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2023年10月27日21:41

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渾身の絶唱

今日はグランドシネマサンシャイン池袋で「キリエのうた」を観てきました。

監督:岩井俊二

配役(役名):アイナ・ジ・エンド(キリエ/路花)、松村北斗(潮美夏彦)、黒木華(寺石風美)、広瀬すず(一条逸子/真緒里)、村上虹郎(風琴)、松浦祐也(波田目新平)、笠原秀幸(松坂珈琲)、粗品(日高山茶花)、矢山花(イワン)、大塚愛(小塚呼子)、江口洋介(潮見加寿彦)、吉瀬美智子(潮見真砂美)、樋口真嗣(潮見崇)、奥菜恵(広澤楠美)、浅田美代子(広澤明美)、石井竜也(横井啓治)、豊原功補(逸子の元恋人)、松本まりか(逸子の元恋人の現恋人)、北村有起哉(根岸凡)他。

岩井俊二&小林武による音楽映画で3時間に及ぶ長編作品で、東日本大震災で家族を亡くしてから流浪の半生を送って来たストリートミュージシャンを主人公に据えた作品です。

2011年の大阪から物語は始まります。
ザリガニ釣りをしていた3人の少年たちに小学生のキリエが仲間に加わりますが、路花(るか)は何を聞かれても口を利きません。

時は過ぎて2023年の東京、路花は姉の名であるキリエを名乗って、ギターを弾きながら路上ライブをしていました。
そのライブを見ていた逸子が路花に声をかけます。
路花は歌声はしっかりした声でしたが、日常会話は声がかすれてほとんど聞こえません。
路花は住むところなく路上生活をしていたので、逸子は路花に食事を振る舞った上に自分の住んでいる部屋に連れて行きます。

時と舞台は2011年の大阪に戻り、小学校教諭の風美は不出来な生徒岡田の家に岡田を送り届けますが、岡田は風変わりな女の子がいる事を風美に話します。
帰り道に風美は女児の歌声を耳にします。

逸子は本名は真緒里といい、帯広で暮らしていた2018年、スナックを経営していた母親が宛にしていた牧場主の横井との恋が破綻して大学を止めざるを得なくなったのを機に本名を捨てたのでした。
横井は真緒里の母と親しくなり、真緒里の大学進学の援助をすると申し出て、真緒里に夏彦という受験生を家庭教師に差し向けます。
突然やって来た夏彦に真緒里は戸惑い、大学受験するつもりもなかったので家庭教師を断りますが、後日教師に受験を勧められて気が変わり東京の大学を受験する事にし、夏彦の指導を受けます。

時間軸は2022年に戻り、逸子は路花(キリエ)のマネージャーを買って出て、ミュージシャン・キリエの衣装を買い揃え、ライブでサクラをして観衆を集めます。
逸子が住んでいた部屋は元恋人の部屋に居候していただけで、元恋人が新しい恋人を連れてきて、情事に及ぼうとしているとこを目にしてバツが悪くなり路花を連れて部屋を出て、とりあえずホテルに泊まります。
そこで路花はキリエは姉の名だと告白します。
逸子は受験生時代の話を始めます。
夏彦が来ていて、離婚して出て行った父が残していったギターを夏彦が引き始めます。
そして、1学年下の無口な小塚路花という友達のいない女生徒の話をし、真緒里に友達になってやってくれと路花に頼みます。
夏彦は路花が自分の妹だと告げたのでした。

逸子は知人の波田目という男のところに路花を連れて行き、そこで居候を始めます。
逸子は知り合いのユーチューバーやグッズ制作者、音楽プロデューサーの根岸等を路花に引き合わせて、オーディションを受ける事を勧めます。
逸子は路上ライブ中にじっと見つめている怪しい男を見咎めます。

路花は少女時代の自分に歌を教えてくれたストリートミュージシャンの男の事を思い出していました。
しかし、男は通報により誘拐犯容疑で警官に捕まってしまいます。
どうする事も出来ない路花はその場を立ち去ったのでした。

路上で唄っていた路花の前にギター奏者の風琴が声をかけて来て、路花は風琴の演奏で唄います。

再び、2011年の大阪の話に戻り、風美は夜中に木の上で唄っていた路花に話しかけて、路花を自宅に連れて帰ります。
路花が眠っている間にランドセルの中にあったものから風美は路花の情報を得て、路花は石巻市の出身で路花のキリエが東日本大震災で行方不明となっていた事を知ります。

