、すごく疲れた。

玄関で家鳴りさんの陽気(？)なお出迎えを受けて早々、鍵をｼｯｶﾘとかけた私が、その場にへたり込みながら一番最初に思ったのはこの一言。

真上の破戒僧もといおっさんの顔を、1週間ぶりくらいに拝んだのはいいねんけど、何でｵﾏｹみたいに昔馴染みさんまでいるんや。

てか、普通忘れるか？

お客さん放置って、どんだけよ？

そんでもって、あのおっさんは部屋ん中に何を放置してんねん。

想像もしたくないけど、また仕事放棄したんか？

仕事放棄して、一週間も北海道行ってたんかい。

中途半端な状態で放置ﾌﾟﾚｲされる、あちらさんの身にもなれや。

そんな中で待ち惚けくらう昔馴染みさんが、可哀想やんか。

なんか……怒りたい気持ちはよく分かる。

分かるけどさ、普通に登場できんのかねぇ。

まさか、更にｵﾏｹが憑いてるなんて

私の平和な日常って、一体どこに行ってしまったんやろ

『ﾊﾟｷｯﾊﾟｷｯﾊﾟｯｷﾝ』

自暴自棄にｸﾞｯﾀﾘしたまま玄関にへたりこんでいる私に対してか、室内に促すように家鳴りさんが音をたてながら天井を移動する。

あちらさんなのに甲斐甲斐しい……。

そう思うと、自然に口許が緩るんでいくのが自分でも分かった。

ﾎﾝﾏに、慣れとは素晴らしい機能です。

もはや、この日常が当たり前になってしまっているなんて……ね。

ﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞ思考も、ここまでくると呆れてしまうわなぁ。

あぁ、もしかしたら私自身が末期なんかもしれへん。

まぁ……いいか(笑)

今さら深く考えたって仕方ない。

そんな感じで、若干乾いた笑いを浮かべながら玄関を離れ、押し入れの部屋で部屋着に着替えたあと、ご飯(晩酌付き)の用意をして、ｿﾌｧｰの部屋で借りてきたDVDをﾏｯﾀﾘと眺め、寝る準備をして一日がやっと終わった。

