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2023年08月31日18:45

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『バービー』感想

～ピンクに彩られた夢のような世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」であり、皆が「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、オシャレ好きなバービーは、ピュアなボーイフレンドのケンとともに、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。ところがある日、彼女の身体に異変が起こる。困った彼女は世界の秘密を知る変わり者のバービーに導かれ、ケンとともに人間の世界へと旅に出る。しかしロサンゼルスにたどり着いたバービーとケンは人間たちから好奇の目を向けられ、思わぬトラブルに見舞われてしまう～＜映画.comさんより＞

面白かったぁあああ～～～～～！！！！！

長くなる予感大なので、テキパキと。
冒頭の『2001年宇宙の旅』への「オマージュ」（「パロディ」とは言いたくない私）。
私、実は、ちょっと嫌だったんです。可愛がっていた赤ちゃん人形を破壊するなんて・・・。
悶々としていたところに、ある投稿を見て、呆気なく解決。
「アメリカではああいうのは当たり前なんです。あのレベルぐらいは、どんどんやってるし、皆、それに慣れてる。日本人は慣れてないから、嫌悪感を抱く人もいるんでしょう」
あ～、そうかもしれない。確かに、ＳＮＬでも、結構、ドギツイことやってるよなあ。
母になるための準備としての人形から、自分自身（の未来）が投影できる人形へ。

人種も職業も多種多様なバービー（ドール）は「あなたは何にだってなれるのよ」と、女の子たちに勇気を与えてきた。
バービーランド同様、人間社会でも、きっと女性たちはハッピーで、自分たちの思い通りに生きているものだとバービーたちは信じていたのだが・・・。

バービーランドは、毎日が完璧で、毎日が夢のような世界。
すべてのバービーが職業をもち、専業主婦は、いなかったような。
彼女たちは、各々、家を所有していて、毎日、ハッピーに暮らしている。

一方、ケンたちは・・・とりあえずビーチにいて、家は無い(笑)
どこからか現れて、バービーからの笑顔さえ得られれば、それで日々幸せ。

ある日、定番バービーの身体と日常に異変が起きる。
ヘンテコバービーに解決方法を尋ねると、人間世界で持ち主に会うしかないらしい。

今が最高ゆえ、変わりたくないバービーは、なんとかしなきゃと、人間世界に向かう。
気づくと、ケンが勝手に車に乗っていた。

目的地のロサンゼルスまで到着する過程がめちゃ楽しい。
だが、着いた早々、人間たちから’よく思われていないような’視線を感じるバービー。
とりわけ男性からの視線が、苦しい。
服を盗んで逮捕されたりしながらも、なんとか持ち主と思われる女子高校生のサーシャを探し出した。
ドキドキしながらも、バービーは笑顔で自己紹介。
「私は、あなたが大好きだったバービーよ～」
だが、サーシャからは痛烈な言葉が返ってくる。
「あなたのおかげで、フェミニズムは遅れたのよ。大量消費に環境破壊。あなたはファシストよ！」
「えっ、えっ・・・」泣き出すバービー。

一方ケンは「Excuse me」と言われただけで、感動している。
「敬語を使われた。時間を聞かれた。男性は尊敬されている」
たまたま入ったビルで、馬や大統領やシルベスター・スタローン等の映像＆写真を目にして、猛烈に影響を受ける。
「男はこうあるべきなんだ。これが男だ。男性（優位）社会は素晴らしい」
この’馬’に魅せられるっていうのが、猛烈に可笑しかった。

バービーはマテル社に連れて行かれ、箱に戻されそうになるが逃走。
途中、社内で、謎の女性と遭遇。
ケンは、バービーを置いて、バービーランドにひとり戻り、男性優位のケンランドを創りはじめる。

一方、マテル社の重役秘書グロリアは、子どもの頃からバービーが大好き。
（ちなみに、マテル社の役員たちは、全員男性）
秘書というポジションにいい加減に嫌気がさしていたからか、今までにないバービーをこっそり描いていた。
それは、死について考えるバービーや脚にセルライトが出てくるバービー。
そう、まさに、それらが、バービーがおかしくなっていた原因。
つまりバービーの元々の持ち主はグロリア。その娘がサーシャでした。