一方、夏彦の指導で真緒里は東京の大学に合格します。
夏彦は真緒里と路花にギターを教えます。
夏彦は真緒里に路花は本当の妹ではなく、家族を震災で失って以来話し声がかすれてしまうようになったことを伝えます。

風邪美は筆談で路花と話、SNSに残っていたキリエへのメッセージに返信し、その相手である夏彦に会います。
夏彦はキリエのフィアンセで、ボランティアをしていた夏彦が大阪の大学に進学するという話を憶えていた路花は大阪行きのトラックに潜り込んで大阪に行ったのでした。
夏彦が地元大学の医学部を目指していた頃、キリエは夏彦の子供を身籠っていました。
妊娠が判ると2人は結婚する事を決め、夏彦はキリエの自宅を訪ね母親に歓待されます。
キノエの父は漁師でしたが海で遭難死していました。

路花はレコーディングスタジオで根岸や関係者たちに歌を聴かせます。
根岸は路花にどこかの事務所に入る事を勧めますが、路花は逸子への義理から即答を避けます。
路花が波田目の家に戻ると、波田目は警察がやって来て、逸子が結婚詐欺容疑者で逸子を捜していると言われたと告げます。
波田目は逸子に騙されたと激高すると、路花が逸子の共犯者だと路花に暴力を振るい始めます。
路花は身体を許す代わりに逸子を許して欲しいと懇願し、波田目は路花に行為をしようとしますが、その気が失せて路花を追い出そうとします。
今度は路花が錯乱して、2人はベッドの上で嘆きだすのでした。

話はキリエの受験生時代に戻り、夏彦に電話をする為、キリエは学校を早退して自宅に戻ります。
シャワーを浴びて下着姿のままキリエは風呂場から夏彦に電話をしますが、話の最中に大地震が発生します。
揺れが収まると2人の家の中は滅茶苦茶で、キリエは母親と路花を捜しに小学校へ自転車で向かいます。
避難所になっている小学校には母も路花もいませんでした。
キリエは路花が教会へ向かったものと思い、教会に向かいます。
津波が迫っている事をネットの情報で知った夏彦はキリエに高台にある大学病院へ行くよう指示します。
キリエは路花を見つけると電話を切り、夏彦はそれがキリエとの最後の会話となりました。

夏彦の両親が帰宅すると夏彦は40キロ離れた叔父の家に行って安否を確認してくると夜中に家を出ます(おそらくキリエを捜そうとしたのではないかと推察できる場面でした)。

風美と会った夏彦はキリエの遺体が見つかって欲しくないという本音を漏らします。

路花は刑事に逸子の件で任意同行を求められ事情聴取を受けます。
逸子による被害総額は2億7千万円にも上っていました。

小学生だった路花は通報により保護施設に入れられ、風美と夏彦はそれ以後路花と会う機会はなくなり、その後路花は里親の元で暮らしていました。
路花は夏彦が働いている牧場で働こうとやって来ますが、児童相談所に連れていかれ、それ以来夏彦は路花と連絡が取れなくなります。
しかし、真緒里の一件で夏彦と路話思わぬ再会を果たす事なにります。
路花は逸子の正体が真緒里である事を告げると、夏彦は路花を守れなかったと泣き崩れます。
贖罪の意識に駆られる夏彦を路花が抱きしめます。

スタジオで唄う路花の調子が冴えないとミュージシャンの日高がやって来て、外で演奏する事を提案し、路花は調子を取り戻します。
ミュージシャンたちの打ち上げの後、酔いつぶれていた路花の前に逸子が現れ、2人は海岸まで歩き、逸子は路花に自分の為だけのライブを路花にせがむと路花は砂浜の上で唄います。

路花はフェスに出る事になりますが、警官たちがやって来て道路使用許可証の提示を求めます。
誰一人許可証は持っていなくてミュージシャンたちが困惑すると観衆が騒ぎ出し、その間に路花は持ち歌を唄います。
逸子は会場に来る途中で花を買ってやって来ますが、詐欺被害者の男に刃物で刺されます。

路花は高校生時代に豪雪の積もった帯広で真緒里と過ごした時の事を思い出すのでした。

とても長い作品でしたが、小林武氏が制作に参加している事もあり、音楽の専門的な話なども随所にあり、音楽をベースにした青春群像といった作品でした。
時系列が過去と現在を行ったり来たりするパターンは過去の岩井監督の作品でも見た事があり、氏の得意とするところなのでしょうか。
美しい風景を背景に幻想的に描く表現も岩井監督作品にはよく見られるような気がしますが、本作のラストシーンもそんな締めくくり方でした。

公式サイトURL
https://kyrie-movie.com
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