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2024年11月27日23:59

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昭和時代の懐かしきVHS ベーター・マックスとの規格争い 船井電機の破産について 録画メディアの今後の行方

今回は、昭和時代馴染み深かったVHSを紹介する。1970年代には、SONYが開発したベーター・マックスとの規格競争が繰り広げられていた。1982年に毎日新聞のVHS勝利との見出しにより、人々の間で定着する。21世紀には、DVD、またはブルーレイの登場により、アナログのVHSは役割を終えた。全世界での推定販売台数は約9億に上った。今回VHSでは馴染み深い最後の生産メーカーだった船井電機の歴史も紹介する。我々消費者が、メディアよりもクラウド保存を利用することにより、テレビやレコーダーは市場から消えつつある。録画文化の行方も考察した。

 前回家電関連日記 2023年8月17日付 2026年にVHS再生機器が復活?TSUTAYA VHSライブラリー6000作品の行方 B'zとZARDの坂井泉水のVHSのみの作品 最後のVHS製造メーカー船井 gooが地図アプリ終了
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関連日記 M-DISCについて 2022年7/18(月・祝)光ディスクの寿命について、人の寿命よりも長いM-DISC 新型コロナ情報 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982809962&owner_id=32437106

  
    <VHS2025年問題 最後の生産メーカー船井電機の破産>

目次
・第1章 VHSとベータ・マックスの規格競争 思い出の映像をデジタル化へ
・第2章 VHS最後の生産メーカー、船井電機破産、敵対的買収にあう
   

  第1章 VHSとベータ・マックスの規格競争 思い出の映像をデジタル化へ

メディアがデジタルへと移行する中、ひそかに昭和生まれには馴染み深いVHSについて、ネット上で大きく取り上げられている。VHSは、2016年に部品調達が困難なことを理由に、最後の生産メーカー船井電機(現在はFUNNAI)が撤退して、市場から姿を消した。部品の保有期間が8年であることを踏まえると、2025年以降は修理が困難になる。現在中古市場で取引されている。

 Victor社が開発したVHSは、1975年から1980年までの5年間、よりコンパクトなベーター・マックスとの規格争いがあった。Victor社が1976年10月31日に発売した1号機HR-3300の販売価格は25万6000円、録画用VHS一本あたり6000円の価格で売り出されていた。

写真=1号機HR-3300の写真 掲載元 週刊アスキー 2017年3月20日付 https://weekly.ascii.jp/elem/000/001/454/1454424/2/
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一般市民が手を出せる価格ではなく、購入ターゲットは企業だった。物価の物差しを図るうえで、給与所得を例にとると分かりやすい。1976年時点、大卒初任給は平均9万4300円だった。産労総合研究所によると、2024年、大学卒(一律)の初任給は、平均22万5,457円、高校卒(一律)は平均18万8,168円である。

1970年代から1980年代初頭船井電機は、コンパクトビデオカセット(CVC)を手がけたものの、一般の人に根付かず、すぐに生産をとりやめ、VHS陣営に加わった。ベーター・マックス陣営を主導するのはSONYだった。

 写真 掲載元 日経新聞 2012年9月23日付 https://www.nikkei.com/article/DGKDZO46393640R20C12A9TY8000/
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VHS方式について、ユーザーにはベータマックスよりも録画時間が長い点が受け入れられた。VHSの標準モードでの録画時間は120分、3倍モードを使用すると、360分になる。対して、ベーター・マックスは、幅広い録画時間に対応していた。テレビドラマやバラエティー番組の一番組を記録することを見越して、標準モードは60分だった。同じ録画時間では、ベーター・マックスが、VHSに勝っていたといわれている。

VHSは、使用部品数が少なくコストの面でニーズに合致していた。販売店の多かったVHS陣営は1978年度には生産台数でベータ陣営を抜く。1982年には毎日新聞が「ベータに敗色」と見出しをつけて報じた。当時は一家に一誌購読していた時代、新聞の影響は大きく「VHSの勝利」との認識が一般の人々の間で広がった。

 写真=VHSとベーターを含め 各メディア 掲載元 ギガ・ステーション http://www.meteor-hearts.co.jp/8mm/ryoukin_vhs.html
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ベーターは急速に市場から姿を消したものの、産みの親であるSONYは、事実上負けを認める形で1988年にVHSに参入した。ベーター・マックスの生産機は、2002年まで生産を続けていたものの、家電量販店では目だった場所に置かれなかった。ひそかにベーター・マックスは終焉した。