で、翌日。

家鳴りさんとの攻防を終えて、布団の中から這い出るように起床した私。

朝御飯を食べ終えて、片付けも終わらせた後、濃いめの珈琲が入ったﾏｸﾞｶｯﾌﾟと、ｼｶﾞﾚｯﾄｹｰｽを手にﾍﾞﾗﾝﾀﾞで一服していた。

ｺﾝｸﾘｰﾄ製の手摺りの上に灰皿を置いて、外を眺めながらゆっくりと紫煙を吐き出すこの一時がある意味至福だったりして。

『梟ちゃん、おはよう〜』

ﾍﾞﾗﾝﾀﾞの手すりに背中を預けて、部屋のなかをﾎﾞｰｯと眺めていた私は、ゆっくりと声のした方を振り返っていた。

やっちまったなぁと思ったね、正直。

条件反射とはこわいもので、視線を向けた先に某ｺﾝﾋﾞﾆの袋を片手に、私のいるﾍﾞﾗﾝﾀﾞに近付いてくる破戒僧の昔馴染みさんの姿があった。

ﾊﾞｯﾁﾘと目があってるし、見なかったことには出来ないよなぁ
『お、おはようございます』

若干、頬が引き攣るのを感じながら挨拶を返す私。

『いいね〜その顔、最高(笑)』

一階のﾍﾞﾗﾝﾀﾞっていう環境を、初めて嫌だと思った瞬間でした。

元々、身長差はあったにしても地面よりやや上に作られているﾍﾞﾗﾝﾀﾞのはずなのに、手すりを挟んで対面している昔馴染みさんの顔の位置が少し高いってなんやねん。

若干、見下ろされる形になっている私は

『殴っていいですか？てか殴る』

ｹﾗｹﾗと笑いながら、変なことを言う昔馴染みさんに対して笑顔で握りこぶしを作る。

『ごめん、冗談だから。梟ちゃん、目が笑ってないよ。こわ〜い』

絶対、悪いと思ってへんな。

ｲﾗｯとしたけど、ここは我慢のいい子。

『なにかご用ですか？』

ﾍﾞﾗﾝﾀﾞの手すりに組んだ両手を乗せて楽な体制をとると、楽しそうに此方を上目遣いで見上げる昔馴染みさんに対して、呆れた眼差しを向けつつ聞いてみた。

『う〜ん、実はお願いがあるんだけど聞いてくれる？』

『お願いの内容によりますね』

そう即答すると、途端に昔馴染みさんの笑顔が深くなった。

『そこは即答で了解してくれたら可愛いのに〜』

朝の爽やかな空気が音をたてるように崩れて、ﾋﾝﾔﾘとした冷たさを帯びるのを感じた。

『内容を聞くのも拒否します』

これは逃げるが勝ちだなと、速攻で切り捨てにかかるとあえなく失敗。

『実はさ、親父が起きてくれなくて帰れないんだよね〜。○○駅まで車出してくれないかな、今から』

起き抜けから感じていた微かな耳鳴りと頭痛が、今度はﾊｯｷﾘと体感できた。

『人の話、聞いてますか？』

『車……出してくれるよね？』

『だから人の『乗せていってよ、○○駅まで』……因みに拒否権は？』

『あると思う？』

ﾆｯｺﾘと笑いながら言いやがったよ、こいつ。

と、まぁ……こんなやり取りをした後、大人しく昔馴染みさんを○○駅まで車で送ったわけなんだが。

それはもう、長い道のりだったのは言うまでもない。

車と言う密室で、昔馴染みさん(+α)を乗せた車内で。

『梟ちゃんて、押しに弱いって言われない？』

『さぁ、どうでしょうね』

『もうちょっとさぁ、警戒心って持った方がいいと思うよ。いくら親父の昔馴染みとは言え俺も男なんだから』

『大丈夫です。何かされそうになったら、遠慮なく殴り倒しますから(後部座席のやつ込みで)』

『あっ、そうそう俺と親父の関係って知りたいでしょ？』

『全くもって興味もありません』

『俺の事はお兄ちゃんって呼んでいいよ』

『全力で拒否します』

『そこまで嫌がらなくてもいいでしょ。じゃあ、呼び捨てで』

『陣屋さん(仮)と呼ばせていただきます』

『他人行儀だなぁ……もっと親しみを込めようよ』

『他人ですもの』

『俺の職業はね、親父と同じで拝み屋なんだよ』

『聞いてません』

『親父と言っても、血の繋がりは全くないけどさ。愛称みたいなもんだよ。昔、色々と巻き込んだり、巻き沿いにした仲でさぁ。まぁ、世話にもなったしね、不本意ながら』

『だから、聞いてないって』

『まぁ、お互いに変わり者ではあったけど。類は友を呼ぶってやつなのかもね』

『もういい加減に黙ってくれませんか？』

『後部座席にいるやつは『だから、いい加減にしてくれへん。ここで下ろすで』……やっぱり面白いね、梟ちゃん(笑)』

『………』

『見えてるくせに……俺がこいつを出しっぱなしなのにも触れようとしないし』

『なんの話？』

『そうやって惚けるは何のため？』

『………』

『怖いなら怖いって言えばいいじゃん。認めた方が楽になれることもあるよ？』

『………』

『頑固だなぁ。見えてる人と、そうでない人の区別くらいつくんだけどね、俺は』

『………』

『いい加減に無言は止めてね。そんな冷たい視線で俺を見ないでよ(笑)』

『………(早く帰りたい)』

『ため息吐くと幸せが逃げるよ(笑)』

『ﾎﾝﾏに黙れ……(誰のせいだよ、誰の)』



この時、そろそろ引っ越しを本気で考えようかと思いつつ、実際に引っ越すまで一年っていう(笑)