「……あ……あのう……ガメが……。」
「えっ?」
男のきょとんとした顔が、迚(とて)も爽やかだ。
私は思い切って、フードへと手を伸ばした。真剣は柄(つか)で斬れ。椿象(かめむし)は手首で取れ。
「……ちょっ……!」
男が可愛い声を上げる。
私は、握った椿象(かめむし)を、全力へ、扉の方へ投擲した。
椿象(かめむし)が空間を去った直後に、扉が閉まる。
「……! そうか、君、ヘクサンボを……。有難う。」
男が、快く微笑む。
「僕(やつがれ)、北勝(きた まさる)。君は?」
私は、男の隣に座り、答えた。
「私、原唯(はら ゆい)。宜しくね。」
列車、ガタンゴトン。
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https://x.com/MT_G_J/status/1758551700309172284?s=20 )
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