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2024年03月19日10:38

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再録 同性婚に改憲は必要ありません(民法改正で十分)

同性婚裁判の地裁判決5つが出そろっています。
民主主義はイコール多数決ではないですが、4対1と「同性婚を認めないのは違憲」との判決が圧倒しました。
そして5つの判決に共通しているのは、「改憲の必要は無い」です。

「専門家より、素人の俺様理論の方が正しい」というトンデモが根強いので、ちょっと専門家の言っている事を紹介してます。

「憲法24条1項と同性婚の関係については、論理的にいくつかの解釈が成り立ち得ると考えますが、結論から申しますと、少なくとも日本国憲法は同性婚を法制化することを禁止はしていない、すなわち認めているとの『許容説』は、十分に成り立ち得ると考えております」
これは衆議院法制局の公的見解です。
2021年2月25日の衆議院予算委員会における質問への回答。

日本国憲法は同性婚を禁止してはいません。
この事実を明確にする事は重要です。
「憲法違反だからダメ」は、同性婚を拒否する政治家の最後の牙城だからです。
日本憲法は硬質憲法なので改正は至難の技。故に「憲法改正したら認める」は、事実上「ノー」に等しいからです。
控えめに言っても、かなり卑怯な論法です。

ただ自民党は一応LGBTQIA+への理解推進を党是にしているし、維新も国民民主も同様です。
G7でも同性婚ないしパートナー制を国政レベルでやっていないのは日本だけです。
東アジアでも台湾に先を越されました。
国内でも(国政の法律婚に比べると「平等」には程遠いですが)パートナー制を採用した地方自治体は250を越えます。
今やそういう時代なのです。
政治家もそれは分かってるはずなんですけどね。

さて、同性婚裁判について、ここで軽くおさらいをしておきましょう。

●札幌地裁
(同姓婚を認めない)現行民法は、憲法14条の「法の下の平等」に反する。
 しかし24条には抵触しない。
同性婚を認めないのは違憲である!

●大阪地裁
現行民法は、法の下の平等に反しない。
もちろん24条とも抵触しない。
故に現行民法は合憲。ただし、憲法は同性婚を禁止してはおらず、民法を改正するなら同性婚も可能。

●東京地裁
現行民法は、14条とは矛盾しない。
しかし24条2項に抵触する!!
現行民法については札幌地裁に近いが、「違憲状態にある」と言い切った所が大きい!!

●名古屋地裁
現行民法は、14条とも24条とも抵触。
同性婚を認めないのは違憲である!

●福岡地裁
現行民法は、24条に違反
同性婚を認めないのは違憲状態である!

以上5つの判例に共通しているのは、同性婚に憲法改正は必要ない(民法改正で充分である)ということです。

少なくとも憲法学者の多数派と地裁レベルながら司法は、憲法は同性婚を禁止していないと考えている。
だから、この裁判の被告の国すら「憲法は禁止している」とまでは言えんのです。せいぜい「想定していない」としか言えない。

憲法をどう解釈するか?
それは専門家の先生方が、口を酸っぱくして説明している。

憲法学者の説明
https://www.huffingtonpost.jp/2017/04/27/kimura-sota-same-sex-marriage-_n_16285450.html

こちらも別の憲法学者の説明
https://www.seigakuin-researchers.jp/topics/interview02/

さらに別の法学者の説明
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/318559

弁護士の先生方の意見
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2019/opinion_190718_2.pdf

上記はほんの数例で、検索するとわんさかHITします。

ただ補足すると、どうして専門家達は、そう解釈するのか?
それは立憲主義の基本に基づいているからなんですね。この基本を知らないと、トンデモ解釈に転がり落ちる。憲法を論じるには、最初に系統だった勉強が必要で、その基本は本来、中学校の公民で習うはずなんですが、どうにもそれが機能していない。情けないことに一部の政治屋すらね(トホホ

ぶっちゃけ憲法と言うものは、基本的人権を守るために、国家を縛るものであって、国民を縛るものでは無いからです。
(公共の福祉による制約もありますが、これもあくまで人権を守ることが目的です)

法実証主義の意味から、憲法解釈には確かに文法や単語の意味を重視します。しかし字面にこだわり過ぎて国民の人権を否定してしまったら、それは本末転倒なわけです。
むしろ条文の「主旨」を大事にしなくちゃならない。
24条の主旨は、結婚の自由を尊重し、また望まない婚姻から国民を守る事です。
同性婚については想定してはいなかったでしょうけど、禁止もしていないわけです。

例えば、札幌地裁の判決は、確かに非常に難しく分かりにくい。
よく見る誤解を説明します
確かに札幌地裁は、「両性」を「男女」と判断した。ここまでは良い。
しかし地裁は別に「婚姻は男女にしか認められない」と判断したわけではないのです。

理由を説明します。
確かに札幌地裁は、24条1項の「両性」は「男女」だよ、とした。
しかしながら同時に、かと言って、24条1項は「婚姻は男女オンリーでしか成立しない」と言ってるわけでは無い。ましてや同性婚を否定したものでもない。あくまで「想定していなかっただけなのだ」と判断した。
憲法は人権を守るために、国家を縛るものであって、国民を縛るものではありません。だから、同性婚の禁止なんて物が湧いて出るわけが無いのです。

