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開催終了セミナー企画  遠藤誉著『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(2008)を読む

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2008年05月30日 17:27 更新

みなさん

第五回北京大学日本人留学生学術交流会を以下のような要領で行うことになりました。いつもとちがって土曜日の午前中からの開催ですが、知らない方にお知らせいただき関心のあるお友達などをおさそいあわせのうえご参加いただければ、幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

第五回北京大学日本人留学生学術交流会
セミナー企画 
遠藤誉著『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(2008)を読む

日本人留学生を主体にした本格的な学術交流の会が、中国にはほとんどないため
私たちは北京大学日本人留学生学術交流会という学術や研究に関心を持つ人のための会を北京大学のなかに立ち上げることにしました。これまでに私たちは、北京大学の日本人留学生を報告者にした以下の四回の報告と討議を重ねてきました。第一回2008年1月18日「満鉄のなかの科学技術―満鉄中央試験所の歴史をめぐって」(山口直樹)第二回2008年3月7日「日中比較文学と志怪小説へのアプローチ:『剪灯新話』を例として」(城尾ふみ子)第三回2008年3月28日「五行説の成立過程」(高戸聰)第四回2008年5月2日「中国における鉄器の導入−草原地域を中心に−」(田中裕子)。

さて、2008年5月8日、早稲田大学を訪れた中国の胡錦涛国家主席は、日中青少年友好交流年日本側除幕式に出席し、福原愛選手らと卓球した後、記者団に対し「両国の青少年は、友好関係の未来と希望だ。友好の種は大きな木に育つと確信している」と述べたと伝えられています。
北京大学日本人留学生学術交流会第五回目の今回は、その2008年の中日青少年友好年にちなんだいつもとは若干ちがったセミナーの企画です。

現在中国のなかで、中国の青年たちの心をもっともとらえている日本文化のひとつに日本動漫(アニメや漫画)があることは、誰もが認めるところでしょう。
かつて中国では日本のドラマが、青年層を中心に高い人気を誇っていましたが、現在は韓国のドラマにやや押され気味です。それに対して日本動漫の人気は、依然として他の追随を許していません。中国で日本のアニメ「鉄臂阿童木」(鉄腕アトム)が、はじめてテレビ放映されたのは、改革開放後の81年のことでした。これをきっかけに「花仙子」(花の子ルンルン)「聡明一休」(一休さん)「机器猫」(ドラえもん)「機械戦士高達」(機動戦士ガンダム)「足球小将」(キャプテン翼)「蝋筆小新」(クレヨンしんちゃん)「櫻桃的小丸子」(ちびまる子ちゃん)、「名探偵柯南」(名探偵コナン)「龍珠」(ドラゴンボール)「火影」(Naruto)「新世紀福音戦士」(新世紀エヴァンゲリオン)、「美少女戦士」(セーラームーン)「灌藍高手」(スラムダンク)などが次々に放映され中国の青年たちの心をとらえていきました。これらの動漫をまったく見たことがないという青年は、日本でも中国でもほとんどいないでしょう。

中国で「80後」といわれる80年代以降に生まれた世代は、子供の頃から毎日、これらの動漫を見ながら育ってきています。日本動漫は、彼らの精神形成にも大きな影響を及ぼすにいたっています。
ですから、現在では「たかが動漫」とはいえず、これらの動漫をぬきに中国の青年を語れなくなっているといっても過言ではないような状況が生まれてきています。
今日の中国における日本の動漫の影響についていえば、日本動漫の展示会や漫画家のサイン会をはじめとして日本のアニメを日本語教育に使ったアフレコ大会、日本動漫のコスプレ大会、「もし私がドラえもんだったら」という題目がテーマになる日本語スピーチ大会、2007年12月28日に北京大学にやってきた福田首相を「のび太くん」と呼ぶ中国の青年たちなどなど枚挙にいとまがありません。

このように現在の中国は、「日本動漫大好き!」という青年を多数生み出しています。こうした現象は、日中のメディアでもよく報じられます。
一方、現在の中国ではテレビメディアなどで抗日戦争のドラマが、日常的に放送され、歴史教科書問題や靖国問題などに関して、2005年4月の「反日デモ」に見られるように中国の青年たちの対日感情は、反日感情になって噴出していることが報じられます。

