「人に迷惑をかけるなら死ね」圧にならないか？

■「安楽死」を考える　スイスで最期を迎えた日本人　生きる道を選んだ難病患者【報道特集】
(TBS NEWS DIG - 03月17日 16:07)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=7790619

　回復の見込みがなく激しい痛みに苛まれてとか、寝たきりで意識もなく体に管をつけられたままでとかの状態になったら…と考えると、「それでも生きろ」というのは、苦しみを長引かせるだけではあるんだろうが。

　それでも、日本では、少なくとも今の日本では絶対に取り入れてはいけない制度だ。
日本人は「人に迷惑をかけてはいけない」という。
勿論、それ自体は悪いことではないし、迷惑系ユーチューバーみたいにわざと迷惑行為をして楽しむのは非難されて当然だろう。けれど、この「迷惑」というのが、例えば病気や障害のように本人にいかんともしがたい事情で仕事を休んでしまったり、他者の介護を必要としたりした場合、同じ「迷惑」とされる。
　迷惑をかけてはいけないが、道徳や思いやりではなく、弱者への一方的な我慢になるのだ。

　今もイオンシネマの車椅子ユーザーの対応が炎上している。
あれは、映画館側の対処が配慮に欠け、イオンシネマ側も謝罪したにも関わらず車椅子ユーザー側が激しいバッシングを受けている。

　たまたま見たい映画のスクリーンに車椅子シートがなく、従業員に介助をお願いしただけのことが、それほどに責められることなのか？障碍者は観たい映画も自由に観に行ってはいけないのか？

　このバッシングの背景にあるのが「人に迷惑をかけるな」圧だ。
　車椅子ユーザーは健常者と違って、介助をが必要になる、それは映画館の従業員に負担をかけるだろ。車椅子シートのある映画館で見ればよいだろ。見たい映画がやってないならあきらめろ。じゃなきゃ、自分で自腹切って介助者用意しろ。

　いやいや、本来は、どの絵映画館でもバリアフリーに改装して、車椅子ユーザーも健常者と同じように映画を楽しめるようにするとか、なんらかの対策を推し進めるよう建設的な議論するのが筋ってもんなのに。

　たかが映画、されど映画だ。
　この「映画」が命に繋がらないだろうか？

　先日も成田悠輔氏がキリンのＣＭを降ろされた。が、以前から成田氏の「高齢者は集団自決」発言はネットでさんざん批判されていた。そもそも、社会保障費が上がってるなら年寄り安楽死させりゃ解決ｼﾞｬﾝ、って、ちょっと成績の良いイキった小学生がいうレベルの稚拙な話だ。東大の大学院でてイエール大学で教鞭とってる人間がこの程度かよとそんだけでも呆れるが、こういう一見リアルズムっぽい浅い発言が受けいれられる土壌が確かにあるのだ。
　もともと、日本人はお上には逆らわない、長いものには巻かれる、出る杭は打たれるという同調圧力が強い。そのうえ、バブル崩壊後の長い不況のせいか、人の心の余裕が無くなっている。
　
　そんな時に「人に迷惑をかける」障碍者や高齢者に、安楽死を「選ばせる」ようにならないと誰が言えるのか？