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2024年01月26日06:59

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【美の常識と危うさ】 井奥陽子さん

【美の常識と危うさ】
  近代美学研究者 井奥陽子さん


 
美や芸術についての哲学を「美学」と呼ぶ。
「難しい創作には役立たないなどと言われる学問ですが、
『きれい」
と思う感情は誰にも身近なもの。
人間の思考の在り方を探るには、いい切り口だと思います」。

そう語るのは、近代ドイツ美学を研究する
日本学術振興会特別研究員(東京芸術大)の井奥陽子さんだ。 ‎‫


もっと気軽で易しい美学の本を―。そんな思いから

「近代美学入門」(ちくま新書)を刊行。
美や芸術の概念と変遷を、自身の体験談も交え、柔らかな言葉でつづった。

独創性が大事、
手付かずの自然は良い、
芸術家は天才・・・。
今、当然のように語られる美の価値観は
「たかだか200〜300年前、
近代の欧州で形成された一つの考え方に過ぎない」という。
例えば、近代から芸術を意味し始めた言葉
「アート」
は、中世まで技術を意味し、画家や彫刻家は注文に従う職人だった。

時代や社会状況に伴い、

美の“常識”は変わる。

「大学で美学を学び始めて、私の『当たり前』が、実は当たり前ではない事実に衝撃を受けた。そこに面白さを感じた」

一方で、美は人の心を動かす力があるからこそ

「危うい」
とも。
 
本書は戦意高揚への利用、
ルッキズム (容姿差別)など、
時に毒となる側面も指摘した。


「格好良く演出した軍隊の映像は人々に憧れを抱かせる。魅了されるのは『なぜ』と考える美学の視点は、立ち止まるきっかけにもなる」

 一昨年、夫の転勤でロシアへ移住。
「私は狭い世界しか知らなかった」
と痛感する毎日だと話す。
「ロシア正教会の礼拝を見た時は、装飾美や合唱、お香など、感性に訴える効果をフル動員した圧倒的な美に立ち尽くした」。
異文化から感じた驚きや畏怖の念が、今後の研究に生かされそうだ。

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2024.01.09(火)
徳島新聞
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