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2005年12月07日23:31

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池口史子展。

損保ジャパンダ・・・否、損保ジャパン東郷青児美術館で行なわれている、池口史子展に行きました。

チケットは貰い物。アンケートを書いたら抽選で当たる・・・というやつで当たったのです。しかし、私、クジ運は皆無なのに、アンケートを書くと当たるというシステムでは、当たるコトが多いです。思うに、アンケートってあんまり書く人がいないんでしょうね(^_^;)。

池口史子さん。勉強不足の私は、彼女のコトは雑誌“VOICE”の表紙を描いていた人・・・くらいの印象しかなく、「どうせ、今風のオシャレっぽい絵があるんだろう。」というイメージで行って来たのです。

でね。吃驚。この方、随分、画風が変化されている方なのですねぇ〜。

初期の東京芸大時代の絵は、荒々しいタッチのザクザクしたイメージで描かれた裸婦。
『Chanson de la glace』と題された1972年に制作された絵は、まるでシャガールのようなタッチの絵でした。

この方、カナダへ旅行して、だだっ広い農地や、そこにポツンとある倉庫にカルチャーショックを受け、倉庫や鉄道などの風景画を描くようになるのですが、構図が面白いのです。

圧縮レンズや、仰角レンズから覗いたような風景なんですよ。微妙に歪ませてあるの(多分、わざとだと思う)。倉庫も斜めにたっていたり(仰角の効果だね)、道も圧縮をかけたようなカーブを描いていたり。

色々な見方を試してみて、ちょっと気が付いたのですが、彼女の風景画は、椅子に座って、目線を低くして見た方が面白いです。仰角や圧縮レンズのような描き方の効果で、目線を低くすると“飛び出す絵本”のように、倉庫や建物が飛び出してくるような印象を受けるんです。
彼女がそんな効果を狙って描いたのか、ただの偶然かはちょっと分からないのですが、とにかく面白い発見!!

風景や静物画(花が多かったよ。彼女は、活き活きとした花より、散り行く花の方が好みなんだそうだ)が多いのですが、最近は、人物の入った絵も描いてらっしゃるようです。

私のお気に入りは、『残された家』というタイトルの絵。古いアパート(外国だと思う)の前に、緑色のワンピースを着て、青いカーディガンをはおり、椅子に座る金髪の女性。女性の表情は淋しげにも見えるし、何かに強く耐えているようにも見えます。
淋しげな絵なんだけど、強さも感じる、そんな不思議な絵です。

『窓際のエレン』という絵も好きです。黒いミニスカートのドレスを着て、紫色のスカーフを首に巻き、ブーツを履いた金髪の美しい女性が、座って足を組み、ちょっと挑発的にこっち(見てる側)に微笑んでいます。彼女は娼婦にも見えます。
これも、ちょっと淋しい感じも受けるし、強さも感じます。

『赤いエントランス』という絵はなかなかドラマティックです。
赤いカーテンに赤い扉のレストランの前に、黒い服の女性が立っています。その女性は、レストランのテーブルに置かれた2つのワイングラスを、外から覗いているように見えます。
彼女は彼氏を待っているのでしょうか?
そうではなく、ひょっとしたら、浮気している旦那を見張っているのかも知れません。そうではなく、彼女は恋人と別れ、昔、このレストランで恋人と食事をしており、「そんなコトもあったわね。」と2つ並べられたグラスを見ながら思いを馳せているのかも知れません。
こんな風に、いくつも解釈可能な絵なのです。なかなかにドラマティック。

彼女の展覧会は『損保ジャパン東郷青児美術館大賞』を受賞した記念に開かれたものだそうです。

受賞作は、『ワイン色のセーター』。
ワイン色のセーターを着て、黒いスカートをはいた美しい金髪の女性がテラスの扉に手をかけ、こちらを見ています。
やはり、どこか淋しげ。でも、眼差しは強く、こちらを見ています。

池口さんは、絵に紗をかける為、絵の具が生乾きの状態の時にローラーで絵の具を伸ばす技法を使っているそうです。
だからでしょうか。女性はどこか柔らかな光の中に立っているように見え、薄い布を1枚挟んだこっち側から見ているような(そして見られているような)感じになります。
この技法も面白いですね。

招待券が2枚あったので、母もついて来たのですが、母は、図録買ってましたよ。母には絵を描く友人がおるのですが、その人に見せるんだと言っておりました。あげるんじゃないのか・・・。見せるだけなんだ・・・(^_^;)。

損保ジャパン。2階に喫茶室があるのね。コーヒー一杯160円。安!飲み物全品300円以下だったよ。
居心地も良いので、いらした方は寄ってみるのも悪くないかと。

帰りに、コミケ合わせのコピー本用の表紙の紙と、ベタ塗りペンも購入。私もちゃんと原稿描かなきゃいかんな。
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