画家の友人がいます。
画家といっても、絵を売ってないからアマチュアですけど。
アマチュアでも半世紀も研鑽してこられたので、プロ並みです。
ところが彼女、いつも
「私は才能がないのよね」
と残念そうに言います。
きっと彼女の求める境地が高いから、そういうことを言うのだろうと思っていました。
先日訊きました。
「なぜ、才能が無いと思うの?」
「だって、友達に言われたもの」
彼女は昔、権威ある絵画展に入賞し、その絵が国立美術館に展示されました。
国立美術館に展示されることが夢だった彼女は大変うれしかったそうです。
ところが、その絵を見た友人から
「あなた、才能がないのね」
と言われたそうです。
私はさらに訊きました。
「あなたはそれを真に受けたの」
「私はかげで悪口言う人の言うことは信じないけど、面と向かって言ってくれる人の言うことは信じられるの」
びっくりしながら訊きました。
「あなたの友人は、美大の偉い教授か何か?」
「いいえ」
「絵の有名な評論家?」
「いえいえ、普通の人」
「絵を描く人?」
「いえ、描かない」
「わかった、それは嫉妬よ、ヤキモチよ」
「え、嫉妬、、、、、、」
「絵の優劣が分かる偉い先生でも、”才能が無い”なんて言うと思う?」
「私、あの頃、入選して天狗になってたのよ、だから友人はあのように言ってくれたのかも」
「たとえそうでも、”才能が無い”とは絶対言わないでしょうよ」
美しい絵を描く彼女に、無理に汚い心のこと教えた気がしてます。
余計なことだったかなあ、、、、。
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