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2025年12月07日22:15

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【アドカレ】12/8 元・紅茶好きが日本茶愛飲家にクラスチェンジした話

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こんにちは、マカロンです。本日は12月恒例のアドカレ記事です。こんなタイトルですが紅茶趣味をやめたわけではありません。主飲料こそ日本茶となりましたが紅茶も変わらず毎日飲んでおります。そう、本稿はほぼ紅茶専業だった私が如何にして日本茶に傾倒していったかを綴らんとするものであります。

思いの外長文となってしまったため、目録を付けることとしました。リンクなどという便利な機能はつけておりませんが、ご参考まで。

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目録
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・前書き、あるいは私の考える日本茶について
・呈茶で楽しむ煎茶のすゝめ
・玉の露に魅せられて
・ハロー、あおぞら紅茶店
・品種茶っていう楽しみ方があってぇ……
・後書き、あるいは広げた風呂敷のお片付け


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前書き、あるいは私の考える日本茶について
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一口に日本茶と言っても捉え方は人それぞれ違うだろうことが容易に想像されますので、はじめに「日本茶」の定義をしておきます。本稿では専ら「日本国内で摘採・製茶された煎茶・かぶせ茶・玉露のうち、焙じていないもの」という意味で日本茶という言葉を用いることとします。一般にイメージする「緑茶」に近い意味合いですが、抹茶・ほうじ茶・釜炒り茶は除外しています。また和紅茶・和烏龍茶などは国産茶ですがこれも対象外です。細かいことを言えば萎凋煎茶(香り緑茶)なんてものもここ数年は台頭してきいていますが、話が発散しすぎて進まなくなるのでこれも除外します。この辺のお茶はまた別の機会にでも触れられたらなと思います。


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呈茶で楽しむ煎茶のすゝめ
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随分と前置きが長くなりましたが、まずは日本茶……の中でも煎茶との出会いから語り始めるとしましょう。それは2022年のこと。静岡県の大井川までダム巡りへ行った際、気まぐれに「道の駅 フォーレなかかわね茶茗舘」へ立ち寄ったのが運命の分かれ道でした。ここでは茶室で呈茶体験を楽しむことができるのですが、抹茶が呈される一般的な茶室とは異なり煎茶が呈されます。それも「おくひかり」と「やぶきた」とから選ぶことができるのです。おくひかりが選べるというのですから流石は山間のお茶処・川根といったところですね。※この頃は品種の違いは一切意識していないのでここでも特に触れはしません。

さて呈茶体験が始まり茶道具一式が運ばれてきますと、紅茶一辺倒だった私には何もかもが新鮮に感ぜられました。鮨屋で出るような湯呑みではなく茶托の敷かれた煎茶椀で、急須も持ち手のない不思議な形をしており(宝瓶です)、てんで用途の思いつかぬ空の器(湯冷まし)が添えられているのも不思議でした。茶道具の使い方やお茶の淹れ方を習い、実際に淹れてみるわけです。紅茶の世界では基本的に熱湯を使うのが常識ですから、初めに煎茶椀に注いでから湯冷ましを経てようやっと急須に移す……という流れには随分と驚いたものです。花の慶次の一幕を真の意味で理解した瞬間でもありました。

そしてついに茶を啜るわけですが、一口含んだまさにその瞬間の衝撃といったらないわけです。今まで漠然と抱いていた日本茶のイメージが根本から書き変わったと言いましょうか。まず第一印象が「甘い」なわけですよ。もちろん砂糖なんぞ入っているわけではなく、茶葉本来の甘み・旨みがしっかりと出ているのです。ペットボトル飲料や粉末茶、熱湯で大量に淹れた渋く苦いお茶とは訳がちがいます。そして温度や抽出時間を変えながら2煎目、3煎目と啜れば各々また違う表情を見せてくれるのですから、そりゃもう一発で魅せられてしまうのも必然でした。

呈茶体験でいただいたお茶は隣の販売所で扱っているとのこと。買わずに帰るなんて選択肢があろうはずもなく、足を運ぶとこれまた色々な銘柄がありまして。煎茶・上煎茶・特上煎茶、初摘みに八十八夜摘みといった具合ですね。当時はその辺さっぱりでしたので、呈茶で出してもらったものを教えてもらい、一杯分のお試しパックもいくつか見繕って帰ったのでした。

と言うことで私が初めて向き合った日本茶は川根茶だったわけです。なんと贅沢な。その後も島田方面に用事があるたびに川根、島田、少し足を伸ばして掛川あたりで日本茶を買うようになり、浅蒸し・深蒸しの違いも覚えていきました。


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玉の露に魅せられて 〜京都・宇治〜
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そうして静岡のお茶にすっかりハマって幾星霜、ひょんなことから京都のお茶処・宇治へ行くことになりました(どう見てもフラグ)。天ヶ瀬ダムの見学……というのもありますが、もう一つはとあるゲームのデジタルスタンプラリーのためでした。

