怪物の木こり・青ブタ ランドセルガールの夢を見ない・エクソシスト 信じる者を観てきたよ

■怪物の木こり
うーん。悪くは無い。悪くは無いのだけど。サイコパスで散々悪いことをしてきた悪徳弁護士が、ある日突然気持ち悪い被り物をした『木こり』に襲われ、殺されそうになる。やがて襲撃者が世間を賑わす連続殺人鬼と分かり、弁護士は警察に先んじての逆襲を狙う……というような話。全体として破綻は少なく（脳チップは大嘘だけど）、話も面白いのですが。弁護士の過去の悪行がほぼ仄めかしに終始してしまい、あまり悪そうに見えない。亀梨に悪いイメージ付くのが嫌なら、そんな役者を主人公にするな。そしてキャッチコピーのサイコパスvs連続殺人鬼というのが最終的に嘘になっちゃうのは良くないよ。俺はサイコパスが観たかったんだ。嘘、駄目、ゼッタイ。どんでん返しは望むところだけど、これはそういうんじゃないからキャッチコピーはもっと工夫すべき。あとね、一般的にトラバサミは人間の腕力でこじ開けられるような強度ではないよ。それでは野生動物を捉える罠として役に立たないんだ。退屈はしないけど今ひとつ、て感じでした。

■青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
咲太自身が思春期症候群に罹り、麻衣と同様の『他人から認識されなくなる』現象に見舞われる話。良かったですわー。青ブタにハズレ無しです。キャラデザはあまし好みでは無いのですけどね。作画は丁寧、劇伴は物語に寄り添っていて、演出は適切。スタッフ全員が、この話で何を描きたいかを明確に共有しているという印象。原作者冥利に尽きるだろうな、と想像できる良作です。TVシリーズ2期が発表されましたけど、原作を最後までやるんだとすると（そのつもりが無ければ2期は作れない）、15話〜20話くらい必要そうなボリュームです。2クールやるのか、OVAや映画を挟むのか？　楽しみですね。舞台挨拶のライブビューイング回を観たのですが、隣席の男が怪しいスマホの操作をしていて、録音していたのではないかという疑惑が。あーヤダヤダ。

■エクソシスト 信じる者
原題は、The Exorcist: Believer。まんま直訳だな。オリジナルのエクソシストとは何の関係も無いはず、たぶん。実はオリジナルをちゃんと観たことないことに気がつきました。オーメンやポルターガイストは何度も観たのになあ。筋書きはオーソドックス。様子のおかしくなった小学生くらいの少女二人（ポスター写真の二人です。萌え要素無し！）がいて、秘密の暴露やポルターガイストといった超常現象まで起き始めたので、悪魔祓いで解決しようという話。途中で考え無しな大人がやっちゃいけない余計なことをして犠牲者が出るってのは、お約束。オリジナルのオマージュシーンもあった。しかし、悪魔祓いが主題なのに悪魔祓いのセオリーに則っていないのですよ。祓いのシーンは、ひたすら聖書の語句を唱えて祈るだけ。現象の調査、証拠の確保、原因となる悪魔の特定（カトリックの教義からは外れるとしても、ソロモンの72柱の悪魔などに出典を求められればより良い）、退去命令、人類の勝利といった必要不可欠なシークエンスが全く無い。これは怠慢ですよ！！　しかも最後、悪魔祓いには実質失敗しており、悪魔側の勝利で終わっている。カタルシスもない。酷い脚本でした。俺はこんなの、21世紀のエクソシストとは認めないぞ。