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2023年07月30日07:13

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「絶望感」

 日本の半導体産業の復活の兆しが出てきたというニュースが新聞紙面をにぎわしていますが、一歩中の状態を聞くと愕然とする話に代わってしまいます。特に「産業のコメ」と言われる「キーパーツ」であれば、そんな言い訳など聞いていられない深刻な問題ではないかと思うます。まずは、その姿を専門家からお聴きください。



 ざっとお聞きいただきましたら、どこにも問題はないかのように思われますが、これでは「半導体産業」は成り立ちません。なぜなら、現在のTSMCやサムソンなどの「ファブレス」の存在を前提とした、今後の「半導体の再起」を想定しているからです。要は10年先を見越した世界の「半導体需要」を前提とした「半導体産業」の議論になっていません。即ち押し寄せてくる「電気自動車化」の波に対応した「半導体の進化」のために絞られた「半導体の対応」にしか目が向いてなくて、実際は「半導体は産業のコメ」ではなく「半導体は自動車のコメ」と言う議論になってしまっています。
 
 例えて言えば「百貨店」の議論が必要なのに、「食品売り場」だけがクローズアップされているように見えます。さらに言えばビデオが説明するように、「半導体」は恰も「ルービックキューブ」のように多面体で考えなくてはならず、ねじや釘のような単なる「パーツ」ではありません。各商品の中で「心臓」のようなもので、「これが高性能でなければ商品が売れなくなる」中核部品であって、その商品の性能や品質を決める重要な役割を持ち、他に置き換えられない基幹部品です。

 「ゼロ戦」と言う戦闘機は1940年に突然生まれた名機ではなく、初めに出来たプロトタイプから3代目に完成したと言い、日本がなぜ名機を作れたかと言うと「軍と言う現場の強い要求に応えようとしたから」だと言います。戦後どうして日本が「自動車大国」になったかと言えば、こうした「戦闘機開発の技術者が大勢いたから」だと言われています。その「キーパーツ」が「エンジン」であり、そのエンジンが中国ではいまだに生産できずに、日本製が使われています。話がそれましたが、「半導体」はまさにこれからのいろんな商品の「発展の基礎技術」になるキーパーツなのです。

 「半導体」はよくご存知のように「素材、材料」と「製造装置」それらを使った「生産工場」と「設計技術」。さらに今後高度化が要求されれば「生産技術の高度化」の各部面での進化も要求されますし、それを統合した新しい展開が「需要家の要求」とともに進化していきます。それでここで申し上げたいことは、「需要家の要求にこたえるには、それ以上の懐の深さがなければ応じられない」と言う事です。「トヨタさんの要求に従ってアイシンさんやデンソーさんが開発する」。それはこれまでの行き方として間違ってはいません。それはきちんとした「半導体メーカー」が日本になかったからです。そうして今嘗て世界の半導体の生産の50%を担った「半導体工場」を再び立ち上げて、または誘致して「半導体復活」ののろしを上げようとしています。
 
 しかし、肝心のことを見落としています。それは最も重要な「半導体事業」はそこではありません。アメリカの「インテル」「エヌビディア」「AMD]などの会社では「半導体の設計」を担当しています。つまり「どんな半導体を作るのか}を彼らは握っています。これを押さえていれば、世界中の需要動向は丸見えですし、すべての需要家が頭を下げて設計を頼みに来ます。逆に言えば「何をすれば画期的な半導体が作れるのか?」「半導体の需要が上がるのか下がるのか?」が見えてくるのです。しかも彼らはあまり設備投資もしませんし、在庫も持ちません。こんなうまい商売はないのです。アメリカは付加価値の高いところはガッチリと押さえています。
 
 ところがです。日本のソフトバンクが世界一の設計会社と評判のイギリスの「ARM」を買収しました。それに目を付けた中国は「中国ARM]と言う子会社を作りました。しかし、日本では全くそこが論じられません。いかがでしたか?如何に日本人が「近視眼」的になっているかがお分かりいただけたのではないでしょうか?如何にTSMCやサムソンが巨大になろうともアメリカには従わなければならない。それはアメリカ無くしては会社が成り立たないからです。ゼロ戦を開発するにはエンジンの設計ができなければ不可能です。たとえ「ラピダス」が1㌨の半導体を生産できる技術を確立しても、高い「歩留まり」を実現する「生産技術」を確立したとしても、それを生かす「回路設計」が出来なくては、さすがのトヨタさんも臍を噛むだけになってしまいます。

 「なぜアメリカが盤石な世界経済の支配が出来るのか?」の答えは戦闘機一機150億円の内140億円以上は「設計図代」として儲かるからです。だから韓国も中国も戦闘機を国産化しようとするのです。お人よしの日本はアメリカの最先端戦闘機を欲しがり、予算を倍増してくれ、バイデン大統領が喜んでいます。


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