この前提にたった上で、札幌地裁は重要な判断をした。
原告が試合に負けて勝負に勝ったとされる所以です。
それは、札幌地裁は、同姓婚を認めないのは、14条の法の下の平等に反する。故に同性婚を認めないのは違憲である、と判決文に書いた。
(もし24条が同性婚を禁止していると判断したなら、この部分と辻褄が合わなくなるわけで(苦笑))

けど、こうなると疑問が生じますよね?
じゃあ何で14条(法の下の平等)に違反するとしながら、賠償の必要は無いとしたのか?
それは立法不作為の違法性を認め無かったからなんです。
難しい言葉ですよね。

思いっきり噛み砕いて説明します。
ニュースでも良く報道されましたが、この裁判は同性愛について、時系列的に丹念に後を追った裁判でもあった。
要するに、同性愛の事が科学的に分かって来たのは最近の事です。
同性愛を巡る社会通念が変化したのも、比較的最近です。
しかしながら、この民法が作られた当時は、同性愛のことは科学的に良く分かっていなかったし、社会通念でも今のような地位はなかったわけです。
したがって、立法府がこの民法を作ったのは、いわば不可抗力で仕方無いよってことなんです。 故に違法とまでは言えません、と言う判決だったんです。

時代遅れな法律であっても、正式な手続きで作られた法律は守らなければなりません。
また、カビの生えた法律であっても、改正するのは、きちんとした法的手続きが必要なわけです。
したがって、法改正がされない以上、現行の民法に従わざるを得ませんよって判決だったんです。

これはすなわち、「改憲までする必要はない、民法の改正で充分だ」と言う判決でもあったんです。

東京地裁の判決は札幌地裁のそれに準じます。
しかしさらに踏み込んだ進歩的な内容でした。
「法制度が存在しないことは重大な脅威で、個人の尊厳に照らして合理的理由はない」とし、憲法24条2項に反する「違憲状態」と言い切ってくれた。
これは大きい。


では大阪地裁の場合はどうでしょう?
残念ながら、札幌地裁や東京地裁とは意見が割れました。
まあ、地裁の間の判決で矛盾が生じるのはよくある事ですので、さして驚きません。
大阪地裁もまた24条の「両性」は男女だよ、と判断した。
故に24条は男女の婚姻を想定したものと判断した。

しかしここが大切です。
「想定していない」=「禁止している」ではないのです。
それは憲法の基本、基本的人権を知ってる人なら理解できる。
基本的人権とは自然権ですから、「犯すことの出来ない永久普遍の権利」なわけです。
しかし憲法を書いた人も人間です。あらゆることを想定するなんて不可能ですからね。
そこで14条等の他の条文とも組み合わせて、憲法が人権を否定するような本末転倒を避けなければならないわけです。
そして24条の「主旨」も重要です。この主旨は先にも言った通り、婚姻の自由の保証であり、同性婚の否定などではないのです。
まじ、これは中学校の公民で習うはずなんですけどね・・・(トホホ

大阪地裁の判決が出たとき、一部の「俺様理論」の人がはしゃいでいましたが、まず大阪地裁の判決文ぐらい読みましょうよ、と。

上記を踏まえて大阪地裁は、
「同性愛者にも異性愛者と同様の婚姻又はこれに準ずる制度を認めることは、憲法の普遍的価値である個人の尊厳や多様な人々の共生の理念に沿うものでこそあれ、これに抵触するものでない」

「両性」という文言がある以上、憲法24条1項が異性間の婚姻を対象にしているということは否定できないとしても、このことをもって直ちに、同項が同性間の婚姻を積極的に禁止する意味を含むものであると解すべきとまではいえない」

「憲法24条1項が異性間の婚姻のみを定めているからといって、同性間の婚姻又はこれに準ずる制度を構築することを禁止する趣旨であるとまで解すべきではない。」


確かに分りずらい文章だけど、落ち着いて冷静に読めば、その文意はわかるはずです。
大阪地裁の判決は、東京地裁や札幌地裁と比べて非常に杜撰かつ冷酷でした。
しかしそんな杜撰で冷たい裁判官ですら、こう書かざるを得ないのです。
つまり、憲法改正せずとも民法改正だけでこと足りる。

ただこの裁判は始まったばかりです。
地裁レベルでは矛盾した判決が出るのも度々です。
また上位の裁判所はどう判断するかは分かりません。

しかし少なくとも現時点では「同性婚の実現には憲法改正が必要」は、素人の俗説と考えて良いでしょう。

私の言ってることは専門家の先生方の受け売りです。
しかしいつの世も「専門家よりも、素人の俺様理論のほうが正しい」と言う人は絶えません(苦笑 
いわゆるトンデモさんですね。
そして、ここまで説明しても、「俺様理論」の人は、決して学習しないし、強弁詭弁を続けるでしょう。
あるいは、とっくに終了した議論に逆走して、周回遅れの屁理屈を続けるでしょう。
この文章は、心ある人のために書いています。


PS
プロフにも書きましたが、「ああ、これは喧嘩を売りに来たな」と思った場合、応答せずに削除。しつこい場合ブロックとなります。



■広がるパートナーシップ制度=人口の7割超が利用可能に―同性婚訴訟
(時事通信社 - 03月15日 07:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=7787790
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