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2023年09月06日10:53

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この判決についての雑感

■辺野古訴訟、沖縄県の敗訴確定 設計変更の承認求める国の指示は適法
(朝日新聞デジタル - 09月04日 15:08)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=7549528


 沖縄県知事は、沖縄防衛局の地盤改良工事の変更申請に対して公有水面埋立法の要件に該当しないとの理由で不承認とした。沖縄防衛局は、この不承認を不服として国交相に対して審査請求したところ、国交相は、沖縄県知事の不承認を取消す裁決をした。ところが、沖縄県知事は、その後も沖縄防衛局の地盤改良工事の変更申請を承認しなかったため、国交相は、承認するよう是正指示をした。沖縄県は、この是正指示は違法だとして訴えたのが今回の訴訟。
 これに対し最高裁は、国交相の是正指示を 適法として沖縄県側の敗訴が確定した。

 最高裁の論理はこうだ。沖縄防衛局の地盤改良工事の変更申請の承認・不承認は、本来国の事務だが、例外として都道府県が代わりに行う法定受託事務である。法定受託事務は、本来国の事務なので、国はの関与は許される。是正指示(地方自治法245条の7)は国の関与の一つである。是正指示の前に沖縄県知事の不承認を取消す裁決をした場合、沖縄県知事が同じ理由(公有水面埋立法の要件に該当しないとの理由)で承認しないのは違法だから、国交相の是正指示は違法ではない、という理屈だ。

 個人的には、最高裁のこの理屈はおかしいと考えている。こういうことだ。
 つまり、本来、行政不服審査というのは、違法・不当な公権力の行使に対して国民の権利利益を守り、行政の適正な運営を確保しようという目的である。最高裁もこの目的は認める。
 ところが、本件での行政不服審査は、国の機関である沖縄防衛局が同じく国の機関である国交相に対して行っている。行政審査請求を行う目的は、専ら、国の政策実現にある。つまり、ここでは行政不服審査が、違法・不当な公権力の行使に対して国民の権利利益を守り、行政の適正な運営を確保しようという目的のために利用されていない。形式的に、法律上の要件に合致していないということはないから、国が行政不服審査制度を利用した、ということだ。
 考えてみてほしい、国の機関が、別の国の機関に不服審査請求したら、「仰るとおり違法です。」と判断する他ないのではないか。遠慮して到底公正な判断はできないだろうと思う。これは、公務員が、腰抜けサムライだということではなく、人間、特に日本人の本質から予想される事態を言っただけだ。国の機関が行政不服審査請求するのは法の予定するところではなく、許されないのではないか。
 従って、国交相は、是正指示の前に沖縄県知事の不承認を取消す裁決をしたのに沖縄県知事が同じ理由(公有水面埋立法の要件に該当しないとの理由)で承認しないのは違法だから、是正指示は違法ではない、という最高裁の理屈は、前提が誤っている以上理屈として成り立たない疑いがあると考える。
 それと、この事件が最高裁第一小法廷で審理されたのも何か意図的なものを感じる。なぜ、行政訴訟なのに行政法学者出身の宇賀克也裁判官の所属する第三小法廷の担当にならなかったのか。個人的には、最高裁で画期的な意見を多数書いている宇賀克也裁判官の意見を知りたかった。

 ところで、政府は、普天間は、危険だから、辺野古に移設は行われるべきだと言う。確かに普天間に基地があると住民に危険が及ぶ可能性はある。しかし、だから辺野古移設すべきだという理屈は飛躍しすぎだ。真ん中の理屈が欠けている。
 それに、辺野古移設にこだわると、普天間から米軍が撤収する時期はかなり遅れると思う。というのは、当初辺野古埋立にかかる費用が3500億円くらいだとされていた。ところが、見積もりが9000億円に増額された。さらに、その頃に軟弱地盤が見つかり、補強工事が必要だとされ、90メートルの杭を数万本打つ必要があり、そういう工事自体が前代未聞でできるかどうか定かではなく、また、工事も現在17%程度しか進んでおらず、工事費が3兆円を超えるとの試算まであるそうだ。
 だとすれば、辺野古への移設は元々無理筋だったのではないかと個人的には思う。
 そこで思い出したのが鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」発言。この発言で鳩山さんは散々批判され、バカにされたが、こういう事態に直面すると、鳩山さんの考えは筋として正しかった。ただ、実行力というか周りを巻き込み引っ張っていく力量がなかった。政治家のなかに本質を見通す力量のある人材がいなかったということが言えると思う。

 
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