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2026年09月08日00:13

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地獄めぐりのーバスは走るー♪

これ「小説家になろう」にでもエッセイジャンルで書こうかと思ったんだけど、ただの実話だし創作性がないんでやめました。代わりにこっちで書き垂れます。

最近、いわゆるアート系の仕事をしている娘の趣味が「地獄めぐり」になってしまい、箱根とか別府とか洞爺湖とか那須とか、まあ有毒ガスが出て人は近寄らない、という場所に夫引き連れて旅行に行くようになってしまった。
そういうところはたいてい近くに温泉があるんで温泉旅館に泊まってるらしいんだけど、とにかく地獄とか地獄に近いところが見たいという。
んでお勧めはないかというので、私イチ押しのスポット「恐山にいけば」といったんだけど
「あそこはさすがにやばい。だって母さんの話聞くと……本物らしいし」と二の足を踏んでる。このチキン南蛮が。

それは大学生時代の一番とんでもない体験として今も記憶のブラックホールとなってる。
実は自分いまとにかく恐山に行きたくてうずうずしてるの。ていうか恐山が呼んでる。めちゃくちゃ呼んでる気がする。

あそこの説明はわざわざしたくないんだけど、学生時代友人と二人で訪れて、この世にこんな場所があるのかと心底震えた。ホンモノの極楽とあの世がそこにあったから。
賽の河原の風車と地蔵群と積まれた石、風車、そしてあの世である美の極致「宇曽利湖」への赤い橋と湖の美しさはただ事ではない。

フォト


私は感動し、畏れを覚え、立ち尽くし、自分にはまだ早い、と思った。もう盛んに身辺で怪奇現象が起きてた大学時代だった。
その後刹那的に北海道に渡ってユースホステルに止めてもらいました。
どこもそうだけどユースホステルって宿のリーダーがやたらギター持ち出して合唱させるし、それまでの人生期語らせるし鬱陶しい。
そして私たちに「どこから来たの」と聞くので「東京」と答え、「今日恐山に寄ってきました」というとあからさまにあちゃあという顔をして、
「頼むからなんもつれてこないでよ。あそこから来た人何かと厄介なんだ」と。
その夜は広い座敷のごろ寝部屋で女子達と寝たんだけど、なかなか眠れず輾転反側してたんだ。
そしたらふーっと風が入ってきた。
とたんに、
「きゃあああー!」という女性の悲鳴。
なんだなんだと電気をつけたら、彼女窓を指して「窓が、窓が……」

なんと。窓枠ごと窓が消失してたんです。季節は夏。リーダーを呼び、皆でおろおろしながら「窓」を探してたら、
あった。部屋の外と壁の間に奇麗に外されて並んでた。
それも木枠の古い窓。寝るときに内側から、くるくる回す金属の鍵を確かにかけたはず。
叫んだ彼女は「窓の外に人影が見えた」というんだけど、こっちはろくに寝てなかったし、建付けが悪くて3センチ開けるのもガタガタうるさい窓だったし、鍵は内側からかけてたし、建物と壁の間は人がやっと一人立てられる隙間しかない。
物理的にあり得ない。「キャー!」を聞くまで何の音もしなかった。
とにかく皆で窓枠を拾い上げ、苦労して元通りにはめ、リーダーが「ただ事じゃない」ってんで
五寸釘みたいなので窓を直接窓枠に打ち付けてしまいました。

それからもみな眠れず、結局、
「恐山から来た二人がなんかすごいパワーの持ち主を連れてきてしまった」ということに勝手に決められてしまって。
翌日謝り倒して逃げるようにそこを出て、それから入った先々でとにかく「泊めて呉れりゃそれでいい」という廃屋みたいな山荘や日雇い労務者の宿(一部屋三畳ぐらいでエロ本とヤクザ漫画と煎餅布団しかない)に泊まり歩いたな。
その中で労務者の宿が一番癒された。
「ねーちゃんたち、こんなとこ泊まり歩いてんの。いい度胸だねえ」
「お椀貸しな、味噌汁大盛りにしてやるよ」と何かと優しくしてもらったな。

あんな無鉄砲な旅行はあの年ごろしかできまい。だけど、
恐山から連れてきたやつが何者で、鍵のかかった窓枠を外から外すという離れ業をどうやってやったのか謎だ。

そして私も今、どこに旅行に行きたいという欲望さえ薄れて弱体化してるけど、死ぬまでに一度、恐山には行きたいと思ってる。
夫は「絶対カーさん凄いもの連れてくる」と大反対してるけど。

あれ以上に美しい光景をこれまで見たことがないのよ。
あれさえ見られたらもうどこへ連れていかれてもいいわ。
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