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2007年05月31日02:20

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犬は鎖につなぐべからず〜岸田國士一幕劇コレクション〜

注:以下、ナイロン100℃のお芝居『犬は鎖につなぐべからず〜岸田國士一幕劇コレクション〜』の感想を書きます。
ネタばれになってしまう部分もあると思いますので、ネタばれがお嫌な方は、読まれない方が宜しいかと存じます。

ぞれでは、ネタばれOKの方のみいらっしゃいまし〜。

『犬は鎖につなぐべからず〜岸田戯曲一幕劇コレクション〜』

岸田國士氏の戯曲“犬は鎖に繋ぐべからず”“隣の花”“驟雨”“ここに弟あり”“屋上庭園”“ぶらんこ”“紙風船”を、ケラ氏が潤色し、一つに繋げ、同じ町内で起こった物事・・とするお芝居。物語のベースとなっているのは、“犬は鎖に繋ぐべからず”です。
繋ぎ方が少々乱暴かな?と思う部分もあるものの、ケラ氏はやっぱり演出上手いね!と思いました。

以前から思っているのですが、ケラ氏は、脚本以上に、演出の才のある方だと思います。

文学座がやる、岸田戯曲とは、また違った岸田戯曲の捉え方のお芝居。ケラ氏が途中挟み込む、ナンセンスコメディ調のやりとりも、不思議と溶け合い、元々ふわふわとした岸田戯曲とは、相性が良かったみたい。

私のお気に入りは“隣の花”と“ここに弟あり”。
“隣の花”は、2軒の夫婦の物語。
垣根で仕切られた2軒の家。
片方には、貞淑ではあるが、真面目で、何ごとにも控えめな女性(緒川たまき)が妻としている。もう片方には、若く、発展家で派手目な女性(新谷真弓)が妻としている。
どうやらお互いの旦那は、お互いの奥さんが気になる様子なのだが・・・。
緒川たまきさんがとにかく美しい。
彼女は10頭身あるんですね。着物の緒川たまきさんと比較するように、洋装(洋服ではなく、洋装と呼びたい)の新谷真弓さんが可愛らしい。少々わがままだが、自分の考えをちゃんと言える妻。

この対比は良かったなぁ〜と。
緒川さんの儚げな感じも非常〜に良かったです。
途中、鎌倉へ旦那さんと旅行に行く妄想も楽しいな。

“ここに弟あり”は、田舎から兄(廣川三憲)が上京する弟(萩原聖人)の物語。ヴァイオリンニストを目指す弟は、シャンな女・紅子(長田奈麻)と暮らしているが、弟は兄に頭が上がらない。
兄は紅子に、弟と別れるよう説得するが、結果、兄は、紅子との仲を認める。それを知らず、弟は折角上京してきた兄を家から追い出す。

兄弟の葛藤や、日常のほんの瑣末なコトが描かれていてとても良い作品。
冒頭の電球のナンセンスコメディ仕立てのギャグも私は好きだったな。
そして、
弟「兄に『“あ”だぞ!』って言われたんだ。」
紅子「“あ”って何ですか?」
弟「『遊んでやらないぞ!』の略だ。」
紅子「え?何で?『遊んでやるぞ』だって“あ”じゃないの?」
弟「うちでは、そうなってたんだ。」
このやり取りが好き。

あと、植本潤氏演じるお花の師匠が怖かった(笑)。

豆千代さんの和服もとても素敵でした。

岸田國士と言うと、私はどうしても、大人計画の松尾スズキ氏を思い出してしまいます。
松尾氏の「岸田戯曲が好きで、良く読んでいた」という一言。
本当は、松尾氏も、岸田戯曲の演出をやりたいんじゃないかなぁ〜・・そんなコトを思った。
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