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2023年11月05日16:21

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ショートショートロボットに脳みそを、続き

    その2

友達とお茶を飲む。
「じゃ、体は、機械なのね」
「そうサイボーグってヤツよ」
「何処も痛くないの」
「痛いところは、無いのよ、でも皮膚に触った感じがしないの、握れば圧力は感じるけど」
「じゃ、愛し合うのは無理なのね」
「無理無理」
「そのうち改善されるのを待つしかないわね」
「でも良いの、自由に歩けるし、車の運転も出来るから」
「ねぇ、触っても良い?」
「いいわよ」
「矢張り皮膚とは、少し違うのね」
「そりゃ、そうよシリコンだもの」
「しかも何でも食べられるけど、満腹感が無いの」
「そうなの、でも太らないでしょ」
「まあ、それが良いところかもね(笑)」
「じゃ、また会いましょう」

友達と別れて、考える。
皮膚の感覚よね、特にあそこが、何も感じないし。
研究所に通うしか無いか、恥ずかしくてもハッキリ言わないと改善していかないわね。

帰り道、歩いていると後ろからバイクが来てバックを取られそうになった。
犯人が取りそこねて、転倒した。
起き上がって来るところを蹴飛ばした。
まだ力加減が分からいから犯人は気絶した。
死んじゃいないわよね、確認して踵を返す。
後ろの方から拍手が聞こえた、振り返ると若い男が、親指を立てた。
無視をして歩く。
眼の前で車が停まる、中から研究所の人が降りて来た。
「何処も異常は、ありませんか?」
「大丈夫です、私を監視していたのですか?」
「いや監視と言うほどのものでは、有りません」
「喫茶店を出るところをお見かけしたので、少し様子を見ていました」
「その後、調子は、いかがですか?」
「ここでは、なんですので車に乗せていただけますか」
「どうぞ、どうぞ」
車に乗り、走りだすと、思いを吐き出した。
「そうですね、愛する人が出来たら困りますね、所長に言っておきます」
車で送って貰ったので、改めて近所で買い物をした。
「そう言えば、お腹が空いたと言う感覚もないわね」
「まあ、幾ら食べても太らないのは、良いけど」

「所長、彼女に会いましたよ」
「なにか言っていたかね」
「皮膚の感覚が無いそうです、それに、あそこの感覚も」
「今は、愛する人が居ないから良いけど、なんとかして欲しいとの事です」
「皮膚センサーかぁ、それは難しいなぁ〜」
「なんとかしてあげたいから考えてみるよ」

1年が経った、皮膚のセンサー技術も目処がたって来た。
黙って彼女の新しい体を作る。
シリコン素材の変形で、体の表面にセンサーを埋めつくした。
体感センサーが出来たから、これは是非とも体感して貰いたい。
早速彼女に連絡を取る。
是非と、言われる。

研究所に車を走らせる。
皮膚センサーの話を聞いたからには、新しい体が欲しい。

手術室で、横になる。
電気ショックを当てられて、意識を失う。

目を覚ます。
感覚試験を受けて調整が、行われた。
皮膚の感覚が有る。
「嬉しい、これで普通の人に成れた様な気がするわ」
「これで愛する人が出来ても大丈夫でしょう、また何か有ったら躊躇せずに言ってください」

家に帰ると自分の部屋に入り、あそこの感覚を確かめる。
なんだか胸も大きくなった感じで、下着がきつい。
裸になって確かめる。
また下着を買わなきゃ。

友達とまた、お茶をする。
「なんだか前より美人になっている」
「そう、そうなの」
「目もパッチリしているし、まつ毛も長い感じがする」
「お腹が空いたわ、前は、無かった感覚よ」
注文をして食べる。
気分が変わると、美味しさも変わる。
「あ〜お腹いっぱい、前は、満腹感も無かったのよ、幸せ」
友達と店を出る。
「よっ、彼女、元気にしてた?」
前に拍手をした男が言う。
無視をして歩き出す。
「今度お茶でも御一緒しない?」
シカトして歩く。

  END

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