突然ですが、みなさんは「UJI CITY」というゲームをご存知でしょうか。正式には「宇治市 〜宇治茶と源氏物語のまち〜」という宇治市公式の市プロモーションゲームで、スーパー○リオブラザーズのような横スクロール式のアクションゲームです。プレイヤーは貴族の主人公「KEMARIO(蹴鞠男?)」を操作し、宇治市を襲う「ナゾの大魔王」に戦いを挑む……そんなシナリオ。色々とツッコミどころの多いゲームですが、小ネタも多く宇治観光後に振り返るとなるほどこれか〜と納得する面も多々あり結構お気に入りです。私にとっては宇治市観光のきっかけになったことは間違いないので、市のPRも無駄ではなかったと言えるでしょう(実際の評価は知りません)。で、このゲーム内に「お茶リズムゲーム」なるミニゲームがありまして、ここで初めて玉露という存在を知ったのです。きっとそれ以前にも耳にしたことはあったのだろうと思いますが、明確に認識したのはこの時。この記憶があったので、宇治に行ったら玉露を飲んでみよう……と心に決めていたのでした。

だいぶ脱線しましたが、そんなこんなで宇治橋脇の通圓さんで玉露・ふじつぼを購入し(飲んでみてから買えばいいものを気が逸っているのが分かります。浮かれているとも言います)、福寿園宇治茶亭で喫茶体験メニューから宇治玉露を選択。茶道具一式はしぼり出し急須に湯冷まし、気持ち小さめの茶杯が出てくると、気分も上がってきます。いつも家で使っている器と違うというのもお店で喫茶する醍醐味です。いざ淹れてみると、水色は黄色強めの黄緑色で浅蒸し茶ともまた違う様子で、濃縮された旨みがきゅっと舌の上に拡がり、苦いとも違うが甘くもない不思議な感覚でした。初めて飲む玉露は煎茶とは全く違う未知の味で、日光を遮断するだけで(もちろん茶農家の技術あってこそですが)こんなにも変わるのか……と驚いたことを今でもよく覚えています。

こうして煎茶の世界から一歩踏み出し、あるいは踏み外し、すっかり玉露に魅せられてしまったのでした。名は体を表すと言いますが、まさにギョクのツユ。啜った人だけが分かる至高の一雫ですね。


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ハロー、あおぞら紅茶店
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お茶との付き合い方は、何も自身でお茶を飲むことによってのみ醸成されるものではありません。お茶好きのコミュニティとの情報交換もそれを加速させる大きな要因です。

先の玉露の段とは時系列が前後しますが、一部の人間たちの間で一時騒がれたTwitter Exodus の潮流に乗り、私もまたfediberseの扉を叩きました。右も左も分からぬままとりあえずmstdn.jpに登録し、運良くのえるさんの招待URL発行ポストを目にしてfedibird.comにも登録、さらにそこから紅茶関係のポストを漁っているうちにあおぞら紅茶店(msky.aozora.uk)に辿り着いたのでした。※諸事情により該当鯖は閉鎖し、新たにあおぞら紅茶店新館に移築しています。

あおぞら紅茶店はその名の通り紅茶がメインなサーバーではありましたが、みなそれぞれ好き勝手色々飲んでおり、初めて見る紅茶や気になっている紅茶、中には中国茶など色々見ることができました。ここで出会った人が後に自鯖ちゃすきーを立ち上げ、其方に別荘を構えた方もちらほら。私は複数アカウントを使い分けできるほど器用ではないのでfedibirdとあおぞら紅茶店とをメイン鯖にしていますが、こうしてお茶関係の緩いつながりを得たのでした。

人がお茶を飲んでいるのを見ると楽しい気分になりますし、新しいお茶を買ったと聞けば盛り上がるとともに自分も欲しくなり、何か新しい情報があれば共有する。緩いコミュニティというのは本当に良いものです。


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品種茶っていう楽しみ方があってぇ……
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一般的に日本茶を選ぶ際は、製茶方法や産地、茶摘み時期を基準とすることが多いですが、コレとは別に茶樹の品種で選ぶ方法もあります。川根茶の章でサラッと触れた「おくひかり」だの「やぶきた」だのというのがまさに品種(栽培品種)です。日本で言えば農林水産省に品種登録される単位のことです。

さっそく品種茶のエピソード紹介といきたいところですが、もう少し踏み込んで品種の基本概念をおさらいしておくこととします。そのためには、さらに前段として植物学における茶の位置付けを理解しておく必要があります。※小難しい話になる上に本題には全く関係ないので斜め読みで構いません。興味のない方は二段落分をまるごとスキップしてください。

=== 小難しい話:ここから ===
まずお約束事項として「お茶」は学名・Camellia sinensis(和名・チャノキ)で表される種の葉・茎からの抽出液です。言い換えると「全ての茶樹はCamellia sinensisである」というのが社会通念です。私自身は在来野生種を含めると実際どうだか疑わしいと考えていますが、この社会通念を前提として共有しないと話が進まないため、ここではこれを真であると扱います。念のため付け加えるとするならば、紅茶の世界で広く普及している中国種・アッサム種という表現は植物学上の変種を指すもので、要はCamellia sinensis var. sinensisとCamellia sinensis var. assamicaのことですので通念に反するものではありません。