これらは、どちらも同じ中国の青年に関する報道です。では、中国の青年の「日本動漫大好き!」という日本に対する愛着の感情と歴史教科書問題や靖国問題における日本に対する険悪な感情の関係は中国の青年たちのなかでは一体どうなっているのでしょうか。
また、最近、中国政府は、ゴールデンアワーにおける外国の動漫(そのほとんどは日本動漫)の放送を禁止しました。その背景には、一体、中国社会のどういう事情があるのでしょうか。
そのことにはじめて本格的な分析を加えた仕事があらわれました。それが、今回、私たちが取り上げる遠藤誉著『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(日経BP2008)です。膨大な取材を積み重ね、これまで語られなかった新しい事実を掘り起こしたこの本は、現在、日本で、大きな反響をよんでいます。

著者の遠藤誉氏は、1941年に「満州国」の首都、新京(現在の長春)に生まれ、苦難の末に日本に引き揚げてきた(その経緯は遠藤誉『チャーズ』に詳しい)あと物理学者として出発し、その後1980年代から日本に留学してくる中国人留学生の増加にともない日本での中国人留学生の世話に専念するようになったという経歴を持つ日本における中国人留学生をもっともよく知っているといってよい方です。

その遠藤氏が、『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(2008)を書くきっかけになったのは、1990年代半ばからの中国人留学生の変化に気がついたことだったといいます。遠藤氏によれば、1990年代半ばからの日本に留学した中国人留学生は、中国という国や政治体制への思い入れが淡白になり、中国という国を突き放して考える青年が増えてきたというのです。また遠藤氏が2000年に行った意識調査によれば、日本留学の理由として従来なら「日本は経済や科学が発展した国だから」と答える中国人青年が多かったのが、「日本の動漫(アニメや漫画)を見て育ってきたから」と答えるものが多かったといいます。このような事態に遠藤氏は「日本のアニメや漫画のなにが、中国の青年をこれほどまでにひきつけるのだろう」と考えるようなり、本格的に中国の青年たちと日本の動漫の関係を調べてみようと決意するに至ります。その結果、書き上げられたのが『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(日経BP2008)です。日本のアニメや漫画そのものにはそれほど詳しくなかった、遠藤氏が、この問題の本質に迫り分析を加えていくさまは、スリリングですらあります。

タイトルになっている「中国動漫新人類」は、著者の遠藤氏のネーミングですが、これは、中国で「80後」といわれる80年代以降に生まれた世代で、子供の頃から毎日、日本動漫を見ながら育ってきたこれまでの中国人とはちがった新しいメンタリティをもった中国人青年のことを指します。遠藤氏は、この「中国動漫新人類」が、中国の政治体制や文化を大きく変える可能性をもっていると考え、こう述べています。
「未来をつくるのは常に若いひとたちだ。ゆえに明日の中国をつくるのは、「日本動漫大好き!」の「中国動漫新人類」たちだ。彼らを知ることは、中国の未来を知ることであり、中国の未来とつきあうことである。」と。

この本は、日中関係論、日中比較文化論、サブカルチャー論などさまざまな読み方が可能ですが、北京に留学している日本人留学生の私たちや中国人青年は、この遠藤氏の仕事からなにを学ぶことができるでしょうか。

そこでまず、この企画では、第一部で日中の北京大学や清華大学の学生が、この遠藤誉著『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(2008)を各章の内容のエッセンスを自らの感想を交えながら、報告します。参加者の方には、この内容をまとめた40頁ほどのレジュメ集を参考資料として配布します。(普段、北京大学日本人留学生学術交流会は、日本語で行っていますが、日本語がわからない日本動漫好きの中国人も参加するので通訳をつける予定です。また長丁場となりますので、昼食やお茶などこちらで用意し、それを参加費30元のなかに含ませていただきます。なおNHKなどのマスコミの取材が入る予定ですが、それもあらかじめご了承ください。)

第二部では、第一部で共有した内容をもとに日本人留学生や中国人学生などで共同討議を行っていきます。この企画のメインは、第二部の共同討論にありますので、様々な意見をだしていただければと思います。関心のある方はどうぞご参加ください。事前登録が必要ですので参加されたい方は、責任者の山口ngodzilla21@yahoo.co.jpまで申し込んでください。
また場所の関係で定員があり、定員に達し次第、締め切らざるをえないので、申し込みは、できるだけ早めにお願いします。一応、準備の関係で申し込みの締め切りは、5月19日までとさせていただきます。ではどうぞよろしくお願いいたします。

具体的には以下の要領で行われます。
日時 5月24日(土曜日)午前10時から夕方5時ごろまで
場所:国際交流基金会 北京事務所多目的ホール(場所の確認用の電話など:8567−9511)
北京市建国門外大街甲6号凱徳大廈3階301
(国貿の南斜向かいです)
地下鉄 国貿駅 のC出口から歩いて三分ぐらいのところにあります。
参加費:30元(資料代、昼食代、お茶代などを含む)

