他人の得がなぜ許せない？

インスタ見てたら「困窮家庭の子どもたちに誕生日ケーキを」というような広告が流れて来ていて、それに30件くらいのコメントがついていた。

　インスタは結構広告が多くて、なかにはちょっと怪しいのもあって、そういうのには「コメントが何件あります」とあって、クリックしてみると「コメントはありません」となってる。つまりマズいコメントが消されているので、これももしやその類？と思ってコメント欄を開いたら、ちゃんと残ってる。
　ちなみに、その広告の団体をググったら、ちゃんとしたところだった。
　で、主旨としては貧しい生活をしている家庭（特にひとり親家庭が多い）の子は誕生日祝いをする余裕がないので、バースデーケーキを届けてあげたい、そのためのクラファンの稲がい。どこかのケーキ屋さんだか百貨店だかの協力を仰いでいるようで可愛らしいホールケーキの写真も出てて子供が喜びそうだと思った。
　特に問題もない話だ。
　ところがそこにあるコメントがバッシングの嵐。
「我が家は貧困家庭では無かったが、誕生日にホールケーキなんてヵって貰ったことなかった」
　※ほうほう、ケチな毒親だったのね〜
「今、普通の家庭でもそんな余裕はありません」
　※なら、どうして町のケーキ屋さんで、バースデーケーキの予約受付てるんでしょうなア。
「ホールケーキが３０００円は高すぎませんか？」
　※高すぎません。中抜きでもしてるとでも言いたいのかよ、ものの値段知らなすぎだろ。
「スーｌパーにいけばヤマザキのケーキが298円で売ってるのに、わざわざホールケーキにする必要あるのか」
　※あります。誕生日だからこそ、普段買う安いおやつじゃなく、ホールの真ん中にお誕生日おめでとうのチョコを飾って年の数だけ蝋燭を吹き消してお祝いするんです。

　中には「心が貧しい人が多いんですね」という真っ当なコメントもあったが、大半は上記のような妬み嫉み僻みのクズコメントだらけ。ここ、インスタじゃなくＸかよ、と。　出先だったんで家に帰ったらいちいち反論してインスタをＸ化してやろうかと思ったが、帰宅してインスタ開いたら流れてしまっていた。

　あのさあ、お前に金出せっていってるんじゃないんだよ。どこぞの貧乏人のガキにケーキなんてやってたまるかと思ってるなら、黙ってスルーすりゃいいじゃん。心も財布もゆたかな人が、お誕生日にどこぞと知れない子供にケーキをプレゼントしたと喜んで、提供したお店は「こんな人のためになる活動します」って宣伝になって、偽善でいいじゃん。それで喜ぶ子供がいて、みんな得して何が問題？

　これだけじゃない。車椅子ユーザーの映画の話へのバッシング。
　同性婚や選択制夫婦別姓の反対。
　etc,etc、挙げればきりがない。

　私は身近に障碍者もいないし、異性愛者だし、結婚で苗字を変えてからのほうが人生長いから、それらの問題、自分には関係ないと言えば無い。
　でも、車椅子の人がより便利に映画を観られるようにハードソフト両面が改善されれば、今までよりもっと映画が楽しめるようになる。
　同性婚が異性婚と同じように法的に認められれば、愛する人と幸福になるチャンスが得られる人が少しでも増える。
　夫婦別姓が認められれば、それまで姓を変えることであった不自由不利益を被っていた人たちがそれを被らなくてもすむ。

　で、別にこれらの事が実施されても、自分に不利益なことは

　　　な・に・も・な・い
　どこの誰とも知らない他人でも、不幸な話を聞くより幸福な話を聞いた方が良い。悲劇はフィクションだけで十分ですとかおいらは思うんだが。
　他人が幸福になることが許せない人たちがこんなにいるのは何故だろう。

　中島みゆきの「幸福論」という歌がある。
　　https://www.uta-net.com/song/54584/
この歌詞通りの人間が他人の得を許せない。
　人の笑顔や幸福が悔しくて、誰かが泣いて暮らせば自分が笑える。

　でも、他人が不幸になったからって、自分が本当に幸福になれることなんて無いんだ。
　自分より貧しい人が飢えて死んでもその人の分の金や食料があなたのところに回っては来ない。
　愛し合う恋人たちが結ばれなくて泣いていても、あなたをしてくれる相手が現れるわけではない。

　むしろ弱者の権利が守られない世界では一般の人々の権利だって守られない。

　結局、自分の足を引っ張るだけなのに、どうすて自分が損すると解っていても他人の得を許せないんだろうか？

　半分は感情としては解らない事もないが、でもやっぱ理解できない。

　どうしてそこまで絶望的な人間になってしまうのか。