マテル社から逃走中のバービーを発見したグロリア（とサーシャ）は、バービーを車に乗せ、それぞれが、事態を理解しながら、一同、バービーランドへ。
サーシャは冷めてますが、グロリアは大興奮。マテル社の役員たちも追って行きます。

バービーランドは明らかに様子が変わっていました。
バービーたちは洗脳されてしまっていて、ケンたちに飲み物を運んでいたり、マッサージしていたり、あり得ない状態でした。
あるバービーがふと口にしたこの一言が印象的。
「何も考えなくていいって、本当ラク。脳が休めるは、いいことだわ」
つまり、イヤイヤやらされている訳ではなくて、男性に奉仕することも悪くないっていう思考へと変えていたんです。
なんという巧みさ。

せっかく築いたバービーランドが・・・。
ただただ落ち込んで、何もしないバービーに呆れて、グロリアと娘は一端は人間世界に戻ろうとするのですが、アランの登場で、やっぱりバービーを助けなきゃという気持ちに変わり、再びバービーランドへ。
そして、グロリアは、現実社会の女性がいかに理不尽な目に遭っているかを語りはじめます。
これが、素晴らしくて、ツボに入って、私は、もらい泣き状態。
多少、誇張はされていても、女性なら、納得率、かなり高いのではないでしょうか？
考えなくていいのは確かに、ラク。でも、考えることで、言葉に出すことで、自分が（女性が）置かれている不平等な立場に気づく。
その話のおかげで、洗脳が溶けるバービーが出てきて、そこから一気に、バービーランド奪還作戦が始まります。

※予告編
https://youtu.be/BgVqM_LE0pE

ケンはどうなるのか？
「ケンは、ただケンであるだけでいい」
「バービーとケン」の「ケン」ではなくて「ケン」単体としての存在を目指す。
この場面のバービーの説得がちょっと弱くなかったか？
多分、こういう事

自分自身の強みや弱みを知り、自分を大切にしながら、自分らしく生きる。

そして、たくさんの人間に接して、様々な刺激を受けた定番バービーの決断は？

グレタ・ガーウィグって、自分の出演作にしろ、監督作にしろ、描いているテーマが一貫してるような。
「それが本当にあなたのやりたいこと？」
「他の人はそうでも、あなたはそれでいいの？」

『ゴッドファーザー』『高慢と偏見』『ジャスティス・リーグ』（←未見ゆえ意味わからず）等、映画ネタが満載。
バービーが「私なんて綺麗じゃないし」って言うところでのナレーション「マーゴット・ロビー本人が～」は、ちょっとやりすぎ。

今作、米国では、とてつもない大ヒットとなってるわけですが、日本ではそれほどヒットしてないと聞きました。
理由は２つ

①日本はリカちゃん人形で、バービーに馴染みがない
②ターゲットである20~30代の女性はもともと洋画をあまり観ない
なっ、なんというモッタイナイ・・・。

私は猛烈に楽しみました。
とりあえず、徹底されているヴィジュアルが最高で、ワクワクしっぱなし。
マーゴット・ロビーはめっちゃキュートだし、プロデューサーとしても、見事な手腕を発揮したと思います。
で、何よりも誰よりも、ライアン・ゴズリングですよ。
真面目に本当に真面目に、オスカー、獲ってもらいたい！
肉体改造も凄かったけど、今作での演技、めちゃ素晴らしいと思いました。
パーティダンス時のふくれっ面、逮捕された時の満面スマイル、嵌められているとも知らずに真剣なギター弾き語り。
どの場面をとっても最高！！！！！

グレタが旦那様と共同で書いた脚本が、実によく考えられているなあと、感心。
バービーが現実世界のバス停で出会ったおばあさんにいきなり「あなたはきれい」と言って、そのおばあさんが「知っている」と答えるシーンとか、よくわからないけど痺れた。

あと使用楽曲が知らない曲ばかりだったんですが、どれもめちゃ良くて、久しぶりにサントラ欲しくなりました♪

「あなたはそのままで美しい」「ありのままのあなたでいい」
ほぼ満点の4.5☆　

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