規格争いに決着がついた頃、バブル期の始まりとなる1987年に、VHSの産みの親Victor社は、高画質の同様の製品を開発した。その名も「Super VHS(略称S-VHS)」同年4月に1号機を発売した。

 従来のVHS(ノーマルVHS)では、画質の指標となる水平解像度が240TV本であった。VHS第1号機が発表された1976年(昭和51年)当時の一般的な家庭用テレビの水平解像度は200TV本程度である。新たに発売されたS-VHSは、水平解像度が3倍モードでも400TV本に達した。1980年代半ば移行、衛星放送の高画質化に対応した形である。

 売り出された当初バブル景気に後押しされ、家電量販店で人々は、物珍しさとより高級感を求めて、手にとった。人々がバブル崩壊を実感し始めた1993年以降、売上は軒並み低調だった。当時消費者は、VHSの画像で満足度が高く、節約志向から、より機種本体や専用テープの値段が高いS-VHSを敬遠する傾向にあったのである。2008年にVictor社の生産終了を持って、市場から姿を消した。

 人々は、思い出の家族映像をVHSからDVDまたはブルーレイへと移行することにより、保存してきた。ブルーレイは、基本映像は無劣化保存が可能である。ディスク自体を丁寧に扱えば、数十年持つといわれている。

うっかりデジタルメディアへのダビングを忘れ、VHS再生デッキが故障した場合、民間サービスを活用する方法が残っていた。

 ダビングサービスも手がけるカメラのキタムラは、「ビデオの2025年問題」として、消費者に思い出のVHSをダビングする必要性を説明した

 詳細 https://www.kitamura.co.jp/news/2024/20240820_01.html

 市場でのVHSの最盛期は1990年代だった。30年が経過し、室温により、テープが伸びる、またはカビが生えるなど、劣化が懸念されている。少しでも早くデジタルへと移行して、思い出の家族映像を、次世代に残しませんか、と消費者目線に立って、語りかけていた。

 民間業者の中には、石版に文字を書き込むように、長期にわたって保存が可能な「M-DISC」へのダビングも受け付けている。M-DISCは、書き込みに対応する機種はSHARPなど一部のメーカーに限られている。録画用メディアの取り扱いも少ない。一方で各メーカー共、読み込みには、広く対応している。

 M-DISCは、水害にも強く、傷もつきにくい。メディアの質は高いものの、普及度は低い。そもそも写真やデーターをクラウド保存を利用するユーザーが多くなるにつれて、ディスクメディアは、市場規模が縮小しているのである。

 クラウド保存は確かに無劣化とはいえ、セキュリティー問題は付きまとう。思い出の品は、手元に置いておくことで、安心感が得られるはずである。


  第2章 VHS最後の生産メーカー、船井電機破産、敵対的買収にあう

 最後のVHSの生産メーカー、船井電機も2024年10月24日に、破産手続きに入った。負債額300億円、社員500名は解雇された。

 歴史を振り返ると、船井電機は、創業者船井哲郎氏の下、1951年に個人経営の船井ミシン商会の立ち上げから始まった。1959年に船井軽機工業株式会社に変更し、トランジスターラジオの生産を開始した。国内切手の家電メーカーとして高度経済成長期、日本経済を牽引した。創業者船井哲郎氏は、2017年に90歳で亡くなった。

 ものつくり大国として名を馳せたかつての日本において、船井電機は、世界のフナイと呼ばれる程、高い技術力を誇った。デジタル化の推進に伴い、韓国や中国のメーカーが、日本の技術に追いついていくと、船井電機の経営を脅かした。安定的に販売先を確保するべく、2006年に家電量販メーカーのYAMADAと業務提携を結んだ。すぐに解消し、「FUNAI」の名で北米へ販路を拡大した。韓国や中国のメーカーに太刀打ちできず、売り上げ不振が続いた。再度日本国内への販売に力を入れ、2016年にYAMADAとの協業により、長期10年契約で、販売先を確保した。

 国内では、2017年6月2日以降ヤマダ電機が販売を開始する。ブランド名は「FUNAI」他の日本メーカーよりも低価格で、4Kテレビやレコーダーが、ヤマダの店頭に並ぶ。もちろんネット上でも購入を受け付けた。

 写真=ヤマダ電機と船井電機の提携に伴う販売促進ポスター 家電Bizより 2017年5月22日付 https://kadenbiz.com/2017/05/18/funai_yamadadenki/
フォト


2019年6月3日には、NTTぷららと業務提携し、ひかりTVに特化したレコーダーを生産する。ぷららは7月1日より、ドコモの子会社となる。船井電機は、5Gの時代を見据えて、対応するレコーダーを生み出していく目標を立てた。ひかりtV専用のレコーダーを開発したのは船井電機のみである。ぷららは、船井電機の倒産を受けて、生産メーカーを探すことになる。