タイムスケジュール第一部(10:00〜12:00 昼食 13:00〜14:30)
コーディネーター 山口直樹(北京大学研究生)
第1章中国動漫新人類―日本のアニメ・漫画が中国の若者を変えた! (担当者:李佳 北京大学研究院研究生)
中国清華大学の「日本アニメ研」が愛される理由
『セーラームーン』で変身願望を実現した中国の少女たち
『スラムダンク』が中国にもたらしたバスケブーム
なぜ日本の動漫が中国の若者を惹きつけるのか
意図せざる?知日派?の誕生―中学3年生から見えてくる日本動漫の影響度
『クレヨンしんちゃん』にハマる中国の母娘
日本にハマってしまった「哈日族」たち
第2章 海賊版がもたらした中国の日本動漫ブームと動漫文化(担当者:于智為、清華大学研究院研究生)
初めて購入してみた海賊版
「たかが動漫」と、野放しにした中国政府
動漫の消費者は海賊版が育てた
仮説:「タダ同然」のソフトが文化普及のカギ
中国における動漫キャラクターグッズの巨大マーケット
日本動漫の中国海賊版マーケット
進化する海賊版製作方法―DIY方式と偽正規版
中国政府の知財対策と提訴数
日本アニメの字幕をつくる中国エリート大学生たち
第3章 中国政府が動漫事業に乗り出すとき(担当者:黄静波、清華大学研究院研究生)
中国のコスプレ大会は国家事業である
中国の大学・専門学校の75%がアニメ学科を
国家主導のアニメ生産基地の実態
アニメ放映に関する国家管理―許可証制度
『クレヨンしんちゃん』盗作疑惑の背景に見えてくるもの
中国政府は、日本動漫をなぜ「敵対勢力」と位置づけたのか?
ゴールデンタイムにおける外国アニメ放映禁止令が投げかけた波紋
日本アニメ放映禁止に抗議して、地下鉄爆破宣言をした大学生
日本アニメの多くは、実は中国で制作されている?
アメリカも崩せない中国ネット監視の壁
第4章 中国の識者たちは、「動漫ブーム」をどう見ているのか(担当者:国井雅史 北京大学社会学系本科生)
北京大学文化資源研究センター・張頤武教授の見解
『日本動漫』の作者・白暁煌氏の見解
中国美術出版社の林陽氏の経験
ある政府高官の、日本動漫に関する発言―中国はいずれ民主化する
第5章 ダブルスタンダード―反日と日本動漫の感情のはざまで(担当者:山佳ともみ 北京大学中文系本科生)
清華大学生の日本動漫への意識と対日感情
ネット上での日本動漫と対日感情に関する議論
中国人民大学の「日本動画が中国青年に与える影響」に関する報告書
第6章 愛国主義教育が反日に変わるまで(担当者:青山絵美子、北京大学歴史系高級進修生)
なぜ愛国主義教育が強化されるようになったのか
「抗日戦争」と世界反ファシズム戦争との一体化
台湾平和統一のために「抗日戦争」協調路線を展開
台湾系アメリカ華僑華人社会と、中国政府の奇妙な関係
華僑華人・人権保護団体が巻き起こした慰安婦問題
ネットで暴れる民族主義集団―憤青
日中の戦後認識のズレは、どこから来るのか
―アメリカに負けたのであって、中国に負けたとは思っていない日本
第7章 中国動漫新人類はどこに行くのか(担当者:松野真理、北京大学医学部国際英語系本科生)
日本動漫が開放した「民主主義」
ウェブににじむ若者の苦悩―「親日は売国奴ですか?」
中央電視台が温家宝のために敷いた赤絨毯―「岩松看日本」
精神文化のベクトル、トップダウンとボトムアップ
中国が日本に「動漫」を輸出する日
 
第二部共同討議(14;40〜17:00ごろ)
司会:山口直樹
遠藤誉著『中国動漫新人類―日本のアニメと漫画が中国を動かす』(2008)から私たちは何を学ぶことができるか。

以上

連絡先
北京大学日本人留学生会学術交流会責任者 
北京大学科学与社会研究中心博士研究生   山口直樹
ngodzilla21@yahoo.co.jp

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  • 2008年06月02日 (月) 午前10時から
  • 海外 北京国際交流基金会 北京事務所多目的ホール
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