とにかく怖い話。コミュの【実体験】一人暮しpart?

昔、一人暮らしを謳歌するために住んでいたｱﾊﾟｰﾄでの体験談『何かいる部屋』ｼﾘｰｽﾞも第10段となりました。

いやぁ〜増えた増えた

毎回、調子に乗ってｽﾐﾏｾﾝ
m(_ _)mﾌｶﾌﾞｶ

このｼﾘｰｽﾞを読む際はｱﾊﾟｰﾄの繊細が書いてある↓

【実体験】一人暮らし
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65026318&comment_count=96&comm_id=1154462&guid=ON&guid=ON

を読むことをｵｽｽﾒします。

文才がないので誤字脱字乱文等があるかとは思いますが、温かい眼差しで見てくださいね。



《少年》

押し入れの部屋の片隅。

廊下側の角っこに体育座りの少年(みたいな黒い塊)がいる。

抱え込んだ膝に額を押し付けて、何をするわけでもなくそこにいる。

ちょうど、このｱﾊﾟｰﾄに住み初めて最初のお正月を越した頃から、少年はそこに姿を表すようになったような気がするが……。

多分、もっと前からいたんやないかなぁと思う。

とは言え、私は特に彼の存在を気にするわけでもなく相変わらず『ｽﾙｰｽｷﾙ』を発動して生活してたんやけど。

どうやら、その場所が彼の定位置らしく、私が彼の姿を見るときには大抵その場所で膝を抱えて座っているらしい。

らしい……と言うのは、私が霊感の類いが皆無だからで。

姿を最初に認識するのは殆どそこからやった。

だから『あぁ、今日はいるんだなぁ〜』くらい感覚で、お互いに特にｱｸｼｮﾝがあるわけでもなく。

気が付くと定位置に姿がないことが殆どだった。

その頃になると、あちらさんとやたらに波長が合うというか……。

『家鳴りさん』と呼んでいる方々とは多分、別の存在なんだろうなぁとかわかるようになっていて。

私のｱﾝﾃﾅ(というのか？)が、あちらさんの周波数を拾いやすくなっていたんじゃないかと思う。

き、鍛えられてる？

いやいや、きっと気のせいだ。

相変わらずのﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞ思考。

一瞬でも何か見えたら見えたで、いちいち気にしてたらきりがない当時の我が家の状況に、すっかりちゃっかり慣れちゃっている私の現状。

さて、取り敢えず廊下を右往左往してるﾔﾂは気にしない方向で(笑)みたいな感じ。

今、思い返してみても奇妙ｷﾃﾚﾂ摩訶不思議な環境やなぁとｼﾐｼﾞﾐ〜と思ったり考えたり(笑)

で、その少年の定位置に押し入れと隣接した和風(扉が押し入れと同じ作り)のｸﾛｰｾﾞｯﾄがあるわけなんだけど。

ｱｳﾀｰなんかの服を出すときに邪魔なんですよね〜少年が。

常に姿が見えている訳じゃないから余計に厄介というか……。

いや、常に見えても嫌だけどさ。

『今』その場に彼がいるのかいないのか分からない。

さすがにね、踏みつけるわけにはいかないでしょ？

だから……この時ばかりはｽﾙｰｽｷﾙを解除してｸﾛｰｾﾞｯﾄの数歩前で一言。

『そこ退いてくれへん？君がいると開けられないんよ』

旗から見たらあれやね、なんか。

返事なんて、もちろんないよ。

でも、この一言を言わないと何かｸﾛｰｾﾞｯﾄの真ん前にいけないんだよね。

私の気持ち的に。

で、ｸﾛｰｾﾞｯﾄを開ける度に毎回そんな感じの事をやっていた。

なんやかんやで半月くらい経過した、そんなある日。

私はｸﾛｰｾﾞｯﾄの数歩前でいつもの一言。

『いるんやったら退いてくれへん？』

『ﾊﾟｷｯ』

うん？家鳴りさんが返事した？

そう思って、足をｸﾛｰｾﾞｯﾄに向けて一歩踏み入れた。

『ﾊﾞﾝｯ』

すぐ側の壁を拳で叩くような音がして、思わずにはﾋﾞｸｯとした。

『ﾊﾞﾝｯｶﾞﾀﾝ』

もう一度、音がしたと思ったら今度は背後の壁にかけてあったｶﾚﾝﾀﾞｰが畳に落下。

『なんやねん……』

思わずﾎﾟﾂﾘとぼやきながら、ｸﾛｰｾﾞｯﾄに背を向けてｶﾚﾝﾀﾞｰを直しにいく。

途端にｷｰﾝという耳鳴りがして、ｿﾞｸﾘと背筋に悪寒がはしった。

な、なんやねん。

そう思いつつ、そそくさとｶﾚﾝﾀﾞｰを元通りに直す私。

『ｶﾀｯ』

背後のｸﾛｰｾﾞｯﾄから音がする。

えっと……画鋲はどこ行ったかなぁ〜。

『ﾊﾟｷｯﾐｼｯ』

家鳴りさん、今日も元気だなぁ〜。

壁にｶﾚﾝﾀﾞｰをかけ直して『よしよし』なんて思っていると、背後から服の裾を『ｸﾞｲｯ』と引っ張られた。

誰に？

そう思ってﾅﾁｭﾗﾙに背後を振り返ったのが間違いだった。

振り返った途端、ｷｰﾝという耳鳴りと共に、こめかみに軽い頭痛がはしった。

ｽﾞｷﾘと痛むこめかみを押さえると自然と視線が下に落ちる。

その視線の先に……何かがいた。

『………』

何故、私の真後ろに黒い靄みたいな塊があんねん。

素直な感想を脳内でのべつつ、反応に困る私。

すると、ぼやっとした黒い塊が、まるでﾁｬﾝﾈﾙが噛み合ったように次第に姿形を表していく。

昼間の陽光が窓から降り注ぐ明るい室内に、それは異様な存在感を醸し出していた。

黒い塊少年改め……あんた誰よ？

私の服の裾を握る小さな手。

下から私を見上げる二つの黒い穴。

青白い肌と半開きので紫がかった唇。

古いﾌｨﾙﾑの映画を見ているように、少年のいる部分だけ色が違う。

視線を交わすこと数秒。

『な、何か用？』

現状と沈黙に耐えきれなくなった私は、思わずﾎﾟﾂﾘとそう呟いた。

すると半開きの口がﾆﾝﾏﾘと笑い、真っ黒な二つの穴が微かに項を描く。

正直、可愛くない。

『…どいたよ…』

少年はそれだけ言うとあっさり消えた。

『ど、どうも……』

この時ばかりは、自分の頬っぺたをおもいっきりつねった。

すごく痛かった。

暫く呆然としていたけど、取り敢えず退いてくれたようなのでさっさと上着をとって、さっさと遊びに行って、さっさと忘れることにした。

結局のところ忘れられなかったけど、そこんとこはｽﾙｰｽｷﾙを発動して気にしない方向で。

大丈夫だ、問題ない
(｀・ω・´)ｷﾘｯ←ﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞMAX