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2023年10月30日18:39

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セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!(Sergio and Sergei)

 実在した旧ソビエトの宇宙飛行士で「最後のソビエト連邦国民」とも言われたセルゲイ・クリカレフをモデルに、冷戦終結に振り回された2人の男たちを描いた異色コメディ。東西冷戦時代が終焉を迎えようとしていた1991年。キューバ在住の大学教授セルジオは、宇宙ステーションに滞在中のソ連宇宙飛行士セルゲイからの無線を受信。2人は交信を続ける中で、国境や身分を越えて親友となる。しかし、ソ連の崩壊によってセルゲイは帰還無期限延長を言い渡されてしまう。セルジオは親友セルゲイを救うため、とんでもないアイデアを思いつく。監督は「ビヘイビア」などを手がけたキューバ人監督エルネスト・ダラナス・セラーノ。(映画.comより)





<2023年10月11日 録画鑑賞>

 おもしろかったです!尺も短かったし、舞台が1991年というのも勉強になりました。もちろん、真面目に考えれば、いくら無線ヲタクだからって、孤独な宇宙飛行士とつながるなんて、荒唐無稽な話だと思います。でも、そこ信じちゃえば、本当に楽しい物語。

 舞台はキューバ。主人公のセルジオは、かつてモスクワに留学し哲学のマスターコースを卒業、大学教授として生計を立てています。趣味は無線。日々、いろんなことを試しているし、会ったことないけどアメリカに住む親友ピーターもいます。幼い娘と母がいて、貧乏だけれどそれなりに楽しくやっていました。しかし、激動の時代。1989年にはベルリンの壁が崩壊。冷戦終結が現実味を帯び、ソ連と社会主義の存在が揺らぎ始めていました。そして1991年。マルクス主義哲学を教えるセルジオも、”マルクス主義なんて、今誰が勉強するんだ”という雰囲気にのみ込まれ、職を失ってしまいます。失意の中、新たな職探しもなかなかうまく行きません。

 一方、こちらはソ連の宇宙ステーション。宇宙飛行士のセルゲイは、もうすぐ国に帰還できるはずでした。しかし、地球のステーションから「申し訳ない。実は君の祖国ソ連は滅亡した。帰る国がなくなってしまった。おそらく君はロシアに帰るということになるとは思うが、今はまだ混乱している。いましばらく宇宙に滞在を続けていて欲しい」と言われます。祖国がなくなった?意味不明、よく理解できないまま頭が混乱していると、家族から通信が。そこには「あなた。物価が上がって生活も苦しいの。家具を売るわ」と切実なメッセージが。え?自分が宇宙にいる間に家族が追い詰められてる?そんなバカな。何としてでも帰還しなければ!

 そして、その少し前。セルジオとセルゲイの無線はふいにつながっていました。最初はお互いに信じられなかったものの、そこはお互い親密国どうし。お互いの言語もある程度知っていた二人はすぐに打ち解け、友人になっていました。窮状を聞き、セルジオはなんとかしてセルゲイを助けようと頭をヒネります。しかし、宇宙にいる人間をどうやって救う?凡人な私はあっけにとられるばかりだったのですが、アメリカ在住の無線ヲタク、ピーター(ロン・パールマン!)の助けも借り、ヲタクはヲタクとつながり、結局







<ここからネタバレ>

NASAをも巻き込んで、セルゲイをアメリカに帰還させることに成功するのです。ただし、スポンサーであるコカ・コーラを手に持ち、満面の笑みでコーラを飲みながら宇宙船から降りて来ること。それをしっかり中継すること、これが条件だったのです。この場面、本当に可笑しかった。若くないロシア人セルゲイが、満面の笑みでコーラを飲みながら降りて来るのですから。誰ですか!こんなふざけた映画を作ったのは?と思いました(笑)。

<ネタバレ終わり>



 のんびりしているキューバの生活が、いいなぁと思いました。まぁでも、セルジオは生計を立てるため、密造酒の精製に手を染めたりもするのですが。お金って、やっぱり必要ですものね、生きていくのに。最後はピーターに「しばらく連絡取れない」と言ってましたが、それは”捕まる”ってことなのかな、とも思いました。二人は会ったこともないのに、本当にいい友人でした。ピーターのつらい過去も、ちょっと明らかになって、話の根っこはシリアスだった気もします。でも、いいお話でした。おすすめです。


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