続いて品種の基本概念についてです。単に「品種」というと曖昧ですが、より優れた形質すなわち味・見た目・収量などを期待して人為的に改良を重ねた「栽培品種」と同義です。Camellia sinensisの中で交配を繰り返して得られた子孫群から選抜した、優れた形質をもつ個体に対して品種名を命名・採番するイメージです。あくまで農業観点で優れた交配結果に命名して普及させただけであり、よく誤解されていますが植物学上の分類とは別軸になります。種の下位分類である亜種・変種・型のうち、型を品種と呼ぶことがありますが、この品種とは異なる概念であることに注意が必要です。※型(forma =f.)は自然界に存在しているものであり分類学において定義された分類ですが、人為的に選抜・維持される栽培品種(caltivar)はそうではありません。
=== 小難しい話:ここまで ===

随分と遠回りをしましたが、ようやく品種茶のエピソードに入ります。ここでは御前崎の代名詞とでも言うべき「つゆひかり」に焦点をあてます。なぜ前述の「おくひかり」でも「やぶきた」でもないのかと言えば、それは私がつゆひかりのファンだからという側面も多分に含みますが、なにより私が初めて品種茶を意識したイベントが「御前崎つゆひかりカフェ」だったからなのです。

この「御前崎つゆひかりカフェ」は喫茶店の名前ではなく御前崎市茶業振興協議会が主催するイベントで、新茶シーズンである4月末〜5月初にかけて御前崎市内の茶農家・飲食店を周ってお茶を飲むスタンプラリーのようなものです。決して知名度の高いイベントではないのですが、先述のあおぞら紅茶店のつながりで教えていただき知るところとなったのです。お茶コミュニティ万歳!!

御前崎ではいつもまるよ茶屋に寄りますが、この日はせっかくなので茶農家を周ることに。やまま満寿多園、牧之原製茶、山亜里製茶の3箇所を選びました。いずれも見渡す限り茶畑の牧之原台地にある茶農家。行き来するだけでも茶畑に囲まれて楽しい気分になります。そしてイベント時期からして必然ではありますが、どこもその年の新茶が店頭に並び始めており、つゆひかりを楽しんだその場で新茶を買うことができるのも強みです。お茶のイベントと言えば喫茶来やエコ茶会、大大阪お茶会などの即売会形式が主流ですが、品種特化というのはお茶処主催のローカルイベントだからこその魅力だと思います。末長く毎年開催されることを願いたいものです。

さて「つゆひかり」はどんなお茶なのかが一番の関心事だろうと推察しますが、他の茶とは一線を画す甘さが魅力です。じっくり氷出しで入れたわけでもないのにサラッとした甘みが口内に広がる不思議な感覚で、「お茶は渋くて苦手……」という人にこそ飲んでほしい品種です。お茶のイメージがガラリと変わること間違いなし。

ひとたび「品種茶」を意識すると各地で推している現地ブランド品種も気になってくるもので、色々と試してみるようになります。せっかくなのでいくつか紹介しておくと、宮崎の「みなみさやか」、狭山の「さやまかおり」、他にも萎凋煎茶として注目を集めはじめた静岡の「香駿」・「かなやみどり」あたりは違いも感じ取りやすく、また比較的手に入りやい方だと思います。


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後書き、あるいは広げた風呂敷のお片付け
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さて本文はいかがでしたでしょうか。楽しく読んでいただけたのならば幸いです。

ちょっとした裏話ですが、アドカレの日程確保をした際は軽い気持ちでおりました。ところがどっこい、いざ筆をとり始めると興が乗って脱線しまくりなかなか終わらず本当に12/8に間に合うのかと危機感を覚えたものですが、どうにか形になって一安心です。おおよそ6000字と想像以上に長くなってしまったので、これを冬コミ本のネタにすれば良かったのではないかと思わないでもないですが後の祭り。

なんて与太話はさておいて、日本茶へのハマり方としては考えうる限り模範的な道筋を歩んだのではないかと思います。ホンモノの煎茶を知ることで茶の世界が一気に色づき、次いで玉露(かぶせ茶)の旨みに衝撃を受け、そして品種の違いに興味を持ち始める。それ以来、もともと旅行好きだったというのもありますが、九州を除く全国各地のお茶処をふらふら訪ねて飲み歩き、本稿では触れませんでしたが急須にこだわり始めた流れで日本六古窯にも足を伸ばし……。お茶の世界のなんと奥の深いことでしょう。来年は八女・知覧・五ヶ瀬の茶畑も見に行きたいですね(ついでに上椎葉ダムや阿蘇立野ダムも)。

こんな長文に最後までお付き合いいただいた方が存在しているのまらば、きっと今すぐにでも日本茶を飲みたくてうずうずしているに違いありません。え、既にお茶の世界にどっぷり浸かっている? そいつは重畳。おや、お茶は門外漢で持ち合わせがない? あぁそれはいけません、さっそく次の週末にお茶処への旅行を計画しましょう。さぁさ、善は急げです、ぜひお茶の世界にいらしてくださいませ。

というところで本稿はココまで。また次の日記でお会いしましょう〜。
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