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2024年03月22日12:11

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【麺】道頓堀今井《大阪ツアー壱》

遂にこの日がやって来た。千葉の地元の友達が大阪に遊びに来るのだ。まずはサムが２月22日の木曜日にやって来て、一緒に大阪を食べ歩き。翌23日の金曜日にはイグが来て、３人合流して大阪観光。土曜日はみんなで和歌山を巡り、イグはそのまま泊まって日曜日のマラソン大会に参加。俺とサムは適当にノンビリして、その日の夜の飛行機でサムとイグは帰路に着く。
前夜遅くまで部屋を片付けてたが案の定間に合わず、最終的にはテーブルの上のモノをまとめて、ベッド下の収納スペースにザラっと押し込む。寝るのも遅くなり今朝も寝坊だ。滅多に鳴らないインターフォンの音で飛び起きた。
ドアを開けると懐かしい顔がそこにあった。サムである。
この場所に彼がいたら楽しいだろうなと、日頃想像していた事が遂に現実となったのだ。その不思議な違和感。
荷物を置いて落ち着いたら、何はともあれ大阪の街へと出発だ。

南海電車に乗って、まずは『なんば』へ。３連休の１日前だが物凄い人混みだ。修学旅行生と思しき高校生や外国人観光客の姿が目立つ。
なんばの雑踏を掻き分けながら進むと、唐突に『今井』が現れた。周囲の喧騒や原色ギラギラの看板に埋もれそうになりながらも、まるで我関せずとでも言わんばかり。柳の樹がそよいでいて、まるでそこだけ時の流れが止まったかの様な佇まい。

店内は狭い間口に対して奥行きが深く、重厚な板張りの内装は格式を感じさせるが、その一方で店内にはエレベーターが設置されており、その機械的なデジタル表示が何とも場違いだ。店の外観も店内も、如何にも『歴史と最先端が同居する不思議な国ニッポン』って感じである。

昼時ではあったものの、平日だったからか15分程の待ち時間で席に案内された。
(後で土曜の昼に訪れた時は、行列で食べるのを諦めた)

実は、俺はうどんは殆ど食べない。駅の立ち食いそばにハマった小学生の頃、自分の中でうどんとそばのせめぎ合いがあった。どちらを選ぶかでよく悩んでいたが、大味のうどんより香ばしいそばって結論に達して以来、そば一択で生きてきたのだ。うどんはカレーうどんの時か、カップの赤いきつね以外殆ど食べてないのである。だが何と言ってもここは大阪だ。『食い道楽』を自負するからには、大阪うどんは避けては通れまい。
ゴゴゴ…

一番人気のきつねうどんを注文。

スープを口にしてぶっ飛んだ。出汁の塊ではないか！味付け自体は薄いので、スープは舌の上をあっさり通り過ぎて行くのだが、旨味が後から後から押し寄せて来る。『大阪うどんは出汁』とはよく聞くが、いやはやここまでとは…

スープのあまりのインパクトに麺の印象が霞んでしまったが、噂通りモチモチしてたな。この強烈な出汁なら、麺も重量級じゃないと持ち堪えられないかも。

具は油揚げが２枚。こいつは噛み締めると中は甘じょっぱい出汁が染み出し口いっぱいに広がる。この甘さは好みかもしれないが、俺的にはアリだな。
ネギは斜めにカットしてあり見栄えが良いし、シャキシャキに立つ角は見るだけでも口直しになる。
そして七味。味は七味そのものでピリッと引き締めつつ、山椒が入ってるので香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。

年輩女性の店員さんが多いからか店内全体が落ち着き、非常にゆったりと食事を楽しむ事ができた。お茶も小まめに注いでくれる。
元々あまりうどんを食べない俺が言っても説得力が無いだろうが、少なくとも俺は今まで、こんなに美味いうどんは食べた事がない。感動するレベルであった。

店を一歩出ると、なんばの喧騒が頭上から降り注いで来る。１分前まで、あんな静かな所であんな美味いうどんを食べていたのだ。それこそ、まるできつねに化かされた様である。

今井★★★

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