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2024年04月15日18:18

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瞳をとじて(Cerrar los ojos)

 「ミツバチのささやき」などで知られるスペインの巨匠ビクトル・エリセが31年ぶりに長編映画のメガホンをとり、元映画監督と失踪した人気俳優の記憶をめぐって繰り広げられる物語を描いたヒューマンミステリー。

映画監督ミゲルがメガホンをとる映画「別れのまなざし」の撮影中に、主演俳優フリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、かつての人気俳優失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込む。取材への協力を決めたミゲルは、親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していく。そして番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられ……。

「コンペティション」のマノロ・ソロが映画監督ミゲル、「ロスト・ボディ」のホセ・コロナドが失踪した俳優フリオを演じ、「ミツバチのささやき」で当時5歳にして主演を務めたアナ・トレントがフリオの娘アナ役で出演。(映画.comより)





<2024年3月16日 劇場鑑賞>

 ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」、とても気になっていながら実は見てませんでした。当時は都会でしか上映されてなくて。その後リバイバル上映などもありましたが、すべて都会でした。しかし!今回「瞳をとじて」は、過疎県和歌山での上映です。あらすじを確認する限りでは、「アナ」という同じ女優さんが出演されているというだけで、話がつながっているようでもなさそうです。早速鑑賞となりました。

 お話は上にある通りです。仲良しだった映画監督と俳優。なのに、俳優さんはある日突然いなくなるのです。作品はまだ撮影途中だと言うのに。俳優さんが見つからなかったから仕方がないけれど、今のハリウッドシステムだったら多大な賠償金が発生するでしょうね。見つかるまで探して弁償させるのかもしれません。しかし、この映画は設定自体が古いのか、そのまま時が経ってしまってます。スペインだったからかもしれませんね。そして、失踪から22年が経ったある時、あるテレビ番組の企画で「あの人は今、どこ?」みたいなことやり、監督が呼ばれるのです。ゆっくりと記憶をたどる監督。番組の女性司会者も、広く視聴者に情報提供を呼びかけます。

 とにかく、映画はゆっくりと進みます。海辺の友人たちと語らったり歌ったりする監督を映したり。そして、ある時「彼かもしれない」という情報が寄せられるのです。



<ここからネタバレ>

 彼はある老人ホームにいました。手先が器用だったため、少し若い頃から置いてもらっていたみたいです。雑用全般そつなくこなし、頑固で変人だけれども、それなりに重用されていたようです。彼はある病気から来る記憶喪失になっていたのでした。そこは医師が説明していましたが、はっきり覚えていません。とにかく、突然自分が誰だかわからなくなり、場所や役目の認識も失ったようです。突然の失踪は悪意からのものではなかったことを悟った監督は、彼に寄り添い、なんとか記憶を取り戻してもらおうと試みます。彼は娘のアナに会ってもわかりません。アナも、小さい頃に突然父親がいなくなったのですから、つらい思い出もいっぱいあったでしょう。でも気丈にかかわっていきます。

 彼はなかなか記憶を取り戻しません。監督は、ついにあの時撮影していた映画を彼に見せることにしました。黙って鑑賞する彼。アナも一緒です。クライマックスのシーンで、彼は心なしか涙ぐんでいるようにも見えます。映画はそこで終わります。果たして彼は認識できたのか。その説明はありません。でも、私は、彼が思い出したと信じたい。甘いかもしれないけれど、そうであって欲しいと願います。



<ネタバレ終わり>



 尚、和歌山に最近できたミニシアターにて、ビクトル・エリセ監督特集が同時に組まれていたので、私はこの数日後に「ミツバチのささやき」と「エル・スール」を一度に鑑賞することができました。噂通りの素敵な作品でした。今回の「瞳をとじて」と共に、本当に見れてよかったです。
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