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2023年07月07日09:24

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『ぼくたちの哲学教室』感想

〜北アイルランド、ベルファストの男子小学校で実施されている哲学の授業を2年間にわたって記録したドキュメンタリー〜
〜北アイルランド紛争によりプロテスタントとカトリックの対立が繰り返されてきたベルファストの街には、現在も「平和の壁」と呼ばれる分離壁が存在する。労働者階級の住宅街に闘争の傷跡が残るアードイン地区のホーリークロス男子小学校では「哲学」が主要科目となっており、「どんな意見にも価値がある」と話すケビン・マカリービー校長の教えのもと、子どもたちは異なる立場の意見に耳を傾けながら自らの思考を整理し、言葉にしていく。宗教的、政治的対立の記憶と分断が残るこの街で、哲学的思考と対話による問題解決を探るケビン校長の挑戦を追う〜<映画.comさんより>

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原題は『Young Plato(若きプラトン)』

小学校で哲学の授業?
舞台となっている小学校は北アイルランドのカトリック地区にある。
映画は実際の紛争時の映像を挿入して、この学校がどんな場所に位置しているかわからせてくれます。

哲学教室の担当はケヴィン・マカリーヴィー校長。
スキンヘッドの猛烈なエルヴィスファン。校長室にはエルヴィス人形。

ある授業、校長が円陣で座っている生徒にボールを投げて、受け取った子が意見を言う。
うん、これはいい。
受け取った子は、’責任感’を抱えているものだから、ちゃんとしっかり考えて答えていた。

校長「目を瞑って、何も考えないでいられることができるか?」
ある生徒「考えないっていうことを、考えてしまいます」

問題を起こしてしまった生徒とは、1対1でホワイトボードを使って対話する。
「何が起きたのか」「どうすべきなのか」
生徒に書かせて、頭の中を整理させます。

マカリーヴィー校長の発言の一つ一つに頷いてしまう。
「意見を言ってくれてありがとう」「どんな意見にも価値がある」
「相手の立場になろう」「哲学とは思いやり」
「なかなか正解にたどり着かないのが、哲学のいいところだ」

生徒たちは、校長の言葉をまっすぐに受け止めて、考え始める。

保護者を集めて話しているシーン。保護者たちの真剣な眼差しが印象に残った。
そう、マカリーヴィー校長の言葉は、子供のみならず、大人にとっても、様々な気づきがあり、貴重なのだ。

「自らをコントロールすることが大事」と話す校長は、ジムに通い、体のメンテナンスを怠らない。
これは私も同感!思考を柔軟にするためには、体も柔らかくなくては!と週に5日は、自己流のストレッチ体操&ヨガで、30分ほど体をほぐしています手(グー)

この学校がある地域の自殺率は高いらしい。
また、学校から20名の行方不明者が出ている(←確かあせあせ(飛び散る汗)

※予告編
https://youtu.be/1nmh70ldWUw

校長だけでなく、途中何度か出てくる女性副校長も素敵。明るくて、楽しくて、優しい。
ある生徒「友だちもいないし学校にも行きたくない」
副校長「イヤなことリストをつくろう」
リスト作り中の副校長の相槌が愛に溢れていて好きだったのだが、それ以上に、その生徒のことが心配で、他の教員たちが尋ねてくるとこにウルウルした。
副校長「あなたのことが心配で来てくれたのよ」
その時の生徒の嬉しそうな顔ったら!

副校長「ホーリークロス校の子は(卒業しても、誇りを持って)ずっとホーリークロス校の子なのよ」

終盤のロールプレイシーン。テーマは「やられたらやり返すのか?」
生徒の想いとは裏腹に、親が、そうするべきだと教えている家庭がある。
校長が生徒の父親役となる。
生徒は言葉を絞り出す「僕は・・・やり返したくない」
校長(父親)「わかった」
生徒が欲しかったのは、勇気。話を聞いてくれる父親。
ちゃんと話せば、親もわかってくれるという安心と信頼。

怒りをそのまま怒りで返すのではなく・・・暴力を暴力で返すのではなく・・・一度、冷静になって考える。
国の背景は違っても、こういう授業は全世界的に取り入れるべきだと、ほんと、思った。
素敵な作品だったし、大いに勉強になりました。4つ☆
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