先日、スタジオジブリ最新作「君たちはどう生きるか」を見てきました。
令和5年8月31日現在、映画に関する情報がほとんど表に出ていないので(主題歌、キャスト、場面カット数点くらい)、ネタバレになることは極力避けた上で感想を書いていきます。
でも、まだ未見で、フワッとどんな感じなのかだけでも知りたいという方向けに「過去作の中で言えばどのラインに近いか」ということにまずは言及してみます。
はっきり言うと、ラピュタやトトロや魔女の宅急便あたりの分かりやすい作風を期待するのは違います。
この辺は漏れ出てるところだとは思いますが。
次に、風立ちぬのような史実をベースにした物語(伝記的な意味ではなく)かと言うとそれも違います。
そして吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を映像化したわけでもありません。
(ついでに言うとタイトルから抱く説教臭さはありません。)
敢えて近しいところを個人的にピックアップするなら、宮崎駿監督作ではないけど「思い出のマーニー」かな、と。
ただ、あれに宮崎駿印の不条理展開やら意味不明なクリーチャーだとか、ウネウネとかモゾモゾとかジュルジュルといった粘っこい演出がこれでもかと盛り盛りになった、スーパー思い出のマーニー2'ターボXXAC+R…と言うと余計分かりにくいですかね。
でも現実問題、多くの観客が、そして何と監督本人までが「訳が分からない」という感想を残しています。
ストーリーライン自体はそこまで目新しいものではないのですが、要素の過積載が物語を分かりにくくしているのだと感じました。
また、主人公が過去にあまり例のない内省的な性格のせいか(ゲド戦記のアレンっぽい…って、何とも皮肉な話ですが)、映画全体からは見た目の鮮やかさとは別に暗い印象を抱きました。
鑑賞中、何度か笑ってしまった箇所もあったのですが、それは上記のような常軌を逸した相変わらずの描写に対して「ジジイいい加減にしろ」と思ってしまったからです。
「訳が分からない」理由をもう少し具体的に挙げてみます。
今作について、監督は「自分のことを
やる」と言っていたようです。
自分自身を描く、それ自体がある種の目的となっている以上、本人以外には伝わりようのないことが盛り込まれていても当然です。
ましてや監督が監督なのだから、分かりやすい「宮崎駿戦記」になっているはずがありません。
私は妻と見に行ったのですが、見終わった後、お互いしばらくの間は感想が出て来ませんでした。
「あそこの意味分かった?」
「あれって、どうしてなんだろう?」
等々、疑問は色々出てくるのですが、お互い「さぁ?」と返すことしか出来なかったのです。
これまで…特に後年の作品であってもギリギリのラインで保たれていた大衆性が、今回はハナから度外視されているように感じました。
製作委員会方式を取らなかったあたり、観客に見てもらう必要はあっても理解される必要はないと、思い切り舵を切ったのかも知れません。
さて、具体的なことは避けながら周辺を軽くなぞってきましたが、結局自分がこの映画をどう思ったかというと、面白いとは思えませんでした。
怒りを覚えるような感想ではなく、ただただ面白くなかった、というだけです。
今、ネット上では様々な考察が溢れかえっています。
皆、一様にこの映画の意味を現実の事象や人物と結びつけ、その深さを探ることに夢中になっているように見受けられます。
少なくとも自分はそういったことはあまり意味がないんじゃないかな、と思い、鑑賞中は思考を放棄しました。
残ったのはアニメ的ダイナミズムと、それと同等の訳のわからなさです。
ゼロプロモーションに対する感想としてはこれで充分だと思うのです。
先入観を極力排した状態で見たというのに、わざわざ監督の人間性の懐にまで飛び込む必要があるのだろうか、と。
もちろん、考察自体は楽しいと思います。
思いもしない解釈を目の当たりにすると素直に感心しますし、自分なりに思うところもあります。
それでも、自分が幼い頃に心の底から大好きで夢中になったジブリ作品は、もっとシンプルに楽しむことができたのにな…と思わずにいられませんでした。
突然精神世界に突入したと思ったら舞台がコロコロ変わったり、抽象的な話でケリをつけたり、そういう搦手を使わなくてもドキドキワクワクをたくさん見せてくれていたはずなのに。
最後の最後にもう一度見せてくれないかな、どうせ見せてくれないんだろうけど…と、思ってたらやっぱり見せてくれなかったという、何だろう、やっぱりそこは残念だなと正直思いました。
最後に、声優陣は軒並み良かったと思います。
菅田将暉は最後まで顔が浮かばなかったし、キムタクはキムタクだとすぐに分かったけどハマってたし。
ただ、あいみょんはいくらなんでも役が大き過ぎたかな…。
以上、「君たちはどう生きるか」の感想でした。
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