テレビやレコーダーは、完全デジタル放送へ移行した2011年を頂点に、国内のシェアは下がり続けていた。2021年5月14日に、出版事業を手がける秀和システムの完全子会社である秀和システムホールディングスが、株式公開買付けにより47.05%の株式を取得し、再建を図った。同年8月26日に上場廃止した。株主が秀和システムホールディングスと、船井電機の2代目社長船井哲雄のみにとどまった。

 新たに計画では、テレビやレコーダー事業の維持のため、新規産業で利益を出すべく、買収工作を図る。2023年3月、持株会社制に移行し、「船井電機・ホールディングス株式会社」に社名変更して、再出発を図った。船井電機HDの傘下として「船井電機」が設立され、不動産を除く旧船井電機のすべての事業が継承された。2023年4月、船井電機・ホールディングスは脱毛サロン「ミュゼ」を展開するミュゼプラチナムを買収する。美容事業を経営再建の柱として、展開する予定だった。食料品を含む物価高により、人々が高級な化粧品に手を出さなくなりつつあった。買収により損失が膨らんだ。発注した広告会社への制作費未払いにより、担保としていた子会社・船井電機の株式の大半が差し押さえられた。株主総会により、船井電機ホールディングスの経営者に責任転嫁を擦り付ける声が多く寄せられた。船井電機・ホールディングス社長の上田智一は、2024年9月27日に退任した。新規事業の開拓により、利益率が低くなった伝統的なテレビやレコーダーを含め独自ブランドの維持に努めた。美容事業への参入失敗により、経営が苦しくなり、破産へと追い込まれたのである。経営学の専門家からみて、船井電機のような伝統的な会社は、救済できる余地があるはずだった。コロナ禍の2020年時点で売上804億円あり、営業損失は3億円、最終損失は1200万円と赤字ではあったものの、現金が349億円、借入は1.8億円、純資産は518億円になる。破産のきっかけは、秀和ホールディングスに買収され、非上場化した2021年5月以降にある。船井電機の経営は、株主に監視されることなく、買収した秀和ホールディングスが決定権を全て握った。船井電機HDの23年3月期の事業報告書で、21年度に420億円あった純資産がは22年度には256億円に減っていた。逆に総資産は724億円から757億円と増加していた。なぜ総資産は増えるのか、秀和ホールディングスの巧みな戦略にあった。船井電機を非上場化して手に入れる際にLBO(レバレッジド・バイアウト)と呼ばれる手法を使った可能性がある。

写真左 掲載元 M&A SUCCEED 2023年11月8日付
https://ma-succeed.jp/content/knowledge/post-8747
写真右 掲載元 note 2024年11月6日付 https://note.com/regal_zephyr1942/n/n34ee4ba3f8e7
フォトフォト

秀和ホールディングスは、船井電機の株を大量に手に入れるべく、金融機関から資金を借りる。負債分は、買い付けられた船井電機が負うことになる。なぜなら秀和ホールディングスの一部門として組み入れられたからである。秀和ホールディングスは、船井電機に負債を突きつけた。船井電機は、資産を売り渡して、返済に当てる義務が生じた。製品の売上資金は、秀和ホールディングスに渡っていた。当然ながら、新規技術開発に資金を投じることなく、生産はストップする。創業者船井和夫氏が一線から身を引いたのは2008年、急速に押し寄せたデジタル化にあわせられず、ついに淘汰された。

 詳細 船井の経営について 掲載元Buseness Journal 2024年10月31日付
https://biz-journal.jp/company/post_384474.html


 写真=船井電機の歴代経営陣 MBC毎日放送より 2024年11月15日より
https://www.mbs.jp/news/feature/specialist/article/2024/11/103950.shtml
フォト


2026年まで船井電機と提携契約を結んでいたYAMADAは、ブランド名「FUNAI」の製品のアフターサービスを続けていく意向を示した。

 VHSに関しては、2021年にアットアイデア社が、新型VHS再生機を5年以内に販売すると表明したものの、進捗状況は明らかになっていない。

 アナログ時代が終焉を迎える中、映像やデーターを、クラウド保存の需要が高まっている。Youtubeを中心に気軽に動画サイトへアクセスできる中、テレビを視聴する文化も失われつつある。最後のVHS生産メーカーの船井電機の倒産は、一時代の終わりを示していた。録画メディアの行方は、不透明になっている。
 


■2025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
(TBS NEWS DIG - 11月27日 09:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8110744


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